『岩元先輩ノ推薦』第7話「残響ノ廃音」感想|推薦する側が、推薦された側だった

『岩元先輩ノ推薦』第7話「残響ノ廃音」感想|推薦する側が、推薦された側だった コメディ

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第7話「残響ノ廃音」の副題は、佐々眼流雨が最後に唱える技の名前である。この回の重心は戦闘の派手さではなく、公式が「雨を生む能力者」と紹介している男が、本編では湿度の話しかしないところと、後半でまるごと明かされる隔離施設の本当の役割にある。そして締めくくりで題名そのものが裏返る。推薦する側として見てきた人物が、誰かの推薦を受けた後輩だったと分かる回だった。

アニ
今週は第7話「残響ノ廃音」だわね!副題は技の名前だわね、ござる!
ラン
雨を出す子だと思ったら、湿度の話をしはじめるんだよね?頭がいいのね!
キャロ
うんうん。そして後半は、学校の中の話にまるごと使われました。
アニ
岩元さんが何のために後輩を集めているのかが本題ござる!公式のあらすじも問いで終わってるだわね!

結論:公式が「雨を生む能力者」と呼ぶ男は、本編で湿度の話しかしない

公式のキャラクター紹介は、佐々眼流雨を「雨を生む能力者で、蜃気楼や豪雨など応用の幅も広い」と説明している(※3)。ところが本編の本人は、雨を出すとは一度も言わない。言っているのは湿度の話だけである。公式の紹介が結果で書かれているのに対して、本編は原理のほうを喋らせている。

種明かしが、気象の理屈で来る

戦いの最中に本人が講義を始める。「さて、雨が降る条件とは何でしょう」「例えば高気圧」「例えば海からの風」と並べたうえで、「共通点は湿度100パーセント」「それは雲の中と同じ湿度100パーセントなんですよ」「僕の周りはね」。つまり周囲がまるごと雲の中と同じ状態にされている。だから霧が出るし、最後には蜃気楼まで出る。雨を降らせる能力ではなく、空気の状態を書き換える能力だったことになる。

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#岩元先輩ノ推薦 7話
岩元と原町のところに佐々眼流雨がやってして決闘する事になった。流雨とローズマリィが厄介な相手だったな。天羽が寝てる時岩元がサプライズで天羽に色んな服をプレゼントしようとしたが本人が目を覚ましてしまったなw
橘城はある人物と会ってた模様だった。

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攻撃が当たらない理由も、そこから出ている

ローズマリィ側は下調べをしてきていて、「能力の高さ、それは事前にレポートで読んでいた」と口にする。それでも読み違えるのは、数え上げているのが現象のほうだからである。「鋼を錆びさせるほどの湿度」「霧の気圧」「さらに蜃気楼か」と並べているうちに、「先ほどから全く届いてないですよ」と言われてしまう。湿度と気圧を握られている場所では、距離も像も相手の側の都合で決まる。能力の強さで負けたのではなく、戦っている場所ごと相手のものだった、という負け方である。

一次調査:第6話と第7話は、脚本も絵コンテも同じ人が続けている

公式サイトは各話のスタッフを出している(※1・※2)。監督を除いて数えると、この回で前に名前が出ているのは脚本のハラダサヤカと、絵コンテの藤原良二である。どちらも前回の第6話「魔女ノ侵攻」から続けての担当で、英国魔女軍団の襲来という一続きの事件を、同じ手が通しで書き、通しで絵コンテにしている。もう一つ目につくのが人数で、絵コンテが二人、演出も二人立っているのは第1話から数えてこの回だけである(※2)。前半が戦闘、後半がまるごと学校の話という顔つきの違う二本立てになっている回なので、人数の増え方もその構造と噛み合っている。

第7話で確定したこと(要点だけ)

