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病を押して盗賊たちを退けたイザークのもとに、新たな刺客が静かに迫る。街の名士に雇われた残虐な渡り戦士ケイモスは、イザークこそが探し求めていた強敵だと気づく。一方、言葉の通じない世界でイザークの帰りを待つノリコは、自分にできることを少しずつ探し始めていた。町長の申し出、ケイモスとの激突、そして今は一緒にいる理由まで、第4話を振り返る。




第4話 盗賊退治のその後と新たな刺客
第4話は、病を押して盗賊たちを退けたイザークのその後と、新たに現れた渡り戦士ケイモスとの激しい戦いが描かれた回だった。言葉の通じない世界で不安を抱えながらも、自分にできることを探し始めるノリコ。そしてその裏では、ラチェフがケイモスの力に目をつけていた。イザークとノリコの関係が一歩深まった第4話を振り返っていく。
傷の消えたイザーク
盗賊たちを一人で退けたイザークを心配して、ノリコは「じっとしてたほうがいいよ」と駆け寄る。医者に診てもらうと、服の血は返り血だった。古い傷はすでにふさがっていて、イザークはもう痛くないという。ノリコが騒ぐので大怪我をしているのかと思った、という周りの声に、安心したノリコの目から涙がこぼれる。
町長に「何を泣かせておる」とたしなめられても、イザークが泣かせたわけではない。安心して気が緩んだのだろうと周りがかばってくれるやり取りが温かい。言葉は通じなくても、ノリコがどれだけイザークを心配していたかは、町の人たちにもしっかり伝わっていた。
異世界に来てまだ3日、頼れるのはイザークだけだ。そのイザークが無事だとわかった瞬間にこぼれた涙は、ノリコがどれほど張り詰めた気持ちで夜を過ごしていたかを物語っている。言葉が通じなくても、その涙だけで十分に気持ちは伝わっていた。
病の身で戦い抜いたイザークは、回復期に入ったという。今回は戦いの途中からそれに入り、驚くほど早かった。この分なら朝には完全に回復する。そしてイザークは、この仕事のけりは必ずつけさせてもらうと言い切る。体調が戻りきらないうちから責任を果たそうとする姿に、渡り戦士としての誇りが感じられた。
町長の申し出
町長はノリコを引き取りたいと申し出る。身寄りのない移民の子で、途方に暮れてイザークについてきたのだろうと思われていたのだ。顔立ちがどことなく亡くなった娘に似ているという町長の言葉には、ノリコを本気で案じる気持ちがにじんでいた。
渡り戦士にとってノリコは足手まといにしかならない、いつまでも連れ歩くわけにもいかない。周りの大人たちの言い分はもっともだ。赤の他人の男女が同じ部屋というのはよろしくない、と町長が心配するのも、この世界の常識からすれば当然なのだろう。
それに対するイザークの答えは「無用の心配だ」、「俺にも好みというものがある」。そっけない一言に、周りから「十分可愛いじゃないか」とツッコミが入るのが微笑ましい。冷たく見えるイザークの言葉の裏には、まだノリコを手放すつもりがないことが隠れていた。
もちろん町長の申し出は善意からのものだ。安全な町で、娘のように大切にしてもらえるなら、ノリコにとっても悪い話ではないように見える。それでもイザークがはっきりと答えを出さないところに、この時点ですでに何かを考えていることがうかがえた。
ケイモスという男
強者を探す渡り戦士
一方、ラチェフはゴーリヤの占いで、目覚めとそれを連れ去った者の行方を探らせていた。手がかりのないものは占えないうえに、あちら側からの妨害もあるという。そこでラチェフが目をつけたのが、例の男ケイモスだった。ケイモスの秘めたる力なら、未知の存在を引き寄せるかもしれない。
盗賊の手引きをしていた商人のもとに現れたケイモスは、盗賊を退けた渡り戦士にしか興味はないと言い放つ。とてつもなく強い者が樹海にいて、そいつが目覚めを連れ去ったかもしれない。ケイモスはそいつを探していたのだ。弱い奴では物足りない、と言わんばかりの態度には、強さだけを求める者の危うさがにじんでいた。
盗賊の頭を倒した渡り戦士を探すために、わざわざ町まで来るケイモス。目覚めを追う者たちにとって、イザークの強さはそれだけで手がかりになってしまう。強すぎることが、かえって居場所を知らせてしまうという皮肉が、この先の旅の厳しさを予感させた。
異常な死に方をした者が見つかったと聞いたイザークは、それがザーゴの兵士たちと同じやられ方だと気づく。並みの人間が太刀打ちできる相手ではない。イザークは「そっちの件も俺が引き継ごう」と申し出て、ケイモスとの対決へと向かっていく。
待つだけの女になるもんか
イザークが出かけていったあと、ノリコは不安に押しつぶされそうになる。「この世界に飛ばされて3日」、「まだそれしか経ってないのに」、イザークがいないとたまらなく不安になる。二度と会えなくなるような気がしてしまうのだ。たった3日で、ノリコにとってイザークはそれほど大きな存在になっていた。
