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『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第18話「鍛冶師ベルガ」は、存在進化の報告を受けたギルド長ハレインの取り乱しぶりから始まり、特例のB級昇格、そして偏屈な鍛冶師ベルガとの出会いへと進む会話中心の回だった。ミスリルの剣を託すまでのベルガの説教と職人としての信念、そして最後にルーチェを驚かせた釣りの誘いまでを、場面ごとに順番に振り返っていく。




第18話「鍛冶師ベルガ」ギルド長ハレインへの報告
黒幕かもしれない相手に
『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第18話「鍛冶師ベルガ」は、ギルド長ハレインとの面会の続きから始まる。底の見えない彼女を前に、エルマは慎重だった。ハレインが存在進化の黒幕である可能性がある以上、下手な探りは入れず、簡単な報告だけにとどめておとなしく引いた方がいい。そう考えたうえで、百足坑道の主ロックセンチピードが存在進化を引き起こしたことを伝える。出現から日の浅いダンジョンで起きた異変は、何かの予兆ではないかと直接相談したかったのだ。
ところが話を聞いたハレインの様子が、みるみるうちにおかしくなっていく。まだ出現して半月程度の場所でなぜそんな事態が起きたのかと、明らかに動揺している。
これは演技か
一つ対応を誤れば恐ろしいことになると取り乱すハレインを前に、エルマは「これは演技か」と疑い、すぐに「いや演技でこんな顔ができるか」と思い直す。少しレベルが上がるだけでしょうと口を挟んだ部下に対しては、レベル60の魔物がレベル80近い化け物になるのだと一喝。前例がほとんどなく、どんなスキルを持つかも分からない相手を討伐できるパーティーが、この都に存在すると思っているのかと詰め寄る姿は、ギルド長としての責任感そのものだった。
さらにハレインは、よく生き残って報告に戻ってきてくれたとねぎらい、死人は出たのか、名前は公表しないから正直に答えてほしいと続ける。エルマは困惑しながら、すでに攻略したと伝えたばかりだと返す。どうやらハレインは、二人が逃げ帰ってきたものと決めつけていたらしい。それほど彼女の中で、マスターの存在進化は脅威なのだろう。「とりあえずハレインはシロと見てもいいかもしれない」というエルマの判断に、見ている側もほっとした。
紅茶ではなく魔石を
討伐したという話がにわかに信じられないハレインは、魔石を持ってくるよう部下に命じる。ところが部下が持っていこうとしたのは紅茶の替えで、紅茶なら先ほどハレイン様が机から落とされたばかりだと言われてしまう。あの威厳たっぷりだったギルド長が、すっかり慌てふためいているのが可笑しい。
おっかない人だと思っていたけれど、なんだか可愛い方だという感想がこぼれるのも納得だった。極めつけは、遅くなりましたと魔石と一緒に新しい紅茶まで運んできた部下に、「魔石だけでいいと言っただろうが」と叫ぶ場面。前回の底知れない印象から一転、すっかり愛すべきキャラクターになってしまった。
威厳と取り乱しぶりの落差が大きいほど、ハレインというキャラクターの人間味が際立つ。前回は手玉に取れると思うなと釘を刺していた相手が、今回はひたすら慌てているのだから、そのギャップに笑わずにはいられない。
禁断の大森林
落ち着きを取り戻したハレインは、「よくぞ存在進化したマスターを討伐してくれた」と改めて二人をたたえる。気になることは大いにあるが、一番不気味なのは、なぜ百足坑道でこのようなことが起こったのか。問題のダンジョンが消えた今となっては、調べようもない。
