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第12話の副題は「神をも超えて -I am Ephtal-」。セイリュウの最後の一撃は、エフタルが魔法ではない技で投げ飛ばして終わる。マーリンが明かしたのは、マギアバーストを引き起こした魔法が四皇のクリフのものだったという事実だ。姉の死を背負うアナスタシアは、「これからたくさん笑って生きていこうと思います」と決める。エフタルは「目指す頂きは一つじゃない」と、魔法以外も学ぶことを自分に課す。




副題「神をも超えて -I am Ephtal-」と、最終話の顔ぶれ
公式あらすじは「新たな武の境地」を予告していた
第12話の副題は「神をも超えて -I am Ephtal-」。公式サイトのあらすじには「死闘は決着したかに思えた。」「しかし最後の執念がアナスタシアへ牙を剥く。」「そんな時、エフタルは新たな武の境地を迎え」とあり、後半は「かつての仲間たち・四皇にまつわる衝撃の事実だった。」へ進む。魔法の物語の最終話で、あらすじが真っ先に掲げたのは「武の境地」だった。
「Dear Ephtal」から「I am Ephtal」へ
英語の副題でエフタルの名前が入るのは、第6話「雷神撃 -Dear Ephtal-」以来になる。第6話は四百年を待った弟子の側から呼びかける形だったが、最終話はエフタル本人が名乗る形になっている。第11話の決着で口にした「契約破りのエフタルって言ったらわかるか」も、名乗りの一言だった。呼びかけられる名前から、自分で名乗る名前へ移ったところで物語が閉じている。
第8話と同じ顔ぶれで作られた最終話
公式サイトによると、第12話は脚本が赤尾でこ、絵コンテが石井久志、演出が石井久志と高橋こう平、総作画監督が古川英樹。シリーズ構成の赤尾でこと監督の石井久志がそろい、演出の高橋こう平と総作画監督の古川英樹は第8話「宿命 -No Escape-」と同じ組み合わせだ。作画監督には山村俊了の名前もあり、エフェクト作監という欄も立っている。「逃げられない」を副題にした回と同じ顔ぶれで、自由を選ぶ最終話が作られている。
「契約破りのエフタル」と、信頼でなされる契約
「400年も前のことだしな」
冒頭、エフタルは正体に気づいた相手に「悪徳契約を破棄して回ったのは」「400年も前のことだしな」と言う。「契約破りのエフタル」という通り名に「久しぶりに懐かしい通り名を聞きました」と応じるのは、四百年を越えて師を待ち続けた側だ。通り名を懐かしいと言える人間が、この場に一人だけ残っている。
「俺はこいつらとやりあったことがあるんだよ」
エフタルは「直接退治したことのあるスザクと」「ゲンブとビャッコであれば」「最初に俺だと気づいたかもしれんな」と続け、「ご主人様今のはどういうことですか」と聞くアナスタシアに「俺はこいつらとやりあったことがあるんだよ」と明かす。第11話でセイリュウは「物を知らぬとは罪よ」と説教していた。相手を知らなかったのは、神の側のほうだった。
「自分と相手との信頼関係によってなされるものだ」
契約についてのエフタルの考えははっきりしている。「そもそも契約ってのは」「自分と相手との信頼関係によってなされるものだ」「何世代も前の戦争責任で」「子孫がそれに縛られるなんて外道な契約」「俺が通さねえよ」。アナスタシアは「ご主人様は本当に本当にすごい人だ」と感じ入る。契約そのものを否定しているのではなく、信頼の無い契約だけを否定している。
「前の世界では到達できなかった技」
「契約を破棄したこの小娘だけは」
戦いは終わっていなかった。「契約を破棄したこの小娘だけは」「許すわけにはいかぬ」と、セイリュウの最後の一撃がアナスタシアに向かう。公式あらすじの「最後の執念がアナスタシアへ牙を剥く」の場面だ。神の執念が向いた先は、戦った相手ではなく契約を破った側だった。
「以前使った投げ技とは違う」
その一撃を、エフタルは投げ飛ばして止める。「今の技は何ですか」「初めて拝見しました」と聞かれ、本人も「以前使った投げ技とは違う」「前の世界では到達できなかった技」と言う。四百年前の大賢者がたどり着けなかった場所に、魔法ではない技で先に立っている。
「神降臨の媒体となった肉体を壊しただけだ」
倒したと喜ぶ声に、エフタルは「神降臨の媒体となった肉体を壊しただけだ」「神そのものを消滅させることはできない」と答える。そのうえで「大丈夫だ」「俺がいると分かった連中は」「もう二度とアナスタシアにちょっかいはかけてこない」。神を消せなくても、相手に自分の名前を知らせたことで守りは成り立っている。
ポルテス家の結末と「自業自得だな」
「思った通り、悪行三昧だったか」
「ともかくこれで一件落着だな」のあと、ポルテス家の調べの報告が届く。「盗品のアーティファクトが山のように入っていたとのことで」「賄賂関連の裏帳簿も」。エフタルは「思った通り、悪行三昧だったか」と受ける。第9話で追い詰めた悪事が、帳簿と蔵の中身という形で裏づけられている。
