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『#ゾンビさがしてます』第1話の副題は「お父さんさがしてます」。あかいひから13年、父を探して村を飛び出したアキは、ナツキ、ハルとともに初めて都市部へたどり着く。ゾンビ違いから始まる明るい父探し、ホームセンターという宝の山、そして300体を一撃で倒す作戦まで、終末の世界を怖がらず、面白がりながら元気に生きる若者たちの第1話を振り返る。




第1話の副題は「お父さんさがしてます」
『#ゾンビさがしてます』第1話の副題は「お父さんさがしてます」。人類の9割が感染・死亡したあかいひから13年。父親を探すために村を飛び出したアキは、幼なじみのナツキ、ハルとともに初めて都市部にたどり着く。ゾンビであふれる世界を舞台にしながら、悲壮感よりも明るさとたくましさが前に出る、なんとも元気な幕開けだった。
「これは人違い」
物語は、いきなりゾンビを追いかける場面から始まる。「ついに見つけた」「仕留めるよ」。ためらう仲間に、アキは「お父さんは私が殺してあげるって」と言い切る。ところが仕留めたゾンビをよく見ると、「これは人違い」「いやゾンビ違い」。
父親を探す旅と聞けば重い話を想像するが、その父親がゾンビになっているかもしれず、見つけたら自分の手で終わらせるつもりでいる。重すぎる設定を、明るい掛け合いで一気に笑いへ変えてしまう冒頭が、この作品の空気をはっきり示していた。
ゾンビを倒すことにまったく迷いがないのは、それがこの世界での日常だからだろう。村で訓練を積んできたアキたちにとって、ゾンビは恐怖の対象というより、向き合うべき相手にすぎない。その割り切りがあるからこそ、ゾンビ違いという言葉が軽やかに響く。
父との約束
隔離された村を出て丸一日。高い建物を初めて見たアキたちは、「あれは確かビルってやつ」と目を輝かせる。アキの胸にあるのは、かつて父が語った言葉だった。「アキ外の世界はすごいぞ」「人の手で作ったとは信じがたい建造物」「人の手では決して作れない自然」「見たこともないもので溢れている」。
そして父は、ひとつの約束を残していた。「先に村を出たお父さんが変わり果てていたら」「その時はアキがお父さんを処理するんだ」。都市を見下ろしたアキの「外の世界は」「美しい」という一言には、父が見せたかった景色を自分の目で確かめた喜びが詰まっていた。
処理という言葉の重さを、幼いアキはまだ理解していなかった。それでも約束は胸に残り、今は自分の意思で父を探す旅に出ている。父がどうなっているのか、アキが本当にその約束を果たせるのか。明るい空気の下に、この物語の芯となる問いが静かに置かれている。
初めての都市部
一行は、拠点になりそうな場所と食料を探して街へ入っていく。
「今日から毎日誕生日だよ」
大きなマンションに入ってみるものの、建物の名前は漢字で読めない。村では漢字を習っていなかったのだ。中には活動を停止したゾンビがいて、念のため頭をつぶしておく。それも「お父さんだった」かと思えば、やはりゾンビ違い。
部屋を探るうちに見つけたのは、蜂蜜だった。「村じゃ誕生日に一口しか食べられなかったのに」という声に、「今日から毎日誕生日だよ私たち」と笑顔が返る。村の暮らしの質素さが、この一言からよく伝わってくる。外の世界は危険だが、同時に村にはなかったものであふれた宝の山でもあるのだ。
ナツキはおしゃれやかわいいものに目がなく、ハルは筋肉ですべてを解決しようとする。アキはとにかく好奇心のかたまりだ。三人三様の個性が、見知らぬ都市を探検する場面を何倍も楽しくしている。
「そこの生の人」
そのとき、外から大きな悲鳴が聞こえる。ゾンビの大群に追われているのは、生きた人間だった。アキたちは車を横につけて「そこの生の人」「乗って」と二人を荷台に乗せる。ところが逃げる途中で車が動かなくなり、走って逃げるしかなくなる。
車の荷台に飛び乗る救出劇から、徒歩での逃走、シャッターへの滑り込みまで、アクションのテンポもよかった。ゾンビの群れが押し寄せる画面には迫力がありつつ、キャラクターたちの掛け合いは最後までにぎやかで、怖さと楽しさがちょうどよく混ざっている。
「私が囮になる」と言い出した一人を、「一緒に行くぞ」と引っ張っていく。ぎりぎりのところでシャッターをくぐり、建物の中へ逃げ込んだ一行。見ず知らずの相手でも迷わず助けに行くアキたちのまっすぐさが、この世界では何よりの強みに見えた。
ホームセンターという宝の山
逃げ込んだ先は、物であふれた不思議な建物だった。
「ゾンビじゃなくてホームセンターが世界を支配してたんだ」
助けた二人は、サクラとユウ。外の世界の知識が豊富なユウが、ここがどんな場所かを説明する。「ここはかつてホームセンターと呼ばれ」「日用雑貨や住宅設備に関する商品を販売していた商業施設だ」。
「ここにあるもの全部前の世界では簡単に手に入ったってこと」と驚くアキたちからは、「ゾンビじゃなくてホームセンターが世界を支配してたんだ」という大真面目な声まで飛び出す。私たちにとっての当たり前が、彼らにとっては驚きの連続という視点の反転が、この作品のいちばんの面白さだと感じた。宿泊用の展示ベッドに飛び込んで「柔らかい」とはしゃぐ姿も、見ていてとても微笑ましい。
