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『落第賢者の学院無双』第10話の副題は「欺瞞 -Veiled Truth-」。子どもの姿に変わった二人が、それを隠したまま元に戻ろうと学院を走り回る回だ。ところが隠そうとするたびに人に見つかり、そのたびに助けられていく。結局この日、二人が自力で片付けたことは一つもない。そして魔力を失って不便だった一日が、そのまま世界の魔法が弱くなった理由の話へつながる。公式のクレジットも、この回だけ欄が二つ増えている。




副題「欺瞞 -Veiled Truth-」と、この回だけ増えた二つの欄
副題は公式のストーリー欄で確認できる
第10話の副題は「欺瞞 -Veiled Truth-」。公式サイトのストーリー欄に、あらすじと並んで同じ表記が載っている。
この作品の副題は漢字二文字に英語の副題を添える形で統一されている。第9話が「奪還 -Let Me Pay-」で、その前が「宿命 -No Escape-」。今回の欺瞞も、誰が誰を欺くのかを先に言わない付け方になっている。
担当者は話数ごとに公開されている
公式のストーリー欄には、あらすじの下に脚本、絵コンテ、演出、総作画監督、作画監督が並ぶ。第1話から第10話まで同じ形で読める。
第10話は脚本が赤尾でこ、絵コンテと演出がまとめて大久保亮。脚本の赤尾でこは十話中七話を担当していて、この作品の文章はほぼこの人の手で書かれている。
この回にだけ、絵コンテ監修という欄が立つ
ところがこの回の欄は他の回と形が違う。絵コンテ・演出の下に、絵コンテ監修という欄が付いている。
第1話から第9話まで、この欄は一度も出てこない。しかも絵コンテ・演出を担当した大久保亮は、第6話では演出だけを担当していた。この人が絵コンテに回る初めての回にだけ、監修が付いているという並びになる。
サブキャラクターデザインの欄も、この回だけ
もう一つ、この回にだけサブキャラクターデザインという欄がある。こちらも第1話から第9話までは一度も立っていない。
作画監督の枠数も十三で、十話の中で最多だった。第7話と第9話が一社だけだったのと比べると開きが大きい。子どもの姿という、この回でしか使わない造形を用意する必要があった回だと考えると、欄の増え方は素直に読める。
約束を守ったから、二人そろって呪いを受けた
前回の後始末は、一行で片付く
冒頭は前回の後処理から始まる。ポルテス家のことは通報しました、直に調査が始まるでしょう、という報告が入る。
それに対する返事が、さて、エイブのことは片付いたな、ここからが本番だ。前回いちばん大きかった相手が、開始十秒で処理済みの案件になっている。残っているのは特殊奴隷紋のほうだ、と話が本筋へ戻る。
宝物庫に入る条件は、一人で来るな
宝物庫の番人が出した条件が具体的だった。ここに来るときは、お二方のうちどちらかと一緒に来ること。
お前一人で来ても中には入らないからな、まで念を押される。魔神を騙すとはいい度胸だ、という一言も付く。前回の失敗を踏まえた、まっとうな再発防止策である。
その条件を守った結果が、二人そろっての呪い
掃除をさせてほしい、と申し出たのはアナスタシアのほうだった。ご迷惑をおかけしたので何かお役に立てることがしたくて、ずっと考えていたんです、と理由まで添えている。
番人の忠告も出ている。ここには触らない方がいい危険な宝もある、古の儀式で使われたものだったり、呪いをもたらすものだったり。ところが番人自身、どのような品か私も詳しくは知らん、と認めている。危険だと分かっているのに中身が分からない、という状態で二人が入り、二人そろって子どもの姿になる。
隠すための移動が、ぜんぶ見つかっていく
相談しない理由は、危険ではなく恥
エフタルを呼ばない理由は最初に語られる。エフタル様は大切な儀式の準備中だ、お手を煩わせるわけにはいかない。
ところが二度目の言い方が変わる。万が一にも呪いにかかって、と心配されたときの返しが、エフタル様にバレる方がよっぽど恥だ。安全より体裁が先に来ている。この一言が、この回の全部の行動を決めている。
まず、声で見つかる
人目につかないよう慎重に行くぞ、と決めて動き出すのだが、最初につまずくのが自分の口だった。
学長の悪口を言っている生徒の会話が聞こえて、思わず誰がクソババアだと返してしまう。当然、今学長の声しなかった、と気づかれる。隠密行動の初手が、本人の反射で崩れている。
猫の鳴きまねでしのぐ
追ってきた生徒をやり過ごしたのは、猫の鳴き声だった。なんだ猫か、で相手が引き返す。
直後の感想が、うまいな、泣きまねである。返事はありがとうございますだった。この回でいちばんうまくいった隠蔽が、猫の鳴きまねだったことになる。
それでも、正面から見つかる
学長室の鍵は持っている、と自信を見せた直後に、あなたたち、こんなところで何してるの、と声をかけられる。
結局この回で誰にも見つからずに済んだ移動は一つもない。しかも見つかった相手が、この後ずっと二人を助けることになる。
助けてくれたのは、教室では近寄りがたい相手だった
名乗りは「親戚なんです」
どことなくマーリン学長に似ている、と言われて出てくるのが、親戚なんです、という一言だった。道理で似ているわけね、で相手はあっさり納得する。
その場しのぎの嘘なのだが、この学院にはもともと同じ形の書類が出ている。エフタルとアナスタシアは、書類上はマーリンの遠縁で直弟子ということにしてある。とっさに出た嘘が、既に登録されている設定と同じ形になっている。
