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『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』第4話は、跡部と忍足の対決が大きく動く回。入学式の日から全国大会までの記憶をたどりながら、氷帝を共に築いてきた二人が真正面からぶつかり合う。リョーマと千石の試合に決着がつき、仁王はイリュージョンを封印して試合に臨む。入学式の日からの二人の記憶、自分の名前で戦う千石、そして白夜と決めた太陽まで、第4話を振り返っていく。




第4話「月と太陽」
『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』第4話「月と太陽」は、跡部と忍足の対決が大きく動く回だった。リョーマと千石の試合にも決着がつき、仁王はイリュージョンを封印したまま試合に臨む。そして氷帝を共に引っ張ってきた二人の胸に去来する、入学式の日からの記憶。試合の一つひとつを、場面ごとに振り返っていく。
スペイン代表の日常
冒頭で描かれたのは、決勝の相手となるスペイン代表らしき選手たちの日常だった。深夜に一人で練習しているらしい仲間のことを、なんか苦手なんだよなとこぼす選手たち。それをみんな仲良くしなきゃ、ラブ&ピースとなだめる声に、はいはいと返すやりとりがほほえましい。8分19秒の遅れを、光ならとっくに太陽まで行ける分の時間だと嘆く場面も、どこかユーモラスだった。
いつも同じ時間にパン屋を訪れ、焼き上がったばかりのブルーベリーパンを買っていく青年。どうせまた一つしかないんでしょとすねていた子どもたちのもとに届いたのは、二つのパンだった。決勝で戦う相手にも、それぞれの暮らしと優しさがある。試合の前にそれを見せることで、スペイン代表がただの強敵ではなく、顔の見える存在として印象づけられていた。
太陽と月の対話
S3のコートでは、跡部と忍足の試合が続いていた。ネット際に誘い出して速いスマッシュを放つ忍足に、跡部は即座に対応してみせる。俺の技で勝てると思うほどてめえは愚かじゃねえだろ、何を考えてやがると問う跡部に、忍足は急かすなと笑い、「月はゆっくり輝き出すのに」と返す。手の内を知り尽くした二人ならではの、静かな探り合いだった。
跡部は「いい加減、茶番は終わりにしたらどうだ」と迫るが、月は太陽の光でさまざまな輝き方を見せるという言葉どおり、忍足は簡単には本性を見せない。「太陽と月の対話」はまだ始まったばかりだという声が、この試合がここからさらに深まっていくことを予感させた。
イリュージョンを封印した仁王
別のコートでは、仁王の試合も始まっていた。「ここまでイリュージョンを一切封印している」という声のとおり、仁王はこれまでのように誰かになりきるのではなく、あくまでもオリジナルの仁王雅治として戦い抜こうとしている。誰にでもなれる男が、あえて自分自身で勝負に挑む。その選択の重みが、短い場面からも伝わってきた。
対戦相手の技を写し取るイリュージョンは、仁王にとって最大の武器のはずだ。それを封じてまで、自分のテニスで挑むことを選んだ理由は何なのか。自分自身のテニスで代表の座をつかもうとする仁王の姿は、この決定戦が選手一人ひとりにとって、自分と向き合う場でもあることを改めて感じさせた。
虎砲をものにするリョーマ
S2のリョーマと千石の試合では、リョーマが2ゲームを連取し、千石の空気が変わる。いいじゃん、今のサーブと声をかけるリョーマに、千石は「お望みとあれば何度でも」と強烈なサーブ、虎砲を放つ。ところがリョーマは、2回目にしてもうそれに合わせてくる。攻略どころかマスターしてしまったかという驚きのとおり、リョーマは虎砲をスマッシュとして応用し、ツイストサーブの要素まで加えたのかという声が上がるほどの進化を見せた。
「まだまだだね」と言い放つリョーマに、千石は舌を巻く。今まで何度も越前の試合を見てきたけれど、実際に戦ってみてわかる。「1球ごとに進化しているみたいだ」。それでも「ワクワクするよ」と笑える千石のしなやかさが、この試合をただの劣勢の物語にしていないのがいい。別のコートでは、遠野と君島のダブルスも進んでいて、ゲームメイクしているのは君島だという分析が聞こえてくる。
亜久津の代わりじゃない
それでも試合はリョーマのペースで進み、千石は1ゲームも取れないまま追い込まれていく。「このまま俺は終わるのか」。そうつぶやいた千石の脳裏に浮かんだのは、フランス戦から代表メンバーに入ることになったと告げたときのやりとりだった。亜久津の分も頑張るよという千石に、返ってきたのは「舐めたこと言ってんじゃねえよ」という言葉。こんなところに来てる暇があったら練習しやがれ、と。
その言葉を胸に、千石は自分に言い聞かせる。亜久津の代わりじゃない、俺が、千石清純が戦って勝つんだ。もともとずば抜けた動体視力の持ち主である千石は、そこから1ゲームを取り返す。誰かの代わりではなく、自分の名前で戦うという決意が、千石のテニスに再び火をつけた瞬間だった。