警戒心の強いユウが最初はアキたちを疑っていたのも、この世界で生き延びてきた者としては当然だろう。それでも助けてもらった事実を前に、少しずつ距離が縮まっていく。人を信じることそのものが危うい世界で、アキたちの屈託のなさは何よりも貴重な光のように見えた。
カイリと呼ばれるもの
ユウとサクラの村では、ゾンビを「カイリ」と呼んでいたという。その言葉に、アキは「私のお父さんも昔そう呼んでた」と反応する。偶然とも思えるこの一致が、アキの父の手がかりになるのかもしれない。
侵入してきたゾンビには、手に取ったスプレー缶と火を組み合わせて撃退する。「泣け」という叫びとともに火が噴き上がり、「ホームセンターすごすぎだろ」。ありあわせの道具でゾンビを倒してしまうたくましさに、思わず笑ってしまった。
知っている人には当たり前の道具が、使い方を知らない人の手で思いもよらない武器になる。ホームセンターという場所そのものが、この作品にとっての舞台装置であり、宝箱でもあるのだと感じた。この先も、どんな品物がどんな形で役に立つのか楽しみになる。
300体を一撃で
拠点にするには、外を囲むゾンビの大群をどうにかしなければならない。
「囲まれる前に300体倒す」
外のゾンビは300体以上。冷静なユウは、正面から戦うことには反対する。「300体を相手にするのがどういうことか分かっているのか」。囲まれたら終わりだと説明したうえで、ユウは一つの策を示す。「囲まれる前に300体倒す」「一撃で」。
ホームセンターの品物を使って、爆弾を作るという作戦だった。「都合のいいものなんてないとか言っといて」「あるじゃないのさ」と突っ込まれながらも、手分けして物資を集めていく。知識のユウと、行動力のアキたち。正反対の二組がかみ合っていく過程が気持ちいい。
「頼りにしてるからね」
準備の合間に、サクラとユウの関係も明かされる。二人は血がつながっていないが家族のような存在で、サクラのほうが姉のような立場なのだという。運動が苦手なユウについては、「運動音痴だからその分勉強を頑張ったんです」と説明される。
村では力のある者が重宝されていたかもしれないが、ここは村ではない。「頼りにしてるからねユウもサクラも」という言葉がかけられる。それぞれの得意を認め合う関係が、ここで自然に生まれていた。夜には保存食で作ったご飯を囲み、「これが昔のご飯」と大喜びする。
漢字が読めないアキたちと、知識は豊富でも体力のないユウ。どちらも一人では足りないものを抱えているからこそ、組むことで力が何倍にもなる。案内板の読み方ひとつで物資集めがはかどる場面は、そのことを分かりやすく見せていた。
父への手紙のような言葉
翌朝、作戦が始まる。ゾンビをシャッターの前に誘導し、集まったところへ爆弾を投げ込む。最後に離れた場所から小型の爆弾をぶつけて起爆する役は、高いところが苦手なアキだった。「怖さだって楽しむのがアキでしょ」と背中を押され、アキはゾンビの群れに向かって語りかける。
「もしかしたらこの中にいるかもしれないので」「言っておきます」「お元気ですか」。そして「私ももうめちゃくちゃ元気だよ」「この世界が気に入ったから」「だから私はここで生きていくよ」。父への報告のような言葉とともに放たれた一撃は、大群を見事に吹き飛ばした。
もしかしたら目の前の群れの中に父がいるかもしれない。それでもアキは、悲しむのではなく、元気でいることを伝える。父が見せたかった外の世界を、自分は気に入ったと胸を張って言える。この場面で、アキがなぜ村を出たのかがはっきりと伝わってきた。
まとめと考察
第1話は、アキたちが初めての都市部でユウとサクラに出会い、ホームセンターを新しい家にするまでを描いた回だった。
終末を明るく生きる
ゾンビものと聞くと、生き残るための緊張感や悲壮感が中心になりがちだ。けれどこの作品は、終わった世界を見たこともないもので溢れた世界として楽しむ視点で描いている。外の世界を怖がるのではなく、面白がる主人公がいることで、ゾンビだらけの街も冒険の舞台に変わる。そのうえで、父がゾンビになっているかもしれないという重い前提も手放していない。そのバランスがうまい。
一撃で大群を倒したあと、アキは「写真撮ろう」とみんなを並ばせる。「今日からここが」「私たちの新しい家」。新しい仲間と新しい拠点を手に入れた第1話の締めくくりにふさわしい場面だった。
カメラが導く父の行方
最後に、アキが父の使っていた古いカメラを持っていることが語られる。「フィルムを現像すれば分かるかもしれない」「お父さんの居場所」。カイリという呼び名と、このカメラ。父へとつながる小さな手がかりが、早くも二つ示された。ホームセンターを拠点にしたアキたちが、どうやって父を探していくのか。明るさの中に小さな謎を残した、次の話が待ち遠しくなる充実の第1話だった。




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