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『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です2』第10話の副題は「痛いところを突きやがる」。王家の船が放った光は、戦意だけでなく悲しむ力まで奪っていた。そして効かない相手が一人だけいて、その理由が憎しみと悲しみの量だった。さらに黒騎士に痛いところを突かれたリオンは、王国の側から真相を聞かされる。女尊男卑も学園も、貴族の反乱を防ぐために作られたものだった。




この作品の副題で、相手の言い分を認めたのは初めてだ
第10話の副題は「痛いところを突きやがる」。公式サイトのストーリーページと、公式アカウントの放送開始告知に同じ表記がある。出どころは、黒騎士に問い詰められたリオンの言葉だ。
突かれた痛いところは、国そのものだった
黒騎士の問いはこうだ。王国の男たちは虐げられ、横暴な女どもの言いなりではないか、そうと知りつつ何もしない王国、そんな国を守る必要があるのか。戦っている相手から、守っている対象そのものを否定されている。剣を交えている最中に、なぜ戦うのかを問われる形になる。
これまでの副題は、全部が突き返す言葉だった
並べると、「愛こそ、世界を救うんだよなぁ」「滅びの美学がお好みですか?」「おい、クソガキ」「また手のひら返しかよ」「建前が大好きでしてね」「嫌なら俺は逃げるだけです」「汚い口を閉じろ、ゴミが」「愛を数値ではかるなんておかしいよ!」「リビア……」と続く。宣言か、罵倒か、皮肉か、呼びかけで、相手の言い分を認めたものは一つもない。
第9話だけが言い終わっていなかった
直前の第9話の副題は「リビア……」で、三点リーダーで途切れていた。今回はまた言い切りの形に戻っている。途切れた呼びかけの次に来たのが、相手が正しいと認める一言だ。副題の形だけを追っても、この二話が対になっているのが分かる。
認めたうえで、答えは出していない
副題は認めの言葉だが、この回でリオンが問いに答える場面はない。真相を全部聞かされたあとで、もう一度同じことを問われても返すのは短い一言だけだ。認めることと、やめることが、この作品では別々に置かれている。
味方の切り札は、感情を奪う兵器だった
冒頭は前の回の続きで、王家の船が放った光が戦場を覆っている。公式のあらすじは、あらゆる者たちの戦意を奪っていく、と書く。ところが本編を見ると、奪われているのは戦意だけではない。
「最終兵器」と評される
光を見た側の評は、マスターが最終兵器というだけのことはありますね、というものだった。味方の側からの言葉なのに、褒めているのか警戒しているのか分からない言い方になっている。この作品で最終兵器という語が出るときは、たいてい良い話にならない。
悲しむ力まで消えている
光を浴びた公国側の姫は、妹が死んだのに心が温まる、悲しむこともできないのよ、と口にする。戦う気持ちを消すはずの光が、身内の死を悼む気持ちまで一緒に消している。戦意と悲しみが同じ場所から出ているものだと、この一言が示してしまう。
この船を動かす鍵は「愛」だった
第8話の副題は「愛を数値ではかるなんておかしいよ!」で、王家の船を起動する条件が愛の相性だった。その船が今回放つ光が、悲しむ力を奪う。愛で動く兵器が、人から悲しむ権利を取り上げている。二話ぶんの距離を置いて、同じ装置の別の顔が出てきた形だ。
使う側も、限界に来ている
終盤で、よせリビア、今のお前では無理だ、あれだけの力を出してお前もひどく消耗しているじゃないか、と止められる場面がある。効果の大きさと、撃った側の消耗が、そのまま釣り合っている。都合のいい切り札ではないことが、使い手の状態でも示される。
効かない相手が一人だけいて、その理由が量だった
公式のあらすじは、奇跡の光を受け付けないバンデルが来襲し、船の機能を破壊、と書く。効かない理由は本編で本人が語る。それが、この回でいちばん筋の通った説明になっている。
光を弾いたのは、装備ではなかった
