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『本好きの下剋上 領主の養女』の最終回となる第24話の副題は「救出」。ボニファティウスに救い出されたローゼマインだが、毒は深刻で、フェルディナンドは急遽ユレーヴェを使う。君の眠りを妨げる者は私が排除するという約束、ローゼマインのいない2年の日常、そして貴族院を前にした目覚めまで、周りの人たちの思いが詰まった温かな最終回を振り返る。




第24話の副題は「救出」
第24話の副題は「救出」(公式表記は第二十四章)。『本好きの下剋上 領主の養女』の最終回にあたる回で、公式のあらすじは「襲撃者に捕らわれたローゼマインだが、孫娘の危機に奮起したボニファティウスに助け出される」と始まる。しかし体を蝕む毒は深刻で、フェルディナンドは急遽ユレーヴェを使う。長い眠りにつくローゼマインと、彼女のいない日常を描く、静かで温かい締めくくりだった。
「私の唯一の孫娘をさらった愚か者は」
冒頭から、ボニファティウスの怒りが爆発する。「ローゼマインは私が必ず助ける」。襲撃者に向かって「私の唯一の孫娘をさらった愚か者は」と叫ぶ姿には、領主一族の重鎮としての威厳と、孫を思う祖父の顔が同居していた。
ところが救出した直後、ボニファティウスはローゼマインの入った袋を逆さにして「今すぐ出してやるからな」と力いっぱい振り回してしまう。袋の中のローゼマインは「無理死んじゃう」と心の中で悲鳴を上げる。命がけの救出劇の直後に、思わず笑ってしまう一幕を挟むのが、この作品らしいバランスだった。
「あれでは元気な者でも死にかねません」
駆けつけたフェルディナンドは、ボニファティウスに「心配なのは分かりますが」「あれでは元気な者でも死にかねません」と釘を刺す。脈はあるが、ローゼマインの体からは薬の匂いがしていた。「よりにもよってあれを使ったか」。このままではローゼマインが死ぬ。
今できるのは、薬の効果を抑えるための時間稼ぎだけ。解毒薬は神殿の工房にしかない。救出は終わっても、ローゼマインの危機はまだ終わっていなかった。
ユレーヴェの眠り
フェルディナンドは、すぐに神殿へ戻ることを決める。
「今ローゼマインを救えるのは私だけだ」
ローゼマインを自分の家で面倒を見ると言い張るボニファティウスに、フェルディナンドは一歩も引かない。ローゼマインの虚弱さと、投薬できる適量を一番知っているのは自分だと言い切り、「今ローゼマインを救えるのは私だけだ」「邪魔をするな」と声を荒げる。
いつも冷静なフェルディナンドが、貴族の序列を超えて感情をむき出しにする。その必死さこそが、ローゼマインがどれほど大切な存在なのかを物語っていた。最後はボニファティウスも「私の孫娘を頼む」と託す。
「最後まで薬に抗え」
神殿の工房へ向かうフェルディナンドは、意識のないローゼマインに語りかける。「君は私が絶対に助ける」「だから」「最後まで薬に抗え」。そして解毒を終えたあと、「おそらく間に合ったと思う」と息をつく。
目を覚ましたローゼマインのそばには、ギルたち側仕えがいた。「本を読んであげます」「だから元気になってください」。ローゼマインが本で人を結びつけてきたからこそ、今度は本で励まされる。神殿で育んできた絆が、ここでまっすぐに返ってきた。
「君の眠りを妨げる者は私が排除する」
しかし、ローゼマインの魔力は固まり始めていた。すぐにユレーヴェを使うしかない。薬が効いて眠くなったローゼマインに、フェルディナンドは「おやすみローゼマイン」と声をかけ、「君の眠りを妨げる者は」「私が排除する」と約束する。
普段は皮肉屋で感情を見せないフェルディナンドが、ここまではっきりと守ると口にする。保護者としての責任を超えた、強い思いがにじむ言葉だった。ユレーヴェに沈んでいくローゼマインの姿とともに、物語は長い眠りの時間へ入っていく。
ローゼマインのいない日常
ローゼマインが眠っている間も、エーレンフェストの時間は進んでいく。
犯人を追う領主一族
誘拐の真相を探る場では、事件に関わった貴族たちが次々と問い詰められる。誰が大広間を抜け出したのか、誰がローゼマインを運んだのか。やがて、領主しか知らないはずの抜け道の存在が浮かび上がる。
その抜け道を知る者として名前が挙がるのが、かつて次期領主として教育を受けたゲオルギーネだった。表には出てこない敵の影が、エーレンフェストを揺さぶり続けている。領主一族は、その間にエーレンフェストを立て直すことを決める。
事件の後始末は、ローゼマインが眠っている間に大人たちの手で進められていく。誰が関わり、どこから手引きがあったのか。ローゼマインを狙う動きが、一度の事件で終わるものではないことが、この短い場面からも伝わってくる。目覚めたあとのローゼマインを取り巻く環境が、より慎重なものになっていくことを予感させた。
「ローゼマインを守るにふさわしい力がない護衛騎士など必要ない」
護衛騎士たちにも、厳しい言葉が向けられる。「ローゼマインを守るにふさわしい力がない護衛騎士など必要ない」。返ってくるのは「はい お師匠様」という声。守れなかった悔しさを、鍛え直すことで晴らそうとする騎士たちの姿があった。