前半と後半で話が丸ごと切り替わる回なので、先に事実だけ並べておく。

  • 公式のあらすじは「明かされる佐々眼の過去と彼の秘めたる能力とは…」「岩元が後輩たちに込める思いを知る…」という、二つの問いの形で終わっている(※1)。この記事はその二つに答える形で書いた。
  • 佐々眼流雨は栖鳳中学二年生(※3)。雨の正体は湿度100パーセントで、そこから霧と蜃気楼が出る。
  • 副題の「残響ノ廃音」は、決着の際に本人が唱える技の名前。花を腐らせる長雨をたとえに引いてから「残響ノ廃音に沈みなさい」と締める。
  • 帰還したときの挨拶が「本日はお足元の悪い中」「どうも、ただいまです」。
  • ローズマリィ・ピンクゴールドの茨は、公式の紹介によれば「体からではなく土中から出現させている」(※3)。
  • ウォーターガンは撤退する。「うまく育てやがったな」「なあ、今日は勝ちでいいよ、お前らの」「いつかお前らを俺のファミリーにしてやる」→岩元家族は一つで十分だ」。
  • 天羽総一郎が目を覚ます。「一週間は寝てましたけどね」に対して「初めて会った時は1ヶ月寝込んでた」と返される。公式によれば天羽は不登校気味で、隔離施設を訪れるのはこの回が初めて(※1・※3)。
  • 青沼静馬の能力は、公式の紹介では「全身から麻酔に似た物質を出す」(※3)。目隠しで範囲を制御できるようになっており、岩元の評価が「もう護身として使える段階に来ているぞ」
  • 隔離施設の中身=「岩元さんは表向き、自分以外の能力開発には時間がかかると報告している」「むやみに君たちが兵器化されないように」「一方で、自分の身は自分で守れるようにと、ここでみんなを育ててるんだ」。
  • 捕らえたクリスタルへの聞き取りは、紅茶の葉を使った占いで乗せて行われる。
  • 締めくくりで橘城某居が助っ人を呼ぶ。呼ばれたのは岩元で、相手の言い分が「せっかく俺の推薦を受けた後輩なんだからよ」

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副題になった技を持っているのは、題名の主役ではなく後輩のほう

この作品の副題は毎回、名詞をカタカナ交じりで並べた短い形をしている。「黒イ雪」「縁切リノ鎌」「蟲愛ヅル君」「屍人伝説ト瓦斯工場」「神殺シノ炎」「魔女ノ侵攻」(※2)。そこへ来て第7話だけが、登場人物が口に出した技の名前をそのまま題にしている。しかもその技を使うのは、題名になっている先輩ではなくこの回で前に出た後輩のほうである。

「残響ノ廃音に沈みなさい」

決着の言い回しが長い。花を腐らせる長雨をたとえに引きながら、最後に「残響ノ廃音に沈みなさい」で締める。言い方が終始丁寧なのが、この作品らしいところである。戦う前も「すいませんね、この雨が」と謝ってから始めているし、「適度な湿度は花の美しさを保つ」という言い方で相手の茨に触れている。言葉が丁寧になるほど場が冷えていくという書き方で、敵味方どちらも礼儀正しいこの作品の型がいちばん出た戦闘だった。

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TVアニメ『岩元先輩ノ推薦』
ご視聴ありがとうございました✨

第7話「残響ノ廃音」
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ローズマリィの側も、最後まで自分の型を崩さない

負ける側の描き方も丁寧である。下調べを済ませ、「ならこれはどうだ」と手を変え続け、通じないと分かってからも茨で押し切ろうとする。公式の紹介は「冷静に任務を遂行する仕事人で仲間想い」と書いていて(※3)、負け方までその通りになっている。ついでに「だが何故肩に鳥を乗せているのかは不明」とも書いてあり、公式の側が説明を放棄している一点が、そのまま画面に映り続けている。

「本日はお足元の悪い中」で帰ってくる

戦闘が終わった直後の挨拶が「本日はお足元の悪い中」「どうも、ただいまです」である。自分の能力で足元を悪くしておいて、それを詫びる形の定型句で戻ってくる。戦闘の緊張を、本人の話し方一つで日常に戻しているので、ここが前半と後半のつなぎ目にもなっている。この直後から、話はまるごと学校の中へ移る。

隔離施設でやっていたのは、特訓ではなく雑談

後半は、公式あらすじの二つ目の問い「岩元が後輩たちに込める思いを知る…」に対する答えになっている(※1)。案内された先で説明されるのは、上への報告と、下でやっていることが逆になっているという中身である。

