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第10話の副題は「ひゃっはあっ、タルタルソースの時間だぁっ!(5話ぶり2回目)」。冒頭では、リンがこれまでに起こした出来事が三つ、本人のいない場所で読み上げられる。その三つが最後にもう一度、今度は乙女ゲームのイベントとして並べ直される。ヴィルが王都を避け続けていた理由も、思っていたものとは違う形で出てくる。揚げ物と焼きおにぎりの合間に、話が一気に動く回だ。




冒険の一覧は、先に誰かの口から出ている
第10話は、リンのいない場所から始まる。まだ姿の見えない相手が、リンのこれまでを読み上げていく。
三つの出来事が順番どおりに並ぶ
挙げられるのは「幸運の使者プランクスターからの祝福」「ダンジョン攻略からの守護者をテイム」で、そこに古のドラゴンとのくだりが続く。第3話、第6話、第9話の山場が、起きた順に三つ並べられている。
評し方が途中で言い直される
続くのが「こちらに来て間もないのに、なかなか波乱万丈だね」「振り回されて、あの子も大変」だ。そこへ「いや、楽しんでいるかな」という言い直しが入る。
呼び方だけが最後に置かれる
締めが「ああ、私も楽しみだ」「早く会ってみたいものだね」、そして「捨てられ聖女様」だ。作品名が、まだ会ったことのない相手への呼びかけとして使われている。
この並びは最後にもう一度出てくる
ここで並べられた三つは、回の終わりで別の言葉に置き換わって戻ってくる。冒頭の一分ほどが、そのまま最後の場面の下敷きになっている。
狩りを口実にして、また逃げる
車の中では、前回までの寄り道の反省会が続いている。
総括が軽すぎると怒られる
リンの「寄り道のつもりが、メルロワではいろいろありましたね」に、「軽く済ませちゃダメ」が返る。「リンがドラゴンにさらわれたときはびっくりしたし、心臓止まった」まで言われて、返事は「気をつけます」だけだ。
到着が近いことは全員が知っている
「もう今日中には王都に着くっぽいんですが」という見通しが共有され、そこへ「なんで王都に行く決心をしては尻込みするのを繰り返すわけ」が飛ぶ。「いい加減、諦めてはどうですか」まで、全員が同じことを言っている。
逃げる口実が食料の確保になる
車の窓から魔物の群れを見つけたヴィルが、狩りに行こうと言い出す。理屈は「王都まで何があるか分からないからな」「確保しておくに越したことはない」だ。言い終わる前に飛び出していって、残された側の評価が「逃げた」「逃げられましたね」になる。
逃げたことのほうは否定しない
戻ってきたヴィルに「方便もあり得ると思っていましたよ」と言われ、返事が「確かに、時に逃げることもあるが、嘘はつかん」だ。嘘は否定するのに、逃げたことは認めている。
魔物の説明が、そのまま食材の説明になる
フォグバードの説明は「マッシュルームみたいな丸い体に、足とくちばしを生やしたみたいな感じの鳥」「鳥だけど飛ばないの」「でもすばしっこいよ」と続く。そこへ「キノコ鳥とも言われるだけあって、肉はあっさりしつつも旨味があっておいしいですよ」が足される。
言い出した人がすり替わる
狩りに行く理由づけが「どうやら暴食の卓の飯番はフォグバードをご所望だ」になる。リンが頼んだことにされているが、当人はここまで説明を聞いていただけだ。
炭水化物と脂質の塊に、醤油が染み込む
大量に獲れたので、夕食は揚げ物と焼きおにぎりのパーティーになる。
揚げ物と聞いて出てくる名前が決まっている
リンの「これなら思う存分アレができます」に「なんという心躍る響きなんだ」が返り、その次に来るのが「待ってくれ、揚げ物ということは」「タルタルソースかけ放題」だ。副題の「5話ぶり2回目」は、この一言のことを指している。
焼きおにぎりは前回と作り方を変えている
メルロワで出した焼きおにぎりについて、「前回のかば焼き風とは少し違って、今回はバター醤油です」と説明が入る。さらに「前回との決定的違いは、中にチーズをたっぷりと詰めてます」が足される。
感想が栄養素の話になる
返ってきた反応が「バターにチーズだと」で、そのまま「炭水化物と脂質の塊に醤油が染み込んでいく」まで進む。おいしそうという言葉より先に、成分の説明が出てくる。
熱いと言いながら口が止まらない
