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『佐々木とピーちゃん Season2』第2話「デスゲームと悪魔」は、マジカルピンクの対応に向かった佐々木と二人静が、人も音も消えた隔離空間に迷い込む回。そこでは天使と悪魔、そしてその使徒たちによる代理戦争が繰り広げられていた。魔法少女との一時休戦、使徒の指示は絶対という残酷なルール、そして異世界から届いた衝撃の知らせまで振り返っていく。




第2話「デスゲームと悪魔」
『佐々木とピーちゃん Season2』第2話「デスゲームと悪魔」は、街中に現れたマジカルピンクの対応に向かった佐々木と二人静が、人も音も消えた不思議な空間に迷い込む回だった。そこで繰り広げられていたのは、天使と悪魔、そしてその使徒たちによる代理戦争。異能力者、魔法少女、天使と悪魔という三つの勢力が一つの空間で交錯し、物語の世界が一気に広がっていく。場面ごとに振り返っていく。
街の平和を守る魔法中年
マジカルピンクと向き合った佐々木は、おじさんはお巡りさんだからね、「街の平和を守らないと」と語りかける。そのくさいセリフに、いくらなんでも気取りすぎじゃろと茶々を入れる二人静。佐々木と二人静の掛け合いは相変わらずで、わしとこの男はまぶだちなんじゃよと勝手に答える二人静に、佐々木が人のことを勝手に答えないでくださいと抗議するやりとりには思わず笑ってしまった。
けれどマジカルピンクの返事は変わらない。喧嘩をするより仲良くする方が楽しくないかと問う佐々木に、全然楽しくない、「私はそこにいる異能力者を殺したい」。異能力者への復讐を誓う魔法少女の姿は、可憐な見た目とは裏腹にどこまでも危うい。佐々木が彼女と敵対するのではなく、言葉を尽くして向き合おうとするところに、この主人公らしい慎重さと優しさがにじんでいた。
人が消えた街
そのとき、三人を包むように一瞬光が走り、気づけば周囲から人も音も消えていた。一定の区画に限って特定の事物を選択的に排除するような異能力だろうかと推測する佐々木だが、マジカルピンクも知らない出来事のようだ。こんなときにピーちゃんがいたら、とつい頼りたくなるあたりも佐々木らしい。正体のわからない異常事態に、異能力者と魔法少女と魔法中年が放り込まれるという状況が、それだけで緊張感を生んでいた。
ここで佐々木は、マジカルピンクに提案する。今はこのよくわからない状況から抜け出すために、お互い協力しないか。いや、そこまでしなくとも「一時休戦」としてはどうかな、異能力者への復讐ができなくなったら困るだろう、と。少し考えたマジカルピンクの答えは、わかった、「魔法中年に協力する」。敵同士だった三人が、利害の一致で手を組む展開には胸が躍った。
相手の目的を否定せず、復讐ができなくなったら困るだろうと利害に訴えるのは、いかにも長年の会社勤めで鍛えられた佐々木らしい交渉術だ。感情でぶつかり合うのではなく、互いの得になる落としどころを探す。剣や魔法よりも、言葉の選び方で状況を動かしていくのが、この作品の主人公の一番の武器なのだと改めて感じた。
悪魔と天使の代理戦争
60点の指示
一方、同じ空間では、お隣さんと悪魔アバドンが天使とその使徒たちを相手に戦っていた。アバドンは並の天使を一撃で倒し、相棒を失った使徒はもうどうにもならないと涼しい顔。正面の人たちも倒してほしい、逃げた使徒は後回しでも大丈夫というお隣さんの指示に、アバドンは「60点といったところかな」と採点してみせる。「残り40点が気になります」と返すお隣さんとの会話は、命のやり取りの最中とは思えないほど淡々としていて、かえって不気味だった。
アバドンによれば、この世界は隔離空間が戻り次第、すべてがなかったことになる。並の天使が相手なら、近隣一帯を一撃で更地にすることもできるのだという。なかったことになるからこそ、どこまでも残酷になれるという代理戦争のルールが、このゲームの恐ろしさを物語っている。今度はもっと無茶な指示にしますねと答えるお隣さんの冷静さも、彼女がこのゲームにすっかりなじんでいることを感じさせた。
アケミ改めナオミ
佐々木たちが出会ったのは、天使の使徒だという一人の女性だった。そこに浮かんでいるのが悪魔、そしてあなたが使徒でしょと決めつけ、お願い私のこと見逃して、後でちゃんとお礼をするからと必死にすがりつく。アケミと名乗った彼女は、駆けつけた恋人の高吉からナオミと呼ばれ、すらすらと偽名で受け答えしていたことがばれてしまう。ころころと態度を変える女に二人静があきれるなか、生命の危機とあらば誰だってそんなものだと受け止める佐々木の大人ぶりが印象的だった。
高吉は、マジカルピンクを悪魔だと思い込んで襲いかかってくる。ろくに力を感じないし大した悪魔じゃないんだろと侮る高吉に、いえ、彼女はマジカルピンクですがと律儀に訂正する佐々木がおかしい。魔法少女が悪魔扱いされるというすれ違いは、異能力者、魔法少女、天使と悪魔という三つの勢力が、互いの存在をまったく知らないまま同じ世界に生きていることを示していた。
