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片思いの男子にお弁当を渡す中学生のペチカ、アニメのヒロインだった過去を持つ貧乏女子大生のマジカルデイジー。それぞれの日常を送っていた魔法少女たちが、ある日突然、謎のゲーム空間へと集められた。魔法少女たちのささやかな日常、強制的に始まった仮想空間のゲーム、そしてスノーホワイトの登場まで、シリーズ新章の幕開けとなる第1話を場面ごとに一つずつ丁寧に振り返る。




魔法少女たちのささやかな日常
『魔法少女育成計画 restart』がついに始まった。前作で描かれた魔法少女同士の過酷な選抜試験の、その先の世界。第1話は、それぞれの日常を送る魔法少女たちが、ある日突然、謎のゲーム空間へと集められるまでを描いた。穏やかな日常と不穏なゲームの始まりが、くっきりと対比された幕開けだった。
魔法少女とは何か
物語は、ある魔法少女が子どもの風船を取ってあげる、小さな人助けの場面から始まる。そこに重なるのは、魔法少女とは魔法の国から力を授かり、世のため人のため、そしてほんの少しだけ自分のために、その力を使うよう命じられた魔法使いの一形態である、というナレーションだ。彼女たちは、社会や生活の中にひそやかに根付いているのだという。
この定義は、作品全体を通した問いかけにもなっている。力を持った魔法少女が、それを何のために使うのか。世のため人のためという建前と、ほんの少しの自分のため。その割合が人によって違うことが、この物語の怖さにつながっていくのだろう。
元アニメのヒロイン、マジカルデイジー
最初に描かれる魔法少女は、マジカルデイジー。かつてアニメになったこともある、知る人ぞ知る存在だ。けれどアニメのデイジーはずっと中学生のままなのに、本物のデイジーは貧乏な女子大生になっている。夜の街をパトロールし、酔っ払いを介抱して任務完了。帰れば洗濯物が待っている。
現実の生活を削ってこその正義のヒーロー、とぼやきながらも、デイジーは魔法少女としての務めを続けている。華やかなアニメのイメージと、生活に追われる現実との落差がなんともおかしく、どこか切ない。憧れの存在である魔法少女にも、等身大の暮らしがあるという描き方が印象的だった。
そんなデイジーのもとに届いたのが、「魔法少女育成計画」という謎の通知だった。魔法の国からの緊急連絡かと思って開いた彼女は、そのままゲームの世界へと引き込まれていく。
デイジーがかつてアニメになったという設定も面白い。魔法少女が実在する世界で、その活躍が番組として放送され、子どもたちの憧れになっている。本物の魔法少女が、自分を描いたアニメのイメージと現実の暮らしとの間で揺れている姿には、思わずくすりとさせられた。
ペチカと二宮くんのお弁当
もう一人の魔法少女は、中学生のペチカ。野球部の二宮くんに片思いしている、ごく普通の女の子だ。周りの女子たちが差し入れを渡す中、見ているだけで満足していてはだめだと決意したペチカは、小さいころから憧れていた魔法少女の力を使うことにする。
ペチカに与えられた魔法は、とてもおいしい料理を作れること。その魔法で作ったお弁当を、魔法少女の姿で二宮くんに手渡した。見知らぬ可愛い女の子からの差し入れに、野球部員たちは驚く。渡せてよかった、頑張ったとはしゃぐペチカの姿は、初恋に一生懸命な女の子そのものだった。
けれど、その直後、ペチカも見知らぬ場所へと飛ばされてしまう。魔法少女の力を、自分のささやかな恋のために使った少女。ほんの少しだけ自分のためという冒頭のナレーションが、ペチカの姿にそのまま重なっていた。
仮想空間のゲーム
気がつくと、魔法少女たちは見知らぬ荒野や廃墟の中にいた。画面には、チュートリアルモードの文字が浮かんでいる。
チュートリアルモードと骸骨
訳も分からないまま、ペチカの前に骸骨の魔物が迫る。逃げようとしても足が動かない。戦う力を持たないペチカは、ただ怯えることしかできなかった。そんな彼女を救ったのは、着流し姿の侍のような魔法少女だった。
礼を言うペチカをよそに、その魔法少女は、またやらされるのか、もう終わったのではなかったのかとつぶやく。そして音楽家ではないな、と。前作を知る人なら、この言葉に背筋が寒くなるはずだ。かつての殺し合いを知る者の記憶が、新しいゲームの影に重なっていた。
ゲームの世界とはいえ、骸骨に襲われる恐怖は本物だ。料理の魔法しか持たないペチカにとって、この空間はあまりにも過酷な場所だった。戦えない魔法少女がこのゲームの中でどう生き延びるのか、彼女の視点は物語の大切な軸になっていきそうだ。
一方のデイジーは、必殺のビームで襲いかかる相手を退ける。けれど、相手は魔物ではなく魔法少女だった。それも、勝つための訓練を相当積んでいる。何者かに狙われていることを悟りながら、デイジーは街を目指して歩き出す。
「仮想のゲーム空間」
別の場所では、お嬢と呼ばれる魔法少女と、その付き人のマモリが状況を冷静に分析していた。ここはおそらく、何者かによって作られた「仮想のゲーム空間」。自分たちはこの世界に放り込まれ、強制的にプレイヤーにさせられている。誰が、何のために。答えは分からないが、今はこのゲームに乗るしかなさそうだ。