「口の中が焼けちゃうけど美味しい」「灼熱のチーズで上あごが焼ける」と言いながら、続くのが「だが、この程度では食うのをやめられん」だ。味の説明は「醤油とバターとチーズ、全然違うしょっぱさなのに、甘いお米がどっしり構えて受け止めてくれる」に着地する。
味の選択肢は最初から多い
揚げ物の味付けは「ソースに醤油にレモンにお塩、そしてタルタルソース」と並べて出される。それでも最初に選ばれるものは全員同じで、「どの味も興味深いが、やはり最初はこれだ」が重なる。
合う相手が肉と魚だけではない
「肉と魚だけじゃない」「キノコとかジャガイモとか野菜にもすっごく合うよ」と、対象がどんどん広がっていく。野菜を苦手にしていた人まで「お野菜も揚げて、タルタルソースがあればいくらでもいける」と言い出す。
火傷は回復魔法で治して、食べ続ける
熱いものを急いで食べた結果、この作品では珍しいことが起きる。手が止まるのだ。
止まった理由が火傷になる
「せっかく美味しいのに、口の中が火傷で」「騙し騙し食ってきたが、口の中がヒリヒリとして、これ以上は」と、初めて食事が中断される。本人の悔しがり方が「火傷ごときに負けるのか、暴食の卓が」だ。
出てくる解決策が回復魔法だ
そこへ「ご安心を」と入るのが、「我が神の名にかけて、魔力と料理が続く限り癒し続けます」という申し出だ。口の中の火傷に回復魔法を使うという発想を、この場では誰も止めない。
評価の言葉が場違いなほど真っ当だ
返ってくるのが「さすがはセノン、魔法の使い時を誤らないな」で、そこに「魔道錬金術師の俺も脱帽だぜ」が重なる。使いどころとして正しい、という評価で全員が一致している。
驚いている人が一人しかいない
リンの独白は「回復魔法かけながら食べるとか、ほんともう異世界マジすげー」だ。異世界だと実感しているのが、この場でリンだけになっている。
制限を全部外して終わる
締めが「今日はもうカロリーも糖質も知ったこっちゃなしということで」で、「醤油で焦げたご飯」「とろーりチーズ」「タルタルたっぷりの揚げ物」と並べ直される。「これでテンション上がらない人はいません」で場面が終わる。
渋っていた理由は、後継ぎ問題ではなかった
食後、ヴィルからリンに、二人だけで話がしたいと切り出される。
夕食が後押しだったと見抜かれている
ヴィルの第一声が「面倒をかけたな」で、続くのが「今日の夕飯、踏ん切りがつかない俺を後押しするためだったんだろ」だ。リンの返事は「私にはご飯を作ることしかできないので」だけになっている。
質問が家族構成から入る
「リンには兄弟がいるか」と聞かれ、「弟と妹が一人ずつ」と返る。「リンは姉だったか」という確認で、リンが姉だとここで初めて分かる。
本題は立場を入れ替えて聞かれる
続く質問が「リンは、家出した弟が突然帰ってきたら、やっぱり怒るか」だ。自分のことを直接聞かずに、兄と弟の位置を入れ替えてから聞いている。
答えは怒るとうれしいの両方だ
リンの返事は「まあ確実に怒りもしますし、今まで何してたのって喚きもするんでしょうけど」から始まる。そのうえで「でも、帰ってきてくれたらすごく嬉しいですよ」が続く。
リンの見立てが、ここで書き換わる
リンの独白が「母親違いのお兄さん関連の人間関係とか、後継ぎ問題が嫌なのかと思ってたけど」で始まる。着地は「もっと単純に、心配させたことを申し訳なく思ってるだけなんだ」だ。第6話でヴィル本人が挙げていたいざこざは家を出た理由であって、帰らない理由ではなかったことになる。
家出は一人ではなく、四人で引っ越していた
話はそのまま、リン自身のことへ移る。
帰りたいかを聞かれて、帰りたくないと答える
「家族に会えるのが嬉しいなら、元の世界に帰りたかったりはしないのか」と聞かれたリンの答えが「正直、今のところは真底帰りたいとは考えてないです」だ。理由もまず「今はこの聖女召喚の謎を解く方が先決ですから」と、用事のほうから並べられる。
本当の理由はそのあとに出てくる
続けて出てくるのが「この世界にも愛着が湧きまして」「せっかく出会えた皆さんと、この世界を楽しみたいなって」だ。本人は「遊ぶことしか考えてないみたいで恥ずかしい」と付け足している。
腹をくくらせたのは夕食ではなかった
ヴィルの返事が「リンらしいな」で、そのまま「なら俺も、リンがこの世界を心置きなく楽しめるよう、今度こそ本気で腹をくくるか」に続く。決め手になったのは料理ではなく、リンが帰りたくないと言ったことだった。
