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『バンドリ! ゆめ∞みた』第13話の副題は「夢限大みゅーたいぷ」。十三本の副題のうち、漢字が入ったのはこの一本だけだ。前半で、あられは人に見せずに独り言を書きためてきたアカウントを、歌詞の材料として開ける。同じ回で、ビオラと組んでいた二人が、裏アカウントと別名義の配信を理由に契約を切られる。そしてビオラは「みんなとお喋りしたかった」と過去形で言う。最後に残るのは、版数を数えるのをやめて無限にしたバンドだ。




副題「夢限大みゅーたいぷ」は、十三本目で初めて漢字が入った題だ
公式サイトのSTORYで、第13話の副題は「夢限大みゅーたいぷ」と出ている。第1話の「みゅーたいぷ」から始まった題の列は、バンド名をまるごと掲げて閉じる。公式サイトは放送終了を記念した特別番組の放送も告知しており、この回が最終話になる。
十二本がひらがなで、最後の一本だけが漢字を持つ
これまでの副題は、みゅーたいぷ、ちゅ~、すきにしろ、たのしいかも、たすけて、うんめい、こころあらたに、はなまる、かいさん、うみ、たのしかった、わかれと、十二本すべてがひらがなだった。十三本目で初めて、夢限大という漢字が題に入る。第1話と同じ「みゅーたいぷ」の前に、三文字が足された形だ。
「たのしい」は、推量から過去を経て、先へ向かう形になった
第4話の副題は「たのしいかも」で、第11話は「たのしかった」だった。第13話の公式の紹介文には、このステージから、もっと楽しくなっていく、という一行がある。推量で始まった「たのしい」が、過去形を通って、最後はこれから先へ向かう形で置かれている。
紹介文の一行目は、隠していた気持ちの話だ
紹介文の一行目は、隠していた気持ちも、そのまま歌にしていく、と書く。二行目は、違うまま、それでも同じ場所に立っている、と続く。本編でいえば、一行目はあられのアカウントの話で、二行目はバンドとビオラの両方に当てはまる。どちらも、この回の中で具体的な場面になって出てくる。
脚本と絵コンテは、第1話と同じ二人だ
公式サイトによれば、脚本は後藤みどり、絵コンテは梅津朋美で、ライブパートの絵コンテにはささきけんたと梅津朋美が並ぶ。演出・CGディレクターは小川浩太朗で、第11話に続いて二本目になる。脚本が後藤みどり、絵コンテが梅津朋美という組み合わせは、第1話、第2話、第5話、第12話、そしてこの回の五本で、始まりの二本と終わりの二本を同じ組が担当した。後藤みどりの脚本は、これで七本目になる。
ライブパートに別の担当が立ったのは、二度目だ
各話のスタッフ欄を並べると、ライブパートを分けてクレジットしているのは、第7話とこの回の二本だけだった。第7話は、律を迎えた五人が初めて一緒に立ったステージの回にあたる。五人の最初のライブと最後のライブに、同じ扱いのクレジットが付いている。
独り言を置いていたアカウントを、歌詞の材料として開ける
前半の学校の場面は、昼を食べ終えたところから始まる。体育の話、漫画の新刊の話が続いたあと、ネットの件で相談ごとが持ち込まれて、話の向きが変わる。
最終話でも、学校の場面は雑談から始まる
実際体育なんてなくても困らなくない、生きてるだけで体力使ってるんだし、激しく同意します、と、まずは体育への不満で盛り上がる。昨日発売の17巻が本当に素晴らしくて、という漫画の話には、それは良くない方のネタバレです、と止めが入る。最終話でも、学校の場面はライブや炎上の話ではなく、いつもの雑談から始まっている。
相談は、ネットの件で黙っているかどうかだった
結構重大かつ慎重なご相談がありまして、と前置きして出てくるのは、ネットでのいろいろ、やっぱり僕から何かちゃんと言わなきゃと思って、という話だ。すぐに、賛成、ここで無反応は悪手じゃない、と返ってくる。第12話の公式の紹介文にあった、黙っていたら何も変わらない、という一行が、ここでは相談の出発点になっている。
残してきた言葉が、全部そこにある
話は、今までのいろんな言葉を残してるって、という一言で動き出す。「あられちゃんの本当の気持ちでしょ」と押されて、「そうかも」と返ったあとに、「僕のいろんな今が全部書いてある」と続く。歌詞の材料は、どこかから探してくるのではなく、あられがすでに書きためていた。
喋れなかった分を、独り言として置いていた場所だ
