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『リゼロ』第81話の副題は「一途な星」。この回は、俺じゃダメだ、という同じ嘆きで始まり、同じ嘆きで終わる。その間に挟まっているのが、四百年待った人が会えた時間を四日と数え直す場面と、番号だけが飛んでいくやり直しの記録である。五つ目のルールは聞き出せたが、そのために立てた約束は自分で破ることになった。そして幕に残るのは、名前だけである。




副題は「一途な星」、そして書いた組は「監視塔の番人」と同じだった
副題も担当者も公式サイトに載っている
第81話の副題は「一途な星」。公式サイトのストーリー欄に第81話として掲載され、あらすじも同じページに出ている。放送時間の変更告知も前日付で並んでいた。
担当者は、脚本が梅原英司、絵コンテが原英和と小島正幸、演出が原英和、総作画監督は佐川遥と野田康行。星というのは、塔の星番を四百年やってきた人のことである。
脚本の三人交代は十五話続いている
脚本は中村能子、梅原英司、横谷昌宏の三人が順番に回している。第67話から数えて、この並びは一度も崩れていない。
今回は梅原の番だった。ここまで続くと、次の回を誰が書くかは放送前から分かってしまう。三人の持ち回りが十五話も揃っている作品は、そう多くない。
十二話前の「監視塔の番人」と同じ布陣
第69話の副題は「監視塔の番人」で、脚本が梅原英司、絵コンテが原英和、演出も原英和だった。今回と同じ三つの欄に、同じ名前が並んでいる。
番人を出した組が、十二話をまたいで、番人が四百年待っていた理由の回に戻ってきている。絵コンテに小島正幸が加わったこと以外、顔ぶれは変わっていない。
レイドがロイを乗っ取れた理屈は、開始一分で説明される
食われた側が、食い返していた
第80話の幕で出た報せは、探していた相手と勝てない相手が同じ人物だ、というものだった。今回はその仕組みが冒頭で片づく。
レイド・アストレアはロイ・アルファルドに記憶を食われたが、逆に相手の魂を塗り潰し、肉体の主導権を奪った。だから彼は制限なく二層に降りて、そこに立っている。
本人の説明のほうが短い
同じことを本人はこう言う。ガキの食い意地に、オレが食い尽くせるもんかよ。
確信があったのか、と問われた答えが良い。オレの確信なんざ一個だけ、オレがオレであることだけだ。理屈の説明を丸ごと自己紹介に置き換えている。
用件のほうは変わっていない
エミリアの言い方は最後まで丁寧だった。あなたが生き返ったのはすごくおめでとうなんだけど、あなたが食べ返しちゃった子に大事な用があるの。
ユリウスも同じ側から頼む。暴食のロイ・アルファルド、彼を解放してもらいたい。すでに決着はついている、それ以上、敗者を貶めるべきではない。名前を奪われた側が、奪った側の扱いに口を出している。
レイドがこだわっているのは、試験ではなく筋だった
断り方に理屈がない
協力の話になると、返事は短い。おめえらに手ぇ貸してやる義理はねえ。そもそも自分の試験を突破した者がほとんどいない、とも付け足す。
面白いのはその次だった。この状況下で試験にこだわるのか、と聞かれて、ちげえな、オレがこだわってんのは試験じゃねえ、筋だと返す。試験官が試験を投げている。
生き死にの定義まで一言で済ます
大罪司教との戦いの最中に出るのが、食うか、食われるか、それが生きるっていうことだろうが、である。
決着の後の感想も同じ調子で、やっぱ生の体はちげえな、肉に血が通ってる感じがしやがる。乗っ取った体の使い心地の話になっている。
相手を選ぶ基準も、強さではない
騎士に向けた文句は、剣の振り方がなっちゃいねえ、そんなんじゃ楽しめねえ、だった。勝ち負けではなく振り方を見ている。
この塔で唯一、ルールの外側にいる人物である。試験を出す側でありながら、試験の話をしているのは相手のほうだけになっている。
スバルの質問は、ルールの数を数えるところから始まる
いちばん危ない質問から入る
やり直してきたスバルが最初に確かめたのは、意外なところだった。おまえは、オレの言うことなら何でも聞くのか。返事はもちろんっすよ。
続けて、オレが死ねって言ったら死んでくれるのか。返ってきたのは、死ぬっすよ、である。やり直してきた人が最初に測ったのは、この子が自分の命令で死ぬかどうかだった。
大サソリの正体は、本人に確認する
次の質問が、でかいサソリに化けるの、できたりしないか。答えは、ちょっとニュアンス違うっすけど、できるっす。
そのあとに小さく付くのが、でも、あんまし好きくないっす。第80話で正体を言い当てた側が、今度は本人の口から裏を取っている。
四つの中身は、去ること、決まり、書庫、塔
試験のルールを聞かれると、四つまでは澱みなく諳んじる。試験を終えずに去ることを禁ず。試験の決まりに反することを禁ず。書庫への不敬を禁ず。塔そのものへの破壊行為を禁ず。
どれも塔の側を守る条文で、挑戦者に得のあるものが一つもない。それでも聞かれれば順番どおりに出てくるので、覚えていないという逃げ方はできなくなっている。
五つ目だけが出てこない
ところが五つ目は、と聞かれた途端に止まる。ないっす。お師様、聞いてなかったっすか。あーしは四つまでしか、と言いかけて、名前を呼ばれると言い方が変わる。
