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『LIAR GAME』第24話の副題は「逆襲」。ジョーカーの位置が分かるキクチは、ナオの「あなたたち全員を救済します」という申し出を逆手に取り、「俺たちを救うためにはディーラーに流しちゃいけないんだもんな」と、アキヤマから降りる道をふさぐ。そこから始まるアキヤマの逆襲は、5枚を全部取り替えるという同じ手の、三度の繰り返しでできている。




副題「逆襲」は、ナオの申し出が逆手に取られたあとで始まる
公式のあらすじは、コールを迫るところで止まる
第24話の副題は「逆襲」。公式のあらすじは、キクチが元ボクサーの動体視力を生かしてジョーカーの位置を見抜き、東西のチップ差を一気に縮め、ナオの申し出を逆手に取って上限までベットし、アキヤマにコールを迫るところまでを書いている。副題の「逆襲」は、あらすじが止めたその先で始まる。前半はキクチの攻めで、後半がアキヤマの反撃だ。
前の回で見つけた必勝法が、この回で効きはじめる
前回、キクチは模擬ゲームと序盤の2ゲームを捨てて、ジョーカーの位置を突き止めていた。この回は、その必勝法が勝ちに変わっていく。西軍の側では「ジョーカーの位置が分かればこのゲーム絶対勝てるって言ってたけど」「そんなに有利なの」と、仕組みの説明から始まる。見ている側への解説役を、敵の側の会話が引き受けている。
ジョーカーの位置が分かると、なぜ勝てるのか
「キクチが先にカードを交換する権利さえ取れば」
山のジョーカーをどちらが引くかは、一見すると五分に見える。けれど説明は「キクチが先にカードを交換する権利さえ取れば」「アキヤマは山のジョーカーを100%取ることはできない」と続く。「山の1枚目から5枚目の間にあればキクチは100%ジョーカーを手にできる」。位置が分かっていれば、交換の順番がそのまま取り分になる。
「最低でも1ペアはある」から、交換は3枚まで
では山の6枚目や7枚目にあった場合はどうか。答えは「セブンティーンポーカーって最初の手札で最低でも1ペアはある」「ってことはアキヤマは最大で3枚までしか交換しないはずなのよ」。キクチが交換を2枚以内に抑えれば、山の最後の2枚にはどちらも手をつけない。ルールが相手の交換枚数の上限を決めてしまうので、ジョーカーは山のどこにあってもアキヤマに渡らない。
5枚全部を取り替えても、損はしない
キクチの「5枚全部取り替えます」には、「全交換って損するような気しない」という疑問が出る。返事は「損なんてないわ」。アキヤマの2枚交換と合わせて「つまり17枚のカードが全て使われたの」、キクチは「17枚のうち10枚を目にしたことになる」、「そこから逆算すれば相手が目にした7枚も全てわかる」。カードが17枚しかないことが、相手の手札まで数えられる理由になっている。
負けそうなときは降りて、カットの順番を取る
次のゲームで、キクチは降りる。「相手の手札にジョーカーがあったのよ」「フォールドにすれば引き分けと同じだからね」「それにフォールドした次のゲームはカット順が後になる」「最初の手札にジョーカーを仕込むことができるのよ」。負けを避けるための一手が、次の勝ちを用意する一手にもなっている。そのあとのゲームで、西軍は「形勢逆転です」までたどり着く。
「ジョーカー見えてるだろ」
「お前のはあからさますぎる」
アキヤマはキクチに「ジョーカー見えてるだろ」と切り出す。「やるならひっそりとやればいいのに」「お前のはあからさますぎる」。根拠は「模擬ゲームでの4枚替え」「4ゲーム目での5枚替え」「俺の最初の手札にジョーカーが来たらフォールド」の三つで、「これらを説明できるとしたら」「一つだけ」「お前にはジョーカーの位置がわかっている」。アキヤマは、キクチの勝ち方ではなく、交換の枚数と降り方のほうから見抜いている。
「負けてる時は人間、弱気になるものさ」
キクチは「このゲームでは」「毎回新しいカードを下ろす」「イカサマの余地などない」「お前の思い込みだよ」と否定し、「負けてる時は人間、弱気になるものさ」と付け加える。アキヤマは「そうか」「俺が弱気になってるせいか」と引いてみせる。見抜かれた側が、見抜いた側の気持ちの問題にすり替えている。
「これは俺にしかできないんだ」
作戦タイムに入ると、キクチは内心で「気づかれた」「俺がジョーカーのありかをわかってプレイしていることに」と認める。それでも「気づいたところで」「奴はどうすることもできない」「これは俺にしかできないんだ」。見抜かれても止められないと思っているところに、キクチの自信の根がある。前回も、キクチは必勝法を自分にしか使えないものとして語っていた。
