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第2クールの始まりとなる第13話の副題は「年末年始!バレンタイン!」。大雪の大晦日、買い出しに出た洛は見知らぬ女性に声をかけられ、その女性は三学期に新しい担任として現れる。一方の糸は、初めてのバレンタインでまさかの事態に見舞われる。源の黙って食えよの一言とともに、糸がもう後戻りできない恋心をはっきりと自覚するまでを、場面ごとに振り返る。




第13話の副題は「年末年始!バレンタイン!」
第13話の副題は「年末年始!バレンタイン!」。第2クールの始まりとなる回で、公式のあらすじは「雪の降る大晦日、買い出しに出かけた洛は、見知らぬ女性・八代梓から突然、スマホを貸してほしいと声をかけられる」と伝えている。洛の出会いと、糸の初めてのバレンタイン。大晦日から2月までを一気に駆け抜ける、にぎやかな一話だった。
「心配だからどこにも行くなつってんだよ」
大晦日の成田家は、外は大雪、中はぽかぽか。こたつから出られない弟たちのなかで、糸は「もうカップラーメンくらいしか食べるものがありません」と嘆く。年越しそばも食べられない状況に、糸は一人で買い出しに行こうとする。
それを止めたのが源だった。「お前なんか一瞬で雪に埋もれるって」「心配だからどこにも行くなつってんだよ」。言い方はぶっきらぼうでも、中身はまっすぐな心配だ。ダメ野郎だと思いながらも、そのダメ野郎にときめいてしまう糸の心の声が、二人の距離の近さをそのまま物語っていた。
結局、買い出しには洛が行くことになる。「君らはゆっくりイチャついてろよ」と言い残して出ていく洛は、二人の気持ちをすっかりお見通しだ。「来年バレンタインあたりが見物だな」という独り言が、この回の後半への前振りになっている。
冒頭のこたつの場面は、家族の何気ない会話だけで成田家の空気を伝えてくれる。誰かがおならをしたと騒いだり、みかんを取ってもらおうとしたり。糸がこの家に来てから積み重ねてきた日々が、すっかり家族の日常になっているのが分かる。大きな事件がなくても、家族がそろっているだけで楽しいという、この作品の原点のような場面だった。
大晦日の出会い
雪の街で、洛は思いがけない出会いを果たす。
「スマホ貸してください」
声をかけてきたのは、充電の切れた見知らぬ女性だった。「スマホ貸してください」。電話の相手は、今日会う約束をしていたはずの彼氏。けれど彼は実家に帰っていて、女性は「私が勘違いしただけだから」と笑ってみせる。しかも彼の帰りの交通費まで、いつものところに振り込んでおくという。
クリスマスは実家の犬が寂しがっているからと会ってもらえず、会えても基本的に彼は財布を忘れてくる。「どう思います」と聞かれた洛の答えは、「カモにされてそうですね」。初対面でも遠慮なく本当のことを言ってしまう洛と、それを素直に受け止めてお礼まで言う女性のやり取りが、妙に息が合っていておかしい。
「俺今夜どうなっちゃうの」
女性に誘われて入ったのは、半年前からキャンセル待ちをしてようやく予約が取れたという高級店だった。「もったいないんで一緒に食べてください」。大晦日にドタキャンされたことを知り合いに知られたくないから、見知らぬ洛を選んだのだという。
「私のダメな恋バナでも聞いてください」「まずは彼との出会い編から」。戸惑う洛の「俺今夜どうなっちゃうの」という心の声に笑ってしまう。食事を終えて、洛は「消費税だけで家族全員外食できます」と恐縮するが、女性は「たくさん話したらすっきりしました」と晴れやかだ。「もう二度と会うこともないでしょうけど」。名前も聞かないまま別れた、大晦日の一夜限りの出会いのはずだった。
洛はいつも冷静で、家族のなかでは一歩引いたところから全体を見ているタイプだ。その洛が、見知らぬ女性の勢いに押されて高級店のテーブルに座り、恋の失敗談を延々と聞かされる。普段は振り回す側の洛が、珍しく振り回される側に回るのが新鮮だった。それでも最後まで付き合ってしまうあたりに、洛の人の良さがにじんでいる。
新年と新学期
年が明けても、洛はあの夜のことが少し気になっていた。
「思ってるより人はそういうとこ見てるもんだぞ」
初詣の帰り、源は帰りの遅かった洛を問い詰める。洛は話をはぐらかすが、源は見逃さない。「そうやってさらっと話ごまかすの」「相変わらずだって思っただけ」「思ってるより人はそういうとこ見てるもんだぞ」。
さらに源は、「次はちゃんと大事にできる相手見つけろよ」と言う。洛は「人の恋愛より自分のこと気にしたら」と返す。兄弟だからこそ遠慮なく言い合える、源と洛の関係が見える場面だった。お互いのことを、実はよく見ているのだ。
新しい担任は八代梓
そして三学期の初日。教室に現れた新しい担任は、あの夜の女性だった。「八代あずさです」。産休に入った先生の代わりに、今日から担任を務めるという。思わず「例のダメ男とはどうなりました」と口にしてしまう洛に、教室中がざわつく。
八代先生は「プライベートな質問は」「一切受け付けません」「私は教師ですので」ときっぱり。けれどすぐに洛を社会科準備室に呼び出す。真面目な教師の顔と、大晦日に見せた素顔。そのギャップが、八代梓というキャラクターの第一印象を鮮やかにしていた。
