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第79話の公式サブタイトルは「立ちなさい」。記憶の回廊でこの五文字をスバルにぶつけるのはレムである。ところが同じ言葉を、視聴者は先週すでに聞いている。第78話でラムは「この場は見逃してあげる」と折れてから、「立ちなさい、バルス」と続けた。姉はあだ名で呼び、妹は「ナツキ・スバル」と名前まで呼ぶ。名前を食う相手と向き合っている場所で、呼び方だけが違っている。そのレムは、スバルを「英雄」とも呼ぶ。直前にルイが「不完全な存在」だと言い切った、その本人がである。




「立ちなさい」と言うのはレムで、姉が先週それを言っている
公式サブタイトルは「立ちなさい」(※1)。記憶の回廊でこの五文字をスバルにぶつけるのはレムである。ところが同じ言葉を、視聴者は先週すでに聞いている。第78話でスバルの協力要請を突っぱねていたラムが、最後に「いいわ。この場は見逃してあげる」と折れて、そのまま「立ちなさい、バルス」と続けた。姉が言った言葉を、妹が今週もう一度言っていることになる。
公式のあらすじは、誰が言うのかを最後まで書かない
公式サイトの第79話のあらすじは、「記憶の回廊で、少女がスバルを出迎える。」という一文で終わる(※1)。ここでいう少女は、回廊で待っていたルイのことである。つまり公式は、副題になっている言葉を誰が言うのかについては一文字も書いていない。あらすじで伏せられるのは普通、その回の山場だ。
実際、記憶の回廊でスバルを立たせるのはルイではない。ルイがスバルの内面をなぞって追い詰め、スバルの膝が折れかけたところに、レムの声が割って入る。出迎えた側ではなく、割って入った側が副題になっている。
姉はあだ名で呼び、妹は名前まで呼ぶ
二回の「立ちなさい」には、はっきり違うところが一つある。呼び方だ。ラムのほうは「立ちなさい、バルス」だった。レムのほうは何度も同じ言葉をくり返すのだが、その途中で一度だけ、「ナツキ・スバル」と名前まで呼んでいる。
今スバルが向き合っているのは、名前を食う相手である。名前をまるごと呼ぶという行為そのものに意味が出る場所で、姉はあだ名で呼び、妹はフルネームで呼んだ。同じ五文字なのに、後ろに付くものが違う。
言われている側は、その相手を覚えていない
さらに効いているのは、言われている側がその相手を覚えていないことだ。スバルの返しは「なんで、そんな言葉をぶつけられなきゃなんないんだよ」、そして「誰なんだよ」である。名前も顔も分からないまま、「こんなにつらいのに」「苦しいのに」「どうして」と続けて、最後にこう言う。「胸の奥がこんなに熱いんだ」。
記憶のほうは食われているのに、声に反応する部分だけが食べ残されている。再会の場面でありながら、再会したことがスバル本人には分かっていないという形になっている。
ルイには、その相手が見えていない
もう一つ、台詞にはっきり出ていることがある。スバルが応じ始めたとき、ルイのほうは「誰と話してるの」「誰もいないのに誰と」と戸惑っている。記憶を食べた側に、その記憶は見えていない。食べたはずのものが、食べた本人の見えない場所からスバルを立たせにくる。この回の構図はこれに尽きる。
第79話「立ちなさい」で起きたこと(要点だけ)
公式のあらすじは「メィリィを仲間として迎え入れたスバルたちは、スバルの記憶喪失も監視塔が原因だと仮定し、『試験』のクリア優先へと方針を定める。(中略)記憶の回廊で、少女がスバルを出迎える。」(※1)。本編で起きる順に並べるとこうなる。
- レイド攻略の極意書としてレイド本人の死者の書を探す方針が決まる。ラムいわく、正道ではなく邪道で、スバルのやりそうなこと。
- レイドが四百年生きていないかを検討していたら、長生きが次々と名乗り出て話が脱線する。結論は「あのレイドが元気な死人ってことで異論はないな」。
- スバルがユリウスを呼び出し、「それはそれ、これはこれだ」と切り出す。
- メィリィがレイドの死者の書を見つけ、スバルが「偉いぞ、メィリィ」と褒める。読むのはスバルが引き受ける。
