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ルカ・ブライトに捕らわれたジョウイは、王国軍が2日後の夜明けにミューズへ奇襲を仕掛けると知らされる。仲間を救うためにジョウイが選んだのは、ルカの部下になるという道だった。何も知らずに帰りを喜ぶリリュウとナナミ、そしてアナベルを待つ運命。帰りを待つ人がいる幸せ、アナベルに突きつけたナイフ、そして初めて別々の道を選んだ二人まで、第5話を振り返る。




第5話 ルカに捕らわれたジョウイ
第5話「別れ」は、その副題のとおり、いくつもの別れが重なる回だった。王国軍に捕らわれたジョウイの決断、帰りを喜ぶリリュウとナナミ、ビクトールとアナベルの穏やかな夜、そしてミューズを襲う王国軍。幼い頃からずっと一緒だった二人が、初めて別々の道を歩き出す。重く切ない第5話を振り返っていく。
抗ってみろ
目を覚ましたジョウイの前にいたのは、ルカ・ブライトだった。第4話の最後に囮となったジョウイは、やはり捕らえられていたのだ。「貴様 こんな紋章で俺を倒せるとでも思ったか」、「さあ 抗ってみろ」。圧倒的な力の差の前で、ジョウイは手も足も出ない。
そこでルカが明かしたのは、「我が王国軍は2日後の夜明けとともに ミューズに奇襲を仕掛ける」という計画だった。「ここで俺を殺さねば 貴様の仲間は皆死ぬ」。殺せるはずのない相手を前に、仲間の命を突きつけられる。あまりにも残酷な二択だった。
僕をあなたの部下にしてください
追い詰められたジョウイが口にしたのは、「僕をあなたの部下にしてください」という言葉だった。「つまらん」と吐き捨てるルカに、ジョウイはさらに「僕をミューズに返してください」、「必ず王国軍の役に立ってみせます」と申し出る。ルカはそれを受け入れ、影と呼ばれる者を同行させた。
この時点で、ジョウイが本当に王国軍に寝返るつもりなのか、それとも仲間を救うための策なのかは分からない。ただ、地方貴族の息子として育ち、丘上会議で大人たちの身勝手さを見せつけられたジョウイが、何かを背負う覚悟を決めたことだけは伝わってきた。
帰りを待っていた人たち
ジョウイはずっと泣いてた
その頃ミューズでは、リリュウとナナミがジョウイの帰りを待っていた。「遅いね ジョウイ」と心配するナナミは、昔リリュウが森で迷子になったときの話をする。あのとき、ナナミもジョウイもずっと待っていた。そして「その時 ジョウイはね ずっと泣いてたんだよ」。
あのジョウイがぽろぽろ涙を流していた。だからジョウイもきっと覚えている、必ず戻ってくる。「この話したの 内緒だからね」と念を押すナナミの姿に、三人が積み重ねてきた時間の重さが感じられる。ジョウイが帰ってきたら、こんなところからは逃げ出して3人で、とナナミが言いかけたそのとき、ジョウイが姿を現した。
帰りを待っていてくれる誰か
「約束 守ってくれると信じてたよ」と迎えるリリュウに、ジョウイは「ただいま」と答え、待っていてくれたピリカにも礼を言う。「帰りを待っていてくれる 誰かがいるっていうのは」、やっぱりいいものだと噛みしめるジョウイ。その言葉が、あとから思えばあまりにも切ない。
ビクトールも「まったく 勝手なことしやがって」と言いながら、無事の帰還を喜ぶ。アナベルが明日の夜なら大丈夫だと言っていたと聞いて、ナナミはゲンカクじいちゃんの話の続きを聞かなくちゃと思い出す。いつもの日常が戻ってきたように見えて、ジョウイだけが別のものを見ていた。
すぐにここから逃げたほうがいい
ジョウイはリリュウを呼び出し、「もうすぐ この町も 戦争に巻き込まれる」と告げる。ナナミとピリカを連れて、すぐにここから逃げたほうがいい。お願いだから、ここから離れてくれ。急に何を言い出すんだと戸惑うリリュウは、「それなら ジョウイも一緒だろ」、「じいちゃんに約束したじゃないか」と返す。
