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星座の謎を解いた一行の前に、三層タイゲタの書庫が開かれた。並ぶのは、見知った死者の記憶を追体験できる無数の本。スバルが引き当てたのは、よりにもよって傲慢の魔女テュフォンの一冊だった。メィリィの過去、シャウラを縛る4つの決まりごと、そして二層で待つ「棒振り」の男。第71話を振り返る。




開かれた書庫と、死者の書
傲慢の魔女の、記憶
「俺と同じ星空を知らないと解けない問題作るなんて」とぼやくスバルの前で、白い試験会場は無数の書架がそびえる大書庫へと姿を変えた。本の中身は認識阻害の亜種で読めず、読み取れるのは表題の人名だけ。ところが、スバルがふと手にした一冊は違った。
流れ込んできたのは、幼い少女の人生。父から善悪の天秤を教わり、罪を計る天秤は罪人自身の心の内にあると「理解」してしまった女。罪を問い、罰を与え、罪人を裁き続けた傲慢の魔女テュフォンの記憶だった。墓所で出会った、「無邪気の残酷って言葉が具現化したみたいな子」。スバルは辛うじて、意識を持っていかれずに済んだ。
よりにもよって最初の一冊で魔女を引き当てるあたり、スバルの引きの強さは筋金入りだ。テュフォンの生い立ちが数分で語られる濃密さもすさまじく、聖域編を思い出してぞくりとさせられた。
死者の過去を、手繰る本
同じ頃、一冊を開いたユリウスが昏倒していた。彼が追体験したのはバルロイ・テメグリフ、ヴォラキア帝国の元将軍の記憶。「類稀なる実力の持ち主で高潔な武人でした。一騎打ちの結果、こうして私が命を拾いましたが、それも紙一重でした」と、かつて自らの手で下した相手の人生を、彼は内側から見せられたのだ。
ここで結論が見えてくる。書庫の本は、見知った死者の過去を追体験する本。世界中の死者の名が眠るなら、目的の一冊を探すのは途方もない。そんな中、メィリィがぽつりと漏らす。死んだ人を知っていれば知っているほど読める本がある、「だったら私は結構あるかもね」。
殺した相手の記憶を追体験するという、ユリウスへの仕打ちがあまりに重い。そしてメィリィの一言で、この書庫が彼女にとってどんな場所なのかを突きつける構成が容赦ない。
メィリィの過去
魔獣に育てられた捨て子
スバルは思い切って、メィリィ本人に過去を尋ねる。殺しの仕事を始めたのは5、6年前。「拾ってくれたママの言いつけに従ってた」だけ。そして彼女は、物心つく前に森へ放り捨てられた捨て子だった。
普通なら死ぬところを、生まれつき魔獣と仲良くできる力があったために、魔獣たちに育てられて生き延びた。「捨てられちゃった原因もこの加護のせいだと思うから、いいのか悪いのか、よく分からないわよね?」と、彼女はあっけらかんと笑う。
重すぎる生い立ちを、湿っぽさゼロで語るのがかえって切ない。魔獣使いの力が命綱であり、捨てられた理由でもあるという皮肉に、この少女の背負ってきたものが透けて見える。
親の本は「興味ない」
この書庫に親の本があったら読みたいか。スバルの問いに、メィリィは「全然興味ないけど?」と即答した。「恨んだりなんてしてないのよ? なんていうか、そういう対象じゃないのよね」。
それでも、もし読みたいと言ったらどうしたのかと問われ、「そりゃ探しただろ」と真顔で返すスバルに、「お兄さんって本当にお馬鹿さんよね」とメィリィは笑う。挙げ句、今ここでお兄さんが死んだら本がストンと出てくるのか「それは興味あるわ」と物騒な冗談まで飛び出した。
恨みですらない「そういう対象じゃない」という距離感が、下手な憎悪よりずっと重い。それでも軽口を叩き合えるこの二人の関係は、屋敷の頃から確実に前へ進んでいる。
番人の決まりごと
書庫は後回し、二層へ
総当たりで探しても、本の並びに法則は見いだせない。「この書庫を作ったやつ、性格最悪だな」と吐き捨てるスバル。今の自分たちの手には余ると判断した一行は、二層への挑戦を優先することにした。
だが上り階段が見つからない。ここで閃いたのがエミリアだ。性格の素直じゃない相手が作った塔なら、と発想を変え、「三層にいなかったでしょ? それなら今まで通ったどこかにあるかも」。果たして階段は、認識阻害に隠されて最初からそこにあった。
力業のスバル、理屈のユリウスに対し、エミリアの素直な発想が正解を撃ち抜くのが痛快だ。「塔を作った奴の性格クッソ最悪だな」という総括には、全面的に同意するしかない。
シャウラを縛る、4つの掟
階段の場所を知らないシャウラに、エキドナが鋭く切り込む。あなたには言いつけられた内緒の決まりごとがあるはず、と。観念したシャウラが明かした掟は4つ。試験を終えずに去ることを禁ず。試験の決まりに反することを禁ず。書庫への不敬を禁ず。塔そのものへの破壊行為を禁ず。
違反すれば、彼女は「血も涙もないキリングマシーン」に早変わりし、スバルとの約束より掟が優先されるという。「俺との約束より優先度上ってか。傷つくわあ」と嘆くスバルに、「この決めごとが破られない限り、アーシの体はアーシのものっす!でも心は常にお師様のものっす!」とシャウラは元気いっぱいだ。ちなみに精霊かと問われると「断固拒否!」と全力否定だった。
試験を終えねば外に出られないという構図は、まさに墓所の試練の再来だ。無邪気な忠犬が条件ひとつで殺戮機械に変わるという爆弾を抱えたまま、攻略は進む。ユリウスの言う「裏に隠された決めごと」も気にかかる。
「棒振り」まとめと考察
二層で待っていた男
たどり着いた二層は、再びの白い部屋。中央の仕掛けにスバルが触れると、頭に響く謎かけと共に、赤髪の男が忽然と現れた。「なんだおめえ」を連発し、名乗りにも「他人のつけた肩書きなんざ興味ねえや」と取り合わない、規格外の存在感を放つ男だ。
「俺とまともに話したけりゃ、こっから俺を一歩でも動かしてみろやおめえ」。その挑発に、ユリウスが「ルグニカ王国近衛騎士団所属、ユリウス・ユークリウス」と真っ向から名乗りを上げる。シャウラが「棒振りレイド」と呼んだ、死んだはずの初代剣聖。その伝説が、目の前に立っている。
とうに寿命で死んだはずの男がなぜここに。死者の書の書庫といい、この塔は死者との距離が近すぎる。傍若無人な口ぶりだけで場を支配する存在感は、ネットの反応でもCV杉田智和の怪演込みで話題沸騰だった。
ユリウスの備忘録
幕間のミニコーナーは「有言実行備忘録」。名前を食われたユリウスが、旅立ちの前にリカードと交わした約束を書き留めていた。誰からも忘れられた彼のために、リカードは匂いで「兄弟なんはほんまのことやろな」と証を立て、「お嬢を頼む。ワイは今の頼みを絶対に忘れん。お前も忘れてくれるんやないぞ」と託したのだ。
腕を失ってなお「ワイの腕の責任者はワイやぞ」と笑い飛ばすリカードの器の大きさよ。この約束があるからこそ、ユリウスは剣一本でも騎士であり続けられる。次回のサブタイトルは、その名も「ユリウス・ユークリウス」。忘れられた騎士の真価が問われる戦いに、否応なく期待が高まる。














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