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冒険者登録の試験で、絶対攻略不可能と言われる黄昏の地下神殿へ送り込まれたローナ。インターネットを頼りに最深部までたどり着くが、掲示板の神々の言葉をうのみにした先には、終末竜ラグナドレクが待っていた。本人の無自覚な快進撃に、周囲は今回も振り回されていく。空振りするエリミナの策略、ゴッドスラングと高台ハメ、そして天使と魔王に分かれるローナの評判まで、第3話を振り返る。




第3話「掲示板を見てみた!」
『世界最強の魔女、始めました』第3話「掲示板を見てみた!」は、冒険者登録の試験として黄昏の地下神殿に送り込まれたローナが、インターネットを頼りにダンジョンを攻略していく回だった。ローナを閉じ込めようとするエリミナの策略、初めて覗いた掲示板という神々の世界、そして最深部で待ち受ける終末竜ラグナドレク。いつも通りのマイペースぶりと、周囲が震え上がるギャップを、場面ごとに振り返っていく。
迷宮核を持ってくる試験
試験の内容は、単独でダンジョンに潜り、最深部にある迷宮核を持ってくること。ダンジョンの入り口まで戻れる帰還の翼を使えば、その時点で不合格になる。前の試験より全然簡単じゃんと拍子抜けする受験者たちの横で、ローナはみんなこんな難しそうなことを当たり前にしているんだねと感心しきり。本人だけが状況の重さをまったく理解していないのが、この作品らしい始まりだった。
ダンジョンに入るのは初めてで、ちょっと怖いかもと言っていたローナだったが、中に入った途端にきれいと目を輝かせる。インターネットを使うのはずるいかなと一瞬迷いながらも、面倒だ調べてしまおうインターネットと、ローナ心の俳句で即決。最深部は9層、この角を曲がればモンスターの出現地点と、攻略情報を確認しながら進んでいく。
マナを吸い取るテラドレインで相手を行動不能にし、弱点の氷属性を突くプチアイスでとどめを刺す。景色もきれいだしピクニックみたいで楽しい、観光目的で世界中のダンジョン巡りもいいかもね。未踏のダンジョンで遠足気分になれる主人公は、なかなかいない。
エリミナの策略と、空振りする思惑
2層に閉じ込める罠
その頃、エリミナはそばにいた男から、なぜそんな理不尽な課題を出したのかと問われていた。黄昏の地下神殿は、最深部どころかいまだに2層すら攻略されていない。2層の謎を解くことは不可能で、しかも2層に降りた瞬間にトラップで広間に閉じ込められ、脱出するには帰還用のアイテムを使うしかない。そしてローナに渡した帰還の翼は、偽物だった。
つまり、ローナは2層に閉じ込められる。あれほどの化け物の封印に成功すれば、ググレカース家の覚えもめでたくなる。これでまた私のエリート人生に磨きがかかると高笑いするエリミナは、まさにフラグの塊だ。低ランクスキル持ち風情がと相手をにらむ一方で、私はエリートの星の下に生まれた女なのよと悦に入る姿には、早くも嫌な予感しかしなかった。
ところが、そのすぐあとに何かが起きる。急にお家に帰りたくなってきた、あとはよろしくと逃げ出そうとするエリミナ。お待ちをと追いかける男とのやりとりは、もはやお約束のコメディだ。策略を巡らせるほど、自分の首が絞まっていく。この人の転落ぶりは、回を追うごとに味わい深くなっている。
謎解きは攻略情報で
一方のローナは、インターネットに書いてある通りに進んで、あっさり4層もクリア。本来なら知恵を試されるダンジョンなんだろうけど、攻略法がわかっちゃうと関係ないね。なんかごめんなさい、このダンジョン作った人と心の中で謝るあたりが、ローナの人の良さでもあり、作り手泣かせでもある。
2層の謎も、閉じ込めの罠も、エリミナの計算もすべて素通り。何も知らないまま最深部にたどり着いたローナは、なんかあっさり着きすぎて実感ないけどと首をかしげる。エリミナが不可能だと言い切った場所を、本人はピクニックの延長として通り過ぎていたのだ。
