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最終回は、戦争の決着ではなく、その後始末と次の旅立ちに一話を使っている。リオンは戦争の報酬を差し出して、かつての敵役たちの助命を願い出る。オリヴィアとアンジェリカから同時に告白され、出てきた答えは両方好きだった。王の嫌がらせで出世し、父親と王に騙されて婚約式に立たされる。そして静かなはずの旅立ちは、最後の数分で騒がしい出航に変わる。副題どおり、モブに厳しい世界のまま幕を閉じる。




副題は「モブに厳しい世界」、戦後処理から始まる最終回
公式サイトが第12話に付けた副題は「モブに厳しい世界」で、作品名の後半をそのまま使った最終回らしい題になっている。本編は戦争が終わったあとの後始末から始まり、そこから先はほとんどが騒がしい日常に使われる。
公国は侯爵家として王家の傘下へ
冒頭の語りは、戦争が終わり王国が公国と和平を結んだところから入る。公国は消滅し、一侯爵家として王家の傘下に入ったと説明される。二クールかけた戦争の決着を、冒頭の数行でさらりと片付けてしまう構成がこの最終回の方針をよく表している。
浮かれていたのは、ほんの一瞬
戦争のあと、リオンのもとには礼状が山ほど届き、本人もつい浮かれてしまう。ところがそこへ王妃が現れ、個人的なお願いがあると頭を下げる。ちやほやされる時間が数秒しか続かないところに、題名どおりの厳しさが最初から出ている。
「ユリウスたちを助けてください」
王妃の頼みは「ユリウスたちを助けてください」だった。リオンの反応は、思わず聞き返す「はっ」の一言である。戦争を終わらせた英雄への最初の仕事が、元の敵役たちの尻拭いになっているのが可笑しい。
ユリウスたちの助命と、差し出した報酬
ユリウスたちは戦争のあと、それぞれに騒ぎを起こしていた。公式のあらすじが書く「ひと悶着」の中身がここで明かされる。
神殿で大暴れした理由
問い詰められた一同の言い分は「マリエの処刑を止めただけだ」で、「なにせ僕たちの聖女だからね」「これが私たちの騎士道だ」と続く。リオンの返事は「潔く死ね」だった。本人たちが大真面目なほど、リオンの突き放し方が効いてくる。
王宮と神殿を敵に回した
騒ぎのせいで王宮の面目は丸つぶれになり、一同は王宮と神殿の両方を敵に回したことになる。助けを求める声に、リオンは呆れながらも耳を貸す。口では見捨てるふりをしながら、結局は放っておけないのがこの主人公である。
「報酬で足りなければ俺の財産を差し出します」
リオンは国王の前で、戦争の報酬と引き換えに彼らを助けてほしいと申し出る。「報酬で足りなければ俺の財産を差し出します」とまで言う。自分の手柄をすべて、かつて自分を見下していた者たちのために使うという選択が大きい。
「腐れ縁だからですかね」
なぜそこまでするのかと問われ、リオンは「腐れ縁だからですかね」と答え、「この機会に一からやり直しますよ」と続ける。返ってきたのは「殿下たちは良き友人を手に入れたらしい」という言葉だった。友人という言葉を本人が使わず、周りが代わりに使っているのがいい。
マリエの島流しと、兄妹げんか
助命が決まったあとは、マリエとの口げんかの時間になる。ここは最終回のなかでもいちばん騒がしい場面である。
「島流し的なやつだ」
マリエたちの行き先は、兄の領地の浮島だった。そこで自給自足の生活をしろという沙汰で、リオンいわく「島流し的なやつだ」。文句を言うマリエには「助けてやったのに文句言うな」と返す。命が助かった直後に文句が出てくる図太さが、いかにもマリエらしい。
前世の話で殴り合う兄妹
口げんかはやがて前世の話に及び、お互いの弱みを遠慮なく突き合う。最後は「お二人のような子供を持った前世のご両親は 本当に可哀想ですね」という冷静な一言が入る。二人とも正論で殴られて黙るという締め方が、この兄妹の関係をよく表している。
「覚悟を決めるときかもしれません」
その流れで、リオンにも覚悟を決めるときかもしれない、と釘が刺される。何の話だと聞き返した直後に、二人がやって来る。兄妹げんかの勢いのまま告白の場面になだれ込む構成が、この作品のテンポのよさである。
同時の告白と、「両方好き」
公式のあらすじが書くとおり、リオンはオリヴィアとアンジェリカから同時に告白される。最終回の山場は、戦いではなくこの場面だった。
「私はお前を愛している」
先に口を開くのはアンジェリカで、「リオン 私はお前が好きだ」と言う。殿下のことより考える時間が増えたと振り返り、「一緒にいるのが楽しかった」と重ねて、「私はお前を愛している」と言い切る。回りくどさのない告白が、この人物のまっすぐさをそのまま表している。
「この気持ちは誰にも負けないと思っています」
続くオリヴィアは「私は今でもリオンさんが大好きです」と言い、「この気持ちは誰にも負けないと思っています」と付け加える。そして「だからこの場で答えを聞かせてください」と迫る。控えめな人物が、最後にいちばん強い言葉で答えを求めているのが印象的だ。
「お前の気持ちを聞かせてくれ」
選ばなくても構わない、とまで言ったうえで、二人は「お前の気持ちを聞かせてくれ」と求める。助けを求めたルクシオンは、野暮だからと下がらされていた。逃げ道を一つずつ塞がれていく様子が、告白の場面なのに可笑しい。