ジョウイが一緒に逃げられない理由を、リリュウはまだ知らない。言えないことを抱えたまま、それでも親友だけは逃がしたい。ジョウイのこの願いが、のちの展開を思うとひたすら痛い。
一方、王国軍の陣では、ジルがルカに「あの少年を信じるのですか」と問いかけていた。「彼が何者なのか少し興味があるだけです」と答えるジル。第4話でジョウイと言葉を交わしたジルが、ジョウイのことを気にかけているのが伝わってくる。
ナナミの言うこと よく聞くんだよ
レオナの店での夕食。ビクトールは出かけていき、ジョウイも疲れたからと早めに席を立つ。そのとき、ジョウイはピリカに「ナナミの言うこと よく聞くんだよ」と声をかけ、ナナミには「ピリカをよろしく」と頼む。何気ない言葉のようでいて、それは別れのあいさつだった。
ビクトールとアナベルの夜
南方の酒
ビクトールが向かったのは、アナベルのもとだった。砦が焼けて、これ一本しか持ってこられなかったという南方の酒。「あんたと飲もうと思って取り寄せたのさ」というビクトールに、アナベルは「確かにいい香りだ」と応じる。
人の顔をじろじろ見るな、また人の心を見透かすようなことをして、とアナベルが言えば、ビクトールは「すまんな 俺の悪い癖だ」と返す。昨日、子どもたちを危険な目に合わせてしまったと詫びるアナベルに、「今は仕事のことは忘れよう」と気遣うビクトール。長い付き合いの二人だからこその、肩の力の抜けたやり取りが心地よかった。
降伏した方がいいのかも
それでもアナベルは、ミューズのことを考えずにはいられない。この街も市民たちも、今は安らかに夜を迎えている。けれどルカ・ブライトとの決戦で負ければ、多くの命が失われてしまう。「時折このまま降伏した方がいいのかも」と考えることもあるというアナベルに、ビクトールは「リーダーがそんな弱気でどうする」と励ます。
しかも、ティントが都市同盟から手を引いたという。「結局、私は同盟をまとめることができなかった」。今こそ一丸にならなければいけない時だというのに。仕事の話に戻ってしまうアナベルに、ビクトールは「疲れは人の心を弱くするからな」と休むように言う。リーダーとして背負ってきたものの重さが、この夜の弱音ににじんでいた。
違うとき 違う場所に生まれて
そしてアナベルは、ぽつりと打ち明ける。もし違うとき、違う場所に生まれて、「私の背があと少しだけ低かったら」、あんたといい仲になっていたかもしれない。冗談めかしたその言葉に、ビクトールは「俺の方はいつでもオーケーだけどな」と笑い、「だが今じゃもう」、「俺とじゃ釣り合いが取れねえや」と続ける。
「じゃあまた」、「ああ また」。そう言って別れた二人に、また会える日は来なかった。大人同士の、静かで温かい想いが交わされたこの場面は、今回いちばん心に残る、という言い方では足りないほど切なかった。
アナベルの最期
あなたの命をもらいに来ました
ナナミとリリュウがジョウイを探す一方、ジョウイはアナベルの部屋を訪ねていた。「あなたの命を もらいに来ました」。冗談だと思いたいアナベルに、ジョウイは「ハイランドに ミューズを 明け渡してください」と迫る。王国軍に攻め込まれるのは時間の問題で、「市民を守りたいのであれば 今すぐ降伏してください」。
アナベルの答えは「それはできない」。「我々には長年守ってきた歴史と誇りがある」。それに対してジョウイは「何が歴史と誇りだ」、「その陰で悲しい思いをするのは いつも弱い者たちじゃないか」と叫ぶ。どちらの言い分にも理がある。だからこそ、この対峙は見ていて苦しかった。
「たとえ血が流れようと 守らねばならぬこともある」というアナベルに、ジョウイは「あなたが生きている限り また血が流れる」、「だったら 僕がこの戦いを止めてみせる」と返す。少し前に降伏も考えると打ち明けていたアナベルが、ジョウイの前では一歩も引かない。そこに市長としての覚悟が見えた。
