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第2期の最終話となる第13話の副題は「真の勇者」。鏡の世界での戦いは、アリシアではなくミレア自身が裏の自分を受け入れる形で決着する。一方、クレンのもとへ向かったアリシアの前には魔獣王ヴォーデインが立ちはだかり、海の底からは名前だけが語られてきたトアが目を覚ます。事件を片づけて帰路についたアリシアを待っていたのは、突然の暗転だった。




最終話の副題は「真の勇者」
第13話の副題は「真の勇者」。あらすじは「第二の試練をクリアしたアリシアの顔に、第二の紋章が浮かび上がる」と始まり、アリシアがクレンのもとへ向かうと、その体は「ヴォーデインに踏みにじられ、炎で焼かれていた」と続く。公式アカウントも放送後に「第2期全13話の放送を終えました」と投稿しており、この回が第2期の最終話となった。
鏡の世界での決着
鏡の世界から戻ったアリシアは、裏のミレアと向き合う。「私が行きます」と名乗り出たのは、ミレア自身だった。アリシアは裏のミレアに「記憶が消えても」「消えないぞ」と言い放ち、試練は「呼び覚ますためのもの」で「与えられて得るものじゃない」と告げる。第二の試練で得た力は、誰かにもらったものではなく、自分の中にもともとあったものだった。前の回で出した答えが、そのまま戦いの力になっている。
「決着をつけるのは私じゃないみたいだぞ」
ところがアリシアは、とどめを刺す前に「決着をつけるのは私じゃないみたいだぞ」と一歩引く。前に出たミレアは、裏の自分に語りかける。「ずっと気づいていました」「私には暗く乱暴な一面があって」「一国の姫としてふさわしくないから」「その感情を閉じ込めてきたと」。
そして「人を踏みつけたい衝動も」「全部私の好み」と、裏の自分を丸ごと認めてしまう。「鏡に映るのは私」「ここにいるのは私ひとり」。裏の自分を倒すのではなく、受け入れることで一つに戻る。第二の試練でアリシアが出した自分を認めるという答えと、きれいに重なる決着だった。
アリシアではなくミレア本人に決着をつけさせたことで、この戦いは姫自身の物語として締めくくられた。勇者が悪を倒すのではなく、本人が自分と折り合いをつける。副題の「真の勇者」を考えるうえでも、大事な場面だと思う。
目覚めた姫は、表か裏か
戦いのあと、気を失ったミレアが目を覚ます。
「裏か表か」
見守る面々が気にしていたのは「問題は目覚めたとき」「どっちの人格なのかってことだな」という一点だった。目覚めたミレアは「お三方には感謝します」「これで私は解放されました」と言い、さらに「踏みつけてあげますから」と言い出して周囲を凍りつかせる。
けれどすぐに「今の私に裏も表もありません」「からかっただけですよ」「私はあなたたちの知る私」と笑う。「合体したからって、はっちゃけすぎだろ」というツッコミに返す言葉は「でもこれが私」。表も裏も含めて自分だと言い切れるようになったミレアは、以前よりずっと自由に見える。重い戦いのあとの、ほっとする一幕だった。
第2期のミレアは、表の姫と裏の姫という二つの顔を持つ人物として描かれてきた。どちらかが本物でどちらかが偽物、という話になりそうなところを、この作品は両方とも本物だという答えに着地させた。裏の姫の乱暴さも、表の姫の高潔さも、どちらも同じ一人の人間の一部だったということだ。
クレンとヴォーデイン
残された敵は、魔獣王ヴォーデインだった。
北の海に現れた島
鏡の世界から見えたのは、北の海に浮かぶ島だった。「まさかあれが、永遠の都」「きっとあそこにクレンが」。アリシアはミレアに「あの島へ行ける鏡を出してもらえませんか」と頼み、ひとりで島へ向かう。
島でアリシアが見つけたのは、傷ついたクレンの姿だった。「ルナとジントクの成長を見届けるんだろ」「お前が死んだら」「魔血で生かされている私も」「死んでしまうんだぞ」。自分の命がクレンにつながっているからではなく、クレンに約束を思い出させるための叫びに聞こえる。二人の間に積み重なってきた時間が、この一言に表れていた。
「勇者とは愚直に」
アリシアを「偽りの勇者」と呼ぶヴォーデインは、「勇者とは愚直に」「失敗を恐れず」「世界を広げるものを指す」と語る。それに比べて伝承に出てくる勇者は「強いだけのただの人形」だという。
ヴォーデインによれば、かつての勇者たちは「不滅のトアの人形だったのだから」、そして「トアの民も人形だったのだろう」「だから皆殺しにした」。ヴォーデインにとっての勇者は、力の強さではなく、自分の意思で世界を広げようとする者だった。その基準で言えば、伝承の勇者は勇者ではない。副題の「真の勇者」が、ここで問いとして突きつけられる。敵であるヴォーデインの口から勇者の定義が語られるという皮肉も、この作品らしい仕掛けだと感じた。アリシアはその問いに、言葉ではなくこのあとの行動で答えていくことになる。
目覚めた「トア」
ヴォーデインとの戦いの最中、思いもよらない存在が姿を現す。
「私は」「トア」
瀕死の二人の前に現れた一人は、「奴隷階級のスラーダの民だな」と言われ、「なぜ流暢に喋る」と驚かれる。「誰なの君は」という問いに返ってきたのは、「私は」「トア」という答えだった。
