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いよいよ始まった第2期の最初の回、第15話の副題は「曇雨天」。陽太の告白を断った美姫はその答えに苦しみ、陽太は悲しいのに泣けない自分を打ち明ける。湊は気持ちが違うことの辛さにようやく気づくが、背中合わせの席で口にした「友達としてちゃんと大好き」は、すぐ後ろの席にいた小雪に届いてしまう。小雪は好きという気持ちを振り出しに戻すと決めた。




第2期の幕開けとなる第15話「曇雨天」
第2期の最初の回、第15話の副題は「曇雨天」。あらすじは「思い悩みながらも、美姫は陽太の告白を断った」と始まり、湊が「小雪への自分の気持ちに不安を抱き始める」こと、そして小雪が美姫と話そうとしたところに「偶然、湊と陽太が居合わせる」ことを伝えている。第1期の終わりに投げ込まれた告白の余波が、四人それぞれの心を曇らせていく回だった。
栗木の見立て
物語は、一年生の栗木の独白から始まる。「雨宮先輩は多分」「あの人が好き」「きっと両思い」。けれど「この人は自分からは絶対に動かない」と続け、「傷つかないように自分を守ることで」「精一杯な弱い人」と、その相手をばっさり切り捨てる。
栗木はそのまま湊をライブに誘い、「一人で行く勇気がなくて」と頼み込む。湊は「いいよ行こっか」と軽く応じる。四人の外側から、関係の弱いところを正確に見抜いて踏み込んでくる存在が、第2期の最初の場面に置かれている。冒頭から空気が張りつめていた。
栗木の言葉は辛辣だが、見ている側としては否定しきれない鋭さがある。小雪が自分から動けないことも、湊が誰に対しても優しいことも、第1期を見てきた人ならよく知っている。その二つを同時に突かれたことで、これから先の波乱が一気に現実味を帯びてきた。
美姫と湊、気持ちが違うことの辛さ
陽太の告白を断った翌朝、美姫は答えの出ない問いを抱えていた。
「どんな顔したらいいんだろ」
「今日、教室でヨウタと会ったとき、どんな顔したらいいんだろ」「普通に話しかけたら無神経かな」「避けた方が傷つくよね」。断った側にも、断った側なりの苦しさがある。陽太はいつもどおりに声をかけてくれるが、そのやさしさが美姫には「優しすぎるよ」と感じられてしまう。
様子のおかしい美姫に気づいた湊に、美姫は「好きじゃない人とでも気軽に付き合うじゃん」と切り出す。「告白されて断ったことってある」と聞かれた湊の答えは「いや、ないかな」。断る理由がなかったから付き合い、相手から離れていけば「仕方ないかなって感じだったし」。
「今はわかる」
湊の頭に浮かんだのは、以前に投げつけられた言葉だった。「いつかお前が誰かに恋とかして」「全く相手にされへんくて感情くっちゃくちゃになればええのに」。その言葉に湊は「うん、確かに」とうなずき、「気持ちが違うことの辛さ」「今はわかる」「これまで付き合った子には悪いことしたと思う」と認める。
湊が初めて、自分が誰かを傷つけてきた側だったと気づく場面だった。そしてすぐに、美姫の質問の意味にも気づいてしまう。「ミキは今誰かから告白されて」「断るか迷ってるってこと」「やばい俺今かなりまずいこと言った」。美姫の答えは「断ったの」。
泣けない陽太
一方の陽太は、告白の顛末を小雪に打ち明けていた。
「俺あんまり泣けないんだよね」
「ってわけで終わっちゃったわ」「ずっと我慢してきたことを言えてすっきりしたかな」。陽太は明るく話すが、「今まで自分の中で埋めてたもの」が「ぽっかり」なくなったような感覚も口にする。ハンカチを差し出した小雪に、陽太は「泣いてない」と笑う。
「普通こういう時泣くのかな」「俺あんまり泣けないんだよね」「卒業式とか引退試合で負けた時とか」「一応ちゃんと悲しいんだけど」。悲しいのに涙が出ない、という陽太の告白は、どんな号泣よりも胸に刺さる。何に対しても「そういうもの」と諦めてきた陽太の生き方が、その一言ににじんでいた。
涙で逃がす人と、溜め続ける人
小雪は心の中で「私がいつも涙で逃がすような感情」を「ヨータはそのまま溜め続ける」と思う。すぐに泣いてしまう自分と、泣けずに抱え込む陽太。同じ悲しみでも、人によって抱え方がまるで違う。小雪はその違いに気づきながら、何もしてあげられないもどかしさを感じている。
この場面の陽太は終始穏やかで、だからこそ痛々しい。告白を断られても美姫を責めず、自分の気持ちも大げさに語らない。陽太の優しさが、陽太自身をいちばん追い詰めているようにも見えた。
偶然居合わせた四人
美姫は湊に、自分の気持ちを打ち明けていた。
「思うのにすごく苦しい」
「その人のこと好きだけど」「私にとっては友達だったから」「恋愛対象としては見られない」。中学のころの恋愛を振り返り、「私まともに恋愛できたことないんだよ」とこぼす美姫は、気持ちが同じでないまま付き合えば「きっと私は私のことが大嫌いになる」と言う。「だから間違ってないって思う」「思うのにすごく苦しい」。
相手が陽太だと見抜いた湊に、美姫は「私だけ気づいてなかったんだ」と崩れる。湊は「ミキは何も悪くないよ」「ヨータも誰も」と寄り添う。そして湊は、小雪が「友達だと思っている人は」「恋愛対象にならないって言ってたし」と思い返し、「ある程度傷つく覚悟はできてるから」と自分に言い聞かせる。「これは誰に言い聞かせてるんだ」という独白が、湊の揺らぎをそのまま映していた。
