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マードックの新作スイーツ作りを邪魔するほど元気なシャリタツたちを連れて、ズゴゴ湖へ向かったリコたち。そこで出会ったのは、意地悪なミガルーサにいじめられている怖がりなヘイラッシャだった。なぜシャリタツたちはお皿に乗りたがるのか。地鳴りの正体、寿司屋の看板ポケモンだった過去、そして本当の居場所まで、笑いとほろりが同居した第156話を振り返る。




ズゴゴ湖の大きなヘイラッシャ
クリームだらけのシャリタツたち
『ポケットモンスター(新シリーズ)』第156話は、マードックが連れているシャリタツたちが主役の一話だった。前回まで続いたさいやくポケモンをめぐる重いお話から一転して、今回は笑いどころがいっぱい。それでいて最後には、シャリタツたちがずっと探していたものにきちんと答えが出る。軽やかさとほろりとする余韻が同居した、気持ちのいい回だった。
物語は、ドットが見つけたおもしろスポットの話から始まる。「どこからともなく」、「ズゴゴゴって地鳴りが聞こえるから」、「こう呼ばれてるんだって」。その名もズゴゴ湖。「変な名前」と言いながらも、配信用の動画が撮れそうだと、みんな興味津々だ。
その頃キッチンでは、マードックが「そんなクリームだらけで暴れるんじゃなーい」と大騒ぎ。「新作スイーツのレシピを開発してるんだが」、シャリタツたちが「こうやって邪魔してくるんだ」。皿の上に乗りたがるシャリタツたちのせいで、落ち着いて料理もできない。そこで「もしかしたらこの子たち元気が有り余ってるんじゃないかなって」という一言から、シャリタツたちもズゴゴ湖へ連れて行くことになった。マスカーニャがさっと騒ぎを収めてくれる場面も、さりげなく頼もしい。
大岩の正体
ところが湖に着いてみても、地鳴りはさっぱり聞こえない。ネットの情報は嘘だったのかと思い始めたそのとき、地鳴りが響き、大岩だと思っていたものが動き出す。正体はヘイラッシャだった。図鑑の説明は「巨体と怪力の持ち主だが、頭はあまり良くないらしい」。あまりにも正直すぎる紹介に、思わず笑ってしまった。
その巨体に似合わず、ヘイラッシャはとても怖がりだった。リコたちの姿を見ただけで、あわてて逃げてしまう。それなら、どうしてわざわざ陸に上がっていたのか。「湖の中にいたほうが 安全だよね」という疑問が、このお話の入り口になっていた。
意地悪なミガルーサ
地鳴りは怖がっている音だった
その答えはすぐにわかった。湖の中から猛スピードで現れたのは、ミガルーサ。図鑑によれば、「高い再生能力を持ち 体の贅肉を捨てて身軽になり」、獲物に突撃するポケモンだ。ヘイラッシャは、このミガルーサから逃げて陸に上がっていたのだった。
つまり、ズゴゴ湖の名前の由来になった地鳴りは、「ヘイラッシャが怖がってる音だったんだ」。湖の不思議の正体が、こんなにかわいそうな理由だったとは。さらに、「この子、あんまりご飯食べられていないんじゃないのかな」という気づきも重なる。いつも追いかけ回されて、落ち着いてご飯も食べられない。大きな体のヘイラッシャが、急に小さく見えてきた。
しかも、ミガルーサはリコたちをあざ笑うように水をかけてくる。「カチンと来たんだけど」。普段は穏やかなリコたちが、そろって怒りをあらわにする場面は珍しく、それだけミガルーサの意地悪ぶりが際立っていた。
口の中から目をキラキラさせて
そんなとき、シャリタツたちがものすごい勢いでヘイラッシャに向かっていき、なんと口の中に飛び込んでしまう。食べられてしまったのかと心配したのもつかの間、出てきたシャリタツたちは目をキラキラさせていた。そこから先は、呼んでも全然出てこない。「意地悪なミガルーサとビビリなヘイラッシャか」。シャリタツたちがなぜそんなにうれしそうなのか、この時点では誰にもわからなかった。
マードックとシャリタツの昔話
寿司屋の看板ポケモン
船に戻っても、シャリタツたちはお皿に乗っかろうとする。「なんでシャリタツたちはこんな皿に乗っかりたがるんだろう」。その疑問に、マードックが昔の話を始める。「こいつらには深い事情があって話せば長くなるんだが」。シャリタツたちと出会ったのは、マードックが寿司屋でアルバイトをしていた頃のことだった。
ところが、マードックが寿司屋にいたと聞いた途端、みんなの頭の中はすっかり寿司でいっぱいに。「明日の朝ごはん寿司がいい」、辛いものは得意かどうか、「わさびの辛さは苦手なんだよね」と、話はどんどん脱線していく。ガリが好きだとはしゃぐナヴィもかわいらしかった。
それを止めたのが、「寿司の話よりマードックの話」という一言。ようやく本題に戻り、マードックは「もともとシャリタツたちは、その寿司屋の看板ポケモンだったんだ」と明かす。カウンターに並んだシャリタツたちをめぐる寿司屋での回想は、テンポがよくて大笑いしてしまった。
お店のあちこちがシャリタツたちの乗る台になっていて、マードックも「いや、だから乗るなよ」とあきれ顔。シャリタツたちが昔からお皿や台に乗りたがるのは、このお店にいた頃から変わっていないらしい。
でっけえ世界を見せてやってくれ
