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第12話の副題は「Lv12 クソみたいな常識」。バリアに守られた国王を前に、鏡は「一番囚われていたのは」「俺自身なんだよ」と、1万ゴールドを集めてきた自分のやり方を振り返る。鏡は「お願いなんかじゃない、取引だ」と、自分の力そのものを差し出す。仲間の魔法を自分に撃たせてバリアを破り、クルルを取り戻す。半年後、期限つきの平和が始まった街から、鏡は1万ゴールドのチケットで旅立つ。




副題「Lv12 クソみたいな常識」は、鏡の一言から取られている
最後の副題
第12話の副題は「Lv12 クソみたいな常識」。公式アカウントは放送後に「最後までご視聴ありがとうございました!」と添えてこの副題を告知している。本編では、鏡が国王を前に「この世界の仕組みを」「クソみたいな常識を」「俺がぶっ壊す」と言い切る。最後の副題は、敵の信条ではなく鏡自身の宣言から取られている。
三つの副題がひとつの台詞になる
副題は第1話「Lv1 世界の仕組み」から始まり、第10話が「Lv10 これから壊す」だった。そこへ第12話の「クソみたいな常識」が加わると、鏡の「この世界の仕組みを」「クソみたいな常識を」「俺がぶっ壊す」とほぼ同じ言葉が並ぶ。第8話「Lv8 相容れない」や第11話「Lv11 王は絶対」は、主人公の側ではない人物の信条を副題にしていた。全12話の副題は、最後に主人公の台詞へ戻ってきて閉じている。
「殺さねえよ」と、倒せないバリア
「こいつだって世界の仕組みのせいでこうなっただけだろ」
冒頭、「殺さぬのか」と問われた鏡は、「殺さねえよ」「こいつだって世界の仕組みのせいでこうなっただけだろ」「ま、お灸は据えさせてもらったけどな」と答える。倒した相手はミリタリアだ。第11話で我が子を手にかけたと明かされた人物を、鏡は殺さずに終わらせている。憎むべき相手の行いまで、仕組みの側の問題として受け止めている。
「だがお前も私を倒せぬ」
「クルルを解放しろ」「ならぬ」「じゃああんたを倒して助けに行く」。国王は「エステラーと同じ力か」と問われて「そういうことだ」と認め、「お前を倒すのは不可能かもしれぬ」「だがお前も私を倒せぬ」「諦めろ」「世界は変えられぬ」と言う。バリアは「加えた力をそのまま反動にして返す」「破壊するより先に体が壊れるぞ」。レベル999の拳ほど、自分に返ってくる痛みも大きくなる仕組みだ。
「なら俺で打ち止めだ」
国王の使命は「真の英雄が現れるまで」「本当の意味で全ての救いが訪れる日まで」「わしは使命を果たす」。鏡は「俺が終わらせてやる」と返し、「あんたたちが今まで送り出してきた強いやつらは」「その救いを与えられなかった」「だから次が必要なんだろう」「なら俺で打ち止めだ」と続ける。強い者を送り出し続ける仕組みに、最後の一人として名乗り出ている。
「お願いなんかじゃない、取引だ」
「取引とは価値あるものを提示して初めて成り立つ」
「わしが望む救いはお前が考えているよりはるかに高い」「思い上がるなよ」と突き放す国王に、鏡は「あんたは勘違いしている」「人間と魔族が仲良くしてくれってのはお願いなんかじゃない」「取引だ」と言う。国王が「取引とは価値あるものを提示して初めて成り立つ」と返すと、鏡の答えは「全力であんたたちに味方する」「俺のこの力を一ミリも惜しまず」「世界を救うために使ってやる」だった。頼みごとを取引に言い換えたことで、差し出すものが自分の力になっている。
「大好きなんだよ俺は」
「どうしてそこまでこの世界の仕組みに抗おうとする」と問われ、鏡は「俺も最初は諦めてた」「でも出会っちまったんだ」「魔族なのに人間のそばにいようとするこいつらに」「魔族と知っても人間と同じように接してくれるこいつらに」「大事なんだ」「大好きなんだよ俺は」と話す。世界を変える理由として出てくるのが、理屈ではなく目の前の仲間だ。
