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ミサとの幸せな記憶が悪夢に変わる朝から始まった第4話。レントは購入したスキルで第二層のゴブリンコロニーを一人で制圧し、冒険者ランクも昇格する。その一方で、断空の剣は強制徴収の正体に少しずつ近づいていく。物語が大きく動き出す一話だ。ゴブリンコロニーの制圧、エムピーとの穏やかな時間、そして囮にされた剣士リンカとの出会いまで、第4話を振り返る。




第4話 悪夢から始まる一日
第4話【強敵】は、レントが大迷宮での攻略を着実に進める一方で、断空の剣が強制徴収の正体に気づき始める回だった。第二層のゴブリンコロニー制圧、エムピーとの穏やかな時間、追い詰められていく断空の剣、そして第三層で現れた本来いるはずのない強敵。物語が大きく動き出す予感に満ちた第4話を振り返っていく。
幸せな記憶と悪夢
冒頭、レントは昔の夢を見ていた。幌馬車の上で、ミサが「大冒険を夢見てる」レントのことをよく覚えていてくれた、あの頃の記憶だ。「冒険者になる時は」レントと一緒にと決めていたと笑うミサの姿は、今となってはあまりにも残酷に映る。そして夢はやはり、追放の日の悪夢へと変わってしまう。目を覚ましたレントの「夢か」という一言が重い。
幸せだった記憶ほど、裏切られた後には深い傷になる。レントがどれだけミサを信じていたのか、そしてどれだけ深く傷ついたのかが、この短い回想だけで痛いほど伝わってきた。強制徴収という痛快なスキルの裏側には、こうした消えない心の傷があるのだということを、改めて思い知らされる導入だった。
ゴブリンコロニーの制圧
第二層の森の奥には、ゴブリンたちの住みかであるゴブリンコロニーが広がっていた。個々の戦闘能力は大したことはないが、「集団で襲ってくるから厄介」な相手だ。ここでレントは、購入したスキルの力を初めて本格的に発揮する。「体の外に魔力をまとい」、同じ魔法を連続で、しかも「複数同時に放てる」というのだから、その強さは段違いだった。
魔法を休みなく使い続けることは、本来なら全力で走り続けるのと同じで不可能だという。それを可能にするスキルを手にしたことで、レントは一人でコロニーを制圧してしまう。「一人でコロニーを制覇しました」と喜ぶエムピーに、レントは「一人じゃないよ」と返す。エムピーがいるからこそ戦えたのだと伝えられ、照れながら「嬉しいお言葉です」と答えるエムピーがかわいらしかった。
これまでのレントは、短剣術とファイアーボール、ヒールを地道に使い分けながら戦ってきた。そこに複数の魔法を同時に放てる力が加わったことで、戦い方の幅は一気に広がった。サポート役として仲間に魔力を貸すだけだった少年が、今では一人で群れを相手取れるまでになっている。その成長の速さには、強制徴収というスキルの恐ろしさも感じずにはいられない。
ギルドでの換金では、ゴブリンの魔石が1341個、ゴブリンリーダーの魔石やゴブリンシードも合わせて、報酬はとんでもない額になる。冒険者ランクもEからDに昇格し、周りの冒険者たちが驚くのも無理はない。追放されたサポート役が、一人で大金を稼ぎ出す冒険者になっていく。その成長ぶりが数字ではっきり示されるのは、見ていて気持ちがいい。
何より印象的なのは、レントが力を手にしても浮かれすぎないところだ。報酬の大きさに驚きながらも、これで断空の剣に狙われても少しは戦えると冷静に考えている。追放されたときの悔しさを忘れていないからこそ、自分の力を過信せず、一歩一歩積み上げていこうとしているのだろう。そうした慎重さが、レントという主人公への信頼感につながっている。
エムピーとの時間と断空の剣
たこ焼きと魔力のご褒美
「戦いの後のたこ焼きは格別だね」。報酬を手にしたレントとエムピーは、たこ焼きを頬張りながら次の目標を語り合う。エムピーが勧めるのは、あと「15万」マジックポイントで手に入るというスキル。どんなスキルなのかと尋ねても「それは内緒です」とはぐらかされるが、それさえあれば断空の剣など恐るるに足らないという。
日頃の感謝を込めて「お礼がしたいんだ」と言うレントに、エムピーがねだったのは魔力だった。魔力はギフト妖精にとって「何よりのご馳走」なのだという。しかもエムピーは「直接ください」と、レントから直接魔力を受け取る。思わず「ファーストキスなのかな」と戸惑うレントの姿に、二人の距離がまた少し縮まったように感じた。
その夜、レントは眠るエムピーの寝顔を見つめながら考える。もしエムピー「と出会っていなかったら」、自分は今頃どうなっていたのだろう。「恋愛感情とは違う」のかもしれない。けれど「穏やかな寝顔を見ているだけで」「心が癒される」。悪夢にうなされた一日の終わりに、レントが今の幸せをかみしめる場面は、この回で一番温かい瞬間だった。
第1話で出会ったときのエムピーは、債務者に容赦のない悪魔的な一面ばかりが目立っていた。けれど回を重ねるごとに、レントを励まし、喜びを分かち合う相棒としての顔が見えてくる。たこ焼きをおいしそうに頬張り、魔力のご褒美に目を輝かせるエムピーの姿には、見ている側も思わず頬がゆるんでしまう。二人の関係がこれからどう変わっていくのかも楽しみだ。
