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『盗掘王』第10話の副題は「遺物の呪い」。副題に遺物という語が入るのは四回目だが、遺物のほうが主語になったのは今回が初めてだ。前半でアイリーンの遺物は制御下に入るのに、取り除かれたわけではない。そして将軍が地図を集めていた理由は、宝の在り処ではなく狙いをつけるための座標だった。守ると宣言した組織と、薬で儲ける未来が、同じ回の中に並んで置かれている。




副題「遺物の呪い」で、主語が初めて遺物に移った
第10話の副題は「遺物の呪い」。公式サイトのストーリーページと、公式アカウントの放送開始告知に同じ表記がある。この作品の副題は毎回きれいに揃った形で並んでいて、今回はその並びの中で位置がはっきり変わっている。
副題に「遺物」が入るのは四回目だ
並べると、第2話「遺物の主になろうとする者」、第7話「遺物の復元」、第9話「遺物を統べる者」、そして今回の「遺物の呪い」。十話のうち四つに遺物という語が入っている。この作品の題は、人物名ではなく仕組みや役割の名前で立てられることが多い。
前の三つは、人が遺物をどうするかの題だった
主になろうとする、復元する、統べる。どれも動作の主は人間の側にある。ところが今回だけは、呪いを出す側が遺物になっている。四つ目にして初めて、遺物のほうが主語になった。題の形がそのまま、この回で立場が入れ替わったことを言っている。
呪いが解けた回に、「呪い」と題している
冒頭で片づくのは、アイリーンに取り付いていた遺物の制御だ。公式のあらすじも、屈服させ、異能力の制御に成功した、と書く。解決の回に「呪い」と名前がついていて、しかも後半で別の呪いが見つかる。一つ解けたところに二つ目が現れる、という組み立てになっている。
兄も同じ語を使う
アイリーンの兄は、いまいましい呪いを解いたって、そうか、お前らがあの呪いを解いたのか、と言う。解けた側の家族も、この件を呪いという語で呼んでいる。題に使われている語が、本編の中でも同じ意味で流通していることが分かる。
絵コンテの三人が、不老草の回と同じ顔ぶれだ
公式サイトによると、この回の絵コンテは Woo Seung Wook、KIM C.H、Cho Jun Yeong の三人。この三人がそろうのは第5話「不老草の主」と第8話「カラスの秘密」に続いて三回目だ。不老草が出てきた回と、その片割れを探し始める回に、同じ顔ぶれが置かれている。
作画監督が五枠になったのは、この回が初めてだ
総作画監督は Heo Hyung Jun で、この人が総作画監督に立つのは第6話、第8話に続いて三回目。作画監督は五人で、第1話から第9話までは最大でも四人だった。枠が増えたのはこの回が初めてで、Shin Hye Ran の名もここで初めて出てくる。
奪いに来ているという事実が、そのまま奪い返す設計図になる
冒頭は前の回の続きで、湖の底に沈みかけたアイリーンをどう助けるかから始まる。ここで出てくる遼河の推理が、この回でいちばん気持ちのいい部分だ。
推理の中身は、二つに分かれたという一点だけだ
ミダスの遺物が二つに分かれた、一つは黄金の手、もう一つは破産の手、そして破産の手だけがあなたに取り付いた、と説明される。手がかりは、相手がしきりに兄弟と呼びかけてくることへの違和感だった。呼びかけの相手が本人ではなく、体に取り付いているほうだったと分かる。
「だったらそれを逆手に取ればいい」
続けて、今あの黄金の手はあなたを殺して破産の手を奪おうとしています、と危険を説明する。そのうえで、だったらそれを逆手に取ればいい、アイリーンさんの支配力で黄金の手を奪うんです、と返す。相手が奪いに来ているという情報が、そのまま奪い返すための設計図として使われている。
説得が、命令ではなく分担で行われる
昔からそんなことできません、と怯むアイリーンに、俺も力を貸しますから、と返す。あの遺物を屈服させ支配するんだと強く思って、あなたならできる、俺を信じて、と続き、二人の力を合わせないと勝つことはできません、とも言う。相手にやらせるのでも代わりにやるのでもなく、半分ずつ持つ形で押している。