「アナスタシアの一族を苦しめた分」
処分は「ポルテス家からは貴族の階級を剥奪し」「彼らの広大な領地は王都に返還となりました」、当主とその息子は逮捕されて「終身刑を言い渡されたとのことです」。エフタルの感想は「アナスタシアの一族を苦しめた分」「自業自得だな」。第9話の退学処分では賛否が割れたが、最終話では一族ごと裁かれる形で決着がついた。
マギアバーストと「クリフは誰よりも優しくて」
「やっぱりどこにも載ってねえ」
平穏が戻ると、エフタルは取り寄せた本でマギアバーストを調べ始める。「やっぱりどこにも載ってねえ」「マギアバーストについてだよ」。マギアモノリスの汚染で「レベル9以上の魔法の行使に」「耐えることができなくなりました」という説明は、第10話で聞いた話の続きだ。自分が強い理由を知ったエフタルが、次に知ろうとしたのはその理由の中身だった。
「炎神皇の大規模爆発魔法です」
マーリンが明かす。「マギアモノリスを解明するために派遣された特別調査隊」を率いたのは、四皇のうち二人だった。一人は「爆心地から北に行った場所で」遺体で見つかり、「調査隊員たちと思われる46名の遺体も」「すぐそばで発見されています」。そして「マギアモノリスの破壊に使用された魔法は」、レベル10、「炎神皇の大規模爆発魔法です」。世界から高位の魔法を奪った爆発は、かつての仲間の魔法だった。
「リーダーにふさわしい男だった」
エフタルは受け入れられない。「わけが分からねえぞ」「クリフは誰よりも優しくて」「魔王との戦争も最後まで反対していた」「年上の俺から見ても」「リーダーにふさわしい男だった」。マーリンは「お気持ちはお察しします」と言いながら、「調査団が皆殺しにされたことは事実です」と譲らない。エフタルの記憶の中のクリフと、記録に残るクリフの行いが、正反対を向いている。
「炎神皇はご存命です」と、歴史の闇
「世界を敵に回し」
マーリンは推測を口にする。クリフの研究は「魔法適性の測定はあいつが作ったものだったよな」と、もう一つは「古代文明です」。そのクリフがマギアモノリスを前にして、「世界を敵に回し」「全ての魔術師を弱体化させてなお」「求めた何かがそこにあったのでは」と。優しい男が世界を敵に回すほどの理由が、研究の先にあったと読まれている。
「辺境の国を焦土に変えてしまった男など」
エフタルが「だが400年経った今となっては」「全ては謎のままってことか」と言いかけると、マーリンは「実はこの400年の間」と続ける。レベル10を扱った少年、「辺境の国を焦土に変えてしまった男など」「多数の目撃談があるのです」「それらの状況証拠から判断するに」「炎神皇はご存命です」。第10話でマーリンは「レベル10を扱える人間は現在エフタル様しか存在しません」と言っていた。エフタルだけの特別だったはずのレベル10に、もう一人の使い手の影が差している。
「完全に歴史の闇に葬り去ったのでしょう」
「この400年の歴史は散々勉強したが」「そんな話はどの文献にもなかった」という疑問には、「当時の魔術学会幹部たちは」「その総力をもって隠蔽したのです」「初代四皇によるあってはならない不祥事でしたから」「魔術学会は完全に歴史の闇に葬り去ったのでしょう」と答えが返る。四皇の残る一人も「マギアバーストを境に消息不明となっています」。文献を読み込んできたエフタルほど、書かれていない歴史には届かない仕組みになっていた。
「目指す頂き」への訓練と、二人の師
「俺も危うい可能性があるな」
エフタルは「俺がここに転生していることをクリフに知られると」「俺も危うい可能性があるな」と考え、マーリンも「その可能性は否定できません」と答える。「どうやら悠長に学院で本を漁っているだけってわけにもいかなくなったな」。さらに「魔法適性が必要だが」「その鍵はクリフが握っている」とも言う。自分に足りない魔法適性の鍵を、危険な相手が握っているという板挟みになっている。
「いや、これじゃまだダメだ」
訓練では「こんな短期間で風と真逆の属性魔法で」「レベル9までいけるとは」と驚かれるが、エフタルは「いやこれじゃまだダメだ」「適性者が正確な練成をすれば」「威力はこんなものじゃない」「俺の場合もっと違う訓練の仕方をしなければ」と首を振る。レベル9を撃てても、適性のある者と比べる物差しを手放していない。
「武術を習ったからこそ」
エフタルはセイリュウを投げ飛ばした技を振り返る。「気の流れを見極め」「受け流し」「相手の纏う空気を掴むかのように」「その敵手を投げ飛ばす」。「おそらくモーリアさんやフレーザー兄さんに」「武術を習ったからこそ」「俺はあの技に到達できた」「二人の稽古にはなりゆきで付き合ってたけど」「確実に俺の糧になっているんだな」。第11話の回想にあった「流れる枯葉のごとく身を任せるのです」という教えとも、受け流す動きが重なる。なりゆきで付き合った稽古が、大賢者の届かなかった技の土台になっていた。