「むやみに君たちが兵器化されないように」

説明はこう続く。「岩元さんは表向き、自分以外の能力開発には時間がかかると報告している」、理由が「むやみに君たちが兵器化されないように」、そのうえで「一方で、自分の身は自分で守れるようにと、ここでみんなを育ててるんだ」上には遅れていると嘘の報告をし、下では確実に育てている。軍の設立した学校という舞台で、育てることと守ることを両立させる方法がこれしかなかった、という置き方になっている。

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今夜22:30〜放送

TOKYO MX
TVアニメ「 #岩元先輩ノ推薦 」

第7話「残響ノ廃音」

アニメとともにEDテーマ曲の
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評価の物差しが「護身」になっている

青沼静馬の能力は、公式の紹介では「全身から麻酔に似た物質を出す」とされている(※3)。本人が試したのは強化ではなく制御のほうで、視界を塞ぐと散らす範囲を抑えられると分かり、「今なら手のひらまでの調整も可能かと」まで来ている。これに対する岩元の評価が「もう護身として使える段階に来ているぞ」である。強くなったではなく、身を守れるようになったという言い方で褒めている。天羽の成長も同じ物差しで、「一週間は寝てましたけどね」に対して「初めて会った時は1ヶ月寝込んでた」と返る。寝込む日数が短くなったことが成長の証拠にされている。

「一緒に話そっかって」

誘われた天羽は身構えて「悪いっすけど、こう見えても病み上がりで特訓なんざ」と断りかける。返ってくるのが「ああ、違う違う」「一緒に話そっかって」である。理由もはっきりしていて、「周り誰かも分からないところで、自分の力を出すなんて難しいじゃない?」「単純に恥ずかしいよね」「だから喋ろうってこと」。強くするために集めているのではなく、一人で抱えなくていいようにするために集めている。公式が天羽を不登校気味と紹介していて(※3)、その天羽が隔離施設に来るのがこの回だという順番も効いている。

岩元の勧誘は、能力ではなく景色の話から入る

前半の戦闘の合間に、佐々眼を誘ったときの回想が挟まる。岩元自身の能力は、公式の紹介では「燃える彼岸花から繰り出す炎」とされている(※3)。ここが公式あらすじの一つ目の問い、「明かされる佐々眼の過去と彼の秘めたる能力とは…」の前半にあたる(※1)。

「俺は誰も戦わない世界を作る」

切り出しが「君を縛りつけるものはもうない」で、続くのが「雨の日も晴れの日も、朝霧の夕日も、景色はすぐに変わるぞ」。受け取った側は「僕に軍で戦えと?」と聞き返す。答えが「そうじゃない」「使い方次第さ」、そして「俺は誰も戦わない世界を作る」「だから、俺の後輩になってくれ」である。能力を評価する言葉が一つも出てこないのがこの勧誘の特徴で、言っているのは雨しかない場所から出られるということだけである。

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同じことを言っている相手が、もう一組いる

英国側も引き抜きの言葉しか使わない。ウォーターガンは撤退するときですら「いつかお前らを俺のファミリーにしてやる」と言い、その前に「うまく育てやがったな」と岩元の育成を認めている。集める、育てる、家族と呼ぶという語彙が両陣営で一致していて、違うのは集めた先で何をさせるかだけである。だから岩元の返しが「家族は一つで十分だ」という、能力ではなく所属の話になる。

聞き取りの声のかけ方まで、同じ形をしている

捕らえたクリスタルへの聞き取りも、締め上げる形ではない。紅茶の葉を使った占いをしてみせて、相手が調子に乗ったところで喋らせる。公式のキャラクター紹介には、学園長の橘城某居について「学園長室には美味しい紅茶が沢山ある」と書いてあり(※3)、設定として先に置かれていたものが、ここで尋問の道具になっている。そして声のかけ方が「どうしたの? おしゃべりしようよ」で、隔離施設で後輩に言っているのと同じ形である。この学校は、敵に対しても喋らせる方向でしか動かない。