ギルド長として曖昧な憶測を口にするわけにはいかないと前置きしたうえで、ハレインは、禁断の大森林に近い王都北部では妙な魔物災害が起きやすいと明かす。攻略されずに放棄され続けた高レベルダンジョンであふれ、魔物災害が常態化しているこの大陸最悪の禁足地だ。それに近い現象が、冒険者も多いこの地で起きた。理解が早いなとエルマを認めつつも、その先の問いには答えない。「俺には今回の件は人為的に引き起こされたことに思えてならなかった」というエルマのモノローグが、不穏な余韻を残した。
特例のB級昇格とギルドの勧誘
当然の職務だ
話を終えて立ち去ろうとする二人を、ハレインは呼び止める。二人の実力は十分に分かったとして、特例としてこの場でB級冒険者への昇級を認めるというのだ。C級を飛ばした昇格に部下は慌てるが、当主から直々にギルド長に任命された身であり、ほかの都市のギルドも自分の判断に異を唱える者はいないと言い切る。
見返りを求めるつもりではと警戒するエルマに、ハレインは「優秀な冒険者を相応の地位につけるのは当然の職務だ」と答える。これからも冒険者として活動してくれればそれでいい、それがこのギルドとこの国のためになるのだから。思わずかっこいいという声が漏れるのも当然の、ギルド長らしい言葉だった。
そっちが本音
ところがハレインは、コホンと咳払いして、それとは全く関係ないと断りながら、ギルド職員を増員したい、メンツもあるのでB級以上の冒険者が望ましいと切り出す。そっちが本音なのかと突っ込みたくなる見事な流れだ。同じレベル帯の冒険者の倍以上の給料を約束するという好条件だったが、エルマは他家の貴族に仕えるような真似には抵抗があると断り、ルーチェも私もお断りでと続く。
条件も聞かずに振られてしまったハレインに、エルマは昇級の話も辞退すると申し出る。けれどハレインは、関係ないと前置きしただろうと言い、「さっきの言葉も私の本音だ」と借りを作ったと気負う必要はないと告げる。ありがたく受け取ることにした二人に、気が変わればいつでも相談に来てほしい、そちであれば最優先で時間を作ろうと付け加えるあたり、未練がましさまで含めて憎めない人だった。
鍛冶師ベルガを訪ねて
腕のいい鍛冶師を探して
B級冒険者になった二人の次の目標は、腕のいい鍛冶師を見つけること。ルーチェは前回手に入れた高価な小刀を装備することに恐縮するが、攻撃力が高く、ルーチェの幸運と相性のいい付与効果まで持っているのだから、売り飛ばす方がはるかにもったいないとエルマは言う。これを売ったら毎日おいしいものをたくさん食べられるのにと残念がるルーチェに、今度またおいしい店を探しに行こうかと返すやり取りが微笑ましい。
エルマは自分の鎧と武器に黒金とミスリルを使いたいと考えていた。ダンジョン産の金属を加工するには鍛冶師クラスの専用スキルツリーが必要で、この世界ではゲーム以上に貴重な人材のはずだ。案の定、高レベルの鍛冶師は貴族に召し抱えられているか王都で大きな店を構えていることが多く、半日かけて店を回ってようやく、レベル60の鍛冶師の情報を得る。ただしその人物は、頑固で偏屈な老人で、一度機嫌を損ねれば金をいくら積まれても仕事を引き受けないのだという。
気に食わんことが二つ
訪ねた先で、ベルガはいきなり二人を厄介な冒険者と間違えて怒鳴りつける。最近しつこく付きまとう冒険者がいるらしい。穏便に済ませようと、腕利きの鍛冶師だと聞いている、無茶な仕事を押し付けられることもあるだろうと気遣ったエルマだったが、その適当に返事をしておこうという薄っぺらい態度が気に食わんと、逆に説教が始まってしまう。
ベルガが気に食わないのは、思い上がったガキと、おべっかばかりの軽薄者。今の冒険者はこのどちらかしかいないというのだ。社交辞令を一言口にしただけでなぜ説教を受けているのかと戸惑うエルマのモノローグが可笑しい。金ならあるから見合う剣を用意しろと迫る冒険者に、金で動くならこんなところに住んでいないと憤るベルガを見て、いざとなったら金でどうにかするつもりだったエルマが仕切り直しを考えるのも笑えた。