お嬢は、魔法少女には戦う魔法少女と戦わない魔法少女の2種類がいると語り、マモリに包帯を巻かせる。弱者を守ろうとする魔法少女の保護欲を利用して、助けに来た魔法少女を呼び寄せるためだ。現れた正義の魔法少女に、ほら一匹釣れた、とつぶやくお嬢。力ではなく頭で戦う魔法少女の不気味さが、短い場面に凝縮されていた。
骸骨に怯えたペチカや、魔法少女に襲われたデイジーとは対照的に、お嬢はこの状況をまるで楽しんでいるかのようだ。同じゲームに放り込まれても、受け止め方は魔法少女によってまったく違う。その違いが、これからの展開にどう影響するのかが気になる。
捕まったペチカ
一人になったペチカは、二宮くんのことばかり考えていた。お弁当を食べてくれただろうか。見ず知らずのファンからのお弁当なんて、普通は食べないよね。もう二宮くんに会えないのかな。不安で押しつぶされそうなペチカの姿が、とてもいじらしい。
そこへ現れたのは、巫女や人形のような魔法少女たちの一行だった。言い合いをしながらも息の合った彼女たちに、ペチカはあっさりと捕まってしまう。後に、下半身が馬の魔法少女の背に縛り上げられて運ばれていたことが分かる。泣いたりわめいたりして走り出そうとするから、危なくないように縛っているのだという。
恐ろしい状況のはずなのに、どこかコミカルな一行の空気。けれど、その明るさが、この後に待つものを思うとかえって不安をかき立てる。シリーズを知っていればいるほど、この穏やかさが怖く感じられた。
デイジーとのっこちゃん
荒野を歩くデイジーは、やがて一人の小さな魔法少女と出会う。
憧れのヒロインとの出会い
デイジーに助けられたその少女は、のっこちゃんと名乗った。テレビで見たとおりだと目を輝かせ、再放送を毎週楽しみにしていたと語る。魔法少女になったのは4歳のときで、名前を決めるときに自分の名前を聞かれたと思い、そのまま答えてしまったのだという。変更を13回お願いして、すべて突き返されたという話には思わず笑ってしまった。
のっこちゃんの魔法は、周りの人の気分を変えられること。家で通帳を眺めていたら突然ここに来ていた、という言葉も含めて、どこか謎めいた少女だ。街を目指した二人は、そこでさらに二人の魔法少女と出会い、デイジーの知名度の高さに盛り上がる。アニメのヒロインだった過去が、仲間を集める力になっているのが面白い。
新たに出会った魔法少女たちは、先ほどの縛られた魔法少女を含む4人組の話をデイジーに伝える。悪人ではなさそうだったという言葉に、ひとまず胸をなでおろす一行。少しずつ、魔法少女たちがいくつかの集団に分かれていく様子が見えてきた。
スノーホワイトの登場
そして物語の終盤、もう一人の魔法少女が姿を見せる。相手の動きを完全に読み切った立ち回りで、強さを誇る魔法少女を圧倒し、強さを求めるだけの魔法少女なんていらないと言い放つ。その魔法少女こそが、スノーホワイトだった。
前作の主人公が、悪事を働く魔法少女を許さない存在として描かれる。その姿はかっこよく、同時にどこか張りつめていて、前作の出来事が彼女をどう変えたのかを感じさせた。
最後に描かれたのは、スノーホワイトに憧れる何者かが、マスコットのファルに語りかける場面だった。殺し合いをさせる魔法少女なんて論外で、殺し合いで選ばれた魔法少女もいてはいけない。だからスノーホワイトの手助けをするのだという。正義の名のもとに始まった新たなゲームの不穏さを残して、第1話は幕を閉じた。
まとめと考察
第1話は、それぞれの日常を送る魔法少女たちが、謎のゲーム空間に集められるまでを描いた回だった。ゲームの全貌はまだ明かされていないが、不穏な気配はすでに画面の隅々にまで漂っていた。
前作から続く影
着流しの魔法少女が口にした音楽家という言葉、そして殺し合いで選ばれた魔法少女はいてはいけないという最後の独白。どちらも、前作の過酷な選抜試験とつながっている。新しいゲームは、前作の出来事の延長線上にあることが、はっきりと示された。
魔法少女狩りとして活動するスノーホワイトと、その手助けをするという謎の人物。正義を掲げる者が、なぜ魔法少女たちを仮想空間に閉じ込めたのか。その矛盾こそが、この物語の大きな謎になっていくのだろう。
16人の魔法少女の行方
デイジー、ペチカ、のっこちゃん、お嬢とマモリ、そして着流しの魔法少女。集められた魔法少女は16人。戦う者もいれば、戦わない者もいる。二宮くんへのお弁当を気にかけるペチカのように、ささやかな日常に帰りたいと願う者も多いはずだ。
チュートリアルモードという表示や、廃墟になった街など、ゲームらしい仕掛けは少しずつ姿を見せ始めている。ルールがはっきりと明かされたとき、魔法少女たちの関係がどう変わっていくのかにも注目したい。
それぞれの日常から切り離された魔法少女たちが、このゲームの中でどんな選択をしていくのか。穏やかな第1話の空気が、いつまで続くのかも含めて、緊張感を持って見届けていきたい。




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