「一番囚われていたのは」「俺自身なんだよ」
鏡は自分のやり方も振り返る。「この世界の仕組みを崩せるかもしれないと分かって」「俺はすっげえ喜んだ」「ついに神をぶっ飛ばせると思って」「だからカジノなんかを作ったりした」「でも間違ってた」「結局それも仕組みに従っていただけだったんだ」「一番囚われていたのは」「俺自身なんだよ」「仕組みを守りながら少しずつ変える」「それじゃダメだ」「正面から挑まないと相手には響かない」。1万ゴールドを集めてきた道のりを、鏡は自分で否定してから拳を振るっている。
「俺を、仲間を信じろ」
「あと一歩足りなかったな」
鏡の一撃でもバリアは破り切れない。「あと一歩足りなかったな」「あそこもバリアで保護されている」「ボロボロのその体ではとても破れない」「あとちょっとで制限解除の効果が切れる」。自分の力だけでは届かないところで、制限解除の時間まで尽きかけている。
「ありったけの魔力を込めて」「俺に向かって撃て」
鏡はメノウに「ありったけの魔力を込めて」「俺に向かって撃て」と頼む。「それでは鏡殿の体が」とためらう声に、「いいから早く」「仲間を信じろ」「たとえボロボロでも」「やれることはまだ残ってんだよ」と返し、そのままバリアを破ってクルルのもとへ届く。「俺で打ち止めだ」と一人で名乗った鏡が、最後の一押しでは仲間の魔法を自分の体で受けている。
「大事な仲間を失いたくないからに決まってるだろ」
目を覚ましたクルルに、鏡は「目が覚めたか」「助けに来たぜ」と声をかける。「声聞こえてましたよ」と応えたクルルは、「どうしてこんな無茶するんですか」「死んだらどうするんですか」と責め、鏡は「大事な仲間を失いたくないからに決まってるだろ」と答える。そのすぐあとに「ところでクルルたん相談があるんだが」「制限解除の効果切れちゃった」と続くのが、この作品らしい。命がけの救出が、動けなくなった主人公の照れ隠しで締められている。
「賭けてみてもよいのではないか」
「また驚かされたよ」「あの村人には」
正気に戻ったレックスは「僕は一体」とつぶやき、「今はまず鏡殿とクルル殿のところへ」と促される。「私は夢でも見ているのか」という声には、「違う」「全て現実だ」「また驚かされたよ」「あの村人には」と応じる。村人に驚かされる経験を、この場の誰もがすでに一度は通ってきている。
「あの者の価値が絶大であるのもまた事実だ」
国王は「我々の考えは間違っていない」「世界の仕組みに抗ってもいけない」「ならばやはり私はあの者の言葉を受け入れるわけにはいかぬ」と言う。返ってくるのは「そう受け入れなくてもいい」「だがあの者の価値が絶大であるのもまた事実だ」「賭けてみてもよいのではないか」「少なくともあの者が失敗するその時までは」。鏡の言葉を正しいと認めたのではなく、取引の相手として価値があると認めている。
「5年が過ぎれば世界は再びリセットされる」
国王は「不可侵条約」を持ち出し、「人間と魔族はお互いを敵視せず」「平和が保てるよう条約を結ぶ」「まずは歩み寄ることから始めるのだ」「わしは王として国民にそう宣言する」と告げる。ただし「だが無条件ではない」「時間制限を設ける」「引き続き1万ゴールドを集めた上で次のステージへ行け」「そこから5年」「5年が過ぎれば世界は再びリセットされる」「人間と魔族の関係も元に戻る」「どうだ全てはお前次第だ」。鏡が差し出した力に対して、国王は期限という値段をつけて取引に応じている。
「まだまだ偽りの平和だよな」と、半年後の街
「長年の憎しみや恨みは簡単には消えませんからね」
条約から半年。「でもまだまだ偽りの平和だよな」「長年の憎しみや恨みは簡単には消えませんからね」「トラブル続きですよ」と言いながら、「だけど魔族も人間と協力してモンスターを駆除するようになったし」「少しずつですけど進んでいますよ」と続く。魔王は「それを聞いて安心したぞ」と応じる。平和が偽物だと認めたうえで、少しずつ本物に近づけていく段階に入っている。