追い詰められる断空の剣
一方の断空の剣は、レントの行方を追って「何日も街の中探し回った」ものの見つけられずにいた。しかも、借りた魔力の数値が日に日に減っていることにようやく気づく。「借りた魔力の数値なんて無視してた」というミサの言葉に、これまでどれだけレントの魔力に頼り切っていたのかがよく表れている。ガイは「俺たちの魔力を奪ってやがった」と怒りをあらわにする。
ミサは、自然回復の分と比べて借りた魔力の「減りが少なすぎる」ことにも気づく。強制徴収の仕組みに少しずつ近づいている様子は、今後の展開を考えると不気味だ。そこでミサが思いついたのが、魔力の高い冒険者を仲間に加えて「パーティーの魔力総量を増やせばいい」という作戦だった。
目をつけたのは、マジックポイントが「4200」もある黒魔術士の老人。ミサとエルは色仕掛けで勧誘するが、老人には仲間がいて、断空の剣の呪いのことは「ギルド中で噂になっとる」とあっさり断られてしまう。周りの冒険者からも「もう落ち目かもな」とささやかれ、かつての評判はすっかり地に落ちていた。
呪いの正体を突き止めるのではなく、他人の魔力で穴埋めしようとするあたりに、断空の剣の本質がよく表れている。かつてレントの魔力に頼り切っていたのと同じように、今度は別の誰かを都合よく利用しようとしているのだ。その発想が周りの冒険者にも見透かされ、勧誘を断られてしまうのは自業自得としか言いようがない。
断空の剣の悪評がすっかり知れ渡り、冒険者たちから厄介者扱いされている様子には、思わず笑ってしまった視聴者も多かったはずだ。
そんな中、ギルドからレントの拠点が「メルバ」に変更されたと知らされる。ガイは「探し出してぶち殺してやる」といきり立つ。自分たちが追放した相手を逆恨みし、さらに追い詰めようとする姿は、どこまでも身勝手だった。反省の色はまったく見えない。
断空の剣がメルバに向かえば、いずれレントと再会することになる。そのとき、力をつけたレントは何を思うのか。強制徴収という形で少しずつ借りを返させているレントと、それに気づいて怒りを募らせる断空の剣。両者の対決が近づいていることを感じさせる展開に、緊張感が高まっていく。
第4話のまとめ考察
第三層とイレギュラー
レントとエムピーは、いよいよ第三層の亡者の洞窟へ。薄暗くじめじめした通路に、レントは「気を引き締めないと」と言いながらも、「胸のワクワクが止まらない」と目を輝かせる。エムピーと「心で会話」できることも分かり、二人の連携はますます頼もしくなっていく。
第一層の大平原、第二層の森と進んできた大迷宮も、第三層からはモンスターが一段と手強くなる。閉塞感のある薄暗い洞窟は、これまでの開けた景色とはまるで違い、画面からも緊張感が伝わってくる。それでも未知の場所に胸を躍らせるレントの姿は、冒険者になることを夢見ていた少年の頃のままだった。冒頭の悪夢と対になるような、前向きな表情がうれしい。
ところが、近くで冒険者がモンスターと戦っている気配を察知したレントの顔色が変わる。現れたのは「イレギュラー」。「その階層にそぐわない強敵」のことだ。危険を承知で加勢に向かおうとするレントに、エムピーも「魔力儲けの匂い」がすると笑って背中を押す。人の良さと商売っ気が同居した二人らしいやり取りだった。
危険と分かっていても見捨てられないレントは、自分でもお人よしなのかもしれないとこぼす。けれど、その優しさこそがレントの一番の強さなのだと思う。仲間に見捨てられる痛みを誰よりも知っているからこそ、同じ目にあっている誰かを放っておけないのだろう。
囮にされた剣士
逃げてきた冒険者たちは、仲間を一人置き去りにしていた。「全滅するよりマシだろうが」、あの女も最後に役に立てて「本望だろうよ」。仲間を囮にして逃げ出したのだ。察知した冒険者は4人、「まだ1人残ってる」。行き止まりに見えた壁は周りと「材質が違う」、魔法で作られた「作りたてなんだ」と見抜いたレントは、ファイアーボールで壁を打ち破る。
その先にいたのは、満身創痍で強敵に立ち向かう剣士リンカだった。傷だらけになりながらも「かかってきなさい」と剣を構えるリンカの姿は、仲間に見捨てられたかつてのレントの姿とも重なる。同じように仲間に裏切られた二人が、ここで出会うことになるのだ。
仲間に囮にされても、なお一人で剣を構え続けるリンカの強さには胸を打たれた。誰にも助けてもらえない状況で、それでも諦めずに戦う姿は、追放された日のレントが持てなかったものかもしれない。だからこそ、そんなリンカのもとへ駆けつけたレントの選択には大きな意味がある。
振り返ってみると、第4話はレントが手にしたものと、断空の剣が失っていくものがはっきりと対比された回だった。エムピーという信頼できる相棒、着実に増えていく力と報酬。その一方で、断空の剣は魔力も評判も失い、ますます追い詰められていく。そして最後に現れたリンカは、レントにとって新たな仲間となるのか。副題の【強敵】が示すイレギュラーとの戦いが、どんな結末を迎えるのか気になるところで幕を閉じた。




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