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最終回となる第13話の副題は「もっと高く」。決勝の前に置かれたのは、幼い姉妹の約束だった。麻利亜は七海に「夢はもう叶ってる」と告げ、妹にも夢を託していたことを明かす。決勝では、瑞佳と桜翔が演目の途中で役割を入れ替える空中ブランコを見せる。勝者はブルーローズサーカス。それでも七海は「スメラギにあなたたちはいらない」と告げ、ひまわりの居場所を残した。




副題「もっと高く」と、公式のあらすじ
あらすじは勝者の名前を伏せている
最終回となる第13話の副題は「もっと高く」。公式サイトのあらすじは「迎えた決勝公演初日」から始まり、ひまわりサーカスを「既存の概念を打ち破り、演者と一緒に楽しむ新しいサーカスで観客を魅了する」と紹介する。一方のブルーローズサーカスは「伝説の技「ロータスブロッサム」にさらなる磨きをかけ真っ向から応戦」。そして「互いに一歩も譲らぬ熱戦が繰り広げられる」と続き、最後は「「キルクスコレクション日本大会」の勝者が決まる」で切れている。あらすじは二つのサーカスを同じ重さで並べ、どちらが勝つかだけを伏せている。
決勝の前に置かれた、姉妹の昔話
ところが本編は、決勝の舞台からではなく、幼い姉妹の会話から始まる。姉は「サーカスはね」「見た人みんなを幸せにするの」と話し、「私はその夢に救われたの」「だから今度は私がみんなに夢を見せたい」と言う。妹が「夢を見せるのが夢」と受け取ると、姉は「この体じゃ飛んだり跳ねたりできないけどね」と笑う。妹の答えは「じゃあ私が飛ぶ」「お姉ちゃんと一緒にサーカスやって」「夢も叶えてあげる」だった。病室で話す二人のもとへ、看護師の姿をした間宮凛が「お薬の時間です」と入ってくる。凛と麻利亜のつながりは、この病室までさかのぼるのである。決勝で向かい合う二つのサーカスは、もとをたどれば一つの夢から分かれたものだった。
七海と麻利亜、姉妹の約束
昔話の続きで、姉妹の道が分かれた理由が描かれる。
「私のサーカスは金儲けの手段じゃない」
姉は「スメラギでは私が目指すサーカスができないの」と言って家を離れる。理由は「私のサーカスは金儲けの手段じゃない」。残された妹は「一緒にサーカスやるって言ったじゃない」「約束どうなるの」と叫ぶ。七海がずっとひまわりサーカスを意識してきた理由が、ここで一つの約束にまでさかのぼる。姉を追いかけるように大手の皇を率いてきた七海の姿が、第9話で明かされた姉妹関係とつながっていく。
「楽しい未来を知らずに死ねないわ」
決勝の会場には、手術を控えているはずの麻利亜が来ていた。七海は「本当に何やってるのよ」と詰め寄り、「お医者様を見つけるのに どれだけ苦労したと思っているの」「優先する順番が違うでしょ」「命よりサーカスが大事なの」と責める。麻利亜の返事は「楽しい未来を知らずに死ねないわ」。七海は「身勝手すぎよ」「また約束破って」と返し、麻利亜は「耳が痛い」と受け流す。姉を叱る妹の言葉の中に、医者探しに奔走した七海の本音がそのまま出ている。
「夢はもう叶ってる」
七海は続けて「なんであの子たちなの」「なんであの子を選んだの」と問う。姉の夢を叶えたくて走ってきたのに、という思いがにじむ。麻利亜は「やっぱりそんなこと考えてた」と受け止め、「夢はもう叶ってる」「私がいなくてももうひまわりは歩き始めた」「あんなサーカス私には思いもつかなかった」「だからあの子たちに託すと決めた」と答える。さらに「あなたはひまわりを意識しなくていいの」「あなたにはあなたの夢の見せ方がある」「私はあなたにも夢を託しているつもり」と続ける。麻利亜は、ひまわりだけでなく妹にも同じ夢を託していた。
「見せてあげる」
