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電話越しの告白で両想いになったはずの颯太とこはる。ところが颯太は振られたと思い込み、デート前日にはこはるとの連絡も途絶えてしまう。さらにこはるの父・和玄から約束の解消を告げられた颯太は、和玄をカフェつつじに呼び出して、真正面から説得に挑む。束縛か保護か、マジックアワーの説得、そしてまさかの真相と改めての返事まで、第4話を振り返る。




第4話 両想いのはずが
第4話は、電話越しの告白で両想いになったはずの颯太とこはるが、思いもよらない理由ですれ違ってしまう回だった。デート前日に連絡が取れなくなり、さらにこはるの父・和玄から約束の解消を告げられる颯太。それでも初恋を諦めきれない颯太は、和玄を呼び出して説得に挑む。父と娘、そして颯太の想いが交差した第4話を振り返っていく。
夢じゃない
前回の電話の翌朝、こはるは昨夜のことを思い返していた。お風呂でのぼせてしまったけれど、あれは「夢じゃない」。颯太から好きだと告げられた言葉を何度も噛みしめ、「両思いになれたんだ」と喜びをかみしめるこはるの姿は、見ているこちらまで頬がゆるむほど幸せそうだった。
塩対応と呼ばれる少女が、ベッドの上でスマホを抱きしめて足をばたつかせる。普段の無表情とのギャップがあまりにも大きく、こはるにとってこの恋がどれほど大切なものなのかが伝わってくる。
振られたと思い込む颯太
ところが颯太のほうは、まるで正反対の朝を迎えていた。「この世の終わりって感じだな」と言われるほどの落ち込みぶり。初恋の相手に告白して振られたのだと思い込んでいたのだ。「女なんて星の数ほどいるんだからよ」という慰めも、今の颯太にはまるで届かない。
そこへ現れたのが、こはるのいとこの凛香だった。前回トラックから助けてもらったお礼に来た凛香は、腕の具合を気にかける。軽く声をかけた蓮には、気安く名前を呼ばないでくださいとぴしゃり。初恋相手に振られたばかりで「体の傷より心の方が深いのよ」と茶化す蓮に、颯太は慌てて口をふさごうとする。
凛香は颯太にマイン交換を申し出る。「今度別の形でお礼がしたいんです」。その様子を見ていた蓮は「案外年下もありかもな」と言い出し、颯太に「佐藤さんの身内だぞ」とたしなめられる。凛香のまっすぐな視線の意味に、颯太はまだ気づいていない。
いつも通りの学校
蓮の忠告
学校での佐藤さんは、いつも通りの塩対応だった。昼食に誘う男子にも、マイン交換を求める男子にも、そっけない返事ばかり。結局のところ何も変わらない。それでも佐藤さんを目で追ってしまう颯太に、蓮は厳しい言葉をぶつける。未練がましい真似をするな、「そこを無理やり切り替えるのが男なんだよ」と。
普段は人の恋愛の失敗などどうでもいい、むしろしくじってくれたほうが自分にチャンスが回ってくると言い放つ蓮。そんな蓮が生まれて初めて真剣にアドバイスするのは、「お前が友達だからだ」。「佐藤さんのことはもう忘れろ」という言葉は厳しいけれど、そこには親友を思う気持ちがまっすぐに込められていた。「優しいなお前」と返す颯太とのやり取りに、二人の友情の深さを感じた。
かみ合わない会話
ところがその直後、佐藤さんのほうから颯太に声をかけてくる。手にしていたのは二人で撮った写真。「私のミンスタに載せてもいいかな」と尋ねる佐藤さんに、颯太は戸惑いながらもいいよと答える。男の人はこういうのが苦手だと聞いていたからと安心する佐藤さんは、さらに「明日のデート楽しみだね」と続けた。
振られたはずなのに、デートの話。颯太には何が起きているのかさっぱりわからない。一方の佐藤さんは、颯太に連絡しようとスマホを手に取るものの、なぜかうまくいかない。戸惑う佐藤さんにかけられたのは、父の「大事な話がある」という一言だった。
蓮は、からかわれたんだよお前と颯太を諭す。「所詮初恋なんかうまくいかねえんだよ」。それでも人生が終わるわけではない、「振った方も振られた方もまだ生きていくんだから」。乱暴な言葉の中に、蓮なりの励ましがにじむ。余計なことまで教えようとしたところで颯太の父が現れ、「どっから出たんだよ筋肉」とツッコまれる流れには笑ってしまった。
父・和玄からの電話
約束の解消
