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ウィンストーン村の鍛冶場を守ったグリードは、カンから家宝の武具とファグマの伝説を聞かされる。一方、メロ商会は弁舌に長けたプレイヤーを村へ送り込んできた。鍛冶場をめぐる攻防は、思わぬ方向へ転がっていく。ファグマの末裔としての伝説の証明、クエストを改変するフロイの話術、そして史上初の第2職業がかかったS級クエストまで、物語が大きく動く第3話を振り返る。




第3話は伝説の証明と第2職業の始まり
『テムパル~アイテムの力~』第3話「第2職業」は、ウィンストーン村の鍛冶場をめぐる攻防の中で、グリードがファグマの末裔として新たなクエストに挑むことになる回だった。家宝の武具に隠された伝説、口のうまいプレイヤーのフロイ、そしてサティスファイ史上初となる第2職業の可能性。いくつもの思惑が絡み合い、物語が一気に広がった一話になっていた。
番組が伝えるエピック職業
冒頭は、サティスファイの職業特性を紹介するテレビ番組から始まる。ゲストのユラは、職業のアドバンテージはあっても一つの職業を突き詰めることが大切だと語る。一方、エピッククラスに転職して順位を一気に上げたロイは、職業の差こそがすべてだと言わんばかりの態度を見せた。
番組によれば、現在サティスファイに存在するエピック職業は3種類。1つはロイのブラッドウォーリア、1つは総合ランク7位のアグナスがついたとされるもの、そして3つ目は誰なのかさえわかっていない。まだ誰も知らない職業がこの世界の歴史を塗り替えるかもしれないという語り口が、レジェンダリー職業を持つグリードの存在を自然と意識させる導入だった。
家宝の武具とファグマの伝説
退院したカンを支えるグリードは、命の恩人なのだから家宝の武具をもらっても当然だと言わんばかりに迫る。けれどカンは、それだけはやれんと首を振った。ダーインスレイヴとヴァルハラは、カンの先祖が作り出した代々受け継がれる家宝。長いあいだ、その偉大な性能を引き出せる者は現れなかったという。
130年前に現れたファグマという男は、武具の性能を見抜いて見事な剣舞を披露したが、手にすることなく去っていった。いつか本当の主が現れる、という言葉だけを残して。それを聞いたグリードがすかさず口にしたのが、「俺ファグマの末裔ですから」という一言だった。図々しいようでいて、実際にファグマの職業を受け継いでいるのだから嘘ではないのが面白い。
本当に末裔ならば、「伝説を証明してもらわねばならん」。こうして発生したのが、伝説の鍛冶職人ファグマにまつわる連続クエストだった。すべて達成すれば世界を変えるほどの影響力を得られる。欲しいアイテムのために伝説へ挑むグリードの動機は相変わらず俗っぽいが、それがかえって彼らしい。
ただ、末裔だと言い張ったものの、目の前の現実は鍛冶場の再建から。なんだその情けない顔は、やはり嘘か、とカンに疑われたグリードは、だったら実力を見せてやると仕事を教えてくれるよう頼み込む。口先だけでなく、手を動かして信頼を勝ち取ろうとする姿勢は、前の話で鍛冶屋の主人のもとで地道に修行を重ねた経験が生きているように感じられた。
フロイという口のうまいプレイヤー
メロ商会が送り込んだ男
一方、鍛冶場を手に入れたいメロ商会は、ならず者を集めて攻め入るのではなく、弁舌に長けた男を送り込むことにする。ステイム伯爵が黙っていないうえ、商会のイメージが悪くなるのも避けたいからだ。ラビットがスカウトしたのは、優れた弁説を持つプレイヤーのフロイだった。
フロイは村人たちに、メロ商会のような大企業で働けば安定した生活が得られる、鍛冶場を譲っても運営権が変わるだけで誰も損はしない、と巧みに語りかける。グリードはすぐに、相手が自分と同じプレイヤーだと気づいた。言葉だけで人の心を動かしていくフロイの話術には、戦闘とは違う種類の強さがあった。
平民の権利とクエストの改変
ところがカンは、この村には平民の権利があると告げる。領主のステイム伯爵が定めた地方法令で、住民は地域の情報を誰よりも早く手に入れる権利がある。メロ商会は領主代理と手を組んで情報を独占し、隠していた。それを聞いたフロイは、あっさりと立場を変え、商会の悪行を伯爵に上訴すると申し出た。
プレイヤーなのにNPCを操っている。グリードが問い詰めると、フロイは村人に味方するほうがメリットが大きいと考え、「このゲームの自由度を利用したんだ」と明かした。NPCに積極的に介入すれば、隠しクエストが発生することもある。リリース初期のユーザーだけが知る方法だと得意げなフロイに、グリードは自分だって筋金入りの初期ユーザーだと言い返す。
何年も遊んできたのに知らなかったグリードの悔しさと、それを面白がるフロイ。友達になりたいところだけど今はやることがある、と去っていくフロイの姿には、どこかつかみどころのない魅力があった。同じプレイヤーでありながら、まったく違う遊び方をする二人の出会いが、この回の見どころの一つだった。
投獄されたフロイとS級クエスト
見抜かれていた裏切り