成功しても、取り除いたわけではない
手が変わりました、という報告と、全部遼河さんのおかげです、という言葉で決着がつく。ただしここで起きたのは支配であって、体から離れたわけではない。制御できるようになった、という言い方が公式のあらすじでも使われていて、除去とは書かれていない。
兄の言い分は、間違っていない
後半で兄は、遺物を取り除くどころか完全に寄生させたらしいじゃないか、それでは解決になってない、と怒る。返ってくるのは、遺物はもともと体に取り付いていた、寄生型のものは簡単に取り除けるもんじゃない、という説明だ。怒っている側の指摘は事実で、こちらの反論も事実という噛み合い方をしている。副題の呪いは、まだ体の中にある。
地図を集めていた理由は、宝の在り処ではなかった
中盤で明かされるのが、キイラ将軍がずっと地図を集め続けていた理由だ。ここまで地図は、墓の場所を知るための道具として出てきていた。その前提が一行でひっくり返る。
壊した地図は三枚だけだった
攻撃を受けて、あの女の地図は全て壊したじゃないですか、と言う仲間に、壊した地図は三枚だけだ、と返る。手を打ったつもりの相手が、まだ大量に手札を残していた。地図を壊すこと自体は前の回で成果として扱われていたので、その成果の値打ちがここで測り直される。
位置さえ分かれば攻撃できる
説明はこうだ。将軍の本当の武器は別の遺物で、ターゲットがどんなに遠くにあっても、位置さえ分かれば攻撃することができる。だから必死に地図を集めていた。地図は宝の在り処を知るためではなく、狙いをつけるための座標として集められていた。同じ物が、集める人によって役割ごと変わる。
将軍の側にも代価がある
攻撃のあと、通信の相手として出てくるのは幼い子どもの姿だ。お嬢ちゃん、パパとママはいないのかい、と言われたあとで、この方がキイラ将軍です、と紹介される。力を使った代価として、姿がそこまで変わっている。極秘事項のためお伝えしておりません、という一言が、内部でも隠されていたことを示す。
使い道がないと思っていた力が、命を拾わせる
攻撃を受けた直後に、それにしても墓を元に戻す力がなかったら大変なことになっていたな、まったく使い道がないと思っていたが、おかげで命拾いした、という述懐が入る。集めてきたものの中でいちばん地味だと思われていた力が、ここで効いている。地図の値打ちが下がり、忘れられていた力の値打ちが上がる、という並びになっている。
ミダスの遺物の代価は、強欲になることだった
空港で大きな力を使ったあと、アイリーンの様子がおかしくなる。この回の代価の話がいちばんはっきり出るのがここで、しかもその中身は台詞ではなく画面に出る説明書きで示される。
代価は、前もって分からない
遼河の説明では、遺物は力を貸す代わりに相応の代価を要求する。アイリーンは空港を吹き飛ばすほどの力を使ったから、その分の代価も強力なはずだという。問題はその代価が何なのか、前もってわからないことだ、というのがこの仕組みのいちばん厄介なところになる。
表示された答えは「強欲になる」だった
画面に出るのは、ミダスの遺物を使用すると使用者はその反動から強欲になります、欲していた物を手に入れるためにいかなることでもします、という一文だ。触れたものが金に変わる王の名を冠した遺物の代価が、金そのものではなく欲の量になっている。伝説の中身を、力ではなく罰の側から引き継いでいる。
今回、強く欲したのは匂いだった
続く表示は、今回はあなたの匂いを強く欲しました、というものだった。感覚が鋭くなったのではなく、欲しがっている状態だというところが決定的に違う。行動だけ見れば笑い話に見える場面が、説明書きを読むと反動そのものを絵にしていたことになる。
そして、その欲がすぐ役に立つ
強く欲した匂いは、ホルトン家に着いた直後に効く。皮膚が腐っていく匂いをたどって、閉ざされた部屋に行き着くからだ。代価として押しつけられたものが、そのまま次の事件の入口になっている。前のH2で出た、使い道がないと思っていた力が命を拾わせた場面と、同じ形が二度続く。