そんな中、颯太のスマホに佐藤さんの番号から着信が入る。ところが電話の向こうから聞こえてきたのは、「すまないが私は君の言う佐藤さんではない」という男性の声だった。こはるの父、佐藤和玄。「君にお父さん呼ばわりされる筋合いはないが」と前置きした和玄は、明日の娘との約束を「なかったことにしてもらいたい」と告げる。
こはるのスマホは和玄が預かり、外出も禁じたという。理由を問う颯太に返ってきたのは「君には関係のないことだ」という冷たい言葉。それでも颯太は「関係あります」と食い下がる。自分はこはるさんの友達だ、と。
和玄は颯太のことを知っていた。最近娘と仲がいいことには感謝する。けれど同時に、ミンスタという「余計なことを教えてくれたなという気持ちもある」。今回の事態は、くだらないものにうつつを抜かした結果であり、「自業自得だろう」。一方的に話を打ち切ろうとする和玄に、颯太は言葉を失いかける。
代わりに来てください
「この電話が切れたら俺の初恋は終わる」。それで、この苦しみからも解放される。そう思いかけた颯太は、それでもと踏みとどまる。「なら代わりに来てくださいよ」。こはるさんの代わりに断るのなら、代わりに来るのが筋でしょう。時間はカフェつつじに18時。必要ないと言いつつも、和玄はその申し出を受け入れた。
振られたと思って落ち込んでいた颯太が、ここで初めて自分から一歩を踏み出す。前回の電話での告白と同じく、傷つくことを恐れずに向かっていく姿がまぶしい。さらに颯太は仲間たちに「協力してもらいたいことがある」と声をかける。佐藤さんの父を説得するための作戦が、ここから動き出した。
カフェつつじでの対峙
束縛か保護か
約束の時間、カフェつつじに和玄が現れる。アールグレイを出された和玄は、まずこの議論の目的を明確にしようと切り出し、「君は一体私に何をさせたい」と問う。こはるさんにスマホを返してほしい、大事なものだから、勝手に否定したり「束縛しないでください」と訴える颯太。
けれど和玄の認識は違った。娘は感情表現が苦手で、人の感情の機微を察するあまり消極的になる傾向もある。「普通の親はそんなことしません」という颯太に、和玄は「何を普通と定義しているのか知らないが」と返し、親として娘に干渉し、「何かあれば全ての責任を負う覚悟がある」と言い切る。「対して君はどうだ」。
ミンスタにうつつを抜かして学業がおろそかになり、志望する大学に受からなかったら。写真や投稿が原因でクラスで孤立してしまったら。そのとき君はどう責任を取るのか。「傷つくことで成長が止まってしまう人間もいるのだ」、「娘を保護しようと思うのは間違っていることなのか」。和玄の言葉は厳しいけれど、そこには娘を思う親の切実さがあった。
筋肉は傷つけあって成長する
確かにそういう守り方もあるかもしれない。それでも颯太は、やっぱり間違っていると言う。こはるさん自身が、そういう成長の仕方を選びたがっている。不器用で誤解されやすいところがあるかもしれないけれど、「あなたが思っているよりもずっと強い」。
そして颯太が口にしたのは、第2話で父から教わった言葉だった。「筋肉は傷つけあって成長します」。傷つく機会そのものを奪われたとき、筋肉は泣く。父の筋肉論が、ここで娘を思う父親を説得するための言葉に変わるのが面白い。
それでも和玄は首を縦に振らない。娘が夢中になっているものは理解できないし、納得もしないだろう。「写真を公開することにどんな価値がある」、「記録のためか 承認欲求を満たすためか」。思い出を薄っぺらなものだと切り捨てる和玄に、颯太はもう少しだけ時間をくださいと頼む。「見せたいものがあるんです」。
マジックアワー
颯太が和玄を連れ出した先に広がっていたのは、夕暮れの景色だった。「マジックアワーです」、「日没直前の ほんの短い魔法の時間」。綺麗だと感じた景色、美味しかったもの、楽しかったこと、一緒にいた誰か。そういうものを少しでも忘れたくないと思うこと、「自慢したいと思うことはそんなにくだらないですか」。
みんなで感動を共有して、友達になりたいと思う。「その気持ちは弱いですか 無謀ですか」。颯太が塩対応の佐藤さんと仲良くなれたのは、佐藤さんの勇気のおかげだった。勇気を出して一歩を踏み出した「こはるさんの強さを信じてあげてください」。写真に込められた想いを、颯太は自分の言葉で必死に伝えようとする。
「これがこはるの見ているものか」。景色を見つめた和玄は、「もう十分だ」と静かに告げる。周りの客がみな仕込みだったことも、凛香まで巻き込んでいたことも、和玄にはお見通しだった。
