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機動王都ブルートガングを舞台に、配下を奪われた怒りを胸に、女神に操られたスコルピウスとの再戦に挑んだルファス。だが激闘の中で、戦いを楽しむ感覚に呑まれそうになる。自らが本来のルファスの意識を封じる存在だと思い知る中、ディーナへの疑念も深まっていく。覇王の本能とプレイヤーの理性、アイゴケロスとルーナの対峙、そして空飛ぶイケメンの正体まで、第15話を振り返る。




第15話「空飛ぶイケメンが現れた!」はスコルピウスとの再戦から
『野生のラスボスが現れた! 第2期』第15話「空飛ぶイケメンが現れた!」は、女神に操られたスコルピウスとルファスの激闘から始まった。戦いの中で浮かび上がるルファスの中の二つの意識、ディーナへの疑念、そして機動王都ブルートガングの裏で動く魔神族七曜のルーナとアイゴケロスの対峙。バトルの迫力と、物語の核心に近づく謎が詰まった一話だった。
配下を奪われた怒り
スコルピウスが女神に操られていると知ったルファスは、配下を奪われた怒りをあらわにする。毒の攻撃を受けても、ルファスの力なら解くのは造作もない。いい攻撃だ、もう少し速度を上げるぞ、と戦いを進めるルファスの姿は、まさに覇王そのものだった。
けれど、戦いが激しくなるにつれて、ルファスの言葉は少しずつ変わっていく。200年間、ただ遊んでいたわけではあるまい。せっかくの再会なのだ、余をもっと楽しませてみせろ。戦いそのものを楽しみ始めるルファスの表情に、見ている側も思わずぞくりとさせられた。
封じられたルファスの意識
そこでルファスは我に返る。「落ち着け俺」。これじゃただの戦闘狂だ。戦いの目的を見失ってどうする。今はスコルピウスをおとなしくさせるのが先決だ。ルファスに飲まれていたのか、という心の声が、この作品の根っこにある設定をあらためて突きつける。
以前、魔神王が口にしていた言葉の意味が少し分かった、とルファスは思う。自分こそがルファスを弱体化させている最大の要因なのだと。本来のルファスの意識を封じているのは、プレイヤーである自分自身。それでも今はこれでいい、目的は殺すことではないのだから、と自分に言い聞かせる姿には、覇王の体を借りて生きる者の覚悟と迷いが同居していた。
女神に強化されたスコルピウス
ご都合主義と呼ばれる強化
やがてスコルピウスは人の姿を解き、巨大なさそりの本来の姿をあらわにする。とんでもないパワーに加え、女神による補正は上がり続けていた。時間がたてばたつほど強くなる。物語ではよくあることだ、とルファスは分析する。力で劣る主人公が、絆の力だのなんだので突然強くなって逆転してしまう展開。「人はそれをご都合主義と呼ぶ」。
今のスコルピウスも、そのご都合主義の後押しを受けて理不尽な強化を果たしている。ならばやるべきことは単純で、相手がこちらより強くなる前にたたきのめす。物語の型そのものを逆手に取るメタな発想が、ゲームの中にいるプレイヤーらしくて面白い。
少し痛いぞ、我慢しろよ。相手が死なないようにHPを調整しながら戦うのは面倒だとぼやきつつ、ルファスは容赦のない一撃でスコルピウスを沈める。空の彼方まで突き抜ける攻撃の派手さには、思わず笑ってしまった。
思考誘導を解く鍵
ただし、今のスコルピウスは単純に気絶させても終わりにはならない。女神の思考誘導を解く方法が必要だった。その鍵としてルファスが名指ししたのは、ディーナだった。カルキノスによれば、今のスコルピウスは200年前の七英雄と同じ状態で、女神の支配を受けているらしい。特に負の感情が異様なまでに増幅されていた。
ディーナが調べたところ、スコルピウスはルファスへの独占欲を無理やり伸ばされていた。本来は意中の相手に決して攻撃を加えない、良識的なヤンデレなのだという。ヤンデレに良識もなにもないだろう、と心の中で突っ込むルファスとのやりとりが、緊迫した展開の中でほっとできる場面になっていた。愛情が深いからこそ、その感情を増幅されると暴走してしまう。女神の思考誘導の恐ろしさが、スコルピウスの姿を通してよく分かる。
ディーナへの疑念
アリエスとリーブラの会話
一方そのころ、ブルートガングの内部では、アリエスとリーブラが魔神族に対処していた。今のルファス様は昔と比べてずいぶん優しくなった気がする、と話すアリエス。リーブラは、マスターの冷酷さや残忍さは後から必要に応じて身につけたもので、もともとは穏やかな方だったのだろうと推測する。かつてのルファスを知る配下だからこそ、今のルファスの変化に気づき、喜びと不安の両方を抱えているのが伝わってくる。
記憶が戻らない方がルファス様にとって幸せなんじゃないか。そうこぼしつつも、一緒に過ごした日々を忘れられているのは耐えられないと言うアリエス。そしてリーブラは、鍵を握るのはディーナだと断言する。ゴーレムゆえに精神干渉や支配を受けない自分以外、全員がすでに記憶操作か思考誘導を受けている可能性がある。「あの女に気を許してはなりません」という警告が重く響いた。
案ずるな、余が守ってやる