掲示板という神々の世界
ゴッドスラングと、ボスが弱いという意見
最深部のボスを倒して迷宮核を回収すれば試験は合格。けれど攻略情報だけでは強さがいまいちわからない。誰かの生の意見を聞きたいと思ったローナが見つけたのが、掲示板だった。インターネットに書き込めるのは神様だけ、つまりこれは神々の会話に違いない。そんな神聖なものを見ていいのかなとおそるおそる開いた先には、荒っぽい言葉が飛び交っていた。
神々が争いを、この言葉はゴッドスラングかと勝手に納得し、wwwという文字も何かの呪文の詠唱だろうと解釈するローナ。見なかったことにしようと切り替え、他の書き込みを読むと、ボスが弱いという意見が目立つ。ここまで書かれているならすごく弱いのだろうと結論づけ、インターネットに書いてあることに間違いはないと安心してしまう。ネットの情報をうのみにする危うさを、ここまで無邪気に描かれると笑うしかない。
攻略の途中では、ウイルスを検出しましたという警告画面や、会員登録が完了しましたという画面まで飛び出してくる。現実のネットでもおなじみの怪しい表示に慌てふためくローナの姿は、異世界でインターネットを使うというこの作品ならではのネタだった。
弱いって言ったのに
キーワードを唱えて扉を開けると、中は暗くてよく見えない。扉が閉まり、ボスを倒すまで出られないと悟ったローナは、無理無理無理と叫び、弱いって言ったのにと涙目になる。インターネットに騙されたのか、でもインターネットが嘘をつくはずないし。鎖につながれていると安心したのもつかの間、終末竜ラグナドレクが目の前に迫ってくる。
魔法を撃ってもあまり効かず、早くこのドラゴンについて調べないと死ぬと大慌て。弱点の氷を突くプチアイスの連打で時間を稼ぎながら見つけたのが、祭壇の裏という安全地帯の情報だった。掲示板の神々の言葉とは裏腹に、ボス戦は一転して命がけの逃走劇になる。この落差がたまらなかった。
高台ハメと、終末竜の最期
祭壇の上からの一方的な戦い
祭壇の裏に逃げ込むと、本当に安全だった。階段の大きさのせいで、ドラゴンはうまく登ってこられないらしい。ならば祭壇の上から遠距離攻撃をぶつけていけば勝てる。テラドレインからのプチアイス、プチアイス、プチアイス、そしてちょっと休憩。疲れた体に木の実の甘さが染み渡ると、ボス戦の真っ最中におやつをつまむ余裕まで見せる。
HPが減ると攻撃パターンが変わり、ドラゴンは空を飛ぶ。それでも、空を飛んだら地上に降りた隙を突く、飛び上がったらまた同じ手順でと、攻略情報通りに対処していく。これがインターネットに書いてあった高台ハメ。ゲームでおなじみの攻略法を、そのまま異世界のボス戦に持ち込んでしまう発想に笑ってしまった。
このドラゴンバカなのかな、なぜ同じパターンでやられに来るんだろうと首をかしげ、一方的にいじめているみたいでかわいそうになってきたと同情までするローナ。それでも倒さなければ殺されてしまうと気を取り直し、全力の一撃で決着をつける。やったー倒せたー、ありがとうインターネット。終末竜の名にふさわしくない最期だった。
終末竜の防具と、レベル42
倒したあとに現れたのは討伐報酬。ボス戦のときの戦闘スタイルに応じた終末竜シリーズの防具と、アイテムボックスの枠の拡張だ。手に入れたのはSランクの黒いローブで、空を飛べるエンチャント・ウィングのスキルまでついている。今までは防御力が低くてずっと不安だった、攻撃より防御の方が大事だよねと喜ぶローナが、どこかずれていて愛おしい。
ステータスを確認してみると、レベルは22から42へ。レベル40を超えたら国内最強クラス、そこまでは求めていなかったんだけどなと戸惑いながらも、レベルが上がるのはうれしいと素直に喜ぶ。このまま本当に世界最強になって世界を救っちゃったりして、なんてね、そんなわけないか。本人が冗談で言ったことが、周りから見ればすでに現実になっている。このずれこそが、この作品の一番の面白さだと思う。