「まだ こゆんに何も言ってないのに」
小雪は美姫を誘って店に入り、自分の気持ちを打ち明けようとする。ところが背中合わせの席に、湊と陽太が座ってしまう。陽太は湊に、一年生とライブに行くことを問いただし、「中学の時からずっとそういう距離感で接するから」「相手の子に気を持たせちゃうんだよ」と責める。
湊は「嫌いでもなんでもない人を拒絶することが正解なの」と返し、さらに「それは陽太がそうされて嫌だったから」と踏み込んでしまう。陽太は「美姫は関係ない」と声を荒らげ、心の中で「まだ こゆんに何も言ってないのに」と焦る。小雪が聞いているとも知らずに、二人の会話はどんどん核心に近づいていく。
「友達としてちゃんと大好き」
陽太は湊に「恋したことある」と聞き、「この人の代わりはいない」「この人だけみたいな」と説明する。湊の答えは「俺にとってはみんなそうだよ」。そして「コユンは」と問われ、「こゆんちゃんは好きだよ」「友達としてちゃんと大好き」と言い切る。
陽太は「いつかそういう湊見てみたいんだけどな」と言い、湊は「どうしたら見せられるんだろう」と返す。その言葉を、すぐ後ろの席で小雪が聞いていた。誰も悪くないのに、いちばん聞かせたくない相手にいちばん聞かせたくない言葉が届いてしまう。この回でもっとも残酷な場面だった。
副題の「曇雨天」は、まさにこの場面の空気そのものだと思う。晴れるでも降り切るでもなく、どんよりと曇ったまま雨だけが続いていく。四人の誰もが相手を思いやっているのに、その思いやりが少しずつ噛み合わずに積み重なっていく様子が、梅雨の重たい湿気のように画面からにじみ出ていた。
小雪の告白と、美姫の誤解
店を出たあと、小雪はようやく美姫に打ち明ける。
「私ね好きになっちゃったの」
「私ね好きになっちゃったの」「雨宮君のこと」。驚いた美姫は「待って待って待って」と取り乱し、これまでの自分の振る舞いを思い返して自分を責める。そして、陽太の告白を断った自分の気持ちを打ち明ける。「告白されて嬉しいよりも苦しくて」「自分のことが好きな人を好きになれたら楽なのにっていう」「ずるい自分もいて」「私どうすればよかったんだろう」。
小雪は美姫に言う。陽太は美姫を「一人の人としてちゃんとミキを見てたから」「ヨータはずっとどうしたらミキが幸せでいられるかしか考えてないよ」「ミキに幸せにしてもらおうなんて考えてない」「そういう人だよ」。冒頭で栗木が言った「周りに幸せにしてもらわないといけない」という言葉と、きれいに対になっている。小雪は「ミキが自分を責めたりしないで」と、親友の苦しさを受け止めた。
第1期から続いていた誤解
二人の会話の中で、第1期から続いていたすれ違いもようやくほどけていく。美姫が抱えていた勘違いも、小雪が言えずにいた気持ちも、ここで初めて言葉にされた。幼なじみ二人が、ようやく本当のことを話せた。
ただ、その会話の中で小雪は、湊への気持ちを手放す方向へ傾いていく。「友達としか思われてないってわかったし」「気持ち戻せるうちに切り替えようかなって」「また友達としてみんなで遊ぼう」。美姫が応援したいと言ってくれても、小雪の決意は変わらなかった。
「なんて馬鹿なんだろう」
ひとりになった小雪は、湊が当たり前のように人に与えていた「優しさや好意を」自分だけのものだと「勘違いして」「一人で舞い上がって」と自分を責める。「大丈夫」「忘れられる」と言い聞かせ、「初めから彼女になりたいなんて思っていたわけじゃない」と気持ちを押し込める。
そして「私はきっと」「ずっと寂しかったんだ」とつぶやき、「もうこの気持ちは振り出しに戻せる」と結論を出す。好きだという気持ちを、寂しさの勘違いだったことにしてしまう。自分を守るために心に壁を作る小雪の姿は、作品の題名そのものだった。
晴れた朝の「おはよう」
雨が上がった翌朝、小雪はいつもの調子で教室に入ってくる。
リセットされた関係
小雪は美姫に、湊に、陽太にと、明るく「おはよう」と声をかけていく。雨の日々を経て迎えた晴れた朝なのに、その挨拶はどこか寂しく響く。小雪は自分の気持ちを振り出しに戻し、四人の関係を「友達」に戻そうとしていた。
けれど湊は、その笑顔の裏で考えていた。「今のままじゃ」「俺の気持ちは」「たちの悪い冗談にしかなってなくて」「この先同じ気持ちでこっちを向いてくれることなんて」「ありえるのだろうか」。小雪が気持ちを閉じたその朝に、湊は自分の気持ちと向き合い始めている。
まとめと考察
第15話は、誰も悪くないのに全員が少しずつ傷ついていく回だった。
四人の「氷の城壁」
美姫は断ったことに苦しみ、陽太は泣けないまま悲しみを溜め込み、湊は自分が誰かを傷つけてきたことに気づき、小雪は好きという気持ちに蓋をした。四人それぞれが、自分を守るための壁を心の中に持っている。その壁が、相手を思いやる気持ちからできているところが、この作品のいちばん切ないところだと思う。
すれ違いの先に
小雪が気持ちを閉じた朝に、湊は自分の気持ちを自覚し始めた。ふたりの気持ちがすれ違ったまま、第2期の物語が動き出していく。そこに栗木がどう関わってくるのかも含めて、次の回が待ち遠しい。




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