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閉ざされていたエルフの国アルフェリアで開かれる聖歌祭に招待されたレイたち。そこで待っていたのは、王族の衣装に身を包んだエリサだった。戸惑うエリサを支えるため、レイは彼女の恋人役を引き受ける。しかし2人の仲を疑う第三王女キャシーが、数々の過酷な試練を課してくる。王族だったエリサ、恋人のフリ、そしてキャシーの試練まで、第5話を振り返る。




エルフの国アルフェリア
第5話は、閉ざされていたエルフの国アルフェリアで開かれる聖歌祭が舞台だった。招待されたレイたちを待っていたのは、王族の衣装に身を包んだエリサ。戸惑うエリサを支えるためにレイは恋人役を引き受けるが、2人の仲を疑う第三王女キャシーから次々と試練を課されてしまう。エリサの成長と、恋人のフリをめぐるドタバタが楽しい一話だった。
ハーフエルフの少女
物語はエリサの独白から始まる。「子供の頃から 自分が周りと違うことに気づいてた」、「お父さんは人間 だけどお母さんはエルフで」、「私はハーフエルフ」。珍しがる視線を向けられ続けたエリサは、「だから友達なんていらない」、「ずっとそう思ってた」。この短い独白が、今回の物語全体の土台になっていた。人と違う耳を持って生まれたことで、自分から人との間に壁を作ってきたエリサ。そのエリサが、自分のルーツであるエルフの国を訪れる。その意味の重さを、冒頭の数分だけでしっかり伝えてくる構成がうまい。
一方のレイたちは、初めて訪れるアルフェリアの街並みに目を輝かせていた。「王国とは建物の雰囲気も服装もずいぶん違うのね」。閉ざされていた国がついに開いた、歴史に残る祭り。その特別な場で、思いがけない人物が待っていた。
王族のエリサ
偉い人たちが並ぶ場所に、なぜかレイとエリサの姿がある。仲間たちが驚く中、エリサの口から飛び出したのは「この人は… 私の恋人です!」という宣言だった。しかもエリサは、アルフェリアの王族の血を引いていた。「私のお母さんアルフェリアの王族だったんです」、「でもしょっちゅう国を抜け出してたみたいで」、「そこで出会ったお父さんと駆け落ちしちゃったって」。
驚く仲間たちの中で、レイだけはいつもどおりだった。「だが王族だったとしてもエリサはエリサだ」、「何も変わらないさ」。立場が変わっても態度を変えないレイの言葉は、エリサにとって何より心強かったはずだ。こういうところが、レイが周りから信頼される理由なのだと改めて感じる。驚く仲間たちのにぎやかな反応と、レイの落ち着いた一言の対比も、この作品らしい心地よさだった。
キャシー第三王女
パーティーで国王や王子たちにあいさつをするエリサの前に現れたのが、第三王女のキャシーだった。「妹がいるって聞いた時からずっとずっとずっと」、「あなたに会いたかったのよ!」、「私のことは お姉ちゃんって呼んでね!」。勢いに押されるエリサに、キャシーはそばにいるレイとの関係を問いただす。
そこでエリサがとっさに口にしたのが、「この人は私の恋人です」。レイも「自分がエリサの恋人です」と話を合わせ、こうして2人の恋人のフリが始まった。ドレス姿のエリサに「まるで妖精のように可憐なドレス姿だ」とさらりと言ってのけるレイも、相変わらずだった。
恋人のフリ
恋愛指南
恋人役を完璧にこなしたいと考えたレイは、周囲にまっすぐ助言を求める。「エリサと恋人のフリをすることになりました」、「恋人らしい振る舞い方に関するアドバイスをください」。その真面目さがかえっておかしい。交際期間は、親しくなったきっかけは、どんなデートが好みかと次々に問われ、「すみません、全く考えていませんでした」と答えるレイの姿に笑ってしまった。
エリサが恋人と言ってしまったのにも理由があった。「なんだかみんなが、私のことを物みたいに扱っているような感じがして」。突然王族として扱われ、周囲の視線に囲まれたエリサにとって、レイはそばにいてほしい唯一の存在だったのだろう。恋人と言ってしまったのは勢いだったとしても、その相手にレイを選んだこと自体に、エリサの本音が表れているように思えた。
謝罪ではなく感謝を
同じ部屋で休むことになった夜、エリサは改めて謝る。けれどレイは「気にすることはない」と返し、こう続けた。「俺たちは友達だ」、「助けが欲しいならいつでも言ってくれ」、「そしてその時は謝罪ではなく感謝を伝えてほしい」、「ただありがとうと伝える」、「それだけでいいんだ」。
「えっとレイ君ありがとう」。友達なんていらないと思っていたエリサが、ここでは素直に感謝を口にできている。冒頭の独白と重ねると、この一言にエリサの成長がぎゅっと詰まっているように感じた。「私嫌じゃないから」という小さな心の声も、なんともかわいらしい。
手をつないでデート
翌日はいよいよデート。「恋人は外では自然と手をつなぐもの…らしい」と手を差し出すレイに、エリサはどぎまぎしながら応じる。「レディーに歩調を合わせることも紳士の役目です」という教えを忠実に守ろうとするレイの姿は、どこまでも真面目だ。