けれど、町長たちは言葉が通じないノリコに、あの人はちょっと出かけているだけだと、身振りを交えて一生懸命に伝えようとする。イザークの荷物がここにあるということは、見捨てられたわけではない。ノリコはそう気づき、みんなが自分を気遣ってくれていることを受け止める。親を見失ったひよこのようだと笑われながらも、ノリコは一緒に朝ごはんを食べることにする。
「今はうろたえず彼を待っていよう」。それが彼らの心遣いに対して自分ができること、自分なりの感謝のしるしだというノリコの決意が健気だ。待つことしかできない状況でも、その待ち方には自分の意思がある。ただ守られるだけではないノリコの芯の強さが、この場面でよく伝わってきた。
イザークとケイモスの激突
鋼の網と遠当て
盗賊の残党たちは、頭の仇を取ろうとイザークを待ち構えていた。剣でも切れない鋼の網でイザークの動きを封じたところで、ケイモスが姿を現す。「探す手間が省けた」と言うイザークに、ケイモスは探していた商人の居場所を明かしつつ、お前はここで俺に始末されるのだと笑う。
ケイモスの得意技は、離れた相手に衝撃を叩き込む遠当てだ。「俺の遠当てがまともに入らなかったというのか」と驚くケイモスに対し、イザークは驚異的な速さで反撃に転じる。両手でなければ対応しきれない、と焦るケイモス。互角にやり合っていたはずの戦いは、次第にイザークの側へと傾いていく。
ゴーリヤの占いは、この戦いの勝敗まで見通していた。この勝負、ケイモスは負ける。それも相当な痛手を受けて。せっかく使い物になる男だと思ったのに、体が傷んでしまっては何にもならない。ラチェフはゴーリヤの力を借りて、ケイモスを戦いの場から引き離そうとする。
自分より強い存在など許せないと叫ぶケイモスの姿には、強さだけを支えに生きてきた者の脆さが見えた。強敵を探していたはずのケイモスが、本物の強敵を前にして崩れていく。その対比が、イザークの計り知れない強さをいっそう際立たせていた。
一方で、イザークの戦い方には迷いがない。必要以上に相手を痛めつけるのではなく、これ以上はやりたくないが仕方ないという姿勢を崩さない。強さを誇るケイモスと、強さを持て余しているようにさえ見えるイザーク。二人の違いが、戦いの中ではっきりと浮かび上がっていた。
ノリコが見つけた使命
イザークを待つ間、ノリコは小学校の頃を思い出していた。父の転勤で引っ越し、友達と離ればなれになって落ち込んでいたとき、たまたま近所の火事を見つけて、ぼやで済んだことがある。もしかして、自分が引っ越したのはこういう使命があったからかもしれない。それ以来、悩んでもどうしようもない時は、いつもこの考え方で乗り切ってきたのだという。
だから今もそう考える。「まずは言葉を覚えて できることをしよう」、「いつでも使命を果たせるように」。異世界に飛ばされた理由はわからない。それでも、ここに来たことに意味があると信じて前を向く。ノリコの前向きさは、これまでの人生で身につけてきた生き方そのものだったのだ。
第1話から、ノリコはいつも自分なりの言葉で状況を受け止めようとしてきた。今回の回想で、その前向きさがどこから来ているのかが明かされたのは嬉しい。言葉を覚えると決めたことは、イザークと本当の意味で通じ合うための第一歩にもなるはずだ。
第4話のまとめ考察
今は一緒に
戦いを終えて町に戻ったイザークのおかげで、盗賊たちも内通していた商人も捕らえられ、町はようやく静けさを取り戻した。町長は、渡り戦士などうさんくさいと思っていたが、死んだ者たちの埋葬のとき、イザークが自分の体が回復するまで待ってくれれば死なずに済んだのにと、少しつらそうに言ったのだと明かす。その姿を見て、ノリコを彼のそばに置いてやりたい気分になったのだという。
一方のイザークもまた、ノリコを人に預けることの危うさを考えていた。ノリコはまだ、自分が目覚めであることを知らない。もし誰かに預けて、やがて言葉を話せるようになったとき、樹海での出来事を口にしたらどうなるのか。それは自ら目覚めであることを明かすようなものだ。「だから今は一緒にいよう」。自分と言葉を交わせるようになり、自分の立場を理解できるようになるまで。
ノリコを守るためでもあり、目覚めの秘密を守るためでもある。イザークの決断には、冷静な計算と、ノリコを放っておけない気持ちの両方が入り混じっているように見えた。言葉が通じないからこそ、二人の間にはまだ多くの誤解とすれ違いがある。それでも、同じ方向を向いて歩き出したことに変わりはない。
振り返ってみると、第4話はイザークとノリコが、互いを必要とし始める回だった。イザークがいないと不安になるノリコと、ノリコを手放すわけにはいかないと考えるイザーク。理由はそれぞれ違っても、二人は一緒にいることを選んだ。言葉が通じない二人の旅は、まだ本当に始まったばかりなのだ。
ラチェフとゴーリヤの思惑、そして連れ去られたケイモスの行方も気になるところだ。目覚めと天上鬼をめぐる大きな運命の中で、言葉を覚えようと決めたノリコが、これからどんな使命を見つけていくのか。二人の旅路を、これからもじっくり見守っていきたい。




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