せめて最後にこのグラスだけでも
アナベルが最後に望んだのは、「せめて最後にこのグラスだけでも 開けさせてもらえるかい」ということだった。「大切な友からの贈り物 置いていっては未練が残る」。ビクトールからもらった酒を手に、静かに覚悟を決めるアナベル。「ごめんなさい」というジョウイの声が震えていた。
リリュウとナナミが駆けつけたとき、アナベルは深い傷を負って倒れていた。何があったのかと問うリリュウに、ジョウイは「すまない 今すぐミューズから避難してくれ」、「そして平和に暮らしてくれ」とだけ告げて去っていく。その直後、王国軍の奇襲が始まったという知らせが届く。東門が中から開かれたという目撃まであった。
君たちはゲンカクの下で幸せだったか
指揮を託されたジェスに、アナベルは「心配するな お前なら やれる」と声をかける。そしてリリュウとナナミに、もう医者はいらないと伝えたうえで、謝らなければならなかったと語り始める。都市同盟が、アナベルの父が、ゲンカク老師にしたこと。その続きを語り終える前に、アナベルは二人に問いかける。「君たちはゲンカクの下で幸せだったか」。
「はい」、「もちろんです」と答える二人に、アナベルは「そうか、ならば、我が心も安らぐ」と微笑む。そして「私の最後の願いだ」、「死ぬな」。罪の償いを果たせなかったと悔やんでいたアナベルが、最後にゲンカクの子どもたちに託したのは、生きてほしいという願いだった。
ミューズからの撤退と別々の道
アナベルを殺してきました
ジョウイはルカのもとへ戻り、「ミューズ市長 アナベルを殺してきました」と報告する。「だから今すぐ戦闘を止めてください」。それがジョウイの考えた、戦いを止めるための方法だった。けれどルカは「俺に指図をするな」と一蹴し、「部下になりたいなら好きにしろ」と言い放つ。
戦場では、降伏しますと叫ぶ同盟軍の兵に、王国軍は容赦なく襲いかかる。「同盟軍は一人残らず殺せ」。白旗さえ無視する王国軍のやり方に、ビクトールたちは撤退を決める。ジョウイが手を汚してまで止めようとした戦いは、結局止まらなかった。ルカという男の底知れない残酷さが、ここでもはっきりと描かれていた。
みんなを守りたい
追い詰められたリリュウは、「みんなを守りたい」と叫ぶ。その瞬間、リリュウの紋章が光り、王国軍の兵たちを退ける。中央門の部隊がほぼ全員意識を失ったという報告が、その力の大きさを物語っていた。守りたいという想いが、そのまま力になったような場面だった。
撤退の途中、ナナミはリリュウに、アナベルさんのことはやっぱりジョウイが、と言いかける。「きっと 何か事情があるんだよ」と答えるリリュウ。「もう会えない なんてこと ないよね」というナナミに、「会えるよ 必ず」と返すリリュウの言葉は、自分自身に言い聞かせているようにも聞こえた。アナベルが亡くなったと聞いたビクトールの「寂しくなるな」という一言も、あまりにも重い。
初めて別々の道を
そしてジョウイのもとには、ジルが現れていた。「なぜ震えているの」と問うジルに、ジョウイは「僕は今日」、「いつも一緒だったリリュウと」、「初めて別々の道を」と言葉を絞り出す。後悔しているのかと聞かれても、「いえ自分の意思で決めたことなので」、「僕はこの道を進むしかありません」と答える。
最後にジョウイが心の中で向けたのは、「ルカ・ブライト」、「いつか必ずお前を」という言葉だった。王国軍の側に立ちながら、ジョウイの目はルカを見据えている。ジョウイが選んだ道の先に何があるのか。リリュウとジョウイ、二人の物語がここから大きく分かれていく。




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