「あなたみたいにしっかりした子が生徒でよかった」
準備室で、八代先生は深々と頭を下げる。知らなかったとはいえ、生徒を連れ回したことを教師として深く反省しているという。洛は自分も自己紹介しなかったと笑い、「誰にも言うつもりはありません」と約束する。
洛が「あれだけ鮮やかにかもられてる人初めて見たんで」と言えば、八代先生は「私が教師と分かっても容赦ないですね」と返す。そして「あなたみたいにしっかりした子が生徒でよかった」。これが教師デビューだという八代先生は、新規一転、仕事に打ち込むと宣言する。洛の恋が動き出すのかどうか、この先の二人の関係が気になる出会いだった。
大晦日には頼りなく見えた女性が、教壇では毅然とした教師として振る舞う。けれど洛にだけは、思わず素の反応を見せてしまう。教師と生徒という立場が、二人の関係をかえって面白くしている。秘密を共有した者同士の微妙な距離感が、これからどんな形で物語に関わってくるのか注目したい。
糸の初めてのバレンタイン
気がつけば2月。成田家にもバレンタインがやってくる。
「姉チョコなんて初めてだし」
糸は、みんなの分にまぎれさせて源に本命を渡そうと考えていた。暴走して気持ちがばれるのが怖いから、「バレない程度に気持ちを小出しにしといた方が安全かな」と。そんな糸に、洛は「それならそのままやりたいようにやっちゃいなよ」と背中を押す。「姉チョコなんて初めてだし」、弟たちはきっと楽しみにしている、と。
「とびきりおいしいチョコ作るから」と張り切る糸の顔は、小出しどころか好き全開。洛の目線から見える、浮かれた糸のかわいさがたまらない。
「夢かと思って全部食べちゃいました」
夢の中で渡す練習までしてしまった糸。ところが翌朝、用意したチョコはなくなっていた。犯人は類だった。「夢かと思って全部食べちゃいました」「すごく美味しかったです」。
糸は「全然キレてないっすよ」と言い張るが、どう見てもキレている。それでも、表向きはただの義理チョコだから怒るに怒れない。もしかしたらこれで良かったのかもしれない、と自分に言い聞かせる糸の姿が切なかった。姉なら姉らしく大人しくしておけということかもしれない、と。
類のつまみ食いは笑える場面だが、糸にとっては一大事だった。せっかく気持ちを込めて作った本命が、渡す前に消えてしまったのだから。それでも怒りきれず、自分を納得させようとする糸の姿には、家族の一員として気を遣い続けてきた彼女らしさがにじむ。笑いと切なさが同じ場面に同居しているのが、この作品のうまさだと思う。
「黙って食えよ」
そこへ源が糸を呼び出す。差し出したのは、源が作ったチョコだった。「特別な意味とかねえぞ」。行友に付き合わされて作ったものの、「お前にやったら少しは喜ぶかなって」。今朝の出来事で落ち込んでいた糸のことを、源はちゃんと見ていたのだ。
後で大事に食べたいという糸に、源は「俺がいいって言ってんだから」「黙って食えよ」と、手ずから食べさせる。「ほんと手のかかる姉ちゃんだよな」。不器用な源の優しさが、これ以上ないほどまっすぐに届いた瞬間だった。
チョコを手ずから食べさせるという大胆な行動も、源にしてみれば特別なことではないのかもしれない。けれど糸にとっては、何度も心を揺さぶられる出来事だ。源の無自覚な優しさが、糸の気持ちをどんどん後戻りできない場所へ運んでいく。
もう後戻りできない
「めちゃくちゃ甘くて美味しいです」と答える糸。「ホワイトデーは倍返しさせてもらうから」と言えば、源は「そりゃ楽しみだな」と笑う。
そして糸は気づいてしまう。「もういい加減」「認めるしかないじゃん」。この恋は、もう後戻りできないところまで来ていた。隠そうとしていた気持ちを、自分自身で認めてしまう。第2クールの始まりにふさわしい、大きな一歩だった。
まとめと考察
第13話は、洛の新しい出会いと、糸の気持ちの決定的な変化を同時に描いた回だった。
洛の恋の予感
これまで家族のバランサーとして、兄や姉の恋を見守る側にいた洛。その洛が、大晦日の偶然から八代先生と出会い、今度は自分自身の物語の中心に立ち始める。源に「次はちゃんと大事にできる相手見つけろよ」と言われたことも含めて、洛の恋がどう動いていくのかは、第2クールの大きな見どころになりそうだ。
源と糸の距離
チョコを全部食べられて落ち込んだ糸を、源の逆チョコが救う。思い通りにいかなかったバレンタインが、結果的には一番うれしいバレンタインになった。源にとっては日頃の感謝かもしれないが、糸にとってはもう隠しきれない気持ちの証になっている。義理チョコのふりをしようとした糸と、特別な意味はないと言う源。どちらも本当の気持ちを言葉にしないまま、二人の距離だけが確実に縮まっていく。ホワイトデーの倍返しも含めて、続きが楽しみな第2クールの幕開けだった。新しいオープニングとエンディングも加わり、物語の空気が少しずつ恋愛の色を帯びていくのを感じた。




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