花畑で出会った子どもたちには「お姫様だ」と囲まれ、どこまで進んでいるのかと質問攻めにされる。「指を絡め合ったり」から先の話でエリサがすっかりのぼせて倒れてしまい、レイに抱きかかえられる場面は、「あれが本当のお姫様だっこよ」という一言まで含めてほほえましかった。
目を覚ましたエリサは、「もっと練習していいかな?」と照れながら尋ねる。恋人のフリのはずなのに、エリサの気持ちが少しずつ本物に近づいていくのが伝わってきて、見ていてどきどきさせられた。レイのほうはあくまで練習のつもりで真剣に付き合っているのに、エリサのほうは一つ一つの場面で顔を赤くしている。その温度差が、このお話の甘酸っぱさを生んでいた。
キャシーの試練
浮気者の疑い
そこへ割って入ったのがキャシーだった。「私 見たのよ」、レイが昨日人間の女の子たちを連れていたと言い出し、「浮気よ 浮気 不貞だわ」と大騒ぎ。レイは「ああ あれは皆友人です」、「決して不貞ではありません」と大真面目に否定する。
それでもキャシーの言葉には、妹を思う本気の気持ちがあった。「自分に妹がいるんだって知ったあの日 とてもうれしかったの」、「何があっても どんな時も 絶対大切にするんだって誓ったわ」。暴走ぎみではあるけれど、エリサを大切にしたいという思いは本物だ。レイも「俺はエリサを心から愛しています!」と言い切り、試練を受けることになる。
マンドレイクと次々の試練
最初の試練は、アルフェリアで最も危険とされる森の一つに自生するマンドレイクを取ってくること。「でもアルフェリアの王族を守れるだけの力は絶対に必要よ」というキャシーの言い分にも、姉としての筋が通っている。ところがレイは、夕暮れまでという期限を待たずにあっさり戻ってくる。「普通に行って戻ってきただけですが」。
驚くキャシーの試練はさらに続く。釣りをすれば大量、料理をすれば「上手に焼けました」、地元のおじいちゃんたちとの交流では「ロン!」。洗濯物は「すべて畳みました」、「ついでに掃除も完了です」。どんな試練も涼しい顔でこなしていくレイと、「まだまだまだまだ!」と食い下がるキャシーの掛け合いは、テンポがよくて最後まで楽しかった。マンドレイクのような危険な試練から、料理や洗濯のような日常の試練まで並べてしまうあたりに、キャシーなりの妹を託せる相手かどうかを確かめたい気持ちが見えて、憎めない。完璧にこなすレイに悔しがりながらも、どこかでその実力を認め始めているようにも見えた。
待ち伏せと不穏な影
一方、エリサの恋人宣言に気が気でないのがアメリアたちだ。散歩を装ってレイを待ち伏せし、恋愛についてどう考えているのかを探ろうとする姿がかわいらしい。さらには、レイが恋愛感情に目覚めたときにそばにいるのが誰かが問題だと作戦会議まで始まり、「つまり君たちは僕の恋のライバルというやつだね」という声まで加わる。恋のライバルたちの大騒ぎも、今回の見どころの一つだった。レイ本人が恋愛をまだよくわかっていないだけに、周りが勝手に慌てふためいている構図がなんともおかしい。
ただ、その裏では森の奥に向かう何者かの姿もあった。「私は干渉しないから」、「そっちはそっちでうまくやってちょうだい」。にぎやかな祭りの裏で何かが動いている気配が、さりげなく置かれていた。閉ざされていた国が開かれた特別な祭りだからこそ、何かを企む者がいてもおかしくない。恋人のフリをめぐる明るいドタバタの中に、こうした影が差し込まれることで、物語全体に程よい緊張感が生まれていた。
第5話のまとめ考察
友達なんていらないと思っていた少女
第5話でいちばん心に残ったのは、エリサの変化だった。周りと違うことに傷つき、友達なんていらないと思っていた少女が、今では仲間に囲まれ、レイに素直にありがとうと言えるようになっている。そして王族として突然大勢の視線にさらされても、そばにいてほしい人を自分で選べた。それだけで、エリサがどれだけ強くなったかがよくわかる。そして新しく出会ったキャシーという姉も、エリサにとってはきっと大切な家族になっていくのだろう。暴走ぎみな愛情表現の裏にある、妹を心から歓迎する気持ちは、エリサがずっと求めていたものだったのかもしれない。
レイの言葉も印象的だった。謝罪ではなく感謝を伝えてほしいというのは、相手に負い目を感じさせないための、レイなりの優しさなのだと思う。王族だろうと何だろうと、エリサはエリサ。その揺るがない姿勢が、エリサの心をしっかり支えていた。
恋人のフリの行方
恋人のフリをきっかけに、エリサの気持ちは少しずつ動き始めている。もっと練習していいかと尋ねたエリサの言葉には、フリだけでは終わらない思いがにじんでいた。キャシーの試練を次々と突破するレイと、それを見守るエリサ。そして気が気でないアメリアたち。聖歌祭の行方とともに、エリサとレイの関係がどうなっていくのか、楽しみに見届けたい。王族として向き合わなければならない自分自身と、レイへの気持ち。その両方に、エリサがどんな答えを出すのかが今から気になって仕方がない。次の試練の行方も楽しみだ。




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