守ると宣言した組織と、薬で儲ける未来が同じ回に並んでいる
この回のもう一つの軸が、遺物を取り締まる組織パンドラの発足だ。ただし記事として面白いのは、その宣言の内容と、後半で語られる未来の話が、同じ回の中に並べて置かれていることのほうだ。
発足の宣言は、禁止と処罰でできている
遺物は統制できない混乱をもたらす危険要素だ、と会見は始まる。一般人の墓への接近と遺物の扱いを禁止し、厳しく取り締まっていく、違反した者は国に逆らうテロリストとみなされる、と続く。締めが、これからは我々パンドラが人類を遺物から守ってまいります、だ。禁止と処罰を並べたあとで、守るという語が出てくる。
遼河の評価は、独占の一語で終わる
これを見た遼河の反応は、馬鹿げてる、人類を守る、遺物の独占しか頭にない奴らのくせに、というものだった。この作品では、守るという宣言はたいてい取り分の話にすり替わる。実際そのあとの空港で、持っている遺物を今すぐ全て出しなさい、という形で運用される。
取り締まる側に、責任を負わせる
空港での対処は、正面から拒むのではなく、爆発を起こしてその場を消すという形だった。流れるニュースは、政府が爆発の原因を遺物だとみており、パンドラの遺物管理の不備を指摘した、と伝える。取り締まりのために作られた組織が、取り締まりの失敗の責任を最初の日に負わされている。すべてパンドラの奴らのせいにしてやった、という言葉がそのまま説明になる。
「今度は」という一語が、聞きとがめられる
墓を出る途中、なぜそんなに焦っているのかと問われた遼河は、大丈夫だ、安心しろ、今度は何があっても部下を死なせたりしない、と答える。すると相手に、今度は死なせない、と聞き返される。慰めるつもりの一言から、以前は死なせたという前提だけがこぼれている。その場は誤魔化すが、問われたこと自体は消えない。
病の説明に、未来形が混ざる
両親を蝕んでいたのは遺物症候群という病だった。時間をかけて心身の両面から人間を壊していく、力を使うのが得意な者ほどかかりやすい、と説明される。そこに、同じことが繰り返されるなら全人類の三分の一がこの病で死ぬ、という一文が混ざる。この人物が結末を知っていることが、病名の説明の途中でこぼれる。
薬を売って大儲けする者たちがいた
続けて、独占者たちは医療系遺物で作った薬を患者に売って大儲けすることに精を出していた、俺もまたその薬を手にするためにただ同然で働かされた、と語られる。人類を守ると宣言した組織と、薬で儲けていた独占者が、同じ回の中に並んで置かれている。うんざりするほどよく知っているさ、という前置きの重さが、ここで分かる。
治療薬の話が、儲け話として売り込まれる
情報を引き出すために仲介商人へ持ちかける売り文句は、世界初の遺物症候群の治療薬を開発できる、医療系遺物はどんな薬も作り出すことができる、つまり一生遊んで暮らせるんだ、というものだった。親を助けるための薬が、交渉の場では丸ごと金の話に翻訳されている。誰を責めているかというより、この世界の話し方がそうなっている。
この回の全員が、同じ一文に当てはまる
遺物の独占しか頭にない組織、薬を売って大儲けする独占者、地図を集め続ける将軍、そして一生遊んで暮らせると持ちかける遼河。欲していた物を手に入れるためにいかなることでもします、という表示の一文が、この回のほぼ全員に当てはまってしまう。呪いという副題は、そういう形でも掛かっている。
進行が早すぎることに気づく
締めで引っかかるのは、両親の症状が末期に至っていることだ。数か月でここまで進行するか、いや、あり得ない、と否定したうえで、病を悪化させる遺物を使ったとしたら、と可能性を出す。初期症状を何らかの方法で悪化させた者がいる、というのがこの回の最後の宿題になる。それはこれからお前が調べるんだ、と調査は家族の側へ渡される。




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