アカウントの説明は、喋れなかった分、ここで独り言みたいに、というものだった。読み上げられる書き込みにも、ここは誰もいないから、おしゃべりできる、僕のおしゃべりだってバレたらダメだ、という言葉が並ぶ。おしゃべりという言葉は、もともと人に見られない場所で使われていた。
書き込みの一人称は「僕」だった
書き込みは、僕には歌しかないから、僕をやめよう、今は僕だから、と、一人称の「僕」で書かれている。カーテン開けた、空って青かったんだな、という一行もあれば、今日、みゅーたいぷになった、新しい人生だ、という一行もある。カーテンを開けたことが一行になる頃から、バンドに入った日までが、同じ場所に続けて残っている。
事務所は、中身を確かめてから許した
事務所の判断を仰ぐと、答えは、いいんじゃない、だった。仲町さんが今の気持ちを歌詞にしたいって思ったなら、と理由を添えつつ、とはいえリスクヘッジは大事だからね、先にアカウントの中身確認させて、と続く。赤裸々すぎない、大丈夫、と念を押されて、返事は、もちろんです、の一言だった。
「裏側を見せる」やり方だ、という受け止めも出る
アカウントを使う話には、あえて裏側を見せて相手を取り込むやり方、全然アリですよ、という受け止め方も出てくる。見せ方の作戦として聞けば、そう読める。ただ、あられの側の説明は最初から、喋れなかった分を置いていた場所、というだけで、誰かを取り込む話はしていない。裏側という言葉は、この回の後半で、まったく別の形でもう一度出てくる。
「炎上するのはあんただけ」と言った二人が、先に契約を切られる
ビオラの側では、フェアリィブゥケで組んでいたベルとポポの二人が、店でビオラを問い詰める場面が入る。ここで起きるのは、燃やした人を燃やそうとした側が先に燃える、という順番の入れ替わりだった。
燃やしといて、だんまり
二人のうち一人が、ダッサ、と吐き捨てる。続くのが、散々人のこと燃やしといて、自分がやられたらだんまりって、という言葉だ。これまで人を燃やす側にいたビオラが、ここでは黙る側に回っている。
謝っても許されない、と二人は言う
でもこれ、もう謝っても許されなくない、に対して、許されないよ、と答えが重なる。理由は、泣こうが正直に話そうが、あんたの行動原理に明確な悪意があるからね、仲町あられを貶めてやろうっていう、と説明される。クレマチスにも意地悪してた、それも仲町あられへの嫌がらせなんでしょ、と、二人はビオラのしてきたことを一本の線にまとめてみせる。
責め方は、あられへの執着が行き過ぎた、だった
やりとりの中では、でもおかげでイベント盛り上がったよね、フォロワー倍増したし、という得の話も出る。そのうえでビオラに向けられるのが、あんたはすごいよ、ただ仲町あられに執着しすぎ、という評価だ。やり方そのものより、あられへの執着が行き過ぎたことを責める言い方になっている。二人は、事務所にも報告した、飛び火は勘弁だから、炎上するのはあんただけだよ、と言い渡す。
もっと上に行けた、に「行けないよ」
こんなことにならなければもっと上に行けたはずだ、という恨み言に、ビオラは、行けないよ、と返す。続きは、私とあなたたちじゃ行けない、だった。グループが上に行けなかった理由を、ビオラは今回の騒ぎではなく、組んでいる顔ぶれの問題として言い切る。
規約違反を報告したのは、ビオラのほうだった
直後に、二人の携帯に届いた連絡を見て、なんであたしたちが、という声が上がる。ビオラは、あなたたちがやっていた規約違反、事務所に報告したよ、こんなに早く対応してくれるとは思わなかったけど、と明かす。画面に届いた連絡は、ベルさんとポポさんとの契約は本日をもって解除となりました、というものだった。
裏アカウントと、別名義の配信
連絡の文面には、解除の理由がはっきり書かれている。ベルさんがSNSの裏アカウントにて、第三者を装い情報漏洩を行っていたこと、ポポさんが許可なく私的に作成した別名義での配信にて、弊社所属のタレント複数人への誹謗中傷を行っていたこと、の二つだ。前半であられが開けたのも、人に見せずに書いてきたアカウントだった。人に見せない場所があったことは同じでも、片方では歌詞の材料になり、片方では契約解除の理由になる。
それでも残れたのは、価値があるから
なんであたしたちだけ、と食い下がる二人に、ビオラは、あなたたちが事務所に話したようなことは全部、と前置きして、クレマチスの名前を出す。第8話の冒頭、クレマチスが抜けた日の聞き取りでは、ビオラに仕組まれていたという訴えに、裏付ける証拠は何もない、という返事が出ていた。それでも私が残れたのは価値があるから、価値を与えられる限り、ビオラは何度でも生き返れるんだよ、というのがビオラの答えだ。二人の返事は、気持ち悪い、行くよ、だった。