バンデルが言うのは、どれだけの命が奪われた、今さら終わりにできるはずがない、守るべき大切な存在は失われてしまった、ならば戦い続けなければならない、死んでいった者たちのためにも、という一続きだ。戦意を消す光が届かない条件が、抱えている憎しみと悲しみの大きさになっている。
名乗りが、そのまま説明になっている
その程度でこのバンデルを打ち取れると思ったか、という一言に、公国の黒騎士か、と返る。相手の側が名前だけで正体を言い当てられる程度には、この人物は知られている。貴様と戦うこの日を待ちわびていたぞ、という言葉も出てくる。
鎧のほうも、命を削る種類のものだ
身につけている鎧はロストアイテムで、エルフの里で見つけたのと似ている、確か呪い系のアイテムだったはず、使用者のライフは削るけどステータスを大幅に上げる、と説明される。命を削って強くなる装備と、悲しみで光を弾く本人が、同じ方向を向いている。
だから性能差が消える
この魔装があれば貴様の鎧と性能差はない、純粋な技量こそが問われる戦いを今こそ始めようではないか、と黒騎士は言う。リオンの側も、まじで性能差がない、どうにか逃げ続けるしか、と認める。相棒を別任務に出しているせいで、索敵すら間に合っていない。
女尊男卑は、誰かが作ったものだった
戦いの合間に、リオンが王国の側から真相を聞かされるやり取りが差し込まれる。切り出し方からして、ただの説明ではない。真実というのは残酷ですよ、と念を押されてから始まる。
前置きが、内容の重さを先に伝えている
リオン君には全てお話ししましょう、ですが本当に受け入れられますか、純粋無垢な少年ではないですからね、と続く。返ってくるのは、覚悟はできていますよ、だ。聞く前に覚悟を確認される種類の話だと、この時点で分かる。多くの男性たち、特に地方領主に負担を強いてきた理由、という言い方で本題に入る。
きっかけは、身内から出た反乱だった
かつて王国は、王家の血筋でありながら権力を誇示して好き勝手に暴れた一族に攻め込まれ、随分と苦しめられた。その一族が独立して公国を名乗ったという。今戦っている相手は、もともと自分たちの内側から出ていったものだった。王国はその反乱を深く反省した、という説明が続く。
反省の中身が、価値観の設計だった
第二の同じものを出さないために講じた策が、女性が男性より優位に立つ社会だった。現在の女性優位の状況は作為的に植え付けられたものなのです、と明言される。地方領主が女性に財力を使い、尻に敷かれて野心をなくし、王国に盾つく気を起こさないようにするための設計だった。
設計者も、結果までは読めていない
リオンが、そんな価値観が蔓延した結果、腰抜けばっかりになったんですよ、大勢の貴族は動こうとしないし、公国に寝返ろうとする奴だっている、と食い下がる。答えは、極端に進んだ結果でしょうね、当時の責任者たちもこんな事態は予想していなかったでしょう、だった。戦争のない平時であれば何も問題はありません、という条件つきの成功だったことになる。
学園そのものが、反乱よけの装置だった
話はここからもう一段進む。リオンが、そこまでして王家は自分たちの地位を維持したかったのか、と踏み込むと、少し違います、と否定される。そこで出てくるのが、この作品の舞台そのものについての種明かしだ。
目的は、地位ではなく政治の形だった
王家はあくまでも、有力貴族に頼らない政治を行おうとしたのです、と説明される。権力を守るためではなく、権力の預け先を変えるための策だったという言い分になっている。そのために教育方針を整え、新たな人材を育成するための場を用意した、と続く。
その場が、学園だった
平民にも教育の機会を与え、才能のある者は特待生として迎え入れた。有力貴族たちによる反乱の目を摘み取り、王国を支える新たな人材を育成する。それが女尊男卑の価値観と学園設立の目的です、と二つがひとまとめで締められる。この作品の物語がずっと動いてきた舞台が、反乱を防ぐための装置だったことになる。
特待生という制度の意味が変わる
平民から特待生として学園に入った少女がいて、その存在がこの物語の出発点だった。入学できた理由そのものが、貴族の力を削ぐための仕掛けの一部だった。個人の努力の話として見えていたものが、制度の設計意図の側から説明し直されてしまう。
