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『ポケットモンスター』第149話の副題は「プニプニポケモン!プニるプニればプニる時!!」。数えると、一行に「プニ」が五回入っている。プニプニを愛するサラリーマンのヤカタに誘われて、リコとナヴィはレアなプニプニポケモンを三匹探しに行く。ところが三匹とも、一度も触れないまま終わる。触らせてくれたのは、最初から隣にいた相棒のメタモンだった。




副題に「プニ」が五回入る
一行に五回
第149話の副題は「プニプニポケモン!プニるプニればプニる時!!」。数えると、この一行に「プニ」が五回入っている。擬音にも動詞にも活用形にも「プニ」が使われていて、副題の段階でもう言葉が一つの音に占領されている。
本編も同じ調子で進む。「プポ活」「プニラー」「プニリチャンス」と、プニから作った言葉が次々に出てきて、見ている側はだんだん慣らされていく。
公式のあらすじと、至福の圧力
公式のあらすじは「メタモンコラボメニューを食べにカフェを訪れたリコとナヴィ。そこに現れたのは、肩にナマコブシとユキハミ、頭にバチンウニを乗せたサラリーマン・ヤカタ!」と始まる。三匹を体に乗せて歩いている大人が、この回の案内役である。
窮屈そうに見える姿を、本人は「至福の圧力」と呼ぶ。公式の告知も「圧がすごいですが…幸せそう」と書いていて、見た目の重さと本人の幸せが同じ一枚に収まっている。
「決して怪しいものではない」
最初の声のかけ方は「君たち、いいプニをお持ちだね」だった。続けて「ああ、決して怪しいものではない」と言い、すぐに「かなり怪しいんですけど」と返される。
ヤカタの返事は「一体どこが」。本人だけが、自分の見た目を普通だと思っている。この温度差が、回の最後までずっと笑いの元になる。
プポ活の入口は、メタモンの手触り
メタモチと、トレーナーに愛されたプニ
カフェの名物は、メタモンの姿をしたメタモチである。ヤカタは「やはり人気になっているだけあるな、このメタモチ」「今日もいいプニだ」「プポ活がはかどる」と、食べ物にまでプニを求めている。
そのうえでナヴィのメタモンに触らせてもらい、「では実食」と手を伸ばす。出てきた感想が「トレーナーに愛されしプニポケのみが持てる最上級のプニプニ」だった。この一文は、あとから効いてくる。
触る前に、引く
ここで目を引くのは、ヤカタが最初から相手の都合を気にしていることだ。続けて「そちらも」と言いかけたところで「これは失礼」「無理にとは言わない」と引っ込め、それから「だがこれだけは聞かせてほしい」「君たち」「プポ活に興味はないだろうか」と本題に入る。
説明は「プポ活とはプニプニしたポケモンをめでる活動」「プニポケ活動の略だ」。勧誘の順番が、触る前に断る、断られたら引く、それから誘う、になっている。怪しい見た目に反して、手順だけはきちんとしている。
マスカーニャを撫でるのと同じ
ヤカタが「この感覚、わかってくれるか」と聞くと、リコは「私がマスカーニャを撫でて幸せだなって思うのと一緒なのかなって」と答える。
変わった趣味の話を、自分と相棒の話に置き換えて受け止めている。そこへナヴィが「リコ、やろうよ、ヤカタおじさんと」と乗って、プポ活が始まる。二人の役回りの違いが、ここでもう見えている。
三匹のレアプニに、一度も触れない
脱皮指数ほぼ100パーセントのゴローニャ
ヤカタがこの街に来た理由は、「レアプニプニポケモンが出現するスポットがいくつかあると」「プポ活仲間から聞いたから」。最初の目当てはゴローニャで、「一年に一度の脱皮直後のゴローニャは最高にプニプニしているらしいのだよ」と言う。
準備も抜かりがなく、「過去のデータ、天候諸々を考慮し」「本日のゴローニャ脱皮指数がほぼ100%であるということを確認済みだ」。プニへの愛を、サラリーマンらしくデータで裏づけているのがおかしい。
詫び石と、礼儀
ところがゴローニャのプニリチャンスは逃してしまい、ヤカタは「俺のせいでプニリチャンスを逃してしまって」「申し訳ない」と頭を下げる。
そのあと差し出すのが「ゴローニャへの詫び石」で、理由は「愛しきプニにも礼儀ありと言うだろう」。岩のポケモンに石で謝るという絵面は笑えるが、騒がせた相手にきちんと詫びる姿勢は本気だ。見ていた側からも「なんかただの変な大人だと思ってたけど、ちゃんとしてる」という声が出る。
能あるプニポケはプニを隠す