お姉ちゃんと呼ばれて、態度が変わる
用件は学長室の本だと分かると、こんなにちっちゃい頃から頑張って勉強してるのね、と評価が跳ね上がる。いいわ、私が連れてってあげる、まで進む。
決め手になったのが呼び方だった。マリアお姉ちゃん、と呼ばれた瞬間に、困ったことがあったら何でも頼りなさい、なんせお姉ちゃんだもの、と全面的な味方になる。付き添う側は一刻も早く追い払いたいがどうしたの、と内心で困っている。
結局、本は自分たちで読めない
学長室に入って目当ての本を開いた途端につまずく。古の魔道書は魔力を使う、という当たり前の壁だった。
子どもの姿では魔力が足りず、鍵は持っていても本は読めない。読んでもらうしかなくなり、外で待っていた相手が呼び戻される。他に読みたい本があったらいくらでも言って、私ここで待ってるから、と待機まで申し出られる。
手がかりは、ユノトロンという果実だった
読み上げられた一節が、魂を包みし煙を払い、みずみずしい果実の爽やかな香気を身にまとえ、というものだった。これユノトロンか、と見当だけはつく。
詳細は書かれていないので、材料が分かっただけで使い方は分からない。しかもユノトロンの在り処が温室だと教えたのも、取ってきてあげようかと申し出たのも同じ相手である。二人が自分で用意できたのは、温室まで歩く足だけだった。
苦労の答えを、最初から一言で持っている人がいる
帰り道で、評価が逆転している
果実を手に入れた帰り、二人が話しているのは呪いのことではなかった。マリアはいいやつすぎるな、である。
続くのが、教室では近寄りがたいイメージでしたけど、頑張ってる人のことはちゃんと認めてくれる方なんですね。騙して利用した側が、騙した相手の評価を上げて帰ってくる。副題の欺瞞が、いちばん温かい形で成立している場面でもある。
見つかったときの反応が、怒りではない
果実を前に、これをどうすればいいんだ、食べるとか、と手詰まりになっているところへエフタルが現れる。第一声が、随分と仲良くなったみたいじゃないか、俺も混ぜろよ。
事情を聞いても、別に怒ってないって、相談してほしかったとは思うけどで終わる。隠していたこと自体は、まったく問題にされない。
答えは、食べて使うんじゃない
使い方を知っていますか、と聞かれたエフタルの返事が、ああ、知ってるよ、だった。そして、これは食べて使うんじゃないんだ。
出てきた答えが、明日はみんなで温泉に行こうである。半日かけて調べ、人に頼み、温室まで走った結論が、一言で追い越される。私たちはあんなに苦労したのに、一瞬で解決してしまいましたね、という感想が後で出てくる。
魔力を失った一日が、世界の話につながる
香りを身にまとう、の答え合わせ
湯にユノトロンを浮かべると、こうすれば香りも立つだろう、と説明が入る。読み上げた一節の意味がここで揃う。
身にまとえ、という指示が、そのまま湯に浸かることだった。私、温泉って初めて来ましたけど、とっても気持ちいいですね、という素直な感想も出る。特殊奴隷紋のほうにもいい影響があるかもしれない、と本筋への接続も置かれる。
弟子の座を争う口論になる
落ち着いたところで始まるのが、背中を流すのはどちらか、という言い争いだった。なんせ一番弟子なので、と主張する側に、新しい弟子である私が、と割って入る側が出る。
いつお前が弟子入りしたんだ、今です、たった今、認められるか、という応酬になる。四百年待った側と、助けられ続けた側が、同じ立場を取り合っている。おとなしく浸かってろ、で打ち切られる。
羨ましいの向きが、両方から出る
二人の会話は、そのままお互いの立場の確認になる。私は四百年も以前よりエフタル様をお慕いしてるんだからな、という側に対して、たくさん知っていてちょっと羨ましいです、と返る。
ところが返事が、正直、私は君の方が羨ましいだった。エフタル様はよっぽど君のことを特別扱いしてるように思う、まで続く。そのうえで、決めたことは貫き通す、そういうお方だ、安心しろ、私もついている、と不安を引き受けている。
不便の理由が、世界の設定へつながる
湯上がりの一言が、魔法が使えないだけであんなことになるとはな、だった。そこからエフタルが、今の時代の者は高位の魔法を本当に使えないのか、と聞く。
魔法が弱体化したと歴史書にはあったが、その原因については書かれていなかった。ここで返ってくるのがマギアバーストという言葉で、レベル10を扱える人間は現在エフタル様しか存在しません、という結論から入る。
飛び越えた十年が、いまの強さの理由
説明の核心は時期にある。あれはエフタル様が亡くなられた時から数えて十年後の出来事です。汚染波動が全世界に広がり、レベル9以上の高威力魔法は行使不可能となった。
エフタルの受け取り方が、俺はそのタイミングを飛び越えて転生したから、高レベルの魔法を使えるわけかである。落第と呼ばれる立場の人物が唯一持っている強さの理由が、死んでいた十年そのものだったことになる。
締めは、預けられた不安への返答
話はそのまま本筋に戻る。たとえどんな困難があろうとも、アナスタシアを助けることに変わりはない。
俺は転生してここにいる、レベル10だって変わらず使える、やってやろうじゃねえか。そして番人への協力を頼み、特殊奴隷紋を力ずくで引き剥がす、と宣言して回が閉じる。子どもの姿で走り回った一日の後に、この宣言が置かれている構成になっている。

















































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