天使と魔王のあいだで
ローナ・ハーミットは人間じゃなかった
仕方なく状況を調べに来たエリミナは、2層が突破されていることに愕然とする。しかもこの短時間で。人間技じゃない、こんなことができるのは。マナサーチを使うと、周囲は膨大なマナで満たされていて、自分はすでに相手の放出するマナの内側にいた。マナが濃すぎて息が苦しい、それなのに相手の姿が見えない。羽が舞う中、エリミナさーんと明るく呼びかけながら現れたのは、翼を広げたローナだった。
課題にあった通り、このダンジョンの迷宮核を持ってきましたよと差し出すローナ。この短時間でダンジョンを完全攻略したという事実に、エリミナは不合格にしなければ自分のエリート人生がと頭を抱え、ひとまず逃げようとする。けれど、どこへ行くんですかと聞かれて口をついて出たのは、合格ですの一言だった。こんなの落としようがない、本当になんでこんな化け物を追放してんのよという叫びは、エリミナの心からの本音だろう。
去り際、ローナはエリミナに、命は大事にしてくださいね、気をつけないと近いうちに死んじゃうかもしれませんからと忠告する。インターネットのキャラクター紹介で、エリミナの死を知ってしまったからだ。ローナにとっては純粋な善意なのに、エリミナには死の宣告にしか聞こえない。そうだ田舎に帰ろう、もうあんな化け物と関わりたくない。この勘違いの連鎖が、本当に見事だった。
天使と、魔王
エリミナさんはいい人だな、ダンジョンの中にまで心配して見に来てくれるなんてと、ローナはどこまでもポジティブ。死なないでほしいな、インターネットって人がいつ死ぬかまでわかっちゃうんだね。さっきの忠告で死の運命を避けられたらいいけど、と願う優しさと、空を飛べるスキルが便利でいいなと喜ぶのんきさが同居している。
冒険者カードを作ったローナは、いきなりシルバーランクという前代未聞の待遇に。迎えたラインハルテは、ローナさんに膝を直してもらったおかげで、出会うまでの自分は死んでいたも同然だった、世界ってこんなに美しかったんだと思い出せたと、すっかり人が変わっていた。街で奇病が流行って薬草の需要が高まっていると聞けば、そこに目をつけるとはさすがと感心されるが、ローナの本音は言えない、100パーセントお金のためだなんて。
空を飛んで去っていくローナを見送りながら、ラインハルテはローナさんって本当に天使だったとつぶやき、リハビリを頑張って追いつこうと決意する。一方のエリミナは、ローナ・ハーミットは魔王よ、世界は終わるのよと震えていた。同じ一人の少女が、見る人によって天使にも魔王にもなる。この対比が、第3話の締めくくりとして最高だった。
第3話のまとめ考察
インターネットを信じすぎる魔女
第3話は、インターネットという固有スキルの便利さと危うさが、両方とも存分に描かれた回だった。攻略情報があれば、2層すら突破されていないダンジョンもピクニック気分で通り抜けられる。一方で、掲示板の書き込みをうのみにして、弱いと信じたボスに追い詰められもする。それでも最後は攻略情報の高台ハメで勝ってしまうあたりが、いかにもこの作品らしい。
そして、ローナが何かを成し遂げるたびに、周囲の人生が大きく変わっていく。策略が空振りし、死の忠告に震えて引きこもるエリミナ。膝を治してもらい、世界の美しさを思い出したラインハルテ。本人に悪気はまったくないのに、片方では天使、片方では魔王として語られていく構図が、回を重ねるごとに面白くなってきた。
シルバーランクの冒険者となったローナが、次はどんな依頼でどんな騒動を起こすのか。そして、近いうちに死んでしまうかもしれないと告げられたエリミナの運命はどうなるのか。頭を空っぽにして笑いながら、ローナの無自覚な快進撃を見届けたい。




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