スマホを預かった本当の理由
まさかの通信制限
ところが和玄は、颯太が一つ勘違いをしていると言う。なぜスマホを預かったと思うのか。ミンスタをやるのが気に食わなかったからではないのかと答える颯太に、和玄は違うと即答する。「そんな親が今時いるものか」。
和玄が見せた画面に表示されていたのは、通信プランの変更のお知らせだった。原因は「通信制限だよ」。こはるがミンスタに夢中になるあまり、家族の通信容量をほとんど使ってしまい、家族全員が通話以外できなくなってしまったのだという。「まったくあの子には苦労させられる」とこぼす和玄に、颯太も周りの仲間たちも拍子抜けしてしまう。
取り上げたのではなく預かったのは、取り乱して妙な設定をいじられては困るから。外出禁止にしたのは、今日本人を連れて通信プランの変更手続きに行く必要があったから。颯太が連絡が取れずに振られたと思い込んでいたのも、こはるが連絡できなかったのも、すべてはこの通信制限が原因だった。
不器用で口下手な父
つまりこの人は、ただの過保護で、佐藤さんと同じく不器用で口下手な「一人の父親だったってわけか」。颯太のこの気づきが、すべてを物語っていた。厳格で冷たく見えた和玄の言葉も、裏を返せば娘を心配する気持ちの不器用な表れだったのだ。
駆けつけたこはるは、仕事やみんなに迷惑をかけたこと、約束していたことも全部、と涙ながらに謝る。和玄は、これにかまけて他をおろそかにすれば次はないと釘を刺しつつ、「今回のことはいい薬になっただろう」、「今後はほどほどにな」と許す。そして颯太に、こはるを送ってやってほしいと頼むのだった。
去っていく和玄の背中に、颯太の父が声をかける。「甘いものは嫌いなんだ」、「人も食べ物も」と言う和玄に、「自分が一番甘いくせに」と返すやり取りから、二人が旧知の間柄であることがうかがえる。塩対応の娘と、甘いものが嫌いな父。けれどその中身は、どちらも驚くほど甘かった。
改めての返事
凛香の失恋
一方で、静かに涙を流していたのが凛香だった。颯太への想いに気づいたばかりなのに、その恋は始まる前に終わってしまった。「泣くのは今だけですから」と強がる凛香を、年上の二人が優しく慰める。あっという間の失恋は切ないけれど、その涙には凛香の素直な気持ちが表れていた。
二人乗りの帰り道
帰り道、颯太はこはるを自転車の後ろに乗せて走り出す。こはるが打ち明けたのは、あの夜の告白のことだった。実はお風呂に入っていてのぼせてしまったのだという。好きな人に告白されて、それぐらい「嬉しかったの」。けれどあの時の記憶があやふやで、だから改めてちゃんと返事がしたかった。
「私も押尾くんが好きです」、「ずっと前から」。今度こそ、すれ違いのない言葉が颯太に届く。電話越しで途切れてしまった前回の告白とは違い、今回は面と向かって伝えられた返事。ずっと遠回りしてきた二人の想いが、ようやく本当の意味で通じ合った瞬間だった。
これからもいろんなところに行こうね、という颯太に、こはるは「まずはかき氷だよ」と返す。自転車で並んで走る二人の姿は、夜の帰り道にふさわしい甘酸っぱさに満ちていた。
第4話のまとめ考察
塩と甘さのあいだで
振り返ってみると、第4話はすれ違いの正体が通信制限だったという拍子抜けのオチと、父との対峙を経て二人が本当の両想いになった回だった。厳しく見えた和玄の言葉は、娘を守りたい親心の不器用な表れであり、颯太が向き合ったのは敵ではなく、こはると同じく口下手な一人の父親だった。
颯太の説得も印象的だった。束縛だと訴えるだけでなく、マジックアワーの景色を見せ、こはるが写真に込めた想いを伝える。傷つくことを恐れて守るのではなく、傷ついても前に進もうとする強さを信じてほしい。その言葉は、第2話の筋肉論から続くこの作品のテーマそのものでもある。
その一方で、凛香のスピード失恋という切ない場面もあった。誰かの恋が叶う陰で、別の誰かの恋が終わる。甘いだけではない青春の一面が、物語に深みを与えている。
両想いとなった颯太とこはるが、これからどんな時間を過ごしていくのか。まずはかき氷から始まる二人の新しい関係を、温かく見守っていきたい。




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