しかし、フロイの作戦は早々に見破られてしまう。住民の要求に乗ったふりをしただけだと言い訳するフロイに、ラビットは下手な言い訳だと冷たく返し、裏切り者として地下監獄へ連行させた。初めての隠しクエストがこんな形で失敗するのか、と悔しがるフロイ。けれど、そこでクエストが分岐する。
新たなクエストは、待機を求めるS級のもの。リアルの時間で50時間も耐えなければならない。これまでどんなに頑張っても20時間が限界だったフロイにとって、それは過酷な条件だ。途中で体に異常があれば、運営に強制ログアウトされてしまう。それでも「何があってもクリアしてみせる」と誓うフロイの姿には、軽い口ぶりとは裏腹な覚悟が見えた。
運営が注目する第2職業
このクエストに、運営側も緊急の役員会議を開く。クエストB-408は特別な条件下でのみ発生するS級の隠しクエストで、成功すればサティスファイ史上初となる、2つの職業を持つユーザーが誕生するという。第2職業の存在が知れ渡れば、ユーザーの意識も大きく変わるだろう。
挑戦するフロイは24歳のモンゴル人ユーザーで、レベル126の雄弁家。最長の連続ログインは20時間で、精神的な疲労はかなりのものだった。成功確率は「およそ9%」。さらに、本来ならNPCが担うはずだった正義の使徒の役割を、クエストを共有したグリードが担うことになったらしい。本人の知らないところで、グリードが物語の鍵を握る存在になっていく展開にわくわくさせられた。
運営の会議の場面では、ゲームの裏側で何が起きているのかがのぞける。プレイヤーの健康状態まで把握し、強制ログアウトの危険性まで計算したうえで成功確率をはじき出す運営の姿は、サティスファイが単なる遊びではなく、現実と地続きの世界であることを感じさせた。フロイが背負っているのは、ゲームの中だけの挑戦ではないのだ。
ユーフェミアと製作対決
3人目のエピック転職者
運営が鍵を握ると見ていたのは、3人目のエピック転職者だった。パーティーへの勧誘を受けるユーフェミアは、プレイヤーたちに実力を見せてほしいと頼み、そのスキルを次々とコピーしていく。これがエピック職業の力だと笑う彼女の狙いは、元騎士団長フィアローを断罪するS級クエストに挑むことだった。
そんなユーフェミアの前に現れたのがラビットだ。メロ商会に即採用されながら、手付金を受け取って姿を消した鍛冶職人エリナ。その正体が複製術師のユーフェミアだと見抜いたラビットは、彼女に代わりの依頼を引き受けるよう迫る。NPCのくせに脅迫する気かと反発しながらも、彼女にとって悪くない条件だというのが、ラビットのしたたかさを感じさせた。
フロイの解放をかけた勝負
フロイが捕まったと知ったグリードのもとへ、ラビットが主人の代理として訪れる。フロイを釈放してほしければ、提案を受け入れろというわけだ。あんなやつがどうなろうと知るかと突っぱねるグリードに、ラビットは、彼は村人たちを守ろうとしたのだと揺さぶりをかける。そして持ち出したのが、「我々とアイテムの製作対決をしていただきます」という条件だった。
カンは自分の代わりに、ファグマの末裔を参加させると宣言する。それがグリードだ。報酬の大きさに目の色を変えたグリードは、レジェンダリー職業の実力を見せてやると意気込む。対決の相手としてメロ商会から登場したのは、エリナを名乗るユーフェミア。19歳だと言う彼女にガキ扱いで突っかかるグリードと、うざいと返すユーフェミアのやりとりは、まるで子どものけんかのようだった。
対決の会場には村の人々も集まり、グリードに声援を送る。鍛冶場を守るために戦うグリードと、商会の代表として立つユーフェミア。どちらもただのプレイヤーではないからこそ、この勝負がどんな結果になるのかまったく予想がつかない。アイテムの力で真っ向から競い合うという、この作品ならではの対決に期待が高まった。
第3話のまとめ考察
アイテムの力とゲームの自由度
第3話で印象に残ったのは、同じゲームの中でも、プレイヤーによって強さの形がまったく違うということだった。アイテムを作る力で道を切り開くグリード、言葉でNPCを動かすフロイ、スキルをコピーして戦うユーフェミア。職業の希少さだけでは測れない、それぞれの強みが描かれていた。
冒頭の番組でユラが語った、一つの職業を突き詰めることも重要だという言葉が、この回全体を通して響いているように思う。職業の等級よりも、その力をどう使うかが問われる世界だからこそ、グリードの成長にも期待が高まる。
第2職業が開く可能性
監獄で50時間を耐え抜こうとするフロイは、俺は絶対に屈しないと自分を奮い立たせていた。その運命は、グリードの製作対決にかかっている。本人はまだ何も知らないまま、サティスファイ初の第2職業の誕生を左右する立場に立っているのが面白い。
伝説の証明という大きなクエストに加え、フロイの解放とメロ商会との勝負。グリードの前には、次々と大きな壁が立ちはだかっている。欲深くて口も悪いけれど、どこか憎めないグリードが、レジェンダリー職業の力でこの勝負をどう乗り越えるのか、見守っていきたい。




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