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最終回、第12話の副題は「浅緋 -Breaking Dawn-」。前回ノーランドに敗れたアッシュは、サクヤに「俺にもう一度ギアスをかけてくれ」と頼む。「呪いじゃない」「これは誓いだ」と言うアッシュに、サクヤは共に戦えと命じる。二人はノーランドを倒すが、アッシュは戻らなかった。数か月後、サクヤは自分の声をギアスで封じる。それが彼女の覚悟だった。




副題「浅緋 -Breaking Dawn-」と、公式のあらすじ
あらすじが並べた四つの覚悟
最終回、第12話の副題は「浅緋 -Breaking Dawn-」。公式サイトのあらすじは、「ファウルバウトに歯が立たないZi-アポロ」から始まり、絶望するアッシュが「ロゼ――サクヤの言葉に心を動かされ、再び立ち向かう覚悟を決める」と続く。そして「互いの負うべき責任、自分を捨てる覚悟、戦いを終わらせる覚悟、ギアスの呪いを誓いに変えて」、二人はノーランドに最後の戦いを仕掛ける。あらすじが並べた四つの言葉は、本編でそのまま二人の会話として交わされる。
「3日でナイトメアフレームが全滅する」
冒頭、世界各地でロキの侵攻が広がり、「現状のままでは3日でナイトメアフレームが全滅する試算です」と報告される。「一人の企みで世界が滅びるなんて 私は受け入れられない」という声が上がる一方、ノーランドは「地上が浄化されていく」「実に清々しい」とつぶやく。人類全体の危機と、それを浄化と呼ぶ一人の男の温度差から最終回が始まる。
「奴の手の中のままだ」
前回の敗北は、アッシュの心に深く残っていた。
アッシュの絶望
アッシュは「まただ」「俺は」「奴の手の中のままだ」とうなされる。Zi-アポロが起動できないなら自分がアルテミスで出ると言うサクヤに、アッシュは「ダメだ 君を行かせるわけにはいかない」と止める。サクヤは「父との約束だからですか」と問い返す。守ると誓った相手の前で、自分の無力さに打ちのめされているアッシュの姿が、あらすじの言う絶望である。
「あなたのことを守らせてください」
サクヤは「あなたは十分守ってくださいました」と言い、「みんなを守りたいんです」と続ける。「サクラを助けるため ここまで戦ってきました」「そのための力も覚悟も持っていたつもりでした」「ですが この力を生かす術を見誤っていた」「ただ自身の力におごり 多くの人を犠牲にしてしまった」と振り返り、「自分が最初から守られていたことに」気づいていなかったと認める。そして「自分が始めたこの戦いの責任を果たし」「全てを守ります」「まずはアッシュ」「あなたのことを守らせてください」と言う。守られる側だったサクヤが、最終回で初めてアッシュを守る側に立つと宣言する。
「呪いじゃない これは誓いだ」
サクヤの言葉を受けて、アッシュが口にしたのは意外な頼みだった。
「俺にもう一度ギアスをかけてくれ」
アッシュは「俺にもう一度ギアスをかけてくれ」と頼む。「かかっていたギアスはアーノルドに解かれている」からだ。サクヤは「もう二度とあなたにギアスを使いたくない」と拒むが、アッシュは「あなたではノーランドに勝てない」「そして俺一人でもノーランドに勝てなかった」と言う。二人とも一人では勝てなかったと認めることから、共に戦う理由が始まっている。
「その重みを背負え」
アッシュは「俺も誰かを守れる人間になりたい」「俺はそのために自分を捨てる覚悟がある」と言い、「あなたもこの戦いを終わらせる覚悟があるのなら」「その重みを背負え」と迫る。サクヤは「ギアスの力はあなたの意志も信念も記憶すらも書き換えてしまうものです」と警告し、「もう二度と本来のアッシュ・フェニックスには戻れないかもしれない」と言うが、答えは「それでもだ」だった。あらすじにあった自分を捨てる覚悟と戦いを終わらせる覚悟が、ここで二人に一つずつ割り当てられている。
「これは誓いだ」
「ギアスの呪いを一生背負えと」と問うサクヤに、アッシュは「呪いじゃない」「これは誓いだ」と答える。「あなたの責任は俺も背負う」「俺の覚悟もあなたに背負ってほしい」「俺と共に最後まで戦ってくれ」。サクヤは「あなたは私の騎士として 共にノーランドと戦いなさい」「そして必ず勝つのです 世界を守るために」と命じる。人の意思を奪うはずのギアスが、互いの覚悟を交換する誓いの言葉として使われる。コードギアスという作品の中でも、ギアスのもっとも美しい使われ方の一つである。
ノーランドとの最後の戦い
二人は再起動したZi-アポロでノーランドに挑む。
「それをトレースして動いて」
アッシュは「俺の動きはパターンがあるので ノーランドに読まれる」と言い、サクヤは「ならば 私が動きのパターンを送るので それをトレースして動いて」と応じる。ノーランドは「パイロットが変わったか」と一瞬戸惑い、「ならばナビゲートされている感じか」と見抜く。一人では読まれてしまう動きを、二人で組み合わせて読めなくするという作戦が、誓いの内容をそのまま戦い方にしている。
「飲まれるな」
接近を試みる中、サクヤは意識を失いかけ、「怖い」とこぼす。アッシュは「飲まれるな」「俺たちは負けない」と声をかける。守らせてくださいと言ったサクヤを、今度はアッシュが言葉で支えるという往復が、二人の関係の対等さを示している。
