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『捨てられ聖女の異世界ごはん旅』第11話の副題は「夜のキューバサンドは罪の味!」。ヴィルの兄ノアは、この世界の元になった乙女ゲームを作った会社の社員だった人として、自分のゲームを「完全なクソゲーにしたい」と言い出す。召喚に責任を感じるリンに、仲間は「リンは悪くない」と返す。そして夜食のあと、仲間たちがゲームでは「名もなきモブキャラ」だったと告げられる。




副題「夜のキューバサンドは罪の味!」と、この回の「罪」
公式のあらすじは「なにも食べてないのにおなかいっぱい」
第11話の副題は「夜のキューバサンドは罪の味!」。公式のあらすじはリンの一人称で、ノアさんの正体、この世界の真実、自分が召喚された事情を立て続けに明かされて、「なにも食べてないのにおなかいっぱいの私です」と書いている。情報で満腹になる回だと、あらすじが先に言っている。副題の料理が出てくるのは、話がすべて終わったあとの夜食だ。
「罪」という言葉は、夜食のまわりにだけ出てくる
夜食の場面では、「罪の匂いがします」「こんなものが夜食だなんて罪でしかない」「みんなで悪いことしちゃいましょう」「こんな夜中になんという罪の塊」「罪深い私をお許しください」と、罪の言葉が続けて出る。副題の「罪の味」は、夜中に食べることそのものを指している。ただこの回には、もう一つ別の意味の罪悪感も出てくる。
召喚に責任を感じるリン
リンは、ノアの依頼を引き受けた理由を「やっぱりトリガーは聖女召喚みたいで」「当事者としては責任を感じてと言いますか」と話す。仲間の返事は「聖女召喚に巻き込まれた側じゃん」「あなたに過失はありません」「リンは悪くない」。城で責任を感じていたリンが、夜には仲間と一緒に「悪いこと」をしている。一人で背負う罪と、みんなで分ける罪が、同じ回に並んでいる。
ゲームを作った側が、自分のゲームをクソゲーにしたいと言う
この世界は、乙女ゲームの世界だった
前回の終わりで明かされたとおり、ヴィルの兄ノアは異世界転生者で、この世界の元になった乙女ゲームを作ったゲーム会社の社員だった。リンの独白は「暴食の卓の皆さんとしてきた冒険は」「ゲーム中のイベントだったのだ」とまとめ、すぐに「召喚されてすぐポイ捨てされた私にどうしろっての」と続ける。聞かされた真実の大きさに、リンの感想は「どうしろっての」で追いつこうとしている。
「私を倒すことなんだよね」
ノアは「このゲームでの聖女の最終目的は」「私を倒すことなんだよね」と言う。ゲームでのこの国は「人間を憎む亜人種や魔物たちの国扱い」で、ノアは「魔王という役回り」だった。リンの「重要なことをそんなさらっと」に、ノアは「王宮伝統のお菓子でもつまみながら軽く聞いてよ」と返す。自分が倒される役だという話を、お菓子をすすめながらしている。
甘みの暴力と、何の変哲もないカレー
出されたお菓子を食べたリンの感想は「これは全く洗練されていない単なる甘みの暴力」「高価な甘味料を大量にぶち込めば贅沢だろう的な」。ノアは「日本のお菓子メーカーの企業努力ってすごいよね」「私はもう慣れちゃったんだけど」と笑い、「日本の味は今も恋しいな」「何の変哲もないカレーとかラーメン食べたい」ともらす。一国の王が恋しがっているのは、ごちそうではなく何の変哲もない日本の味だ。ヴィルの報告で読んだリンのご飯のことは「羨ましくて」とまで言っている。
「その通り、さすが我が弟」
リンが、ヴィルから「大昔は亜人種への差別が酷くて」「それに反抗した様々な人たちが海を渡ってこの国ができた」と聞いたと話すと、ノアは「その通り」「さすが我が弟」「いい仕事をしてくれるね」と喜ぶ。リンの内心は「ヴィルさんのことを話すとき」「すごく嬉しそうな顔するな」。国の成り立ちの話でも、ノアがいちばん反応しているのは弟のことだ。
