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バレンタインをきっかけに、源への恋心をはっきり自覚した糸。家族という関係を壊したくない思いから、気持ちをずっと胸の内に隠し通すつもりだった彼女は、弟の洛の言葉をきっかけに告白を決意する。いい子でいようとしすぎる糸の本音、ロールキャベツの夜の一世一代の告白、そして観覧車で源が切り出した言葉まで、第14話を場面ごとに一つずつ振り返る。




告白したいという本音
『うちの弟どもがすみません』第14話「おさえきれない恋心」は、源への想いを自覚した糸が、ついにその気持ちを言葉にする回だった。家族という関係を守りたい気持ちと、好きだと伝えたい気持ち。その間で揺れ続けた糸の一歩と、まさかの空振り、そして急に決まった遊園地まで、笑いと切なさがぎゅっと詰まった一話だった。
柊の受験の日
春目前のある日、家族そろって柊を受験に送り出す。学校でもそんな感じなんだね、と柊に言われ、んなわけあるか、こんなやつ無視だ無視、と返す源と、いつも宿題見せろって言ってくるの誰よ、と言い返す糸。お前も無事うちの学校に合格すればきっと毎日騒がしくなるぞ、という源の言葉に、頑張ると答える柊の姿がほほえましかった。
今夜は焼き肉だからね、と送り出す声も明るい。にぎやかで温かい成田家の日常が描かれるからこそ、このあと糸が抱える葛藤の重さが際立っていく。
いい子でいようとしすぎ
告白してしまえばいいんじゃないか、と軽く言ってみたものの、すぐに打ち消す糸。家族には変わりないし、お父さんたちの信頼があってここにいられるわけだし。そう説明する彼女に、洛は、本当にそれだけかな、失敗して傷つくのが怖いとか、と問いかける。
そして洛は続ける。姉さんっていい子でいようとしすぎじゃない。そんなに親の理想でいることって大事かな。母さんたちからしたら、自分たちのせいで我慢させてるほうが悲しいんじゃないかな。「俺たちの気持ちは俺たちのものじゃん」。糸がずっと当たり前だと思っていた我慢に、まっすぐ切り込む洛の言葉が胸に響いた。
そんな考え方、全然したことなかった。ありがとう、その通りかもしれない。糸は、できることならちゃんと告白したい、と心を決める。私なんかがうっかり好きになっちゃうくらい、源はかっこいいんだよって伝えたい。その言葉に、彼女の想いの深さがあふれていた。
妄想と練習と空回り
告白を決めたものの、ぶっつけ本番は不安。洛の提案で、まずは練習から始めることになる。けれど、ここからの糸の空回りぶりが、今回いちばんの見どころだった。
告白の練習
俺を源だと思って告白してみなよ、という洛の言葉に挑戦するものの、結果は散々。改めて好きって言うの、めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど、と悶える糸の姿に思わず笑ってしまった。帰宅すれば、顔色悪いぞ、疲れてんだろ、と源に心配される始末。想像するのと実践するのとじゃ違いすぎる、という嘆きには、深くうなずくしかない。
最悪の想像
しかも糸の頭のなかでは、妄想がどんどん暴走していく。俺だって同じ気持ちだったぜ、これからはもう俺のことだけ見てろよな、という乙女ゲームのような展開を思い描いては、ないないないと全力で否定。そして逆に、お前とはいい兄弟になれると思ってたのに、と言われる最悪の未来を想像し、それはもう家庭崩壊ってやつなのでは、と青ざめる。
告白ひとつで家族の形が変わってしまうかもしれないという怖さが、コミカルな妄想のなかにしっかりにじんでいた。一方の源も、あいつ今日やっぱ変だよな、と洛に相談し、源のほうこそ姉さんのこと気になっちゃうみたいだね、と返されてしまう。
洛と八代先生
一方、洛は思わぬところで人の恋路に関わることになる。荷物を抱えて困っていた八代先生を手伝ったことから、話題は先生の彼氏のことへ。まだ別れていなかったのかと見抜く洛と、プライベートな質問は一切受け付けないと言い張る先生のやりとりが楽しい。
出しっぱなしの恋
それ絶対ズルズルしてるやつですよね、と指摘されても、ズルズルなんて、ふわっとしてるくらいです、と言い張る先生。どっちでもいいですよ、と返す洛の冷静さとの対比がおかしい。そこから先生は、成田君は初めて彼女ができたときどうでしたか、と問いかけ、少しずつ本音をこぼし始める。
初めての彼氏だったから、楽しかったことばかり頭に浮かんで、頑張っていればまたあの頃に戻れるんじゃないかって。そう語る先生に、洛はストップをかける。旅行代を出したのは、思い出の品を買ったのは。どちらも私です、と答えた先生は、出しっぱなしですね私、とようやく気づく。
教師としてこれ以上生徒に心配させたくはないので、今ここできっぱり話して別れます。そう宣言して電話をかけた先生だったが、いざとなると言葉が出てこない。頭ではわかっていても、簡単には断ち切れない初めての恋のもどかしさが、リアルに描かれていた。
俺がもらいます
そこで洛は電話を取り、初めまして、八代梓の新しい彼氏です、と名乗ってみせる。どれだけいい彼女に恵まれてたか、もう少し自覚してください。「あなたにこの人はもったいないんで俺がもらいます」。電話も二度とかけてこないでください、と言い切る洛は、まさに男前だった。