- 死者の書の中はオド・ラグナの揺り籠、すなわち記憶の回廊。ルイ・アルネブが出迎える。
- ルイが魂の再利用の仕組みと、スバルを二人に分けた理由を説明する。
- ルイが両親のことを持ち出してスバルを揺さぶる。
- ルイがスバルの内心の代弁だと言って、周りの三人を順に切り捨てる。
- スバルの膝が折れかけたところにレムの「立ちなさい」。ルイにはその相手が見えていない。
- スバルが名乗り直し、「それはそれ、これはこれだ」をもう一度使う。
- 回廊を出る前に、また会える、その時は厳しい声だけじゃなく優しい声を聞かせるという言葉が置かれる。
- ルイの捨て台詞。「これで終わったと思うなよ」。
「それはそれ、これはこれ」を、味方と敵の両方に使っている
この回でいちばん効いている言葉は副題ではなく、こちらのほうかもしれない。同じ一言が二回、まったく逆の目的で使われている。
一回目は、ユリウスを立て直すために
スバルはユリウスを呼び出して、いきなり「レイドに勝つ気があるのか」と聞く。本当なら時間をかけて心を立て直すべきだが時間がない、と前置きしたうえで、「ユリウス、それはそれ、これはこれだ」。理屈は明快で、「昨日までの俺が多分お前に何かやらかしたんだろう」「けどそれは今の俺とは関係ねえ」。だから気まずさは横に置いて、いちばん強いお前が戦え、という話である。
そのうえでスバルは、「お前に足りないのは勇気じゃない」「足りないのは勝ち気だ」「負けん気だよ」「勇気はちゃんとここに詰まってる」と言う。二度負けている相手に対して、負けの理由を能力ではなく気持ちの側に置いた。
記憶を失った側が、名前を失った側を立て直している
ユリウスの反論が的確で、「昨日までの記憶をなくした君が、どうして私にそうまで期待できる」と返す。スバルの答えは「それはその、イメージだ」「お前の見え方だ」「お前の全部が俺にそう期待させる」。根拠が実績ではなく見え方だけ、というのがこの場では正しい。スバルには昨日までの記憶が無いのだから、実績を根拠にできない。
ユリウスはそれを自分の言葉に置き換える。世界に忘れられ、主に存在を確かめてもらうこともできない状態にあっても、これまで培ってきた全てが失われたわけではない。そう言いたいのか、と。スバルの返しが「そこまで賢くまとまってなかったけどな」で、この二人の噛み合わなさが良い。
記憶を失った男が、名前を食われた男を立て直している。どちらも自分を証明するものを欠いた者どうしで、だから根拠が「見え方」しか残らない。締めにユリウスが「君の言葉は具体性に乏しい精神論だ」と評したうえで、「ただ、それはそれ、これはこれだ」と同じ言葉を返す。渡した言葉が、その場で返ってきている。
二回目は、ルイを突き放すために
そして記憶の回廊。記憶が戻れば今のお前は上書きされて消える、それは死んだのと同じだ、とルイに揺さぶられたスバルが、最後に持ち出すのが同じ言葉である。「魔法の言葉を教えてやる」「それはそれ、これはこれだ」。味方を立ち直らせた言葉が、そのまま敵を切り捨てる言葉になっている。
ルイが並べた三人の悪口の直後に、その三人目が出てくる
ルイの追い詰め方は、スバル自身の言葉を使うという形をとる。「ナツキ・スバルが思ってたことの代弁だってば」と言いながら、周りの三人を順に切っていく。
エミリア、ベアトリス、そしてレム
一人目のエミリアは、生まれがかつての魔女と同じというだけで誰からも忌避される可哀想な存在。二人目のベアトリスは、頼れるものもなく一人で孤独の時間を過ごしてきた弱くて脆い寂しがりな女の子。そして三人目が「献身的で無償の愛を捧げようとするレム」で、「誰かのために必死になることで生きる実感を得ようとする不完全な存在」と続く。
三人に共通して置かれているのは、導いてやらなければならない相手という位置づけである。ルイの結論は「欲しいのはいつだって優越感」、都合のいい相手だけを周りに置いて手を差し伸べる快感に酔っている、というものだ。善意を全部、優越感に翻訳し直してくる。
