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『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です2』第9話の副題は「リビア……」。第1話から第8話までの副題はすべて誰かが言い切った台詞だったのに、この回だけが呼びかけの途中で切れている。公式サイトの担当者欄を並べると、監督が絵コンテに入っているのは第8話とこの回の二本だけだった。中身のほうは、いちばん強い相棒を自分から外して始まる戦いになる。そして前回は数値にできなかった愛が、今回は障壁を破る理由として使われる。




副題「リビア……」だけが、言い切りになっていない
三点リーダーまでが公式の表記
第9話の副題は「リビア……」。公式サイトのストーリー欄、放送当日の公式アカウントの告知、しょぼいカレンダーのどれも同じ表記で、三点リーダーまで入っている。
名前を呼んだだけで、そのあとが続いていない。副題が文として完成していないのは、この作品ではこの回が初めてになる。
第1話から第8話までは、全部が言い切りの台詞だった
並べると形がはっきりする。第1話が「愛こそ、世界を救うんだよなぁ」、第2話が「滅びの美学がお好みですか?」、第3話が「おい、クソガキ」。
以降も、「また手のひら返しかよ」「建前が大好きでしてね」「嫌なら俺は逃げるだけです」「汚い口を閉じろ、ゴミが」「愛を数値ではかるなんておかしいよ!」と続く。誰かが最後まで言い切った台詞ばかりで、罵倒か宣言か問いかけのどれかに収まっている。
副題に人の名前が入るのも、この回が初めて
これまでの八つを見ても、人の名前が入った副題は一つもない。台詞として抜き出されていても、そこで指されているのは相手そのものではなく状況のほうだった。
第9話で初めて、副題が特定の一人の名前になっている。しかも公式のキャラクター紹介にある本名のオリヴィアではなく、親しい相手が使う愛称のほうが選ばれている。
公式のあらすじも、同じところで切れている
公式サイトのあらすじは、王都上空に空の守護神の接近を知ったリオンは、ルクシオンに王都近郊に迫る海の守護神の足止めを託す、から始まる。
締めが、やがて王家の船が出航し、王国の反撃が始まるのだが……である。副題もあらすじも三点リーダーで終わっていて、結果のほうを書かずに置いている。
切れ方が、この回の作りと揃っている
実際、この回は決着しない。倒しても再生する相手を前に、ならば倒し続けるまで、ここから先へは一歩も行かせませんよ、という受け方で押し続けるだけで、勝ったとも負けたとも言われないまま終わる。
最後に起きるのも決着ではなく、リビアが周囲に反応しはじめるところまでだった。副題が呼びかけの途中で止まっているのは、この作りをそのまま写しているからだと読める。
公式サイトの担当者欄が、この回の位置づけを説明している
脚本は9話とも同じ人
公式サイトのストーリー欄には、あらすじの下に脚本・絵コンテ・演出・総作画監督・作画監督が話数ごとに並んでいる。第1話から第9話まで同じ形で読めるので、回ごとの体制の違いをそのまま比べられる。
脚本は第1話から第9話まですべて猪原健太。シリーズ構成も同じ人なので、ここまでの9話ぶんの文章はひとりの手で書かれていることになる。
監督が絵コンテに入るのは、第8話とこの回だけ
絵コンテの欄を第1話から並べると、監督の三浦和也の名前が出てくるのは二回しかない。第8話とこの第9話である。
第1話から第7話までは、監督は絵コンテに入っていない。終盤に入ってから、監督が画面の設計そのものに直接入っている。
第1話とこの回は、絵コンテも演出も同じ人
もう一つ、並びが揃っている。第9話の絵コンテと演出は呉瑜玹で、この名前が出るのは第1話以来だった。
第1話も絵コンテ・演出がともに呉瑜玹で、9話の中でこの二本だけが同じ担当になっている。第1話の副題が「愛こそ、世界を救うんだよなぁ」で、この回が愛を理由に障壁を抜ける回だと考えると、置き方が噛み合っている。
総作画監督の二人目だけが、回ごとに替わる
総作画監督の欄は二人ぶんあり、そのうち鈴木政彦は第1話から第9話まで全部に入っている。動いているのはもう一人のほうだった。
森前和也、萩尾圭太、柄谷綾子、熊谷夏美、塚本龍介と、二人目だけが回ごとに入れ替わっている。キャラクターデザインを兼ねる人が全話で顔を揃え、そこに回ごとの担当が付く形になっている。
作画監督の枠も増えている
第9話の作画監督は五枠で、総作画監督は鈴木政彦と萩尾圭太の二人。萩尾圭太が総作画監督に入るのは第2話・第4話に続いて三回目になる。
直前の第8話は作画監督が二枠だったので、倍以上に増えている。全編が飛行船と鎧の戦闘という中身なので、枠の増え方は素直に読める。
味方が一枚ずつ減ってから、戦いが始まる
最初に抜けるのが、いちばん強い相棒
冒頭でルクシオンが離脱を告げる。超大型の近くでは通信が妨害されます、私自身はマスターのサポートを行うことができません、と条件まで説明する。
公式のあらすじにも、王都近郊に迫る海の守護神の足止めを託すと書かれている。リオンの返事は、いいから行け、だった。この作品でいちばん強い手札を、開始五分で自分から外している。
