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ギュゼル姫の子を巡る騒動の裏にナキア皇太后の企みがあると睨むカイルたち。そんな中、ウルスラは皇太后の宮で不審な動きを目撃し、密かにその証拠を持ち出す。調べを進めたユーリが突き止めたのは、皇帝を毒殺してカイルに罪を着せるという、恐ろしい皇帝暗殺の計画だった。ウルスラとカッシュの恋、毒入りワイン、そして三重の罠まで、第17話を振り返る。




第17話 ギュゼル姫の件の裏で
第17話は、ギュゼル姫の子を巡る騒動の裏に潜むナキア皇太后の企みが、ついに牙をむく回だった。ウルスラとカッシュの恋が実る温かな前半から一転、毒入りワインと皇帝暗殺、そしてユーリに仕掛けられた罠へ。皇太后の三重の罠が明かされるまで、息つく間もない第17話を振り返っていく。
皇太后の狙いは
前回、カイルはギュゼル姫の子が自分の子ではありえないと確信した。ナキア皇太后がギュゼル姫を操り、子どもをでっち上げたのはわかった。けれどユーリは、そんなことをしても皇太后には何の得にもならないはずだと首をかしげる。カイルに子がいれば、ジュダの即位はさらに遠のくはずだ。皇太后がなぜそんな状況を作ろうとするのか。その答えは、まだ見えていなかった。
そこへ、元老院のアイギル議長から使いが来る。ギュゼル姫がひどく興奮しているので、すぐに館へ来てほしいという。出かけようとするカイルは、ユーリに勝手に宮を出ることは許さないと念を押す。けれど、おとなしくしていろと言われておとなしくしているユーリではない。この念押しが、後の展開への伏線になっていた。
ウルスラとカッシュの恋
素直になれない二人
カイルに子がいたという話が嘘でよかったと喜ぶウルスラに、カッシュは殿下に何人子どもがいてもユーリ様が一番の寵姫だろうと返す。「そういう問題じゃないの」、「本当にデリカシーないわね」と怒るウルスラと、軍人にデリカシーなんかいらないと言い返すカッシュ。喧嘩を止めようとするユーリに、周りの侍女たちは放っておけばいいと笑う。ウルスラは絡まれて嬉しいのだ、と。
「好きな子をいじめちゃうってやつですよ」という説明に、ユーリはようやく気づく。最近カッシュがよくいると思っていたのは、そういうことだったのか。慌てて否定する二人の息の合いぶりが、かえって本音を物語っていた。
一緒に暮らさないか
ユーリはウルスラに、カイルからもらったイヤリングをなくしたから馬屋を見てきてほしいと頼む。ところが馬屋では、アスランが暴れ出してウルスラに迫る。助けたのはカッシュだった。「怖かった」とつぶやくウルスラを、カッシュは抱き寄せる。
あんたの遊び相手をする気はないと突っぱねるウルスラに、カッシュは「遊びじゃない」と言い切る。貴族といっても名ばかりで、子どもの頃に父を亡くし、貧乏なら負けない。「お前が何をしても」、「のし上がりたかった気持ちは分かる」。カイル殿下が取り立ててくれなかったら、自分も母や妹を食わせるために盗賊になっていたかもしれない。偽イシュタルとして生きてきたウルスラの過去を、まるごと受け止める言葉だった。
「なあ、一緒に暮らさないか、ウルスラ」。照れ隠しに何人目なのかと問うウルスラに、カッシュは「殿下がお一人しかそばに置いてないのに」、「俺がそれ以上女を持てるか」と怒鳴る。そしてこのすべては、ユーリが仕組んだものだった。「あんた 人間だったら すっごい役者になってたかもね」とアスランをほめるユーリ。けれどその口からこぼれたのは、「私と王子には無理だけど」、「みんなは好きな人と幸せになって」という、少し寂しい本音だった。
毒入りワイン
ウルスラが持ち出した白い粉