二匹目はシェルダーで、「能あるプニポケはプニを隠す」「シェルダーの中には最高にプニプニしているらしい」。硬い殻の奥にプニがある、という理屈で、ことわざまでプニに作り替えている。
殻の硬さを知っていながら中身を信じているところは、ゴローニャのときと同じ発想である。
掟の説明をしているうちに
見つけたシェルダーを前に「バトル待ったなし」という空気になりかけたところで、ヤカタは「待った」と止める。「プニラーたるもの、プポ活でプニポケに負担をかけてはいかん」。
その「負担」でさえ、ヤカタが言うと聞き取れず、「負担のことだ」と言い直す羽目になる。中身は「プニりたいがために、その対象のポケモンを怒らせたり怖がらせたりしてはいけない」で、そのうえ自費で作ったというかるたまで差し出す。書かれた掟は全部で108。プニへの欲を戒める掟が、ちょうど煩悩の数だけある。
ところが掟の説明に熱が入っているあいだに、二匹目の機会も終わってしまう。ヤカタの口から出るのは「二度も申し訳ないことをした」だった。
図鑑に書いていないことは、経験と勘
三匹目はペンドラーで、「野生のペンドラーの腹は最高にプニプニしているらしい」。「そんなことどこにも書いてないですけど」と言われても、ヤカタには根拠があるらしい。
聞き取りにくいヤカタの言い方を、リコが「なるほど、プニラーとしての経験と勘がそう言ってると」と言い直してしまう。「今のよくわかったね、リコ」と驚かれて、本人は「なんか自分が怖い」。この短いあいだに、リコはプニラーの言葉が分かるようになっている。
触れなかったあとに、メタモンが姿を変える
ナヴィの「プニりたかった」
ゴローニャを逃したあと、ナヴィは「でもナヴィ、ゴローニャプニりたかったな」とこぼし、「実は私も」と返ってくる。
ここでナヴィのメタモンが動く。ゴローニャの姿に変身して、みんなに触らせてくれる。「プニらせてくれるの」という声が上がり、逃したはずのプニが手元に届く。
変身の使い道が変わった
メタモンは第143話でナヴィの相棒になった。第144話ではバトルのためにラッタやカイリューに、第147話ではコンテストの舞台でマスカーニャに化けていた。
この回の変身は、残念がっている人の埋め合わせに使われている。大人が詫び石で謝った直後に、ポケモンのほうは姿を変えて埋め合わせをする。この順番がいい。
ナマコブシ投げ
二度目の失敗のあと、ヤカタが「お詫びといってはなんだが」と持ちかけるのが「ナマコブシ投げ」である。ナマコブシを海に返す遊びで、「ナマコブシのプニプニを感じながら投げるんだ」「まだ足りない、もっとプニるんだ」と指導が入る。
ヤカタの言い分は「楽しいのは我々プニラーだけではない」「投げられたナマコブシの方も楽しいのだ」。本当にそうなのかは分からないが、相手の気持ちを数に入れているところは、シェルダーの前で説いた掟と一貫している。
メタモンの変身は、ほかの投稿でも話題になっていた。
正反対の趣味が、同じ形をしている
しがないカッチマン
ロイとウルトと一緒に現れたのが、ららむぅである。名乗りは「こんにちは、ららむぅです」「しがないカッチマンをしています」。エンドクレジットによると、ヤカタの声は阿座上洋平、ららむぅの声は佐藤聡美が担当している。
カッチマンとは、カチカチポケモン、略してカチポケが大好きなトレーナーのこと。カチポケが本当にカチカチかを拳で確かめることを「カチる」と言い、「カッチマンたるものカポ活でカチポケに悲しい思いをさせてはいけない」という掟まである。
聞いたことのある形
プニラーの掟は「怒らせたり怖がらせたりしてはいけない」、カッチマンの掟は「悲しい思いをさせてはいけない」。「プポ活」と「カポ活」、「プニる」と「カチる」。好きなものは正反対なのに、言葉の作り方も、掟の立て方も、ぴったり同じ形をしている。
子どもたちからも「なんか聞いたことある」という声が出る。見ている側も同じことを思ったはずだ。
褒める言葉もカチカチ
ららむぅは初対面でロイたちの心をつかんでいる。話によると、ウルトはコレクションの石を「めっちゃ褒められ」、ラウドボーンは「顎の裏も最高のカチカチ」。魂のことは「カマチー」と言うらしい。
褒め方の単位が、全部「カチカチ」でそろっている。ヤカタの「いいプニをお持ちだね」と並べると、二人は褒め言葉の辞書だけが違う同業者に見える。
おとぼけ、と呼び合う
ヤカタがペンドラーのお腹をプニプニしてそうだと眺めていると、ららむぅは「随分とおとぼけなコメントをされていますね」と返す。