けれど電話を切ったあと、どうした俺、と自分で戸惑う姿がまたかわいらしい。後日、先生は無事に別れ話ができたと報告し、今私最高に晴れやかな気分なんです、と笑う。早く本物の新しい彼氏ができるといいですね、という洛の言葉に、なぜか一瞬の間。恋が芽生えたパターンか、と身構える洛に返ってきたのは、しばらくは仕事に打ち込むと決めているので、という答えで、そっちか、という心の声に笑ってしまった。
ロールキャベツの夜
夜中、明日はロールキャベツにしようかな、と台所に立つ糸。様子のおかしい糸を、源は放っておけなかった。この前からなんか変だぞ、目そらすなよ、余計心配になるだけだろうが、と詰め寄る源に、糸は思わずあっち行って、と突き放してしまう。
好きなだけ悩め
それでも源は、作るんだろ、ロールキャベツ、付き合ってやる、と隣に立つ。俺じゃ相談相手として頼りにならなそうだから、それくらいならしてもいいだろ。そんな源に、そばにいてくれるだけでいつも支えになってるよ、と答える糸。そして、ある人に伝えたいことがあるけれど、言ったら困らせてしまいそうで、と遠回しに打ち明ける。私のことよく見てくれてるくせに、恋心には全く気づかないよね、という糸の心の声が、なんとももどかしい。
源の答えは、どこまでもまっすぐだった。そうやって相手を気遣って悩めるのはお前のいいところだろ。お前がそうやって時間をかけた分、相手だって大切にされたんだなってわかるんじゃねえの。すげえ幸せ者だなそいつ。「少しくらい困らせたってバチ当たんねえから好きなだけ悩め」。自分のことだとは気づかないまま、糸の背中を押してしまう源の鈍さとやさしさに、胸がぎゅっとなった。
好きなんです
キャベツを丸めただけのロールキャベツに笑い、やっとまともに笑ったな、やっぱお前はそういう顔のほうがいいわ、と言われた瞬間、糸の想いはもう止められなかった。源、好き。好きなんです、源のことが。もう二度と家族として見てもらえなくたっていい、振り向いてもらえなくてもいい。
ところが源の返事は、ああ、知ってるけど。一緒に暮らせてるくらいなんだし、そんなん言われなくてもわかるわ。まさかの家族としての好きだと受け取られ、糸は出会った頃の話から一晩中説明し直すことに。ようやく出た言葉が、マジか。一晩中告白させ続けておいてやっと出たセリフがマジかって、という糸のツッコミに、一世一代の告白が空振りに終わる切なさとおかしさが詰まっていた。
まとめと考察
『うちの弟どもがすみません』第14話は、糸がついに想いを言葉にし、源がそれを受け止め始めるまでを描いた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
さようなら私の初恋
告白のあと、何も言ってこない源。何もなかったことにしておけば、これからもずっと今まで通りに暮らしていける。私は私で告白できてすっきりした。ありがとう、そしてさようなら、私の初恋。そう自分に言い聞かせる糸の姿には、家族を守るために自分の気持ちに幕を引こうとする彼女らしさがにじんでいて切なかった。
一方で、様子を見に来ていた母が柊の合格を喜びながら戻っていくなど、成田家の日常は変わらず続いていく。上の二人はこれから受験生、という言葉も、二人の関係がこれから試されていくことを予感させた。
急に決まった遊園地
ところが翌日、源は糸をたたき起こし、洛が福引きで当てたチケットで遊園地へ行くと言い出す。言っとくけど深い意味はないからな、と念を押す源に、デート、と固まる糸。絶叫系は余裕と言いながら、実は初めての遊園地だった糸の悲鳴にも笑わされた。私が弟に告白するようなバカだから、姉どころか女子としても認識されてないから、と嘆き、明日から受験生らしく真面目に学業にも励みます、だからお願いもう帰らせて、と懇願する姿には、恥ずかしさと切なさが入りまじっていた。
そして最後の観覧車で、源は切り出す。俺のこと好きっつったの冗談じゃないんだよな。これでもあれからずっと過去一でお前のこと考えてたわ。あんなこと言われて流せるかよ。お前とちゃんと話しつけるまでうちに返す気なかったしな。鈍感だった源が、初めて糸の想いと正面から向き合おうとしている。強風で止まった観覧車のなかで、二人がどんな答えを出すのか、続きが待ちきれない。
洛という弟の存在
今回、物語を大きく動かしたのは洛だった。糸には、俺たちの気持ちは俺たちのものだと伝えて告白の背中を押し、八代先生には、ずるずると続く恋に区切りをつけるきっかけを与えた。人の気持ちに敏感で、言いにくいこともはっきり言える洛の存在が、成田家の空気をやわらかく保っているように見える。
一方で、まさかうちの兄がそこまでポンコツとは思わなくて、と糸に謝る場面もあり、兄の鈍さには洛もお手上げの様子。弟たちに支えられながら進む糸の恋が、これからどんな形になっていくのかも見どころになりそうだ。
笑いと切なさ、そしてときめき。糸の一歩が、二人の関係を確かに動かし始めた第14話だった。




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