直前に、実際に手を差し伸べる場面が置いてある
ただ、この決めつけが通らないように作ってある。回廊へ入る前、レイドの死者の書を見つけたのはメィリィだった。本人が「別に。ただたまたま目についた本だったってだけよ」と照れると、スバルは「馬鹿言え」「ちゃんと自分がやってやったことは自慢しろ」「偉いぞ、メィリィ」と返し、「髪が乱れるわ」と言われるところまでやる。
ルイの言う優越感と、その直前に見せられた場面が噛み合わない。手柄は自分のものだと言えと押しているのだから、導いてやる相手を手元に置いておきたい人間の振る舞いではない。反証だけが先に視聴者へ渡してある状態で、ルイの断罪が始まる。
三人目だけが、その場で潰し返している
ここが今回の設計でいちばん良かったところで、三人目を不完全な存在だと言い切った直後に、その三人目が現れる。導いてやらなければならないと言われた側が、導かれる側だと言われた本人を立たせにくる。しかも言った当人には見えていない。
そのうえ、レムが言うのは「立ちなさい」だけではない。「スバル君は英雄なんです」とも言っている。誰かのために必死になることでしか生きられない不完全な存在だと言い切られた側が、その相手を英雄だと呼んでいる。ルイが並べた三人の悪口のうち、三人目だけが本人の口でその場で潰し返された形になる。
ルイが最初に触った弱点は、両親だった
名乗りの話に入る前に、その前段を見ておきたい。ルイはスバルの家族の話を持ち出している。兄思いで可愛い妹だな、一人っ子だから羨ましい、というスバルの軽口を受けて、「そう。今頃お兄さんにも弟とか妹ができてるかもしれないじゃん」と返し、想像したくないと嫌がるスバルにこう続ける。「分かるよ、お兄さん」「父さんとお母さんに申し訳ないんでしょ」「お別れの一つも言えないで」「なんて親不孝な息子なんだって後悔してる」。
根拠は「私たちほどお兄さんのこと分かってる人間なんて一人もいないんだから」、締めが「私たちはただ、お兄さんに安心してほしいだけだってば」である。記憶を食べたのだから誰よりも分かっている、という立ち方をしている。この回でルイが最初に触った弱点が、両親だった。
弱点として突かれたものを、そのまま名乗りの根拠にする
立ち上がったスバルの返しは、所有権の話になっている。「この苦悩も、俺の死も、俺の人生も、何もかも俺のもんだ」「お前にくれてやるもんなんか一個もねえ」「飢え死にしろ」「お前の望んだ通りにはならない」。そのうえで名乗るのだが、この名乗りは「俺の名前はナツキ・スバル」から始まり、「ナツキ・ケンイチとナツキ・ナホコがつけてくれた名前だ」と続く。締めが「他も何もない」「俺は俺だ」である。
弱点として突かれたものを、そのまま名乗りの根拠にして返している。申し訳ないと思っている相手の名前を名乗りの中に組み込んでしまえば、そこはもう弱点として使えない。しかも直前にレムが呼んだのが、まさにそのナツキ・スバルだった。呼ばれたばかりの名前を、両親の名前ごと自分で名乗り返していることになる。
第78話でスバルは、エミリアに向かって託されて、信じられて、赦されて、願われたから自分はナツキ・スバルだという名乗り方をしている。今回は周りに誰もいない場所で、生まれたところまで一段さかのぼって名乗っている。
この回、ナツキ・スバルという名前は何度も声に出して呼ばれる。立たせにきたレムが呼び、スバル自身が名乗り、去り際のルイまでが名前で呼んで消える。名前を食う相手との話で、名前だけがくり返し鳴っている。
暴食が欲しいのは記憶ではなく、やり直せる人生のほう
この回はルイがよく喋る。そのおかげで、暴食という大罪司教が何を食べているのかがほぼ全部言葉になって出てくる。
魂を洗って使い回す場所、という説明
死者の書の中はオド・ラグナの揺り籠で、ルイの説明では魂を洗い直す場所である。たとえが強烈で、一度使った雑巾を引き合いに出す。「洗って干したらまた使うでしょ」「魂も同じなんだよ」。こびりついた汚れを落として、また綺麗な状態で再利用する。その汚れとは記憶や経験のことかとスバルが確認すると、そのほうが分かりやすいならそれでいい、と流される。