外交を頑張っても、召喚は起きた
ノアは「私も転生者らしく」「即位前から外交とかめっちゃ頑張って」「他国の誤解を解除しまくった」。それでも「けど結局聖女召喚されちゃったんだよね」「よくあるシナリオの強制力って展開なのかな」。筋書きを知っている人が先回りしても、筋書きの入口は止められなかった。リンは「聖女召喚がトリガーとなって」「最近の魔物騒動が始まった」のだと腑に落ちる。
「完全なクソゲーにしたいと思っているんだ」
そこでノアが頼るのがリンだ。リンは「本来一人のみの聖女召喚に紛れ込んだイレギュラー」で、しかも「すでに聖女のレベルアップイベントも潰してる」。経験値も親密度もアイテムも「全部なしにされたって報告を聞いて歓声を上げたものさ」。リンの「レベルも親密度も上がらないとか」に、ノアは「私としてはそこにダメ押しをして」「完全なクソゲーにしたいと思っているんだ」と言う。ゲームを作った側の人間が、自分のゲームをクソゲーにしようとしている。リンのつっこみは「それがゲーム会社社員の言うことか」だった。
依頼は「重要イベントの横取り」
ノアの頼みは「重要イベントの横取り」「それを2つ、暴食の卓に依頼したい」。理由は「私もまだ死にたくないし」「今更人間と亜人種の対立もごめんだからね」。王の頼みは、世界を救うためというより、自分が死なないためだと正直に言われている。
ブラコンの兄と、「すまないな」と言う弟
「愛されてるね、リンさん」
話を終えたリンのもとへ、仲間たちが「大丈夫」「意地悪されなかった」「一人にしてごめんね」と駆け寄る。「少し顔色が悪いようだが」とも言われ、リンは「ちょっと情報量が多すぎて頭が混乱しただけで」と答える。ノアは「愛されてるね、リンさん」「それとも私が信用されていないのかな」。王城の中で、仲間たちは王より先にリンの顔色を見ている。
「要するにブラコンってことだよね」
ヴィルの「話せ、兄貴」に、ノアは「元気そうで何よりだよ」「昔からヴィルは目を離すとすぐ無茶をするからね」。仲間にも「やんちゃな弟の家出に付き合ってくれてありがとう」「もう心配で心配で」と言う。周りの評は「あれはヴィル相手だけなので」「王様としては切れ者ですよ」、そして「要するにブラコンってことだよね」。リンの内心の「これもヴィルさんが帰りたがらなかった理由なんだろうな」が、前回の答えにもう一つ理由を足している。下に置いた反応は第7話を見た時点の投稿で、ヴィルが王都に行きたがらないことにふれている。
聖女の最終目的は、王の首
ここで話は深刻になる。ノアは「影に聖女召喚を追わせた結果」、聖女一行は「海を越え、この国に上陸を果たし活動中」で、「その最終目的は、彼ら曰く魔王である私の首だね」と話す。首謀者は王族と高位貴族で、「いずれも三男以下」。ゲームの中の魔王役を、現実の首として狙っている人たちがいる。
「おとなしく首を差し出す玉じゃないだろ」
ヴィルは「どうする気だ」「おとなしく首を差し出す玉じゃないだろ」と兄に聞く。ノアは「影を張り付けて監視しているし」「直接的な対策も立てている」と答え、そのうえで「君たち暴食の卓に」「依頼が二つある」と切り出す。弟は、兄が黙ってやられる人ではないと知っている。
「兄貴のことを気にかけてくれたんだろ」
リンがすでに承諾したと聞いたヴィルは、「リン、本当に何もされていないか」と確かめる。リンが責任の話をすると、仲間はそろって打ち消す。ヴィルは「兄貴のことを気にかけてくれたんだろ」「すまないな」「迷惑をかける」と言い、「分かった、その依頼受けよう」と決める。ヴィルは、リンが引き受けた理由を、責任感ではなく兄への気づかいとして受け取っている。