「私にもできることがきっとあるはずだって」
パルナも変わっている。「私も考え直したのよ」「半年前までの自分の行い」「簡単に許してもらえるとは思ってないわ」「でも何もしなければ何も変わらない」「私にもできることがきっとあるはずだって」。その答えが「カジノの花」としての新しい仕事だった。第11話で鏡はパルナに「これからの行動で償えばいい」と言っていた。許されるのを待つのではなく、自分から動くことを選んでいる。
「この先剣を必要としない世界がやってくる」
カジノは魔族の客が増えて繁盛し、「クルルちゃんとレックスちゃんのおかげで大盛況なんだもん」「何せ王女様と勇者ですからな」。レックスは「僕は剣の道を捨てて」「一流のバーテンダーになろうと思うのだが」と言い出し、「この先剣を必要としない世界がやってくる」「僕はそう確信してる」と続ける。返ってくるのは「変わったな」「出会った頃のあの凝り固まった考えや態度」「まるで嘘のようだ」。魔王を倒すために育てられた勇者が、剣のいらない世界を前提に仕事を選んでいる。
「必ず戻ってくる」と、それから3年
「鏡さんがいなくなった後も私たちの毎日は続くんですから」
旅立ちの日、ティナは「鏡さんがいなくなった後も私たちの毎日は続くんですから」と仕事を割り切り、寂しいかと聞かれて「とっても寂しいです」と目も合わせずに答える。鏡は「せめてこっち見ろ」と言いながら、「その調子なら色々安心して任せられるか」と受け止める。見送る側が日常を手放さないことが、旅立つ側の安心になっている。
「ただのチケットにしか見えませんが」
鏡が買ってきたのは「一万ゴールドの謎アイテム」で、「ただのチケットにしか見えませんが」と言われる。鏡は「でもこれで次のステージへ行けるらしいぜ」「一万ゴールドだぞ」「めちゃくちゃドキドキしながらギルドでお金払ったんだから」と言う。「仕組みに従っていただけだった」と自分を責めた1万ゴールドを、今度は取引の条件として払っている。
「大丈夫」「必ず戻ってくる」
「もう行ってしまうのか」という声に、鏡は「とっとと目的果たして戻ってくるからさ」。「必ず戻ってきてくださいね」と頼まれ、「大丈夫」「必ず戻ってくる」と約束し、アリスは「そうだね」「大丈夫だよね」と受け止める。そして「それじゃあ行ってくるわ」。語りは「それから3年間」「鏡が再びワルマンの街に戻ることはなかった」と告げ、最後に大人になったアリスの姿が映る。国王が区切った5年のうち、3年がもう過ぎている。
まとめと考察
仕組みに従うのをやめて、同じ1万ゴールドを払う
鏡は国王の前で、1万ゴールドを集めてカジノを作ったやり方を「結局それも仕組みに従っていただけだったんだ」と否定した。それでも最終話の結末は、1万ゴールドを払って次のステージへ行くことだった。違うのは、その1万ゴールドが国王との取引の条件になっている点だ。同じ行動でも、従うのか選ぶのかで意味が変わることを、この最終話は1万ゴールドという数字で見せている。
「俺で打ち止めだ」と「次のステージ」
鏡は「今まで送り出してきた強いやつら」の「次」になることを拒み、「俺で打ち止めだ」と言った。ところが結末で国王が鏡に命じたのは「次のステージへ行け」だった。強い者を先へ送り出す形そのものは、まだ残っている。送り出される最後の一人になるという鏡の宣言が本当に打ち止めになるのかは、戻ってこない3年の先に預けられた。
期限つきの平和と、大人になったアリス
条約で始まった平和は「5年が過ぎれば世界は再びリセットされる」という期限つきで、半年後の街でも「まだまだ偽りの平和だよな」と言われていた。3年がたち、見送った少女は大人になった。全12話は、壊すと宣言した「クソみたいな常識」がまだ壊れ切っていない地点で、それでも待つ人のいる街を残して終わっている。




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