ナオの「救済」と、それを使うキクチ
「私たちはわざと引き分けにしましたが」
作戦タイムの最中、ナオは「西軍の皆さん」と呼びかける。「先鋒戦」「私たちはわざと引き分けにしましたが」「なぜだかわかりますか」。勝利を確定させようとすると「大量のチップがディーラーに流れる」、だから「トータルで考えれば」「私たちプレイヤーには損なんです」。ナオは、先鋒戦の引き分けを、自分の申し出が本気だという証拠として差し出している。
「3億の差額を手にできるボーナスステージです」
ナオの計算は「この敗者復活戦は」「9億のチップが配られ」「6億しか回収されない」「3億の差額を手にできるボーナスステージです」。そして「無用な戦いをしなければ」「その3億で数人は助かる」「あなたたちが戦いをやめてくれるなら」「私たちはそのお金であなたたち全員を救済します」。ゲームの外に出る道を、ゲームのお金の計算で示している。
「そんな人間いるわけないでしょ」
返ってきたのは「バッカじゃないの」。「彼女は真剣だよ」「じゃないと先鋒戦の引き分けは説明がつかない」という声があっても、「自分は損してでも人に得をさせるなんて」「そんな人間いるわけないでしょ」で押し返される。「お願いです」と重ねるナオは、「連中はこんな誘いに乗ったりしないよ」と止められる。作戦タイムのあとには「さっきカンザキって子が言ってたことは本当」「本当にそうだったら嬉しいんだけどな」とささやく声もある。ナオの本気を認める声は、ゲームの席の中にもちゃんとある。
「ディーラーに流しちゃいけないんだもんな」
作戦タイムが明けると、キクチは「上限いっぱいチップ15枚で」と賭ける。そして「コールに決まってるよな」「俺たちを救うためには」「ディーラーに流しちゃいけないんだもんな」。2回目も「上限いっぱいの30枚で」、さらに「俺が今手にしている5枚」「100%そっちが勝てるほどの超クソ手だ」「まさか降りたりしないよな」。ナオの申し出が、アキヤマから降りるという選択肢を奪っている。
「ナオ、お前のせいだ」
アキヤマは「コール」と受け、「上限いっぱい掛け金50枚の大勝負」になる。結果はキクチのクイーンのフォーカード。「わざとクソ手なんか作るわけないじゃないか」「山の2枚目にジョーカーがあることは分かっていたんだ」。そしてキクチは「ナオ、お前のせいだ」「ディーラーにチップは流さないなんてお前が言ったから」「アキヤマは勝てない勝負でも降りられないじゃねえかよ」と言い放つ。人を救うための申し出が、人を追い込む理由として使われている。差は「東西のチップ差は118枚」まで広がった。
逆襲は、シャッフルへの注文から始まる
「だったらこっちも本気で潰してやるよ」
アキヤマは「お前の勝負をコールしてやってんのにそういう態度かよ」「だったらこっちも本気で潰してやるよ」と返す。副題の「逆襲」は、この一言から始まる。勝てない勝負をコールしたのは、ナオの申し出を守るためだったと、アキヤマの言い方が教えている。
「リフルシャッフルだけにしてもらおうか」
8ゲーム目の前、アキヤマは「さっきからカードが見えてる」と止め、キクチが「ヒンズーシャッフルの時見えたカード」を覚えているのだと言う。「事務局としてもフェアにやりたいだろ」「だったらリフルシャッフルだけにしてもらおうか」「リフルならカードを持ち上げないから」「覗き見るなんて不正は起こり得ない」。キクチは「負けてるからって変な言いがかりはよせよ」と言いながら、「シャッフルはリフルだけとしよう」と受け入れる。アキヤマは、見抜いた不正をやめさせるのではなく、シャッフルの条件を自分で指定している。
「ヒンズーよりリフルの方がカードの行方を目で追いやすい」
キクチの内心は「バカだこいつ」「そんなことで俺の必勝法は阻止できない」「ヒンズーよりリフルの方がカードの行方を目で追いやすいからな」。アキヤマの注文は、キクチから見ればむしろ追い風になっている。キクチは「非情に勝負に徹する」「そして必ず勝つ」と気を引き締める。
5枚全部を取り替えて、4カード
8ゲーム目、キクチは「俺の手も良くないと思わせなければならない」とベットを小さくし、アキヤマは上限の15枚に上げる。交換でアキヤマは「じゃあ5枚全部」、キクチは「1枚で」。2回目のベットでアキヤマは「そのまま15枚で」と上げてこず、キクチは「大した手じゃないのか」「チャンスなんじゃないかこれ」とコールする。結果は「西のフルハウスに対し東は4カード」。ジョーカーの位置を知っている側が、手の強さの読み合いで負けている。