ディーナが女神と同じスキルを持っていたことに、ルファスも疑念を深める。攻撃の属性も同じ。今回の事件のタイミングも良すぎる。ディーナが誘導する先に、都合よく十二星天や七英雄が現れてきた。結果的に自分が得をしてきたから気にしていなかったが、思考誘導でそれぞれを操っていたのではないか。
解除はできるけれど、これをやったら女神様から敵認定されないかと心配するディーナ。嘘でも守ってやると言うべき場面では、とねだられ、ルファスは「案ずるな」と棒読みで返す。全力で守ってやるからと約束させられる、とぼけたやりとりの裏で、ルファスの心の声は冷静だった。最悪の場合、ディーナ自身が女神のアバターである可能性もある。笑いの中にのぞく、ぬぐえない不信感が、二人の関係をいっそう複雑に見せていた。
七曜のルーナとアイゴケロス
認められたいルーナ
魔神族の側では、七曜のマルスとユピテルがやられ、ルーナが焦りを募らせていた。これ以上しくじるわけにはいかない。そんなルーナに、魔神王の息子テラは、無茶をするなと言い聞かせる。七曜は仮初めの指揮官でしかない、隠密と攪乱にだけ精進せよと。
けれどその言葉は、ルーナの胸をかえって締めつける。かわいそうなルーナ、このままでは永遠に彼の隣に並ぶことはできない。そうささやく謎の声に、ブルートガングを落とすような大きな功績が必要だとそそのかされ、ルーナは動き出す。テラに認められたいという純粋な気持ちが、謎の声に利用されていく流れはあまりにも切ない。
選べ、弱き者よ
ルーナの前に立ちはだかったのは、アイゴケロスだった。弱き者よ、汝に二つの道を与えよう。一つは、抵抗せずに主への供物として捧げられる甘い幸福。もう一つは、無惨なる屈服。「どっちも同じじゃないか」というルーナの叫びはもっともで、アイゴケロスの忠誠の歪み方がよく分かる場面だった。主の手にかかって死ぬことは栄誉だと言い切るその忠誠心は、頼もしさと恐ろしさが紙一重だ。
圧倒的な力でルーナを追い詰めたアイゴケロスは、さらに問いかける。なぜ魔神族は死んだ後に死体が残らないのか。魔物ですら死ねば死体となって大地に帰るのに、なぜ魔神族だけが初めから存在しなかったかのように消えるのか。その現象に本当に見覚えはないのか。魔神族の正体に迫る問いが投げかけられたところで、割って入ったのがテラだった。
空飛ぶイケメン
魔神王オルムの息子、テラ。ルーナを助けたテラは、アイゴケロスに怒りを向けながらも引くことを選ぶ。そしてルーナに打ち明ける。今、七曜は、いや魔神族全体が、ある者の意志によって操られている。父はそれを知っていて止めようともしない。魔神族の中でも数少ない信頼できる存在として、無駄死にはしないでくれと語るテラの姿は、まさに王子様だった。
テラの言葉は、第15話でもっとも不穏な情報だったかもしれない。七曜を、そして魔神族全体を操る何者か。女神の思考誘導と、魔神族を操る意志。二つの見えない力が、ルファスの周りの者たちを少しずつ動かしているように見える。テラが魔神王の息子でありながら父に疑いを向けていることも、今後の大きな火種になりそうだ。
そのテラを空から目撃したのがルファスだ。何今のイケメン野郎、魔神族っぽい女の子をお姫様抱っこして。サブタイトルの「空飛ぶイケメン」はここからで、思わず笑ってしまう回収だった。
第15話のまとめ考察
中身が男だと知ったディーナ
女神の思考誘導の解除を終えたディーナは、テラについて説明する。名前はテラ、魔神族の王子様。けれど魔神族は青い肌で、黒目と白目が反転した種族のはずなのに、テラは違う。魔神王ともまったく似ていない。乙女ゲームなら間違いなく攻略対象、とはしゃぐディーナに、やったことがないから分からんと返すルファス。
そこでぽろりと飛び出したのが、「中身が男だからな」という一言だった。言わなかったか、と平然とするルファスに、初耳ですよと驚くディーナ。シリアスな疑念が積み重なった回の最後に、この反応を見せるディーナがなんとも愛らしい。
覇王と、その中にいる者
第15話は、ルファスという存在の二重性がはっきり描かれた回だった。戦いを楽しむ覇王としての本能と、それを抑えるプレイヤーとしての理性。自分こそがルファスを弱体化させているという自覚は、この先の物語で大きな意味を持ちそうだ。
その意味で、スコルピウス戦は単なるバトルではなく、ルファスが自分自身と向き合う戦いでもあった。戦いを楽しむ自分に気づき、我に返り、殺さずに済む方法を選ぶ。覇王の力を持ちながら、その力に呑まれない選択を重ねていくことが、プレイヤーとしてのルファスの戦い方なのだろう。
そしてラストには、ブルートガングの王室エリアへルファスを案内するゴーレムが登場する。待っているのは、ゴーレムたちの制作者でもある鍛冶王ミザール。「ミザール、まさか生きてんの」と驚くルファスの言葉で幕を閉じる展開に、七英雄との再会がどんな形になるのか期待が高まった。女神、ディーナ、魔神族を操る何者か。いくつもの思惑が交差するブルートガングで、ルファスがどんな答えを出すのか見届けたい。




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