前世の知識が、陰謀を教科書に戻す
話を聞いたリオンの内心は、こういうの前世の授業で習ったな、封建制度から中央集権制度とかって、というものだった。異世界の秘密が、元の世界の授業で習った一項目に還元されている。マジですか、マジです、ひどい話ですね、というやり取りの軽さも、この作品らしい受け止め方だ。
王国の真相の直後に、公国の真相が来る
ここまでが王国側の種明かしで、場面が公国側に移ると、ほとんど同じ構図の話が始まる。並べて置かれているので、どちらか一方の話として読めないようになっている。
失敗した娘たちが、まず無価値と言われる
守護神が消えたのはあなた方が失敗したからだ、これだから小娘は使えない、と公国側の男が言う。これは戦争なのよ、と姫が返すと、戦果をあげられない存在など無価値です、と切り捨てる。味方の側から、成果でしか値打ちを測らないと宣言されている。
口が滑る形で、親の死が明かされる
姉妹そろって役立たず、という悪態のあとに、いや、親子そろって使えない連中ですよ、と続く。姫が問い詰めると、おっと、口が滑りましたね、と言いながら全部話す。先代の陛下であるあなたの両親は戦争に反対した、だから死んでいただいたのです、というのがその中身だ。
生贄という言葉が、そのまま使われる
娘のあなた方と同じで、公国のために必要な生贄だったのです、と説明は続く。そのうえで、王国にはあなたの首を差し出すとしましょう、そうすれば連中も降伏を受け入れるはず、と平然と話す。王国が価値観を作り替えたのと同じことを、公国は人の命でやっていた。
悲しめなくされた人が、ここで壊れる
光のせいで妹の死すら悲しめずにいた姫が、この話を聞かされる。出てくるのは、消えてなくなればいい、という一言と、笛の音だ。悲しむ力を奪われた状態で真相だけ渡されたら、残るのは怒りしかない。呼び出されたものは敵味方構わず攻撃していますね、と観測され、このままだと全滅するよ、という状況になる。
「守る必要があるのか」に、答えないまま戦う
真相をすべて聞いたあとで、リオンはもう一度同じ問いに向き合う。ここでの返し方が、この回の性格を決めている。
答えは「さあな」だった
この国を知った今、それでも戦おうとしてくれるのですか、という確認に、正直言って複雑な心境ですけど、覚悟はできてると言ったはずです、と返す。そして黒騎士の、王国など本当に守る必要があるのか、には、さあな、と返す。痛いところだと認めた問いに、最後まで答えを出していない。
国には答えないが、目の前の三人は守る
仲間を狙われた場面では、シールド全開、その三人を連れて避難しろ、俺が黒騎士の相手をする、と即断している。危ないところで割って入る者もいて、顔覚えたからな、という一言がそこで返ってくる。抽象的な問いには答えないのに、具体的な相手についてだけは一秒で決めている。すまねえ、よく守ってくれた、三人を頼む、と続く。
相棒が戻ってくる
お待たせしましたマスター、という声に、遅いぞ何やってた、と返る。コンテナを捨てる判断に、おいコンテナ捨ててどうすんだよ、ブースターが使えねえだろ、と突っ込むと、問題ありません、で押し切られる。絶体絶命の場面でも、この二人のやり取りだけは平常運転だ。
監督が、三話続けて絵コンテに入っている
公式サイトの各話ページによると、この回の絵コンテは増田敏彦と三浦和也。監督の三浦和也が絵コンテに名を連ねるのは第8話、第9話に続いて三回目で、第1話から第7話までは一度もない。終盤に入ってから毎回入っていることになる。増田敏彦のほうは第2話、第5話に続く三回目だ。
総作画監督の並びが、王家の船と重なっている
総作画監督は鈴木政彦と熊谷夏美。一人目は全話が鈴木政彦で、二人目だけが回ごとに替わる。熊谷夏美が入るのは第6話に続いて二回目で、第6話は王家の船を動かすために協力を頼む回だった。船を手に入れる回と、船が壊される回に、同じ人が置かれている。作画監督は3枠で、5枠だった第9話から絞られている。




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