そんな中、マジカルピンクを守るように動いたのは二人静だった。相手の力を吸い取る彼女は、「こんなに吸ったのは久方ぶりじゃ」と満足げにつぶやく。狙われていたのは自分なのに、どうして助けたのかと問うマジカルピンクに、少なくとも今は休戦協定を結んでおるじゃろと答える二人静。ありがとうと素直に口にするマジカルピンクの姿に、敵対していた相手との間にほんの少しだけ信頼が芽生えたように見えた。
隔離空間の終わり
使徒の指示は絶対
しかし、追い詰められたナオミは、今のは私の意思じゃない、この男を好きにしていいからと、恋人の高吉を差し出そうとする。あまりにも露骨な裏切りに、二人静はむしろすがすがしく感じてしまうとあきれ果てる。そこへ現れたのがアバドンだった。どうして私なのと叫ぶナオミに、アバドンは「使徒の指示は絶対」だからねと告げる。
助けて、死にたくないと懇願するナオミに、アバドンは残念、「それは無理な相談」と言い放つ。命乞いをしても、相手を差し出しても、ゲームの勝敗からは逃れられない。デスゲームという副題の意味が、ここではっきりと突きつけられる。生き残るためならどんな嘘もつく女性の姿は醜くもあるが、それだけ追い詰められていたのだと思うと、単純に責めきれない後味の悪さが残った。
恋人を守ると誓った高吉と、その高吉を差し出してでも生き延びようとしたナオミ。二人の姿は、代理戦争という仕組みが人の本性をむき出しにしてしまうことを示している。天使や悪魔にとって使徒は駒にすぎず、使徒同士の絆さえゲームの前ではもろく崩れる。愛の言葉が、命の危機の前ではこれほど簡単に裏返ってしまうという描写が、この回を単なるバトルものではない、苦い物語にしていた。
そして隔離空間は解け、街は元の姿に戻った。使徒を失った天使や悪魔は強制的に退場させられるはずなのに、佐々木たちは天使でも悪魔でも、まして使徒でもない。アバドンは問いかける。「君たちは何者なんだい」。どこから手をつけたらいいのだろう、なんかもう全てを放り出して異世界に逃げたい、という佐々木の心の声には、思わず共感してしまった。
情報が足りない
情報が足りていない、現状では何も判断できない。そう考えた佐々木は、本日初めてお会いしましたよねととぼけ、この場は異能力者の隠蔽に努める。アバドンが以前から佐々木のことを見ていたのかどうかは、まだわからない。お隣さんとアバドンの存在に気づいていながら、何も知らないふりを貫く佐々木の判断は、情報を集めてから動くという社会人らしい処世術そのものだった。
その後、佐々木は局で警部補から警部への昇進を知らされる。課長からは、どうして現場で君たちだけが時間を戻す異能力の対象になったのかと根掘り葉掘り質問を受けた。佐々木は、三人がそれぞれ魔法的な現象で身を包んでいたことが誰かの異能力に干渉したのではないかとあたりをつけるが、この話題はあまり続けたくないと口をつぐむ。課長には言えない秘密を抱えながら組織に身を置く佐々木の立場の難しさが、さりげなく描かれていた。
昇進という形で評価されながらも、本当のことは報告できない。異世界のこと、ピーちゃんのこと、そしてお隣さんとアバドンのこと。佐々木が抱える秘密は回を追うごとに増えていく。組織の一員として誠実でありながら、誰にも言えない領域を守り続けるという綱渡りのような日常が、この作品ならではの緊張感を生んでいる。努力している姿を見せておけば局内でも過ごしやすくなるという打算的な心の声も、どこか憎めなかった。
第2話のまとめ考察
異世界からの不穏な知らせ
局での務めを終えた佐々木は、ピーちゃんと合流して異世界へ。異世界へのショートステイは我々の癒しの時間、これ以上の問題は絶対に持ち込んでなるものかと心に誓う佐々木だったが、待っていたのはエルザの婚約話だった。相手はルイス第一王子。娘にとっては一生に一度の大事であろうと問われ、エルザの父は返す言葉もございませんと頭を下げる。
そしてラストに飛び込んできたのは、エルザが部屋で自ら命を絶とうとしたという衝撃の知らせだった。癒しの時間であるはずの異世界にも、政争の影が忍び寄っている。現代での代理戦争と、異世界での王位争い。二つの世界で同時に不穏な動きが始まり、佐々木の平穏はますます遠のいていく。
三つの勢力が交わる世界
第2話は、異能力者、魔法少女に続いて、天使と悪魔という新たな勢力が本格的に姿を現した回だった。互いを知らない者同士が同じ空間で戦い、誤解し、時には手を組む。その中心に、どの勢力にも完全には属さない佐々木がいるという構図が面白い。どの陣営にもくみせず、言葉と判断力で切り抜けていく魔法中年という主人公像が、Season2でいっそう際立ってきた。
それにしても、お隣さんとアバドンの関係は不気味さを増すばかりだ。淡々と天使を倒し、使徒の指示は絶対だと言い放つ悪魔と、それを当然のように受け入れる少女。佐々木が彼女の存在にどう向き合うのか、そしてエルザの身に何が起きたのか。現代と異世界、二つの世界で同時に動き出した事態の行方を、じっくりと見守りたい。




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