眠れない村と、巨大な影の正体
夜ごとに現れる巨大な影
一つ目の依頼は、「王都近くの村で」「夜ごとに目撃される」「巨大な謎の影」の調査と、場合によっては駆除だった。「まだ直接的な被害はないようですが」「村全体がすっかり参ってしまい」「夜も眠れないとか」。仲間の「眠れないのはお腹減るのと同じくらいつらいね」という言い方が、この一行らしい。被害の大きさを、空腹と同じ物差しで測っている。
大人より先に、子どもが限界になる
村の人は「四六時中警戒していてはろくに眠れもせず」「体力も気力も持ちません」と話し、「大人連中はまだ耐えられるのですが」「子供たちがもう限界で」と続ける。返ってきたのは「子供って周りの不安とか気配を察して影響を受けちゃうもんね」。一行は「安心してくれ」「この一件は暴食の卓が請け負った」と引き受ける。まだ誰も襲われていないのに、村はもう限界まで来ている。
「暴食の卓ご飯係リンです」
村の子どもに声をかけられたリンは、「はじめまして」「暴食の卓ご飯係リンです」と名乗る。冒険者の一行に加わっても、リンの肩書きはご飯係のままだ。「怖いことする連中はとっちめて唐揚げにしてやんよ」には「唐揚げと聞いては俺たちも黙っていられないな」と返ってくる。リンの内心は「こりゃ聖女召喚がイベントトリガーなのは確実かな」だった。
影は、巨大な蜂を食べていた
影の正体の魔物について、「確かに何らかの要因で巨大化したと考えた方が説明がつきますね」「そもそもあの巨体を維持するために何を食べてるんですかね」と疑問が出る。見つかったのは、同じく大きくなった蜂の魔物だった。「まさか虫まで巨大化を」。そして「巣から変な感じがした」「もしかしたらそれが原因かも」。巨大な影は原因ではなく、巨大な蜂を食べ続けた結果の「副産物」だった。
殺虫剤のない世界で、巣を凍らせる
「集団で刺されたら俺でもまずいな」という相手に、「殺虫剤なんてないし」「寒さで動けなくさせるとか」と案が出る。「しかしあれだけ巨大なものを」という心配には「あのサイズでしょ、ちょっと時間かかるけど問題なし」。作戦は、アリアの糸で作った網で見張りの蜂を捕まえ、セノンの麻痺魔法で増援を止め、エドの魔導錬金術で巣を凍らせるというものだった。殺虫剤という日本の道具がない代わりに、仲間の魔法を組み合わせて同じ働きをさせている。
巣の中にあったのは、魔石
巣の中から見つかったのは石だった。「その石だが、おそらく魔石と呼ばれるものだ」「極端なことを言えば魔力の塊だな」「俺も見るのは初めてだが」。魔石は「本来ダンジョンの奥や」「魔力の溜まりやすい場所で」「長い時をかけて出来上がると聞く」。リンは「たぶんこれがノアさんの言ってた」「聖女のパワーアップアイテムだと思います」と気づく。巨大な影から巨大な蜂へ、蜂から巣へ、巣から石へと、原因をたどった先に聖女の道具があった。「それいい匂いするもん」「おいしいやつ」と言われた石も、「これはパーティーの共有物です」と取り上げられる。
夜食の「罪の匂い」と、「名もなきモブキャラ」
事前にローストしておいたフォレストボア
依頼を終えると「夜食の時間だ」。リンは「こんなこともあろうかと」「事前にフォレストボアをローストしておきました」と用意していた。「ちょっと変わったサンドイッチを作ろうと思いまして」「ローストボアとハムとチーズ」「ピクルスをたっぷりとスライス」「具を挟み、バターを吸い込ませ」「表面をカリッと焼き上げれば」。副題のキューバサンドは、台詞の中では「ちょっと変わったサンドイッチ」とだけ呼ばれている。
「罪の匂いがします」