「輝きになりたかった」人は、努力するほど偽物になったと言う
二人が去ったあと、ビオラの独白が始まる。第12話で、最初から持ってないから、どんなに頑張っても、キラキラの輝きは手に入らない、と話したビオラが、ここでその先を語る。
花火の最後の輝き
独白は、花火の最後の輝き、というたとえから入り、一瞬だけみんなの目を奪って、それで終わり、と続く。第11話の公式の紹介文は、その火は、もう止まらない、と結ばれていたが、燃え広がった火は、ここで花火の最後のひと光りにたとえられる。何を指したたとえなのかは言われないので、炎上で集めた注目のことにも、ビオラ自身のことにも読める。
輝きになりたかった
次に出てくるのが、私、輝きになりたかった、という一言だ。みんなを笑顔にして、落ち込んでる人も元気が出ちゃうような、と中身まで説明される。人を燃やしてきた人の願いが、人を元気にすることだった。第7話で、私の歌でみんな笑顔、と書き込んで荒れたことを思い出すと、言葉だけは最初から同じだったことになる。
キラキラ、チカチカ
キラキラ、チカチカ、と続く二語のうち、チカチカにはマイクを握るあられが映る。輝こうと努力すればするほど、の一節にも歌う姿が重なり、偽物になった、で赤い傘の下のビオラに切り替わる。輝きの見本がどこにあって、自分がどこに行き着いたのかが、四つのカットで順に並ぶ。
偽物の優しさ、偽物の歌
独白は、偽物の優しさ、偽物の歌、偽物の笑顔、偽物の輝き、と数え上げ、本物以外は全部偽物、と締める。優しさも笑顔も、ビオラにとっては本物か偽物かの二つにしか分かれない。途中の段階を認めない言い方で、自分をまるごと偽物の側に置いている。
だから偽物は、偽物のやり方で輝くしかない
たどり着く結論が、だから偽物は偽物のやり方で輝くしかないの、だった。涙を流しながら言い切るこの一言が、そのままこれまでのやり方の説明になっている。人を燃やして注目を集めるやり方は、本物になれないと決めた人が選んだ、偽物のやり方だった。
明るい目の顔と、歪んだ顔
この回には、明るい目で笑うビオラの顔と、口元を歪めたビオラの顔の両方が出てくる。見ている側には、輝こうとしていた顔と、偽物のやり方を選んだ顔の両方が残る。視聴者の感想にも、変わってしまった顔を惜しむ声が出ていた。
最後にビオラが口にしたのは、「お喋りしたかった」だった
独白の終わりに、ビオラは、みんなとお喋りしたかった、と言う。この回のもう一方の筋、あられのアカウントの話と同じ言葉が、ここで過去形になって出てくる。
おしゃべりは、あられとバンドの側の言葉だった
前半で読み上げられた書き込みには、ここは誰もいないから、おしゃべりできる、とあった。第9話では律が都子に、おしゃべりしませんか、と持ちかけ、第12話でも、歌でおしゃべりする、という言葉がライブをやる理由として出ていた。おしゃべりは、この作品ではずっと、あられとバンドの側の言葉だった。
同じ言葉が、ビオラの口からは過去形で出る
字幕には、みんなとお喋りしたかった、と出る。輝きになりたかった、に続いて、ここでも、たかった、で終わっている。ビオラが最後に言った二つの願いは、どちらも過去形だった。あられが書き込みを開けて先へ進むのと、同じ回の中で向きが逆になっている。
誰もいない場所で話していた人と、みんなの目を集めていた人
あられは、誰もいない場所でしか話せなかった。ビオラは、みんなの目を奪うことはできても、みんなと話すところまでは行けなかった。みんなとうまく話せなかった二人のうち、片方は書きためた言葉を外に出し、片方は願いを過去形で言うところで終わる。
第12話の「持ってない」の続きになる
第12話のビオラは、最初から持ってないから輝きは手に入らない、と言っていた。この回の独白は、そこから先の話にあたる。持っていないと思った人が、重ねてきた努力の結果を、自分で偽物と呼んでいる。
努力を偽物と呼んでいるのは、本人だ
輝こうと努力すればするほど偽物になった、という言い方は、努力した事実までは消していない。その努力を偽物と決めているのは、見ている側ではなく、ビオラ本人だ。視聴者の感想にも、努力が偽物のわけがない、という受け止めが出ている。
ビオラは、ライブを見ていた