麻利亜は「自分たちのサーカスで高め合えば」「私が目指した以上の未来が実現できる」と言い、「こんな素晴らしい日が来るのをずっと待ってた」と笑う。七海の答えは「見せてあげる」「姉さんが思う以上の夢を」「私たちで」。麻利亜は「楽しみ」と返す。子供のころの「私が飛ぶ」が、大人になった妹の「見せてあげる」として言い直されている。
決勝公演初日、二つのサーカス
決勝の舞台では、ひまわりもブルーローズも自分たちのやり方で客席に向かう。
「この初日が勝負」
ひまわりの側では「お客さんの反応いいわね」という手応えがある一方、「でもまだこちらのとっぴな演出に」「強い反応を見せているだけだと思います」と冷静な声も上がる。七海には「これまで培ってきた技術と実績がある」。それでも「今は一人でも多くのお客さんに 僕たちのサーカスを知ってもらおう」「この初日が勝負」と前を向き、「勝ちたい」の声が重なって「勝ちましょう」でまとまる。勝ちたいという気持ちを隠さず口にするところに、この一年での団の変化が表れている。
「今日は今までで一番の演技ができる」
七海は「誰かを気にする必要なんてない」「私はそれだけの努力を日々積んできた」「今日は今までで一番の演技ができる」と自分に言い聞かせる。麻利亜の言葉を受けて、ひまわりを意識することをやめた七海の演技は、「ナナミ様」と呼ぶ声とともに「今あなたは最高に美しい」「ロータスブロッサム以上のロータスブロッサムだ」とたたえられる。相手ではなく自分の積み重ねを見て飛んだとき、七海は伝説の技を超えた。
オズの物語で組み立てた舞台
ひまわりの演目は、瑞佳がずっと持っていた絵本『オズの魔法使い』の続きとして進む。「西の魔女を倒したドロシーたち一行は」「エメラルドの都に戻ってきました」と語りが入り、カカシやブリキやライオンがそれぞれ願いを叶えてもらう。最後に残ったのはドロシーの願いだけで、「ドロシーはもうお家に帰れないのでしょうか」という問いが、空中ブランコの場面につながる。観客も一緒に物語の続きを見守る形にしたことで、客席全体が舞台の一部になっている。
「演目中にフライヤーとキャッチャーが入れ替わった」
南の魔女の条件は「空中ブランコを3回成功させて 私を満足させれば」「願いを叶えてあげましょう」。「任せたぞ 二人とも」の声に送られ、瑞佳と桜翔が飛ぶ。「行きますよ」「来い」の掛け合いのあと、会場を驚かせたのは「演目中にフライヤーとキャッチャーが入れ替わった」という一瞬だった。第11話で麻利亜から翼になってほしいと頼まれていた桜翔と、団長代理の瑞佳が、役割を入れ替えながら一つの演目を完成させた。
「思いもしなかった場所に」
客席では「ブラックロータス」と呼びかける声がして、「あの子たちは」「あなたや私が思いもしなかった場所に行こうとしている」と語られる。伝説の演者たちの想像を超えた場所へ、ひまわりの団員たちが飛び出そうとしている。
「勝者は」
五日間の決勝公演が終わり、結果が発表される。
審査員の言葉
「5日間にわたり決勝公演を戦い抜いた」両団について、発表は「近年稀に見る盛り上がりを見せ」「また接戦となりました」と伝える。ブルーローズには「伝説とまで言われたロータスブロッサムをよみがえらせ」「さらに磨きをかけた完成度に驚きを隠せません」、ひまわりには「既存の概念を打ち破り 会場全体で観客とともに楽しさを作る」「その姿勢は新しい時代の始まりを告げるものなのかもしれません」。そして「第24回キルクスコレクション日本大会」の「勝者は」「ブルーローズサーカス」だった。勝敗はつけながらも、二つのサーカスの良さを同じ言葉の重さで並べた講評が、この作品らしい。
「何よりも 楽しかった」
発表のあと、「ごめんなさい」「負けちゃいました」という声に、団員たちは「やれることはやった」「何よりも」「楽しかった」と応える。負けた直後に出てきたのが悔しさより先に「楽しかった」だったことが、ひまわりサーカスの一年間を物語っている。
「スメラギにあなたたちはいらない」