越前ならきっと次は対応してくる、同じじゃだめだ。もっと威力のあるスマッシュを打つ条件がそろうのを待ち、千石は起死回生のスマッシュを繰り出す。「進化するのは君だけじゃない」。けれど、最後に勝ったのはリョーマだった。6ゲームス・トゥ・1。「まいったね」と苦笑しながら、亜久津も大嫌いだったテニスに魅せられるわけだと納得する千石の姿は、負けてなお清々しかった。
入学式の日以来の真っ向勝負
跡部と忍足の試合に戻ると、月が輝きを増してきたようだという声が上がる。これほど真正面から戦うのは入学式の日以来だと語る跡部。とんでもない奴やと思ったでと振り返る忍足に、跡部もまた、面白い野郎が来やがったと思ったと明かす。あのとき試合には勝ったが、テニスのセンスは自分を上回っているかもしれないとさえ感じた、と。
食らいついて来られない奴はチームには必要ない、そう思っていた跡部。けれど忍足がいることで、ほかの部員たちも食らいつくどころか、それ以上になっていった。「全国を取れる」、そう確信したと跡部は語る。だが、「俺たちは負けた」。頂点に立つ者の自信と、それでも届かなかった悔しさが、短い言葉の中に重なっていた。
俺らの氷帝学園
回想は、氷帝が開催地の枠で全国大会に出られると知らされた日に移る。浮かれる部員たちは、どこにいるのかわからない部長を手分けして探し、全国に行って借りを返したいと頭を下げる。どいつもこいつも浮かれやがってと言いながら、返ってきたのは「俺様と共に全国についてきな」という答えだった。
「全国で勝てばいい」、それだけのことやと言う忍足は、さらに「お前一人が勝っても意味あらへん」と続け、俺らの氷帝学園だと口にする。「おめえにしちゃ熱いこと言うじゃねえか」と返された言葉に、普段は飄々としている忍足が、実は誰よりもチームを思っていたことがにじむ。あれがお前が作り上げた氷帝やという言葉に返された「俺たちが作り上げた」の一言が、この二人の関係をまっすぐに言い表していた。
白夜と決めた太陽
お前が氷帝を引っ張ってきたからこそ、お前が氷帝を支えてきてくれたからこそ。互いを認め合った上での真剣勝負は、「ここまで楽しいとはな」と言わせるほどのものになっていく。「そろそろ太陽は沈んでもらうで」と迫る忍足に、跡部は、あいにく「今日は白夜と決めたぜ」と返す。この作品らしい言葉の応酬に、思わず笑みがこぼれた。
心を閉ざして挑む忍足。「日本代表にならなかったら気づけなかった」、いつまでも跡部の光で輝いているわけにはいかないということを。お前がまだ見ている景色を、俺は見に行く。その決意に、跡部はもう心を閉ざすのは通用しないと告げる。「もう閉ざさねえほど輝いちまってんだよ」。「くそ、眩しいじゃねえか」という一言には、相手の成長を誰よりも喜ぶ響きがあった。
閉ざせないなら、いっそ心をすべて解放する。そうして放たれた忍足の一球を、跡部は真正面から受け止める。忍足、てめえの存在が「俺のテニス人生の起点だ」。これまで見たどんな多彩な技よりも「力のある一球だった」と認めたうえで、跡部は、シングルス3を選んだことを後悔していないかと問いかける。月と太陽、二人の対話はここで一つの区切りを迎えた。
第4話のまとめ考察
支えてきた者と引っ張ってきた者
第4話は、タイトルの「月と太陽」が示すとおり、跡部と忍足という二人の関係を丁寧に掘り下げる回だった。部長として先頭に立ち続けた跡部と、その隣で支え続けた忍足。どちらが欠けても今の氷帝はなかった。引っ張る者と支える者、その両方がそろって初めてチームは強くなる。入学式の日から全国大会までの記憶をたどることで、その当たり前のようで大切なことが、二人の言葉からはっきりと伝わってきた。
特に印象に残ったのは、忍足が日本代表になったからこそ気づけたと語った場面だ。いつまでも誰かの光で輝く月のままではいられない。自分の目で、跡部が見ている景色を見に行く。支える側にいた者が、初めて自分の意思で前に出ようとする姿は、第3話で月が輝いてもいいと口にした決意の答えでもあった。そして跡部もまた、その輝きを眩しいと認め、てめえの存在が起点だと言い切る。互いの存在を認め合うことこそが、この試合の本当の決着だったように思える。
誰かの代わりではなく
リョーマと千石の試合もまた、自分自身で戦うことの意味を描いていた。1球ごとに進化するリョーマを前に、千石は亜久津の代わりではなく、自分の名前で勝つと誓う。結果は敗れたものの、最後まで自分のテニスを進化させようとした千石の姿は、まいったねという笑顔とともに心に残った。イリュージョンを封印し、オリジナルの自分で戦う仁王も、同じ問いに向き合っているのだろう。誰かの代わりでも、誰かの再現でもなく、自分のテニスで勝ちたい。三つのコートで描かれたのは、形は違っても同じ一つの願いだったように思える。
冒頭で描かれたスペイン代表の素顔も含めて、この回はどの選手にも、それぞれの物語があることを感じさせてくれた。決勝メンバーの座をかけた戦いは、勝ち負け以上に、選手たちが自分は何者なのかを確かめる場になっている。月と太陽がともに輝き続けるために、それぞれが今の自分を存分にぶつけ合う。その熱さこそが、この決定戦の一番の見どころなのだと改めて思った。































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