題名が裏返る。推薦する側だった人物が、推薦された側になる

締めくくりは、助っ人集めが失敗するところから始まる。呼ばれた後輩たちの返事が「行きません」「自分は本の匂いが苦手です」「隔離施設で待ちます!」で、まるで上がってこない。公式が岩元を「後輩たちから強く慕われている」と紹介しているのに(※3)、肝心のところで誰も来ない、というくすぐりが先に置かれている。

「せっかく俺の推薦を受けた後輩なんだからよ」

代わりに呼びつけられたのが岩元だった。言われるのが「後輩ってのはいいよな」「いつでも先輩を慕ってくれる」「お前もそろそろ懐いていいんだぜ」、そして「せっかく俺の推薦を受けた後輩なんだからよ」。岩元の返事は「え?」だけである。七話かけて推薦する側として見てきた人物が、最後の一分で推薦された側に置き直される。題名の「岩元先輩」が、誰から見た先輩なのかを問い直す形になっている。

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今TLがこれで埋まってる
岩元先輩ノ推薦 第7話
実況 11件突破
あのシーンでTLが死んだ人、手挙げて
https://anilist.co/anime/206249

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名乗る場面は無いが、公式の紹介に条件の合う人物が一人だけいる

この人物が名乗る場面は本編に無い。ただ、公式のキャラクター紹介を見ると、岩元の先輩として載っているのは奥秋雄弐ひとりである(※3・※4)。四年生で生徒会副会長、「岩元の先輩であり彼と同じく超常現象を調査している」「粗暴な振舞いが目立つ人物で岩元とは正反対だが、なんだかんだ仲は悪くない」。言い方の乱暴さも、岩元との距離感も条件は合う。ただし本編が名前を出していない以上、断定はできないので、ここは名乗りが出るのを待つのが正しいだろう。

まとめ:この作品は、戦っている場面より集めている場面のほうが強い

前半の戦闘で分かったのは、佐々眼が強いのではなく、佐々眼のいる場所が佐々眼のものだということだった。後半で分かったのは、岩元が育てているのではなく、一人にしないようにしているということだった。どちらも力の大きさではなく、置かれている場所の話になっている。

推薦という言葉が、二回とも同じ意味で使われている

英国側の言う推薦は、第5話の時点から連れ帰るための口実だった。岩元の言う推薦は、雨しかない場所から出してやるという意味だった。そして最後に岩元へ向けられた推薦も、後輩でいていいと言うためのものだった。同じ言葉が敵味方で正反対に使われる、というのがこの作品の骨組みになっている。

次回の予想

残っている手札を数えると、聞き取りで何も出てこなかった魔女、呼び出された助っ人としての岩元、初めて隔離施設に来た天羽、そしてまだ制御しきれていない力という並びになる。助っ人として呼ばれた以上、次はこの先輩と組む形になりそうだが、隔離施設の後輩たちが上がってこなかったことも含めて、誰と誰が同じ側に立つかを組み替える回になるのではないか。原作は椎橋寛(集英社「ウルトラジャンプ」連載)、監督は川瀬敏文、シリーズ構成は大知慶一郎、キャラクターデザインは中嶋敦子(※4)。もっとも、ここから先はあくまで予想である。

出典

※1 テレビアニメ公式サイト 物語 第7話「残響ノ廃音」(あらすじ・脚本・絵コンテ・演出・作画監督)/iwamoto-anime.com

※2 テレビアニメ公式サイト 物語(第1話〜第7話の副題と各話スタッフ)/iwamoto-anime.com

※3 テレビアニメ公式サイト 人物(岩元胡堂・佐々眼流雨・天羽総一郎・青沼静馬・橘城某居・奥秋雄弐・ローズマリィ・ピンクゴールドの紹介)/iwamoto-anime.com

※4 テレビアニメ公式サイト 制作陣(スタッフ・キャスト)/iwamoto-anime.com


アニ
読み終わったわね!副題が技の名前だって分かると気持ちいいござる!
ラン
雨じゃなくて湿度だったんだよね!霧も蜃気楼も全部そこから出てくるのね!
キャロ
うんうん。そして隔離施設の本当の役割が、この回で分かりました。
アニ
最後に岩元さんが後輩の側にまわるのが効くわね!題名がそこで裏返るだわね!

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