NGっす、話したくないっす、そんなのどうでもいいじゃないっすか。数を数えるだけの質問が、この回でいちばん重い質問になっている。関係ないわけあるかよ、と押し切られて、話は年数のほうへ移る。
四百年待った人が、会えた時間を四日と数え直す
単位が入れ替わる
スバルの説得は年数から入った。塔の星番を四百年やってきたんだろ、と。
返事が、まだ四日っすよ、である。四百年を持ち出した側に、四日という単位で返している。しかもそのうち二日は寝込んでいたので、会って話せたのは二日だけだと数え直す。
一目でいい、が崩れる
もともとの見積もりは慎ましかった。一目でいいって思ってたっす。四百年、塔でずっと待って、一目見られたらそれで満足だと思っていた。
崩れ方も具体的だった。お師様はあーしのすべてなんっすもん、お師様を思う全部であーしはできてるっす。四百年の全部を使っても伝えきれない、と続く。
隠していた理由が、意地悪ではない
五つ目を言わない理由がここで出る。これを話したら、お師様は試験のクリア方法に気づくっす。
話しちゃったら、お師様の時間が終わっちゃう。隠していたのは攻略を邪魔するためではなく、攻略できてしまうからだった。嘘をついた自分を嫌いになるか、と聞かれ、嫌いになんかならないよ、と返された直後に、塔の仕掛けが動き出す。
交渉に使った約束を、聞き出した直後に自分で破る
頼んでいるのは、殺される側のほう
仕掛けが動くと、本人の側から先に頼み込む。今ならお師様が命じてくれたら、あーしはあーしを殺せるっす。
あーしに死ねって言ってください、と言っているのは殺される当人である。理由も隠していない。こんなにお師様が欲しい、欲しくてたまらない、だから、と続く。
条件を付けて聞き出す
スバルの返しは、五つ目のルールを聞かせてくれ、だった。そんな場合じゃない、と言われても引かない。
そして条件を出す。それを聞けたら命じてやる、安心しろ、お前が化け物になる前に、オレがお前に命じてやる。言葉は取れたが、口にした直後に本人が、ほら、目の色が変わった、と言う。
破り方が、殺さないほうへ倒れる
直後の一言が、さっきのアレ、嘘だ。条件は、聞き出すためだけの嘘だった。
そのうえで確認する。お前を助けていいんだな。シャウラが泣くから、お前には殺されてやらねえよ、必ず、助けてやる。約束を破って、殺さない側へ倒している。
やり直しの記録は、番号だけが飛んでいく
合図は、前の回と同じ台詞
やり直しの合図は決まっている。ベティの名前が呼べたってことは、うっかり記憶を落としてきてはいないみたいなのよ。続けて、ナツキくん、目が覚めたようだね。
第80話の冒頭とまったく同じ検査が、今回はループの開始音として鳴る。そこにカウントゼロ、という数え始めが重なる。
記録が、できないことで埋まっていく
一回目の記録はこうだった。レイドと暴食の戦いは止められない。乗っ取りの阻止も困難。ユリウスなら勝機はある。そしてナツキ・スバルは勝ち目がない。
二回目は早期決着を狙って失敗し、ベアトリスの奇襲は相性が悪いと分かる。七回目は、暴食は不利になれば逃走し、放置したレイドは必ず最終的にナツキ・スバルを殺しにやってくると記録される。
番号は、ゼロ、一、二、七、十、十一、十二、十五と飛ぶ
十回目はメィリィと塔の外へ出る手で、魔獣の狙いも大サソリの狙いも自分だと分かり、単体では守れないと結論が出る。
読み上げられる番号はゼロ、一、二、七、十、十一、十二、十五の八つで、飛んだぶんは一秒も映らない。三から六、八と九、十三と十四が丸ごと抜けていて、失敗の中身は語られないまま番号だけが進む。そして最後の十五にだけ、より先に誰かを死なせない、という一行が付く。ほかの番号が全部できなかったことの記録なのに、そこだけが目標の形をしている。
同じ嘆きで始まり、同じ嘆きで終わる
冒頭の独白は、謝罪で終わっている
目を覚まして仲間の無事を確かめた直後、スバルは聞いてくれ、と切り出す。続くのが、俺なんかじゃなく、である。
もっと強くて、賢くて、たくましい俺だったならよかった、ごめん。回の最初に置かれているのが、この謝罪だった。誰に向けたものかは示されない。
ベアトリスの処方は、動くな、だった
十一回目のあと、震えを指摘される。震えているのよ、スバル。当然かしら、スバルはずっと頑張りすぎてるのよ。
続く指示が、ここでおとなしくしてるのよ、ベティが代わりに対処するかしら。足りない部分はベティたちが埋めるかしら、それがナツキ・スバル流なのよ、まで言い切る。何度もやり直してきた人への処方が、動くな、である。
自分の名前を、他人のように呼ぶ
受け入れられずに出るのが、お前は震えたりしないだろ、何かがあったはずだ、それがお前を変えたんだろ、ナツキ・スバル、という呼びかけである。
記憶を失った側が、記憶のあった自分を別人として呼んでいる。もし、俺の中に本当のお前がいるなら出てこいよ。俺は、俺じゃダメなんだよ。お前が必要なんだよ、と続く。
幕に残るのは、名前だけ
締めの一節が、なのに、なんで俺なんだ、臆病で、腰抜けの俺じゃ、みんなを助けてやれねえ。冒頭の謝罪と同じ内容が、今度は叫びになっている。
そのあと一分近く、台詞のない時間が続く。そこに置かれるのは、ナツキ・スバルという名を持つ一冊だけである。意味は何も説明されないまま幕が下りる。






























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