「私だけが解放されていいのでしょうか」
「その闇は私には払えない」
解呪から日がたっても、アナスタシアの表情は晴れていない。マーリンは「まるで禁忌を犯しているかのような顔だな」「その闇は私には払えない」「もしかするとお前自身にも」と言葉をかけ、先に場を離れる。弟子の座を争う相手の曇りに、マーリンが最初に気づいている。
「私だけが解放されていいのでしょうか」
アナスタシアはエフタルに「少しだけお話いいですか」と切り出し、「私だけが解放されていいのでしょうか」と打ち明ける。姉にも「もしかしたら夢もあったかもしれない」。エフタルは「一緒にいるだろ」「アナスタシアのここに」と返すが、アナスタシアは「実際には姉はもう」と引かない。自由になった直後に、自由を受け取ってよいのかという迷いが来ている。
「アナスタシアが姉さんだったらどう思う」
エフタルは話の向きを変える。「逆の立場で考えてみて」「アナスタシアが姉さんだったらどう思う」「可愛い妹がやっとの思いで呪縛から解放されたんだ」「自由になるなんて許せないって思うかな」「自分はどうなってもいい」「ただ妹だけでも自由に生きてほしい」「そう思いながら戦っていたんだろう」。第11話では「好きな時に好きなことをしていい」と自由の中身を並べてみせたエフタルが、ここでは姉の側から自由を説明している。慰めではなく、姉が望んだはずのことを一緒に考える形で答えている。
「これからたくさん笑って生きていこうと思います」
答えは「大事な人には笑顔でいてほしいに決まってるだろ」「だからこれからはたくさん」「たくさん笑うんだ」。アナスタシアは「実はそんなご主人様が少しだけ気に食わなかったです」と言ってから口づけで仕返しをし、「私決めました」「これからたくさん笑って生きていこうと思います」「ご主人様と一緒に」と告げる。エフタルは「急に何言ってるんだ」「分かったならよかったよ」。第7話の副題は「少女の想い -Master Smile-」だった。笑顔を副題に掲げた回から五話を経て、笑って生きることを本人が自分で決めている。
「妙に距離が近いですねお二人」と、それぞれの「一番したいこと」
「エフタル様と私の秘密にしたいです」
そこへやって来たマーリンが、「妙に距離が近いですねお二人」「エフタル様お顔が少し赤いですね」「もしやお加減でも」と見とがめる。アナスタシアは「エフタル様と私の秘密にしたいです」とだけ言い、マーリンは「秘密だと」「エフタル様とここで何をしていたんだ」「言えないようなことを」と食い下がる。四百年待った弟子が、この回でいちばん取り乱している。
「自由に好きなことをすればいい」
食卓でエフタルは、デザートを「それはおやつにとっておくよ」と後回しにし、「これを食べ終わったらすぐ午後の特訓に戻りたいし」と言う。二人には「でももちろん二人は付き合わなくていいからね」「せっかく特殊奴隷紋が消えたんだ」「自由に好きなことをすればいい」。マーリンは「アナスタシアは無理しなくていい」「まあもちろん私はエフタル様と一緒に特訓するがな」と張り合う。自由にしていいと言われた二人が、そろってエフタルの隣を選ぼうとしている。
「私が今一番したいこと」
アナスタシアも特訓に加わると言い、それが「私が今一番したいこと」だと答える。第4話で教わった「嫌なことは嫌と言っていい」が断る自由だったとすれば、ここでは自分で選ぶ自由を使っている。奴隷紋が消えて最初に選んだことが、主人のそばでの特訓だった。
まとめと考察
「400年前と変わらず魔法適性は全くないが」
最後の独白は「400年前と変わらず魔法適性は全くないが」「俺のしたいことは魔道の探求だ」「でも超えなきゃいけないものがまだまだある」「そのためには魔法以外もたくさん学び」「今以上に強くなる必要がある」「目指す頂きは一つじゃない」「俺は絶対今回の人生で」と続く。魔法の適性を持たない大賢者が、魔法の外にも頂きを置き直して物語を閉じている。
契約から、自分で選ぶつながりへ
冒頭でエフタルは、契約は「自分と相手との信頼関係によってなされるものだ」と言った。アナスタシアを縛っていたのは何世代も前の契約で、最終話で彼女が口にした「ご主人様と一緒に」は、紋が消えたあとに自分で選んだつながりだ。最終話は、強制された契約を壊す話から、信頼で結び直す話へ着地している。
残された問い
マギアバーストを引き起こしたクリフは生きているらしく、四皇の残る一人は行方が知れず、エフタルに足りない魔法適性の鍵もクリフが握っている。全12話の物語は、こうした問いを片づけないまま、エフタルが「目指す頂きは一つじゃない」と前を向くところで幕を下ろした。答えより先に、答えを取りに行く理由が示された終わり方だった。






































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