兄に会うのに二日かかる
その夜のうちに知らせを送り、明日には王都に到着すると伝えることになる。「兄貴は多忙だが、遅くても二日後には会えるはずだ」。リンの反応が「兄弟が会うのにアポが必要って、お兄さん結構な大物?」だ。
正解に近づいて、自分でやめる
リンの推理は「異母兄弟に面倒な後継ぎ問題」「ファンタジーでこの手のパターンだと、ヴィルさんのお兄さんって」まで進む。そこで「いや、これ以上は考えまい」と、自分から打ち切ってしまう。
家出に付き合ったのは一人ではなかった
王都シュルブランに着くと全員が街に詳しいので、リンが理由を尋ねる。返ってくるのが「暴食の卓は元々シュルブランを拠点にしていたんだ」だ。「とうとうある日ヴィルが家出を決意して、エルラージュに拠点を移したんだ」と、パーティーごと引っ越していたことが分かる。
苦労の中身が食事の話になる
当時の感想が「移動の旅、つらかったよ」で、すぐに「食事的な意味合いでですが」と補足が入る。「当時はリンのスキルもなかったので」まで含めて、苦労した点が食事に一本化されている。
楽しんだ全部が、イベントだったと言われる
予定は前倒しになり、案内されるのは城下町の店に通じる隠し通路だ。
答えは通路の時点で出ている
隠し通路を見たリンの「これって」に、自分で「いやいや、まだそうと決まったわけじゃないし」と言い聞かせる。周りの励ましも「とりあえず黙って頭下げてればいいんだから」「おとなしくしてれば平気」で、否定にはなっていない。
出迎えの言葉づかいで身元が割れる
出迎えた人物が「何しろ久しぶりのお帰りと聞き及びましたので」と言い、ヴィルを坊っちゃまと呼ぶ。返しが「坊っちゃまはやめろ」だけで、否定はどこにも入らない。
リンだけが呼ばれる
「リン様のみお入りください」に「リンだけとはどういうことだ」と反発が出るが、「聖女召喚の当事者たるリン様と、直々の対話を望んでおられます」で押し切られる。決め手が「リン様に危害を加えられる方だとお思いですか」という問い返しだ。
猫にまで機密の配慮がされる
ごまみそも別室で待機になり、理由が「獣魔といえども、余人に聞かせたくない話もあるのでは、とのご配慮です」と説明される。言葉を話す猫だと知られたうえで、席を外させている。
名乗りが肩書きの順に出てくる
「うちのかわいい弟がお世話になっているようだね」から始まり、ここが城だと明かされ、「ヴィルの異母兄弟で、この国の王だよ」まで進む。そのうえで足されるのが「そんな驚かないでいいよ、中身はどこにでもいる社畜だから」だ。
転移者と転生者は言い分けられる
「初めまして、異世界転移者さん」という呼びかけのあとに、「異世界転生者です」と自分の側が言い直される。残業中に意識が飛んで、そのまま赤ん坊としてこの世界に生まれたと説明される。忠告が「働きすぎには注意だよ」で、リンの返事は「身につまされるご意見、ありがとうございます」だ。
ゲームを知っているかではなく、作った側だと言う
話は乙女ゲームに移り、「乙女ゲームはちょいとジャンル違いで」と断るリンに、「弊社作成の乙女ゲームでね」と返る。プレイした側ではなく、作った側だと名乗っている。
三つの冒険が、もう一度並べられる
挙げられるのが「海で幸運の使者を助けたりとか」「ダンジョンボスをテイムしたりとか」「古代のドラゴンからの無理難題を解決したりとか」だ。冒頭で波乱万丈と評されていた三つが、そのままゲームのイベントとして並べ直されている。
二度目の「これ以上は考えまい」
リンの反応が「気付いちゃいけないことに気づきそうと言いますか」だ。兄の正体のときと同じで、正解に近づいたところで自分から止めようとしている。今度は相手のほうが先に言い切ってしまう。
楽しみたいと言った直後に、全部イベントだと言われる
結論が「要するに、ここはゲームの世界の中で、リンさんが経験してきたのは全部イベントだったってこと」だ。この世界を楽しみたいと本人が口に出したのは、同じ回の数十分前だった。冒頭の「いや、楽しんでいるかな」という言い直しも、ここまで来ると聞こえ方が変わる。





















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