代わりに来たのは、もう一体の人工知能
去り際に、私とは別の人工知能をサポートにつけましたので、と言い残していた。その通り、船の制御役が現れる。
自己紹介が、ルクシオンにこの船の制御を命じられたの、あいつには少し借りがあるのよね、だった。名前を聞かれた返しが、製造番号では味気ないでしょうから、クレアーレとでも呼んでちょうだいである。船の操作は私に任せて、大船に乗ったつもりでいて結構よ、まで続く。
送り出す側の言葉が、極端に短い
出撃の場面は台詞が削られている。王家の船の出撃準備は完了しています、テストはなしだ、幸運を。
浮上開始、船体安定、各部異常なし、と手順の言葉だけが続く。前回まで人間関係でもめ続けていた船が、ここでは道具として淡々と動き出す。
仮面の騎士は、名乗ってすぐ正体を明かす
白い鎧が味方として現れる。訳あって名は明かせないが、私のことは仮面の騎士と呼んでもらおう、と名乗る。
ところが、何をしに来た殿下、と呼びかけられた途端に崩れる。私はユリウス殿下などという高貴なお方では、ああ俺はユリウスだ。隠す気がないというより、隠す手順のほうを守る気がない。総司令官の側も、お前が死んだら俺の責任になるんだよ、と怒るだけで追い返せていない。帰れ、嫌だ、の応酬まで含めて、開戦前の一場面がまるごとコントになっている。
その鎧は、父親の私物だった
同じころ、王城で騒いでいる人物がいる。ない、私の変身セットがない、鎧を起動する鍵もない、と探し回っている。
妻の仕業だと疑ったところで本人が現れ、なぜこの部屋を知っている、と慌てるが、みんな知っていますよと返される。そして、まさかあいつが私の変身セットを、王の秘めたるロマンを、で答えが出る。仮面の騎士の装備は、国王が隠していたつもりの趣味だった。
敵側も、追われてきた側から始まる
冒頭のもう一本は公国側だった。牢に入っていたはずの相手が現れ、貴様のせいで私は全てを失った、貴様さえ口をつぐんでおれば全てはうまくいったのだ、と迫る。
返しが、獄中でおとなしく死んでくれると思ってたわだった。そこへ公国の黒騎士バンデルが助けに入り、この老いぼれの最後の奉公です、奪われていた魔笛と大剣はすでに回収しました、妹君もお待ちです、と告げる。開戦前に、両方の陣営がそれぞれ内側でもめている。
数値にできなかった愛が、障壁を破る理由になる
マリエは「偽物の聖女」として盾に立たされる
マリエの配置は具体的だった。お前は王家の船の援護だ、あの船が化け物のバリアを破るまで、リビアたちの盾になれ。
断る理由も具体的である。戦うなんて嫌よ、死にたくない。返ってきたのが、ここで活躍すればワンチャン生き残る道ができるだろうがだった。そのために神殿から聖女の装備も借りてきた、偽物に渡してたんだってな、まで言われている。
五人がそろって前に出る
そこへ、安心しろマリエ、僕たちがいる限り大丈夫さ、この俺がお前を守ってやる、必ずお役に立ってみせましょう、マリエもう一人じゃないぞ、と五人分の言葉が続けて出る。
戦闘中も同じ形が繰り返される。なぜあなたが前に出るんです、マリエは俺たちが守る、僕たちの愛を今こそ見せるとき。前回、相性を数値で測られて全員が低い点を出した五人が、この回では順番に前へ出ている。守る相手も言い方も前回から変わっていないのに、立っている場所だけが後方から前線へ移っている。
送り出された側を見ている目も入る
味方の艦隊からの声も拾われる。信じられんな、あの大艦隊をリオンが率いているなんて。
続くのが、あんな馬鹿でかいモンスター、本当に倒せるのかである。総司令官という看板を見ている側は、期待ではなく不安のほうを口にしている。
障壁を破る理由が、そのまま前回の答えになっている
突入の場面で敵側が言うのが、あらゆるものを無効化する守護神様の障壁が、である。無効化できないものは無いはずだった。
それに対する一言が、愛はどんな障壁も突き破るのよだった。前回の副題は「愛を数値ではかるなんておかしいよ!」で、装置はどの組み合わせでも船を動かせなかった。ところがこの回では、測れなかったほうの理由で実際に障壁を抜けている。
敵側の理由も、家族の話で置かれている
姉妹の会話が挟まる。覚えていますか、父上や母上とこうして空を旅したこと、あの頃は何もかもが楽しかったわ。
続きが、父上や母上が王国の手にかかったと聞くまではである。あの日から私たちは全てを背負うと決めた、と結ばれる。守護神を呼んでいる側の動機も、こちら側と同じ家族の話でできている。
締めは、名前が呼ばれるところで切れる
戦いは決着しない。湖の上空で迎え撃つ、各艦戦列に攻撃準備、という指示から始まり、倒しても復活するようですね、という報告が早い段階で出てしまう。倒しても自己再生する相手に、援護も盾も間に合わせながら押し続けるだけになる。血が流れるのは辛い、という一言も出る。
そして最後に船の中で起きるのが、共鳴とでも言えばいいのかしら、という報告だった。周囲の状況にリビアが反応しはじめている、というところで回が終わる。副題が呼びかけの途中で切れているのは、続きがこの先にあるからである。




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