カイルが議長の館に通い詰める中、自分に何かできないかと考えるユーリのもとに、ウルスラが駆け込んでくる。皇太后の宮の前で、ナキアが荷馬車に積むワイン壺の中に白い粉を入れていたというのだ。エジプトから密かに取り寄せたものらしい。
どうやって手に入れたのかと問うユーリに、ウルスラは皇太后の宮に忍び込んだと明かす。「宮の門番たらキス一つで中へ入れてくれたんですよ」。危ないことはしないでと心配するユーリに、ウルスラは「ユーリ様のために私も何かしたかったんです」と答える。かつてユーリを陥れようとした偽イシュタルが、今はユーリのために体を張っている。その変化が心を打った。
エジプトの猛毒
粉の正体を確かめるため、ユーリはラムセスのもとを訪れる。「お前 これは毒薬だぞ」。植物の根から取ったエジプト特有の猛毒で、「人でも牛でも簡単に殺せる」。皇太后は誰かを殺そうとしている。一番邪魔に思っているのはカイルのはずだが、と考えるユーリに、ウルスラは荷馬車の行き先なら分かると言う。小麦粉の袋に穴を開けておいたので、こぼれた跡を追えばいい。「やるじゃねえか」とラムセスも舌を巻く。
跡を追った先の荷馬車には、カイルの近衛長官の紋章がついていた。行き先は王宮。王宮の住人で一番命を狙われやすいのは、皇帝陛下だ。カイルの紋章がついた荷物なら、カイルからの献上品ということになる。そのワインで皇帝が亡くなれば、疑われるのはカイルだ。「皇太后は皇帝を暗殺して」、「カイル王子に罪をなすりつける気なんだ」。いくら皇太后でもそこまでは、という声に、ユーリは「ううん、やるよ」と言い切った。
褒美のキス
ユーリは王宮へ、ウルスラはみんなに知らせに走る。カイルへの知らせを頼まれたラムセスは「俺には関係ない」とうそぶき、「褒美にキスしてくれたら考えてもいいぜ」と条件をつける。そこに割って入ったのはウルスラだった。ユーリ様のキスなんて厚かましい、自分はカッシュと婚約したのだから「お釣りが来るわ」。
ウルスラの思わぬ行動に、ラムセスも「ユーリとは次の機会にとっておこう」と引き下がる。緊迫した状況の中に差し込まれた、なんとも痛快な一幕だった。
皇帝暗殺
間に合った
王宮へ向かう途中、ユーリはジュダと出会う。近衛長官の紋章をつけた荷馬車が、今朝母の宮で準備されていた荷馬車によく似ていたというのだ。事情を聞いたジュダは「母ならやりかねない」とつぶやき、ユーリとともに王宮へ急ぐ。一方ラムセスはカイルのもとへ馬を走らせ、「殿下とて皇帝暗殺の犯人にはなりたくないでしょ」と告げる。カイルは「何か裏がある」と嫌な予感を覚えていた。
ユーリはワイン壺をわざと落として割るが、すでに一杯は皇帝のもとへ運ばれた後だった。皇太子殿下からの献上品と聞き、喜んで口をつけようとする皇帝。そこへユーリとジュダが飛び込み、杯をはたき落とす。「間に合った」。思わず口にした理由は、イシュタルのお告げで陛下を祝福せよと言われた、という苦しい言い訳だった。
カイルを助ける者
皇帝は祝福をカイルのためにせよと言う。自分はカイルに助けられて国を治めている、「だがカイルを助ける者は誰もおらぬ」。政治も軍事も助けはいらないかもしれないが、せめて心を慰める者は必要だ。カイルのそばにいる者の責任は重い。「お前はその重圧に耐えられるか」。答えに詰まるユーリに、皇帝は一人の女に抱え込めるものではない、「カイルは大きな男だ」と語りかける。
弟を思う兄としての優しさがにじむ言葉だった。皇帝はアッシリアから贈られたイシュタル像を渡そうと、隣の部屋へ向かう。けれどそこで待っていたのは、ウルヒだった。「ウルヒ、そなたがなぜここに」。それが、皇帝の最期の言葉になった。
その返り血