直後、海の底に沈んでいた都が姿を現す。「トアの都が浮上してる」「あれはトアの領域の光」。第2期を通して名前だけが語られてきた存在が、最終話でついに目を覚ました。ヴォーデインは「正体が何であろうと」「解き放ってはならんものだ」と言い切るが、トアはその場から姿を消してしまう。
「また会おう」
戦いの決着はつかないまま、ヴォーデインは「今はまだ時じゃない」と退き、「次は余計な記憶を引きずっておらねばいいがな」「また会おう」と言い残す。ヴォーデインを倒して終わり、という単純な結末にはならなかった。
残されたのは、トアという新しい脅威と、ヴォーデインとの因縁だった。最終話でありながら、物語の地図が一気に広がっていく。次の戦いへの布石がいくつも置かれた場面だった。
ソルセインの長い夜が明けて
「ソルセインの長い夜は明けた」。事件の後始末が、少しずつ進められていく。
西方の魔獣王の警告
西方の魔獣王ザフティエは、「トアはあなたたち人族の祖先を」「隷属させていた存在です」と語る。「私があなたたちに寛容なのは」「トアが共通の敵だから」。そして、もし人族がトアの手足となる道を選ぶなら「迷いなく皆殺しに」すると告げて去っていく。
「今は頼もしい味方だが」「私たちの行動次第で敵にもなる」という言葉が、そのまま状況を言い当てている。味方になった魔獣王たちも、決して無条件の味方ではない。トアの目覚めによって、魔獣王と人族の関係もまた新しい局面に入った。人族の祖先がかつてトアに隷属していたという事実は、この世界の歴史そのものを塗り替える話でもある。勇者伝承が何のために書かれたのかという前の回の謎とも、深くつながっていきそうだ。
「人族どもは人族どもで話し合うがいい」
クレンは「ルナの元だ」「我はあやつと約束がある」と言い、「人族どもは人族どもで話し合うがいい」と後のことを任せて去っていく。「丸投げかよ」というツッコミが入るのも無理はない。
領域の力によって、意識を失っていた者たちの「一日分の記憶が消された」。学長の正体についての記憶も消され、事件はなかったことのように片づけられる。「自分の罪をごまかしているようで気が引けます」とためらう声に、「姫がこの件の死亡者なんてことになったら絶対に戦争になる」「こうするのが一番なんだよ」と返される。正しさよりも、戦争を起こさないことを優先した判断だった。
勇者アリシアの帰り道
学校での事件を締めくくったのは、アリシアだった。
「私はアリシア」「勇者アリシアだ」
アリシアは「秘密の部屋を見つけたら」伝えるという約束を果たし、「鏡の先はお前がさっき見ていた島に繋がっていた」と明かす。秘密の部屋が島にあるとわかれば、軍の目はそちらへ向く。「ここが戦場となり」「生徒らが犠牲になることはないだろう」。
「それで、お姉さんは誰なんです」と聞かれ、アリシアは「私はアリシア」「勇者アリシアだ」と名乗る。生徒たちを戦いに巻き込まないために、手柄も真相も手放したアリシアの判断は、まさに勇者のものだった。「仲間が増えるのはいいことだ」「一人よりはずっといい」という言葉にも、アリシアの変化がにじむ。
急に暗くなった空
帰り道のアリシアは上機嫌だった。「色々あったが」「いい形で幕を引くことができそうだ」「帰って」「ネルルに」「温かいコーヒーを」「入れてもらおう」。クレンについても「なんだかんだであいつも丸くなったな」「だったら私も少し優しくなるよ」と、穏やかに振り返る。
ところが「空が晴れやかだ」とつぶやいた直後、「急に暗くなった」「上も下もわからない」「感覚がまるでない」。いちばん幸せな瞬間に、すべてが断ち切られる。最後に映るのは、クレバテスの留守を預かろうとするルナの姿と、「本当にどこに行ってしまったのかの」という言葉だった。
まとめと考察
第13話は、多くの決着と、それ以上の謎を残した最終話だった。
副題「真の勇者」の意味
ヴォーデインは、勇者とは「失敗を恐れず」「世界を広げるもの」だと語った。その基準で見れば、この回の「真の勇者」は、裏の自分を受け入れたミレアであり、生徒を守るために手柄を手放したアリシアでもある。強さではなく、自分で選んで前に進むことが勇者の条件だという答えが、最終話全体に通っていたように思う。
第2期を終えて
トアの目覚め、ヴォーデインとの再会の約束、そして行方のわからなくなったアリシアとクレン。物語は大きく広がったところで幕を閉じた。留守を預かるルナの成長を含め、この先の物語が描かれる日を待ちたい。
振り返ると、第2期は学園を舞台にしながら、姫の二つの人格、秘密の部屋、魔獣王の千年、勇者伝承の成り立ちと、いくつもの謎を少しずつほどいてきた。その答えが出そろったところで、トアという最大の謎が姿を見せる。最終話まで見終えて、ようやく第2期全体が一本の長い序章だったことがわかる構成になっていた。帰り道でアリシアが思い描いていた、仲間と温かいコーヒーを囲む日常が戻ってくるのかどうかも含めて、続きを見届けたい。




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