できあがった焼きサンドイッチに、仲間は「罪の匂いがします」「こんなものが夜食だなんて罪でしかない」と言う。リンは「みんなで悪いことしちゃいましょう」「どうぞ召し上がってください」とすすめる。食べたあとも「こんな夜中になんという罪の塊」「罪深い私をお許しください」。夜中に食べることを「悪いこと」と呼んで、リンは全員を共犯にしている。
ノアの二つ目の依頼
二つ目の依頼の話は、そのあとで明かされる。「王都の近くには極秘のダンジョンがあってね」「そこには聖女を強化させる強力なオーブが眠っているんだ」。しかもそのダンジョンは「ゲームではヴィルたち4人が」「命を落とすダンジョンでもある」。聖女が強くなるための場所が、ヴィルたちの死に場所として作られている。
「名もなきモブキャラなんだよ」
ノアは続けて「ヴィルたちはね」「攻略キャラでもなんでもない」「聖女イベントを彩るだけの名もなきモブキャラなんだよ」と言う。前の場面でリンは、仲間のことを「聖女の攻略キャラだったりします」と冗談めかして聞き、「皆さんキャラ付けもバッチリで」とまで言っていた。攻略キャラかと思った仲間は、ゲームでは名前すらない役だった。
「天秤に乗るのが私の命だけなら」
ノアは「天秤に乗るのが私の命だけなら」「リンさんもヴィルたちも巻き込むつもりはないよ」と言う。「でもシナリオ通りに進めば」、国がどうなるかは分からない。「だけどリンさん、君のスキルがあれば」「このシナリオを覆せるかもしれない」。そして「こんな言い方は卑怯だけど」「この依頼を受けるかは、リンさんに決めてほしいんだ」。自分の命を天秤の片側に置いたうえで、決める役をリンに渡している。
「そんなシナリオなら、ぶっ壊してやる」
リンの答えは独白で出る。「私の仲間たちがモブキャラ」「聖女だかなんだか知らないけど」「そんなシナリオなら」「ぶっ壊してやる」。ノアが言った「クソゲーにしたい」を、リンは「ぶっ壊してやる」という自分の言葉で引き受けている。ご飯係のリンが、この回でいちばん強い言葉を使った場面だった。
まとめと考察
この回の「罪」は二つある
城でのリンは、召喚のきっかけになったことに「責任を感じて」いた。夜のリンは、仲間を「みんなで悪いことしちゃいましょう」と夜食に誘う。一人で抱えていた罪悪感を、夜食の「罪」でみんなのものに変えている。副題の「罪の味」は、そう読むと少しだけ重みが増す。
作った人と、壊す人
ノアは自分の作ったゲームを「完全なクソゲーにしたい」と言い、リンは「そんなシナリオなら」「ぶっ壊してやる」と言う。作った側と、巻き込まれた側が、同じ筋書きを壊す方向でそろった。どちらも、筋書きの中では居場所のない人だ。ノアは倒される魔王役で、リンは「本来一人のみの聖女召喚に紛れ込んだイレギュラー」だった。
モブキャラに、ご飯係がつく
ゲームのヴィルたちは「名もなきモブキャラ」だった。けれどこの世界のヴィルたちには、夜食を用意して待っているご飯係がいる。ゲームに書かれていなかった一人が、モブキャラたちの食卓を用意している。ゲームの筋書きの中には、ご飯係の席はない。その席に座っているのが、捨てられた聖女だというところが、この作品らしい。
おなかいっぱいの回
公式のあらすじが言うとおり、この回は「なにも食べてないのにおなかいっぱい」になる回だった。王が恋しがる「何の変哲もないカレーとかラーメン」、甘すぎる王宮のお菓子、そして罪の味の焼きサンドイッチ。情報でおなかいっぱいになった一行を、最後はちゃんと食べ物で満たして終わっている。


















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