戻りの遅い皇帝の様子を見に行ったユーリとジュダが目にしたのは、刺されて倒れた皇帝の姿だった。「さっきまで話をしていたのに」。駆けつけたカイルは、なぜ刺されたのか、毒殺ではなかったのかと混乱する。そこへ現れたのが、ナキア皇太后だった。
「お早いご到着だこと」とカイルたちを迎えた皇太后は、ユーリの服についた血を見て「イシュタル様 まさかあなたが」と言いかける。それを遮ったのはジュダだった。「それは倒れた陛下を抱き止めたからついた血だよ」、「僕たち何もしてないよ」。息子がその場にいたことは、皇太后にとって想定外だったらしい。
カイルは王宮を封鎖し、「猫一匹外へ出すな」と命じる。そして皇太后に向かって、いらっしゃるのが大層早かったようだが「何か予感でもありましたか」と皮肉を込める。「殿下こそ犯人探しのお手並み拝見いたしますわ」と涼しい顔で返す皇太后。二人の間に、見えない火花が散っていた。
皇太后の三重の罠
仕組まれた容疑者
皇帝暗殺の知らせは、たちまち街に広まっていく。暗殺を止めるつもりが、自分が容疑者になってしまった。落ち込むユーリに、カイルの側近は「皇太后は三重の罠を仕掛けてきたんです」と明かす。
一つ目は、隠し子をでっち上げてカイルを王宮から遠ざけること。二つ目は、その隙に皇帝を毒殺してカイルに罪を着せること。そして三つ目の標的は、ユーリだった。あの場にユーリが居合わせるよう仕向け、カイルの共犯として皇帝暗殺の犯人にすること。毒殺の計画はユーリに潰されたが、刺殺もはじめから計画のうちだったのだろう。
ウルスラが目撃した皇太后の怪しい行動も、わざと情報を流したもの。ユーリが動き出すことまで織り込み済みだったのだ。冒頭の、皇太后に何の得があるのかという疑問の答えが、ここで一気に明かされる。ユーリの正義感さえも利用する皇太后の周到さに、背筋が寒くなった。
ジュダの瞳
「お前を犯人になどさせない」と誓うカイルは、あの場にジュダがいたことが皇太后の命取りになると考える。準備ができ次第、元老院の会議を開き、「皇太后の悪行を公にしてやる」。
一方のジュダは、母に問い詰めていた。毒入りワインを送ったのは母様なんでしょう、カイル兄様の名を騙って、自分を帝位につけるために。けれど皇太后のそばにいたウルヒは、怒る必要はないと言う。「ご一緒だったということは」、「目撃者にもなれるということ」。不気味な一言の後、元老院に呼ばれたジュダの瞳は、どこか様子がおかしかった。
第17話のまとめ考察
光と影が交錯した回
振り返ってみると、第17話はウルスラとカッシュの恋が実る温かな前半から一転、皇太后の三重の罠によってユーリが皇帝暗殺の容疑者に仕立てられた回だった。ユーリが仕組んだ小さな幸せと、皇太后が仕組んだ大きな陰謀。二つのたくらみの対比が鮮やかだった。
印象的だったのは、アルヌワンダ2世がユーリに語った言葉だ。カイルを助ける者は誰もいない、せめて心を慰める者が必要だ。弟を思う兄の優しさがにじむその言葉が、最期の会話になってしまったことがあまりにも切ない。そしてその重圧に耐えられるかという問いは、元の世界へ帰ろうとしているユーリの心にも深く刺さったはずだ。
ウルスラの成長も見逃せない。かつて偽イシュタルとしてユーリを陥れた彼女が、今はユーリのために危険を冒し、カッシュと婚約し、ラムセスにまで啖呵を切る。けれどその勇気さえも、皇太后の罠に利用されてしまった。
母を問い詰めたジュダの瞳に宿った不穏な色。元老院でジュダが何を語るのか、ユーリとカイルはこの窮地をどう切り抜けるのか。皇太后の企みは、まだ終わっていない。




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