まずは人が先なのだ
帰ろうとした二人に、年寄りに長々と立ち話させるでないわ、ついてこいとベルガ。もしかして話し相手が欲しいだけなのではとささやいたら、聞こえておるぞと返されるのがお約束の流れだ。家の中でもベルガの話は続く。今の若者は自分の実力から目を背け、武器や環境に頼ってごまかそうとする。「まずは人が先なのだ」。「持っただけで誰でも英雄になれる武器など」自分にも打てないし、あってはならない。
いつまで続くんだと思いながらも、エルマは言っていることは正しいと受け止める。防御型や速度型のクラスはレベルが上げにくく、金頼みで攻撃力を補えば命を落とすことになる。ベルガは、命を粗末にしないよう説教してくれているのだ。偏屈な言葉の裏にある職人としての優しさを、エルマがきちんと見抜いているのがいい。
ミスリルを前にして
エルマは、依頼の内容を聞いてから、あなたの信念として受けられないかどうかを判断してほしいと切り出し、ミスリルを差し出す。まさかミスリルかと目の色を変え、鍛冶師として挑まねばと心が揺れるベルガ。それでも、力なき者に不相応な武器を渡すような真似は「わしの信念に反する」と、一度は断ってしまう。
そこでエルマは、これは自分とルーチェがミスリルゴーレムを倒して手に入れたもので、二人はB級冒険者だと明かす。まさか最下級の鉄の鎧を装備したB級冒険者がやってくるとはと驚くベルガに、エルマは鉄の鎧が侮られる理由になると反省する。「ギリギリ合格といったところかの」という言い回しに、ベルガの素直になれない性格がにじんでいた。
さらにルーチェの提案で、ミスリルの剣に破壊のルーンも埋め込んでもらうことに。市場価値2000万ゴルド、埋め込んだ武器の攻撃力を30%上昇させるレアアイテムに、ベルガは「思いもよらぬ大仕事になってしまったわい」と言いながらもうれしそうだ。ミスリルの剣、黒金の鎧の製造、ルーンの埋め込みの3つで400万ゴルド。最後に、この先も鉄の鎧で戦うつもりではなかったのじゃなと安心するベルガの一言に、本当は二人の身を案じていたことが伝わってほっこりした。
束の間の休息と釣りの誘い
デートのお誘い
鍛冶が終わるまでの数日間、二人は観光を兼ねた情報収集に専念する。スキルブックの転売で儲けようと考えるエルマを、転売の話は諦めましょうとルーチェがたしなめるのがいつもの二人らしい。そんな中、エルマが目を留めたのは推奨レベル20のラーナ地底湖。冒険者見習いが魔物との戦闘に慣れるために行くようなダンジョンだ。
ベルガが装備を作り終えるまでまだ時間がかかる。魔物狩りは少し休んで、たまには気晴らしに釣りでも行ってみないかと誘うエルマに、ルーチェは「デートのお誘いっていうことですか」と頬を染める。返ってきたのは「あ、釣りだが」という身もふたもない一言。期待した分だけ落差の大きいルーチェの表情に、思わず笑ってしまった。
第18話のまとめ考察
人を見る大人たち
第18話は、戦闘のない会話中心の回だったが、新たに出会った二人の大人がとても魅力的だった。ハレインは威厳と慌てぶりの落差で笑わせながらも、マスターの存在進化を本気で恐れ、冒険者の命を気にかけるギルド長としての顔を見せた。ベルガは偏屈な態度の裏で、実力の伴わない者に強すぎる武器を渡さないという職人の信念を貫いていた。
どちらも相手の実力と人柄を自分の目で確かめてから認めるという点で共通している。エルマが重騎士としての実力をきちんと示し、言葉の裏にある本音を受け止めるからこそ、二人との関係が築けたのだろう。B級昇格とミスリルの剣という大きな前進の一方で、存在進化が人為的に引き起こされた可能性という不穏な謎も残った。束の間の休息を挟みつつ、物語がどこへ向かうのか楽しみに見守りたい。




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