60秒の賭け
分析の結果、ファウルバウトは「反応速度が非常に速い」ことが分かり、二人は「60秒間ビームを撃たせ続ければ」隙が生まれると読む。カウントダウンの中で連射速度が落ちていき、最後はアッシュの「これでチェックメイトだ」という一言で決着がつく。数字を読み上げながら少しずつ相手を削っていく戦いは、力押しではなく二人の連携で勝つという最終回の主題に沿っている。
アッシュの選択
しかし、勝利の代償は大きかった。
「これがベストだ」
「私たち ノーランドを倒せたんですね」と喜ぶサクヤに、アッシュは「このままエナジーをシェアすると 地上に戻るまで持たない」と告げる。「あなたにはまだやることがあるだろう」と言い、「ノーランドはプライドの高い男だ」「敗北した自分を残さず消し去るはずだ」「そこにあなたを巻き込むなんて 俺には耐えられない」と続ける。最後は「これでいい」「これがベストだ」だった。自分を捨てる覚悟が、最後に文字どおりの意味で果たされてしまう。
「君ともう会えないかと思うと辛い」
アッシュは「今 ジュウゴさんの気持ちがよく分かったよ」と言い、「自分が死ぬことに恐れはないけど」「君ともう会えないかと思うと辛い」と打ち明ける。かつて自分を守って死んだ人と同じ場所に立ち、その気持ちをようやく理解するという形で、アッシュの物語が閉じられる。
数か月後の世界
戦いから時間が経ち、世界は少しずつ復興に向かっていた。
「二人の名もなき傭兵が守った明日を」
報道は「多くの犠牲者を出したあの日から 数ヶ月が経った今もなお」「世界中でロキの被害に対する 復興が行われています」と伝え、「二人の名もなき傭兵が守った明日を」「我々は決して忘れることなく」と続ける。さらに「新たに北海道ブロックを」特別自治区とすることが決まったと報じられる。世界を救った二人が、名もなき傭兵として記録されるという結末が、この作品らしい苦さを残している。カレンやコーネリアなど、過去作でおなじみの顔ぶれが姿を見せる場面もあり、放送後の投稿でも反応が集まっていた。
それぞれの新しい場所
戦後、それぞれが新しい場所を見つけていく。「平和な世界に レジスタンスは必要ないからね」「俺たちはこれから何をすべきか」と語り合う仲間たちがいて、「黒の騎士団への入隊を希望します」と名乗り出る者もいる。孤児院に現れたキャサリンは「ここで働かせてもらえませんかね」と頼み、「話を聞こう」と受け入れられる。戦うことしか知らなかった人たちが、それぞれ次の居場所を探し始める後日談が丁寧に描かれている。
それが我々の役目
「それが我々黒の騎士団の役目でもある」という言葉のとおり、戦いのあとも世界を守る仕事は続いていく。大きな戦争が終わっても、平和を維持する地道な仕事が残っているという描き方が、シリーズの世界観とつながっている。
「これが私の覚悟」
最後に描かれるのは、サクヤ自身の選択である。
声を封じるギアス
新しい自治区の象徴として立つことになったサクヤは、自分自身にギアスをかける。「ギアスの力を封じるため」「あなたは一生 声を出すことはできない」と命じ、「これが私の覚悟」と言う。人を操る力を、二度と誰にも使わないために自分の声ごと封じる。アッシュに背負ってほしいと言われた覚悟を、サクヤはこの形で引き受けた。
「かけがえのない家族」
締めくくりは、「彼が残してくれた かけがえのない家族」「みんな元気よ」という言葉だった。アッシュがいなくなった後も、彼が守ったものはサクヤのそばに残っている。声を失ったサクヤの心の声で終わるのが、切なくも温かい。
まとめと考察
第12話は、呪いだったギアスを誓いに変え、二人でノーランドを倒し、そしてそれぞれの覚悟を最後まで背負った最終回だった。
呪いから誓いへ
ギアスは、コードギアスという作品では常に人の意思を奪う呪いとして描かれてきた。最終回のロゼは、そのギアスを互いの覚悟を交換する誓いに変え、最後は自分の声を封じるために使った。力の使い方を最後まで問い続けた物語の、誠実な着地だったと思う。
二人で一人のパイロット
最後の戦いで、アッシュはサクヤの送る動きのパターンをなぞり、サクヤはアッシュの目となってナビを続けた。どちらか一人では読まれてしまう動きが、二人で組んだときにだけ読めなくなる。守る側と守られる側に分かれていた二人が、最終回でようやく一つの機体を二人で動かす関係にたどり着いた。その関係そのものが、ギアスで結んだ誓いの中身だったのだと思う。十二話を通して積み重ねてきた二人の距離が、この戦い方に集約されていた。最初は命令する側とされる側として出会った二人が、最後には互いの弱さを補い合う相棒になっていたのである。
名もなき傭兵
アッシュの最期と、名もなき傭兵という呼ばれ方には、もう少し別の結末を望む声もあるだろう。それでも、世界を救った者が名を残さず、守られた人たちの暮らしの中にだけ生きているという結末は、この作品が描いてきた傭兵という生き方にふさわしい。




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