ライブの場面には、歩道橋の上から、道を埋めた人の波を見下ろすビオラの後ろ姿が入る。違うまま、それでも同じ場所に立っている、という紹介文の二行目は、この後ろ姿にも当てはまる。舞台の上ではなく、同じ通りの少し高いところに立っている。
雨の中のビオラと、光の差す会場
ビオラの場面には雨が降り、赤い傘や、傘の間で両腕を広げる姿が映る。一方でライブの会場には、空から光が差し込む。雨の側と光の側が、ビオラとバンドではっきり分けて描かれている。
ライブの前に、版数を数えるのをやめた
場面がバンドに移ると、ライブ直前の支度になる。緊張をほぐす話、甘いものの話が続き、最後にバンドの版数の話で落ちる。
人は飲まない、かえって飲み込まれる
あられちゃん大丈夫、と声がかかったあとに出てくるのが、緊張した時、人は飲まない、かえって飲み込まれるよ、という助言だ。緊張したらまず深呼吸、脳に酸素入れて呼吸を整えるのが一番、と続く。手のひらに人と書いて飲むおまじないを、逆効果だと言い切る助言になっている。
これ以上恥が増えたとして
途中には、これ以上恥が増えたとして、という言葉も出てくる。炎上でさんざん恥をかかされたあとだから言える、開き直りの一言だ。深呼吸のあと、緊張ほぐれましたか、と確かめられ、話は、みんなとバンドできるの、へ移っていく。
甘いものは、戦の前の糖分補給だった
これ本当においしいですね、食べるの早い、というやりとりのあと、戦前の糖分補給にぴったりです、という一言が出る。戦、と聞き返されて、ライブでしょ、と返る。第12話で、仕事用の糖分です、ここぞという時に食べてください、と渡された糖分の話が、ライブの前にもう一度出てくる。糖分も緊張緩和にいいから、という声も重なる。
版数は、無限でよくなった
4.0では、練習中に2回くらいバージョンアップしませんでした、という確認から、ちまちまバージョンアップするのめんどくさ、もう無限でよくない、という提案が出る。いいですね、バージョン無限、と受けて、こうですかね、と形になる。第10話の、ユノちゃんが辞めたのは、みゅーたいぷ2.0でーす、という版数の言い逃れが、ここで数えるのをやめるところまで来る。
無限を、夢にする
そこへ、夢にしようよ、という一言が入る。無限大の「無」を「夢」に置き換えたのが、バンド名の夢限大だ。作品の題の「ゆめ∞みた」にも、無限大の記号が入っている。版数の話は、バンド名の字の成り立ちを、その場でもう一度作り直す形で終わる。
何度でも生き返れる人と、版数を無限にしたバンド
最後に、この回を通して並んだものをまとめておく。どちらも何度もやり直せることを口にしているが、中身はまったく違っていた。
条件付きの「何度でも」
ビオラは、価値を与えられる限り、ビオラは何度でも生き返れるんだよ、と言った。ビオラの「何度でも」には、価値を与えられる限り、という条件が付いている。誰かに価値を認められているあいだしか続かない無限だ。
条件のない「無限」
バンドの版数は、ちまちまバージョンアップするのめんどくさ、という理由で無限になった。こちらの無限には、何の条件も付いていない。数えるのをやめただけで、そのまま夢という字に置き換えられる。
隠していた場所の使い方が、行き先を分けた
あられは、人に見せずに書いてきた場所を開けて、歌詞にした。ベルとポポは、人に見せない場所で別の顔を使い、契約を切られた。隠していた場所があったこと自体は同じで、そこで何をしていたかが最後の行き先を分けている。
炎上は、宣伝として残った
開演前には、マジで炎上がいい宣伝になった感じ、注目を集めてくれたって思えば、感謝すらありますね、という声が上がる。ネットの書き込みにも、続きっていうか捏造、という反応が映る。燃やすために集められた注目が、最後はバンドの客として残った。
過去形で終わった人と、先へ向かう形で終わった人
ビオラの最後の言葉は、輝きになりたかった、お喋りしたかった、と過去形で並んだ。バンドの側は、紹介文の、このステージから、もっと楽しくなっていく、で終わる。十三話を通して「たのしい」をこれから先へ持っていけたのは、バンドのほうだった。
紹介文の最後の一行
紹介文は、その声は、どこまでも広がっていく、で結ばれる。誰もいない場所で書かれていた言葉が、道を埋めた客の前で歌になって、この作品は終わる。独り言から始まったおしゃべりが、最後は通りいっぱいに届くところまで来た。




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