輪廻転生の仕組みを、雑巾の一言で片づけている。記憶と経験が汚れの側に分類されているのがきつい。
スバルを二人に分けた理由が、ここで出てくる
記憶喪失の原因についても、はっきり答えが出る。なぜ丸ごと食べずに分けたのかという問いへの答えが、「同じ人間を二度は食えないから」である。「一度食べたナツキ・スバルと、食べ残されたナツキ・スバルは、別々でなきゃいけなかった」。第74話から続いてきた「オマエハダレダ」の答えが、都合で二つに割られただけという身も蓋もない形で置かれる。
ついでに、スバルが自分から数字を答える場面もある。食べられてから何回目なのかと聞かれて、スバルは五回目だと答えている。死に戻りの回数を、よりによって暴食に向かって明かしている。
欲しかったのは、死の記憶ではなくやり直しのほう
ルイが語る目的は、意外なほど素朴である。「幸せになること」。生まれも親も環境も未来も何一つ選べない、でももし選べたら。その理屈で、この人生を生きてよかったと思えるバラ色の未来を探して食べ続けている。
そして、どれだけ他人の記憶を食らっても死の記憶だけは絶対に手に入らないと言う。「ねぇ、死ぬってどんな感じなの」。他人の死の記憶なら食べられるが、それは古くてリアルではない。欲しいのは生の感覚のほうだ、と。
ここから理屈が一本につながる。最高の人生を見つけても、失敗して台無しにする可能性は残る。「でもお兄さんの人生ならそれがない」。間違えたらすぐ死んでやり直せばいい、そのお手軽さが欲しい。暴食が狙っているのは記憶そのものではなく、やり直せる人生という仕組みのほうだった。大罪司教の動機として、これはかなり分かりやすい部類に入る。
食べても手に入らないものが、二つある
ここでさっきの「ねぇ、死ぬってどんな感じなの」を、もう一度置き直しておきたい。あれは、記憶をいくら食べても自分が死ぬ感覚だけは手に入らないという告白だった。つらいのか、苦しいのか、痛いのか、気持ちいいという話もあるが本当なのか。全部、他人の記憶からは分からないままである。
同じ形の白状が、この回のいちばん最後にもう一度くる。取引を蹴られたルイが、去り際に「この感情は何」と言うのだ。そして「愛しい」という言葉を口の中で転がしてから、「許さない」「逃がさない」「絶対に」へ折り返していく。感情のほうも、名前が分かっていない。欲しいものを全部言葉にできるはずの大罪司教が、死ぬ感覚と自分の感情の二つだけは、質問の形でしか出せない。
そのすぐあとに置かれるのが「邪魔な記憶は捨てた」という一言である。愛しいと言ったものを、その場で邪魔だと言い直している。食べたものを全部自分のものにできているわけではない、というのがこの回のルイの描かれ方だった。
公式が伏せているものと、公式が並べているもの
公式サイトの作りのほうを見ると、この回の位置づけがもう少し見えてくる。あらすじと先行カットが出たのは放送前日で、同じ日に一部放送局の時間変更も告知されている(※3)。
脚本は三人で、きれいに三話ずつ回っている
各話スタッフを第71話から並べると、脚本が三人の順番で回っていることが分かる(※1)。中村能子、梅原英司、横谷昌宏の順で、九話ぶん一度も崩れていない。そして第79話は横谷の番にあたる。この人はシリーズ構成でもある(※2)。
さらに効いているのが、同じ横谷が第76話「殺人は癖になる」も書いていることだ。第76話は、死者の書に潜り込みすぎたスバルの記憶が溶け合い、脳裏に「わたし」の声が響き始めた回である(※1)。その「わたし」が誰だったのかを明かす回を、同じ人が書いている。三話周期のローテーションが、たまたまそう並んだ形になる。
絵コンテは監督が単独で切っている
絵コンテは篠原正寛で、この人はシリーズの監督である(※2)。監督が各話の絵コンテに入ったのは第72話と第78話にもあるが、そのどちらも他の人との連名だった。単独名義でコンテを切っているのは第79話が初めてになる(※1)。演出は正木陽南子、総作画監督は佐川遥で、作画監督は八人が並んでいる。なお原作者の長月達平は、原作としてだけでなくシナリオ監修としてもスタッフ表に入っている(※2)。
