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第150話の副題は「広がる世界、キミとGO!」。ウィロー博士とのフィールドワークの合間に、フリードとリザードンの出会いが明かされる回だ。少年時代のフリードの夢はパイロットで、ポケモンにはまるで興味がなかった。ゴーグルを盗られて追いかけた先にいたのがヒトカゲで、彼はその名前すら知らないまま一緒に走っていた。副題の「広がる世界」は、そのあとに先生から言われる一言そのものだった。




副題「広がる世界、キミとGO!」と、公式のあらすじ
あらすじの締めは「明かされる、ふたりの出会い」だった
第150話の副題は「広がる世界、キミとGO!」。公式サイトのあらすじは、フリードの誘いで出かけたフィールドワークに「世界中をめぐってポケモンの調査をしているウィロー博士」が同行する、というところから始まる。そして「リコたちはフリードとリザードンが出会ったときの話を聞くことに」と続き、締めは「明かされる、ふたりの出会い」だ。百五十本目に置かれたのは、新しい出会いではなく、いちばん古い出会いを掘り返す回だった。
副題の「広がる世界」は、作中で口に出される言葉だった
副題だけを見れば、外部のアプリとのコラボに合わせた景気のいい言い回しに見える。ところが本編を最後まで見ると、「世界は広がる」はある場面ではっきりと声に出される台詞で、しかも言うのは主人公たちではない。回想の中に一度だけ出てくる、フリードの先生の言葉だ。題に入っていたのは宣伝用の飾りではなく、回想のいちばん奥にある一言そのものだった。
ウィロー博士と、ポケストップという道具
「一緒にリサーチできるなんて楽しみだ」
出発しようとしたところで、フリードが「言ってなかったか 今日は他の博士も一緒だぞ」と切り出す。現れたウィロー博士は「キャップ 今日も帽子が似合ってるね」と声をかけ、リコたちには「世界中を旅してたくさんのポケモンを見てきたと聞いているよ」「一緒にリサーチできるなんて楽しみだ」と言う。初対面の相手を、実績のある調査仲間として扱うところから入っている。
ポケストップは、何をするための設備なのか
道の途中で「ん? なんだこれ?」と足が止まる。フリードの説明は「ポケストップだ」「ポケモンのリサーチに役立てるため この辺りに設置してある」で、回すとモンスターボールや木の実が出てくる。ウィロー博士は「ポケストップを中心に どんなポケモンたちが住んでいるのか」「リサーチしていこう」と続ける。アプリの用語がそのまま出てくるのに、説明の理由づけは分布調査に寄せられている。
ルアーモジュールと、隠れていたカクレオン
道具の紹介はもう一つある。「このルアーモジュールを使うと」「近くにいるポケモンたちが寄ってくるんだ!」と言うと、実際にポケモンが集まってくる。一方で、ポケストップそのものに化けて隠れているカクレオンもいて、回そうとした側が驚かされる。寄せるための設備が、そのまま隠れるための設備にもなっている。
リサーチという名前の、捕まえ方の稽古
「相手は生き物」「一筋縄ではいかないぞ」
調査の中身は、木の実で気を引いてボールを投げる、の繰り返しだ。ウルトが面倒がると、フリードは「頭を狙うんだ」と教え、返ってくるのは「オッケー 師匠」。さらに「相手は生き物」「一筋縄ではいかないぞ」と釘を刺す。捕まえる話をしているのに、言っているのは相手が思いどおりにならないという一点だけだ。
「この辺りのボスかもしれない」と言われる相手
森では大きなポケモンが出てきて、「この辺りのボスかもしれない」と言われる。ところが「木の実を食べてくれないんだ」で手が止まり、別の木の実に替えてようやく気を引く。ボスと呼ばれた相手を倒すのではなく、好みの食べ物を当てるところが山場になっている。
「この一帯が 森と海の境界であることから」
一日の終わりに、ウィロー博士は「これほど多様なポケモンが 生息しているなんて とても興味深い!」と言い、「考えられるとすれば この一帯が 森と海の境界であることから」と理由を語り出す。捕まえた数ではなく、なぜここに多いのかの説明が調査の成果として置かれている。
浜辺のシェルダーと、「メタモンが進化しちゃう!」
「どうやら大量発生しているな」
浜辺に回ると、シェルダーが一面に広がっている。ウィロー博士の見立ては「どうやら大量発生しているな」で、そこにはヤドンもいる。図鑑の説明で知られている組み合わせが、そのまま画面に並ぶ。大量発生という言葉が、事故ではなく観察対象として扱われている。
変身したメタモンが、噛みつきそうになる
この回のいちばん可笑しい場面がここだ。ナヴィのメタモンはシェルダーに変身していて、そのままヤドンの尻尾へ向かっていく。悲鳴は「ああ~っ!」「メタモンが進化しちゃう!」だった。変身したぶんだけ、進化の条件まで引き受けてしまうという理屈になっている。
ゴータという、まだ一匹も持っていない少年
まだ一匹も持っていない少年が出てくる
途中で出会うのが、ゴータという少年だ。トレーナーに憧れているのに手持ちが一匹もいない段階で、ナヴィが先輩ぶってモンスターボールの投げ方を教える場面もある。仲間内では「ナヴィとメタモンみたいに最高の相棒と出会ってほしい」という言葉も出る。百五十本目に出てきたのが、まだ一匹も持っていない側の人物だった。
「焦らなくていい」「ゲットは巡り合い」