出てきた答えは「両方好き」
追い詰められたリオンの口から出たのは「両方好き」だった。散々迷った末の答えが、この作品の主人公らしい誠実さと情けなさを同時に持っている。
陞爵と、王の嫌がらせ
告白の騒ぎのあと、リオンにはさらに大きな知らせが待っていた。モブとして静かに暮らしたいという願いは、ここでも叶わない。
「成り上がりも極まったな」
国王はリオンの総司令官の任を解き、伯爵への陞爵と高い位を与えると告げる。周りからは、王族を除けば最上位だという驚きの声と、「成り上がりも極まったな」という声が上がる。望んでもいない出世が、最終回でも止まらないのがこの作品らしい。
「俺への嫌がらせで」
リオンの見立ては「こいつ独断で決めやがったな」「俺への嫌がらせで」だった。国王の側からは「王の見せ場を奪うからこうなるのだ」という言葉が出る。褒美の形をした仕返しという、この王らしい意地の悪さが楽しい。
「いつか絶対仕返ししてやる」
期待していると声をかけられたリオンは、表向きは受けながら「いつか絶対仕返ししてやる」と心に誓う。主人公と王様が互いに嫌がらせの応酬を続けていく関係が、そのまま次の話の火種になっている。
二作目の知識と、決まった留学
出世の話のあとに、マリエから重要な情報がもたらされる。ここで物語は、次の舞台へ向けて大きく動く。
「世界の危機は終わってないわ」
マリエによれば、あの乙女ゲームはシリーズになっていて、兄が知らない続編があるという。一作目に三作目の要素が混ざっていたこと、まだ二作目のボスが残っていることを告げ、「世界の危機は終わってないわ」と言う。戦争を終わらせた直後に、次の危機を妹の口から聞かされるという落差が効いている。
取引の条件は「仕送りをお願いします」
ゲーム知識と引き換えにマリエが持ち出した条件は「仕送りをお願いします」だった。リオンは「お前 ホント ダメ男吸引器だな」と呆れながらも引き受ける。世界の危機の話と生活費の話が同じ重さで並ぶのが、この兄妹の会話の面白さだ。
次の舞台はアルゼル共和国
二作目の舞台は王国ではなくアルゼル共和国で、主人公が攻略対象と結ばれなければ世界が滅ぶという。リオンの反応は「マジで勘弁してくれよな」だった。そして留学先がその共和国だと分かり、「ったくどこまでモブに厳しい世界なんだよ」と嘆く。副題の言葉が、ここで最初に主人公の口から出てくる。
騙し討ちの婚約式と、出航
留学を控えたリオンは、兄の婚約式に呼ばれる。ところが、その式の主役は兄ではなかった。
「ようこそ人生の墓場へ」
自分の衣装のほうが派手なことに気づいたリオンは、父親に騙されたと知る。国王からの手紙には、結婚から逃げ回っていると聞いて話を進めてやったとあり、「ようこそ人生の墓場へ」と締められていた。最後の最後まで王様の嫌がらせが続くのが、この最終回の筋になっている。
「お前だから惚れた」
なぜ自分なんかに惚れるのかと嘆くリオンに、アンジェリカは「お前だから惚れた」と言い、「リオン、私の夫になれ」と続ける。オリヴィアも「リオンさんだから」「私は好きになったんです」と応じる。理由を問われて、理由はお前自身だと答えるという、これ以上ない返し方である。
「騙されたけど悪くない気分だ」
リオンは「まあ二人のことは嫌いじゃない」と言い、「大好きさ」と言い直す。そして「騙されたけど悪くない気分だ」と締める。騙し討ちで始まった婚約が、本人の言葉で素直な祝福に変わる瞬間になっている。
見送りに来なかった二人
出航の日、二人は見送りに行かなかった。理由は「人のいる場所で泣いたらあいつの迷惑になるからな」で、帰ってきたら驚くくらい「私たちも成長しなくちゃ」と誓い合う。別れの場面を当人たちの前ではなく、残る側の言葉だけで描いているのが温かい。
まとめと考察
第12話は、戦争の決着ではなく、その後始末と次の旅立ちに一話を使った最終回だった。静かに暮らしたいという主人公の願いは、最後まで一度も叶わない。
最後まで騒がしい出航
出航した船の贈り物の箱からは、マリエとユリウスたちが出てくる。仕送りで作った品のせいで一年分の生活費が消え、それを知った王妃が「リオン君と一緒に海外で勉強してきなさい」と送り出したのだという。マリエは「だから これからもよろしくね お兄ちゃん」と言う。静かな旅立ちのはずが、最後の数分で全員が同じ船に乗っているという結末がこの作品らしい。
叫びで閉じる副題
そして最後にリオンが叫ぶのが「モブに厳しい世界なんだよ」だった。副題と作品名の後半を、主人公の嘆きとして言わせて閉じる締め方が気持ちいい。
挿入歌が三曲使われた最終回
画面のクレジットによれば、この回では「あしたはあしたのけせらせら!」「シュプリーム LOVE STAR」「selfish」の三曲が挿入歌として使われていた。シリアスな戦いのあとの最終回を、歌の量で明るく押し切る作りになっている。
モブであることを諦めない主人公
陞爵され、二人と婚約し、共和国へ留学する。どれもリオンが望んだものではない。それでも最後まで自分をモブだと言い張り続ける主人公だからこそ、この題名が最後にもう一度意味を持つ。




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