マードックがブレイブアサギ号に戻り、世界中を旅して回ることになったとき、大将はシャリタツたちを託す。「ここはよ、狭すぎるんだ」、「こいつらの持ってるパワーはもっともっとすげえ」、「こいつらの本当の居場所がどっかにあるはずなんだ」、「こいつらにでっけえ世界を見せてやってくれ」。笑いの多い回想の最後に、シャリタツたちを本気で思う大将の気持ちがまっすぐ伝わってきて、心が熱くなった。シャリタツたちのいたずらを叱りながらも、その力をいちばん信じていたのは大将だったのだと思う。
マードックは「大将 お世話になりました」と頭を下げ、シャリタツたちを連れて店を後にした。それでも、お皿に乗る理由は結局わからないまま。それでもマードックは「俺も大将と同じことを願ってるよ」、「こいつらに最高の居場所を見つけてやりたいってな」と話す。ただのいたずら好きに見えていたシャリタツたちが、急に大切な預かりものに見えてきた。
ヘイラッシャのそばが本当の居場所
再びミガルーサが現れて
再び湖を訪れると、シャリタツたちはすっかりヘイラッシャになついていて、「メッチャ 口の中に入ろうとしてる」。そこへまた意地悪なミガルーサが現れる。シャリタツたちが口の中に飛び込むと、何もしていないのに勝手に怖がっていたはずのヘイラッシャが、ミガルーサの「攻撃をはね返した」。
スピードを上げて逃げ切れそうになったところで、「ミガルーサもスピードアップした」。「またいじめられちゃうよ」と心配する声が上がる中、シャリタツたちはヘイラッシャの頭の上へ。まるでお皿に乗るように、ちょこんと並んだ。
そこでマードックは、ようやくシャリタツたちの気持ちに気づく。「ずっとずっと 居場所を探してたんだ」、「でっけえ世界を見られる居場所をな」。いろんなものに乗っかっていたのは、ただのいたずらではなかった。そして、「ヘイラッシャのそばが本当の居場所」。大将の願いが、ここでやっと形になった瞬間だった。
シャリタツ、いっちょうあがり
「思いっきりぶちかましちゃえ」の声を合図に、ヘイラッシャとシャリタツたちが力を合わせてミガルーサに立ち向かう。大将が言っていたすごい力を、ついに思いきり見せるときが来た。頭はあまり良くないと言われたヘイラッシャと、体は小さいシャリタツたち。お互いに足りないものを補い合う姿がとても頼もしかった。逃げ回るばかりだったヘイラッシャが、シャリタツたちと一緒になった途端に堂々と構える。その変わりようが見ていて爽快だった。
戦いが終わると、「すごいバトルだったね」、「もう意地悪されないね」、「きっとヘイラッシャも自由にご飯食べられるようになるよ」。怖がりだったヘイラッシャが、やっと安心して湖で暮らせるようになる。地鳴りの理由を知っているだけに、この言葉にはほっとさせられた。
お別れと置き土産
船に戻る前に、マードックは完成した新作スイーツを手渡す。「お前たちのイタズラがなかったらあっという間にできたぞ」という一言に、照れ隠しのような優しさがにじむ。「よかったね、素敵な仲間と出会えて」、「元気でね」、「あんまり無茶はするなよ」。いたずら好きのシャリタツたちとの、思いがけないお別れだった。
夜の湖で、ヘイラッシャとシャリタツたちが仲良くスイーツを味わう姿は、とても穏やかだった。ミガルーサにもおすそ分けがあったようで、最後は誰も取り残さない終わり方がこの作品らしい。そして船に戻ったリコたちは、「あちこちきれいになってる」ことに気づく。シャリタツたちが残していったささやかな恩返しに、思わず笑顔になった。
第156話のまとめ考察
シャリタツたちが探していた居場所
第156話でいちばん心に残ったのは、シャリタツたちのいたずらに理由があったことだ。お皿に乗る、台に乗る、どこにでも乗りたがる。困ったいたずらにしか見えなかった行動は、ずっと自分たちの居場所を探す行動だった。寿司屋の大将が狭すぎると言い、マードックが最高の居場所を見つけてやりたいと願い続けてきたその答えが、ズゴゴ湖のヘイラッシャのそばにあった。
ヘイラッシャもまた、大きな体を持ちながら怖がりで、ミガルーサにいじめられてご飯も満足に食べられなかった。体だけ大きくても、気持ちだけ大きくてもうまくいかない2匹が出会い、一緒になることで本当の力を出せる。似た者同士が支え合う関係が、とても温かく描かれていた。
笑いと別れが同居した一話
寿司屋での回想や、寿司の話で脱線するリコたちなど、今回は全編を通して笑いが多かった。だからこそ、大将の願いがかなう場面や、シャリタツたちとのお別れがいっそう心にしみる。にぎやかなシャリタツたちがブレイブアサギ号からいなくなるのは寂しいけれど、でっけえ世界を見られる居場所で元気に暮らしてほしいと素直に思えた。
長い旅の中では、仲間が増えることもあれば、それぞれの居場所を見つけて離れていくこともある。今回のシャリタツたちのお別れは、そんな旅の一面を明るく見せてくれた。マードックが大将から受け取った思いを、最後まできちんと果たしたことも含めて、心に残る一話だった。




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