うまくいかないゴータに、フリードが言う。「焦らなくていい」「ゲットは巡り合い」「初めてのポケモンは必ず君のところにやってくる」。それがいつになるのかも、どの相手になるのかも約束しないまま、「だけど熱い思いはきっと届くと思うぜ」と締める。保証しているのは時期でも相手でもなく、待っていれば来るという順番だけだ。
ロイが「師匠が言ってたろ」と繰り返す
この言葉は一度で終わらない。ゴータを気にするリコに、ロイが「師匠が言ってたろ」「ゲットは巡り合い」「焦る必要なんてねえよ」と言い、「その時になればポケモンの方から来てくれるもんだ」と続ける。受け売りの形で繰り返されることで、それがこの一座の共有物になっているとわかる。
フリードの夢は、ポケモンではなかった
「俺の夢は パイロットだからな!」
「俺がお前たちより小さい頃にな」と始まる回想は、教室から始まる。同級生たちがゲットしたポケモンを見せ合うなか、オリオに「それより フリードは 初めてのポケモン決めた?」と聞かれて、フリードは興味がないと答える。「トレーナーになりたくないの?」に返すのは「俺の夢は パイロットだからな!」だ。ポケモン博士の少年時代が、ポケモンに興味のない子どもとして描かれている。
「あの時の俺は ずっと一人で 夢に夢中だった」
朝練と称してやっているのは、手作りの飛行機で飛ぶ練習だ。オリオに「飛行機作るのそんな楽しい?」と聞かれ、「飛べるかもって思うと ワクワクする!」と答える。「羽の大きさをこうすれば 空気抵抗が…」と一人で考え込み、うまくいかなければ「行けると思ったんだけどな」「諦めねえ 絶対 飛んでみせる!」と言う。語りはここに一言だけ足す。「あの時の俺は ずっと一人で 夢に夢中だった」。熱心さの説明ではなく、一人だったことのほうが本人の口から言われている。
ゴーグルを盗ったヒトカゲと、「一緒に空を飛ぼう!」
追いかけた先にいた、小さくて気の強い相手
飛んだ直後、フリードのゴーグルが持っていかれる。「ゴーグル!」と叫んで追いかけた先にいたのがヒトカゲで、感想は「小さいのに気が強いな」。そこが住処だと気づいて「ここで暮らしてるのか」「近くに住んでるのに」とつぶやく。最初の接触が、憧れでも運命でもなく、持ち物を取られたことだった。
「でも そのゴーグル 父さんに 買ってもらったものなんだ」
返してほしい理由は、飛ぶ道具だからではない。「でも そのゴーグル 父さんに 買ってもらったものなんだ」と打ち明ける。そのうえで出てくるのが「一緒に空を飛ぼう!」という誘いで、相手も空に憧れているらしいと見抜いたうえでの言葉だ。取り返す交渉が、途中から同じ願いを持つ相手への誘いに変わっている。
「ヒトカゲっていうんだ?」「名前も知らなかったの」
学校に戻ると、先生が「そう ヒトカゲと 仲良くなったのね。」と言う。フリードの返事は「ヒトカゲっていうんだ?」で、先生は「名前も知らなかったの」と驚く。ここまで一緒に走り回っておいて、相手の名前すら知らないまま来ていたことになる。
「これからよ」「一緒にいるから」「世界は広がる」
そこで言われるのが、副題に入っていた言葉だ。「これからよ」「一緒にいるから」「世界は広がる」。フリードが返すのは「世界…。」という一言だけで、そのあとに「よろしく、ヒトカゲ」と名前を呼ぶ。名前を知らずに始まった関係が、名前を呼ぶところでようやく始め直されている。
まとめと考察
「ヒトカゲをゲットして、世界は広がった」
回想の締めは本人の語りだ。「ヒトカゲをゲットして、世界は広がった」「いろんなところに出かけてたくさんのポケモンと出会った」「俺はポケモンに夢中になった」。決め手は「相棒がそんな世界に連れてきてくれた」で、やがて「ついに俺たちは一緒に空へ」となり、「冒険の世界へ踏み出したってわけさ」で現在へ戻る。夢が変わった話ではなく、一人で見ていた夢に連れがついた話として語られている。
ゴータの「エクセレント!」と、「最高の冒険が待っているよ」
最後にゴータがボールを投げ、周りから「エクセレント!」の声が上がる。ウィロー博士は「君もこれでポケモントレーナーだ」と言い、「最高の冒険が待っているよ」と続ける。別れ際の「また 会う日まで!」まで含めて、この回は始まりの場面で終わる。百五十本目の締めが、誰かの一匹目という、いちばん最初の出来事だった。
「ゲットは巡り合い」と言った本人が、名前も知らずに出会っていた
この回の作りは、前半と後半で同じ形をしている。前半でフリードはゴータに「ゲットは巡り合い」と教え、後半の回想では自分がその通りの目に遭っている。ただし本人の場合は、憧れて待っていたのではない。興味がなく、名前も知らず、ゴーグルを取られて追いかけた結果だった。助言する側に回った人物の一匹目が、助言のいちばん雑な形で起きていたことになる。
一人の夢が、二人の夢になるまでを描いた回
フリードの夢は最初から空を飛ぶことで、それは最後まで変わっていない。変わったのは、その夢を一人で見ていたか、隣に誰かがいたかだ。「あの時の俺は ずっと一人で 夢に夢中だった」と言う少年が、「一緒にいるから」「世界は広がる」と言われ、「ついに俺たちは一緒に空へ」に行き着く。広がったのは行ける場所ではなく、同じ夢を見る相手が一人増えたことのほうだった。




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