「今の負けは想定範囲内」
それでもキクチは「今の負けは想定範囲内」「いやむしろプラス」と考える。「今負けたことにより後にカットする権利を手にしたのだ」「すなわち絶対勝てるということ」。負けるたびに、キクチの計算は自分に都合のいい答えを出している。差は「現在チップ差は48枚です」まで縮まった。
「死ねアキヤマ」のすぐあとで
9ゲーム目、アキヤマは「よし逆転するぞ」、キクチは「このゲームでお前の息の根を止めてやる」。アキヤマはまた「もう一度シャッフルしてくれ」と注文をつけ、キクチは「ケチをつけられるのは不本意だが」と受ける。キクチの手は「エースのフルハウス」、アキヤマは「じゃあ5枚交換で」。キクチは「5枚だこいつ完全にやけくそじゃないか」と見て、弱い素振りでベットを小さくし、アキヤマの「レイズ上限いっぱい30枚で」に「飛んで火に入る夏の虫とはこのことだ」とコールする。結果は、キクチの「死ねアキヤマ」のすぐあとで、アキヤマの勝ち。勝ちを確信した言葉のすぐあとに、負けが来ている。
「究極のまぐれ」は、もう二度起きている
勝負は最終の10ゲーム目にもつれこむ。キクチは「究極のまぐれ」「4カードが5枚交換で出るなんてことは二度は起こらない」と自分に言い聞かせる。けれど8ゲーム目も9ゲーム目も、アキヤマは5枚を取り替えて4カードを作っている。「二度は起こらない」と言った時点で、それはもう二度起きている。
「俺は勝負するよ」
最終ゲーム、キクチは「最終ゲームもカット順はこちらが後」「確実にアキヤマは負ける」と読み、アキヤマが降りることだけを心配する。アキヤマはそれを先回りして「心配するな」「俺は勝負するよ」「大丈夫そんなケチな真似はしない」。理由は「重要なのは中堅戦でのセコい1勝より」「大将戦に負けてもいいだけの大量のチップの確保」だという。アキヤマは、キクチが言ってほしいことを、先に言ってあげている。さらに「あと3回シャッフルしてくれ」と、最後の注文もつけた。
「俺の演技力の勝利だ」
キクチの手は「エースのフルハウス」で、「手が良すぎて笑いが出る」。アキヤマは「5枚全部交換します」。キクチは、自分が2枚換えれば「17枚のカード全部を使うことになる」ので、「ここはあえて交換なし」と決め、「あえてこの中途半端な手で勝負だ」と芝居を打つ。アキヤマの「上限いっぱいチップ30枚って言ったんだよ」に、キクチは「勝った」「俺の演技力の勝利だ」。最後の最後に、キクチは自分から「お前が疑った通りだよ」「俺はジョーカーの位置が分かるのさ」と種明かしをしてしまう。キクチは、勝ちを確信したまま「このゲーム俺の勝利だ」と言い切った。
まとめと考察
救済の申し出が、降りられない理由に変わる
ナオは、ディーラーにチップを流さないことで、西軍の人たちまで救おうとした。キクチはそれを、アキヤマが降りられない理由として使った。人を救うための約束が、そのまま相手を追い込む条件になっている。「ナオ、お前のせいだ」という言い方に、このゲームの意地の悪さが全部入っている。
見抜いた側の、不思議な注文
アキヤマは不正を見抜いたのに、ゲームを止めさせない。シャッフルの方法を指定し、もう一度シャッフルさせ、最後には3回のシャッフルを求める。不正をやめさせるのではなく、不正が続く条件だけを細かく動かしている。この回では、アキヤマが何を狙っているのかはまだ説明されない。
キクチは、自分の必勝法を最後に自分で話す
キクチは作戦タイムでは「気づいたところで」「奴はどうすることもできない」と余裕を見せ、最後には「勝負が成立したから何もかも話してやる」と種明かしをする。必勝法を信じ切っているから、隠す必要がなくなった瞬間に全部しゃべってしまう。心理戦のゲームでいちばん危ないのは、勝ちを確信した瞬間なのかもしれない。
5枚交換という、同じ手
アキヤマは8ゲーム目も9ゲーム目も最終ゲームも、5枚を全部取り替えている。キクチはそれを「やけくそ」と見て、「究極のまぐれ」と呼び、最後は「5枚交換でジョーカーを手に入れる確率を高めようという作戦だな」と読んだ。同じ手を三度繰り返しているのに、キクチはそのたびに別の理由をつけている。副題の「逆襲」の中身は、たぶんこの5枚交換の中にある。




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