つまりシリーズ構成と監督が二人そろって担当した回だった。戦闘がほとんど無く、密室の会話だけで持たせる回にこの布陣を置いている。
暴食の兄二人は、声も一人ぶんしかない
公式のキャスト表も一か所だけ変わった並びをしている(※2)。暴食の大罪司教は三人いるが、ライ・バテンカイトスとロイ・アルファルドは同じ河西健吾で、ルイ・アルネブだけが小原好美である。兄二人ぶんの役が一人にまとめられていて、妹だけ別に立っている。ちなみに同じ表のレムの欄は水瀬いのりのままで、名前を食われて世界から消えても、キャスト表からは消えていない。
ルイの一人称が定まらないことは、劇中でスバルのほうから突っ込まれている。「私たちだの私たちだの、安定しねえけど」「その一人称はキャラ付け」。答えは「気にしなくていいよ」「ちょっと自我が多すぎるもんね」「どれが主体になるかフワフワしてるだけなんだ」で、そこから「でも仕方ないよね」「お兄ちゃんと兄様からの贈り物なんだし」「ちゃんともらってあげなきゃ妹として失格だもの」と続く。食べた他人の自我が、兄からの贈り物という扱いになっている。設定がそのまま演技になっている部分で、スバル役の小林裕介とユリウス役の江口拓也が終始低いところで受けているぶん、この揺れがよく目立つ。
まとめと次回予想:兄二人が塔に近づいている
この回は勝って終わる回ではない。スバルは立ち上がって名乗り直し、ルイの取引を蹴っただけである。ルイの側は「邪魔な記憶は捨てた」「後は全部食べるだけ」と切り替え、最後に「これで終わったと思うなよ」と言い残す。そこにもナツキ・スバルという名前がつき、お前の人生は自分たちのものだ、という一言が重なって消えていく。
外への出口の前に置かれた警告と、約束
回廊から出る前、ルイは兄たちの話を持ち出している。「お兄ちゃんと兄様は食欲旺盛で手段を選ばないから」「後悔するよ」と言って、出口を示す。暴食の残り二人が監視塔に絡んでくることが、本編の中ではっきり口にされた形になる。
そして出口へ向かう前に、もう一度あの声が置かれる。「大丈夫」「約束は覚えてる」、「ナツキ・スバルはきっとそれを忘れない」、「だからきっとまた会える」。そして「その時は厳しい声だけじゃなく、優しい声を聞かせる」。ここでいう厳しい声が指しているのは、今回の「立ちなさい」そのものである。立たせた側が、次に会うときの声の種類まで約束して引き上げたことになる。
次回予想:立たせた側が、まだ何も返してもらっていない
予想として書けるのはここまでだ。この回でスバルが取り戻したのは記憶ではなく、立ち上がる理由のほうだった。レイド攻略の極意書を読むという当初の目的は、読んだ結果が丸ごと暴食との問答に化けたぶん、まだ果たされていない。ユリウスに任せると約束した戦いも、これからである。
もう一つ残っているのが、立たせた側への借りである。第78話でラムは、レムを忘れたスバルに「取り戻すも何も、忘れたんでしょう」とぶつけ、それでも最後に立ちなさいと言って協力した。その姉と、今回スバルを立たせた妹に対して、スバルはまだ何も返していない。エミリアもベアトリスもエキドナもメィリィもシャウラも、回廊の中では一度も出てこない。外に戻ったところから、返す番が始まるはずである。
出典
※1 テレビアニメ公式サイト ストーリー(4th season・第79話「立ちなさい」のあらすじと各話スタッフ)/re-zero-anime.jp
※2 テレビアニメ公式サイト スタッフ&キャスト(4th season のスタッフ表・キャスト表)/re-zero-anime.jp
※3 テレビアニメ公式サイト ニュース(第79話あらすじの公開告知・放送時間変更のお知らせ)/re-zero-anime.jp


































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