「これでひまわりサーカスも終わりか」と沈む団員たちの前に、七海が現れて「その話はなしよ」と告げる。理由は「スメラギにあなたたちはいらない」。あれほどの公演を見せられては「受け入れられるわけがないでしょ」「スメラギをぐちゃぐちゃにされたらたまらないわ」。そして「次は圧倒的な形で勝利してみせる」「それで初めて私は勝ったと胸を張って言える」と続ける。ひまわりの側は「私たちは私たちのサーカスで」「ナナミさんのロータスブロッサム以上の歓声を」「お客さんからもらいます」と答え、七海は「楽しみにしている」と返す。勝った側が、今回の勝ちを勝ちと認めないことで、ひまわりの居場所を守っている。
麻利亜の旅立ちと、手紙
決勝のあと、団員たちはようやく麻利亜と向き合う。
「勝手に殺すんじゃないわよ」
「私たちをずっと見守っていてください」としんみりする瑞佳たちに、本人から「勝手に殺すんじゃないわよ」とつっこみが入る。出発は「3日後です」と聞かされ、麻利亜は「ちゃんと見送りに来んのよ」と言う。団員たちは「留守を預かります」「安心してください」と答え、麻利亜は「みんなの元気をいっぱいもらったから」「私は大丈夫」と応える。第11話で面会謝絶に阻まれた再会が、最後はいつもの軽口で果たされる。
「とても有名な方だそうよ」
手術を引き受けてもらえた理由を聞かれた七海は、「ある有名なサーカスの演者が必死に頼み込んでくれたから」「とても有名な方だそうよ」と明かす。去り際には「私はあなたたちよりも多くのお客様に喜んでもらえるよう」「さらに技に磨きをかけてサーカスの頂点を目指す」「振り落とされないようにね」と言い残す。ライバルとしての宣言が、そのまま次の再戦の約束になっている。
「今度会うときは お母さんって呼んでね」
少し時間がたち、ひまわりサーカスは再び全国を巡る旅に出ている。「マリアさんの治療費がびっくりするくらい高額で」相変わらずお金はないが、「ジャガイモまみれじゃなくなったし」と明るい。そこへ麻利亜から手紙が届く。「親愛なるひまわりのみんなへ」「私は術後の経過も良好」「ちょくちょく病院を抜け出して」「こっちのサーカスを見て回ってる」。そして同封されていた結婚写真の相手は、「私が手術を受けられるように奔走してくれた人」で、「そして 初恋の人」。最後の一文は「今度会うときは お母さんって呼んでね」だった。瑞佳の父親への呼び名がそのまま叫ばれて幕が下りる、最後まで笑顔で終わる最終回だった。
まとめと考察
第13話は、勝敗をきちんとつけながら、負けた側も勝った側も同じ夢の続きにいることを描いた最終回だった。
一つの夢から分かれた二つのサーカス
冒頭の昔話で、麻利亜は「夢を見せたい」と言い、七海は「私が飛ぶ」と言った。大人になった二人は別々のサーカスを率いていたが、麻利亜の「私はあなたにも夢を託しているつもり」によって、ひまわりもブルーローズも同じ夢の担い手になった。勝敗が決まったあとの七海の「スメラギにあなたたちはいらない」は、突き放す言葉の形をした、姉の夢を守るための判断だったのだと思う。
「もっと高く」
副題の「もっと高く」は、空中ブランコの高さであり、七海が目指す頂点であり、麻利亜の言う「私が目指した以上の未来」でもある。勝った七海は「次は圧倒的な形で」と言い、負けた瑞佳は「ロータスブロッサム以上の歓声を」と言った。どちらも今より高い場所を見ている。
笑顔で終わるサーカス
最後まで貧乏で、最後まで父親への呼び名はひどいままで、それでも手紙を読む団員たちは笑っている。見た人みんなを幸せにするという麻利亜の夢は、ひまわりの団員たち自身をいちばん幸せにしていた。一年を通して団員たちが見せてきた成長が、この明るい幕切れにつながっている。




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