「こうしてローゼマインのいない日常が始まった」。下町では、トゥーリが「マインの手紙には」「しばらく寝込むだけって」と涙ぐみ、母は「大丈夫 きっと大丈夫よ」と励ます。命は助かったと分かっていても、会えない時間はつらい。下町の家族の思いが、短い場面に詰まっていた。
「そろそろ1年だ」
ボニファティウスは「そろそろ1年だ」と、ローゼマインの目覚めを待ちわびる。けれどフェルディナンドの答えは、目覚めはさらに先になりそうだというものだった。「魔力が圧縮されすぎていて」「溶かすのにも非常に時間がかかる」。
これだけの魔力をため込んで、どうして生きていられたのか。ローゼマインが平民時代から抱えてきた魔力の重さが、改めて浮き彫りになる。新しい魔石と交換される日々のなかで、「早く起きてくださいませ」と呼びかける声も聞こえる。
「その後も数日に一度」
2度目の春が過ぎ、夏が終わるころ、ローゼマインの指先は動くようになってきた。フェルディナンドは収穫祭に出かけるが、予定より早く戻ってくる。そしてナレーションが告げる。「その後も数日に一度」「フェルディナンドは様子を見に来た」。
「よほどローゼマイン様が大事なのでしょうね」「ええ 大事なのだと思います」。側仕えたちのやり取りが、言葉にしないフェルディナンドの気持ちを代わりに語っているようだった。不在の時間が、かえって二人の絆の深さを浮かび上がらせる。
2年後の目覚め
そして、ついにローゼマインが目を覚ます。
「いくらなんでも眠りすぎだ」
夢の中で「目を覚ましなさい ローゼマイン」と呼ばれたローゼマインが目を開けると、そこにはフェルディナンドがいた。「いくらなんでも眠りすぎだ」。
シャルロッテの無事を尋ねるローゼマインに、フェルディナンドは襲撃犯が2年前に処刑されたと告げる。「今2年前とおっしゃいましたか」。ローゼマインは10歳になり、季節は収穫祭が終わったところ。「貴族院の入学に間に合ってよかった」。1年のはずの眠りが2年に延びていたという事実に、ローゼマインは言葉を失う。
私の代わりに
ローゼマインが眠っている間、シャルロッテとヴィルフリートは代わりに神事を務めていた。シャルロッテは「お姉様の代わりに頑張ります」と言っていたという。そして母エルヴィーラは「ローゼマインの代わりに」「印刷業を広げるのが」「母親の務めですわ」と、実家に工房を作っていた。
「ベンノさんごめん」というローゼマインの心の声には笑ってしまうが、ローゼマインが始めたことを、周りの人たちが引き継いで支えていたのは何よりうれしい。不在の間にも、ローゼマインの思いはしっかりと受け継がれていた。
「婚姻は成就しなかった」
ローゼマインが気にかけていたダームエルの求婚については、「婚姻は成就しなかった」と告げられる。ブリギッテの「イルクナーへ来てくださいますか」という問いに、ダームエルは「イルクナーには行けません」と答えていた。
理由は語られないまま、二人の結末だけが短く示される。「2年だ」「他にもいろいろあった」。眠っている間に過ぎていった時間の重さを、ローゼマインは一つずつ受け止めていく。
「神官長の嘘つき」
側仕えたちはみな、ローゼマインが目覚めるのを「ずっと待っていた」。それも、本を作りながら。新しい本を手に、ローゼマインは喜ぶ。けれど、毒の影響でユレーヴェでも体内の魔力の塊を溶かしきれなかったと聞かされ、「神官長の嘘つき」とむくれてしまう。
健康になれなかったのは本当に残念だが、それでも命は助かり、周りの人たちとの絆はより強くなっていた。悲しみより、帰ってきた日常の温かさが勝る結末だった。
まとめと考察
第24話は、『本好きの下剋上 領主の養女』の最終回として、救出と長い眠り、そして目覚めまでを描いた回だった。
不在が描いた絆
ローゼマインが眠っている2年の間に、シャルロッテとヴィルフリートは神事を担い、エルヴィーラは印刷業を広げ、側仕えたちは本を作り続けた。フェルディナンドは数日に一度様子を見に来ていた。主人公がいない時間を描くことで、主人公がどれほど周りに愛されているかが伝わってくる。副題の「救出」は、ボニファティウスの救出劇だけでなく、周りの人たちがローゼマインの居場所を守り続けたことも指しているように感じた。
貴族院へ
目覚めたローゼマインを待っているのは、貴族院への入学だ。エンドカードでは続編「貴族院の自称図書委員」のTVアニメ化決定も発表された。眠りから覚めたローゼマインが、新しい舞台でどんな本との出会いを果たすのか、その続きが今から楽しみでならない。
誘拐、救出、解毒、そして2年の眠り。重い出来事が続いた最終回だったが、ボニファティウスの全力シェイクや「ベンノさんごめん」のような軽やかな笑いも忘れない。本を愛し、本で人をつなげてきたローゼマインの物語らしい、温かな締めくくりだった。2クールにわたって描かれてきた領主の養女としての日々が、確かな手応えとともに、次の章へと大切に引き継がれていく。




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