ららむぅに言わせれば、ペンドラーのお腹はカチカチである。ヤカタも「ずいぶんとおとぼけなコメントをするな」と同じ言葉で返し、「プニプニ」「カチカチ」の言い合いが続く。相手を否定するときの言葉まで、二人は同じものを使っている。
勝ち負けを決める気のないバトル
バトルで決める
言い合いの末に出た結論は「ペンドラーのお腹がプニか」「カチか」「バトルで決める」だった。ららむぅはハガネールやジオヅムを繰り出し、ヤカタは肩と頭の三匹で受けて立つ。
始まる前から、ららむぅはカチカチでポケモンバトルを始めることを略した言葉を使い、ヤカタは「プズナ」を見せると言う。子どもたちが「キズナのことだと思う」と通訳に回るのが、この回らしい。
手助けしか使わない
ヤカタがナマコブシに出す指示は、何度でも手助けである。見ている側から「手助けを変な使い方してる」とツッコミが入る。
一方のららむぅも、硬そうな技しか使わない。「なぜ同じ技ばかりを使う」と聞かれて返ってくるのが、「カチカチな技でないと、カッチマンのカマチは震えないからです」だった。
何も挟まっていないサンドイッチ
そのうえで、ららむぅのほうからヤカタの理由を言い当てる。「おそらくあなたが徹底して手助けしか使わない理由も」と振られて、ヤカタは「プニのないバトルなど、何も挟まっていないサンドイッチ」「俺には必要ないからだ」と答え、ららむぅは「だと思いました」と受ける。
勝つための技を選んでいないのは二人とも同じで、バトルが、好きなものを見せ合う場になっている。硬くなると手助けで最後まで押し合う形は、ほとんど意見交換である。
解釈違いと、実食
決着がつかないまま、「私たちのこの解釈違い」「このままバトルを続けても埒が明かないのでは」という話になり、「実際にペンドラーちゃんのお腹を触ってみましょう」という結論に落ち着く。
合図は、カフェのときと同じ「実食」。ところがその場に、ペンドラーはもう「いないな」。三匹目も、触れないまま終わる。
次の休暇の約束
それでも二人は引き下がらない。「次の休暇の目的が今決まった」と言うヤカタに、ららむぅは「もしよろしければ」「同じタイミングで」と申し出る。ヤカタの答えは「いいだろう」「君の目の前で、ペンドラーがプニポケであると証明したいしな」。
ららむぅの最後の一言が「ペンドラーちゃんはカチポケですけどね」。意見は少しも歩み寄っていないのに、次の休みを同じ日に取る約束だけは成立している。子どもたちの感想が「変な人たち」になるのも無理はない。
まとめ:探したプニより、隣のメタモン
三匹とも触れなかった一日
ゴローニャ、シェルダー、ペンドラー。ヤカタが目当てにしたレアプニプニポケモンは、三匹とも一度も触れないまま終わった。ゴローニャは機会を逃し、シェルダーは掟を説いているあいだにいなくなり、ペンドラーは最初からいなかった。
少なくともシェルダーのときは、プニへの欲より相手への負担を先に考えた結果である。掟を守ったぶんだけ、機会を手放している。
触らせてくれたのは、隣の相棒
代わりに手元に届いたのは、カフェで触らせてくれたメタモンと、ゴローニャの姿になって触らせてくれたメタモン、それに海へ返したナマコブシのプニだった。いちばんのプニは、探しに行った先ではなく、最初から隣にいた。
ヤカタが最初に言った「トレーナーに愛されしプニポケのみが持てる最上級のプニプニ」は、この回の結論を先に言っていたことになる。
寝たらカチカチ
そして最後に、ナヴィがメタモンについて気づく。「寝たらすごいカチカチだ」。一日じゅうプニかカチかで言い争った大人たちの答えが、ナヴィの腕の中の相棒には両方そろっていた。
ペンドラーのお腹がどちらなのかは、この回では分からないまま終わる。けれど、同じポケモンがプニプニにもカチカチにもなると分かれば、あの言い合いにも、どちらの勝ちでもない答えがありそうだ。
変な大人の、ちゃんとしたところ
見た目も言葉も変わったヤカタだが、触る前に断り、断られたら引き、騒がせた相手には詫び石を差し出していた。途中で出た「なんかただの変な大人だと思ってたけど、ちゃんとしてる」が、この回のヤカタ評のすべてだと思う。
ナヴィにとっては、好きなものとの付き合い方を、変な大人から教わった一日でもあった。




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