この記事の作品:
他の生徒を圧倒する実力を持つ幸助とリュディは、初回講習で特別ダンジョンのギョブリン城に挑むことになる。監督役の雪音とななみも加わり、誰もが盤石の体制で臨んだはずだった。そこで待っていたものとは。世にも恐ろしいローショントラップ、仲間のために体を張った幸助、そして学園での嫉妬の中で見えた雪音とリュディの信頼まで、第6話を振り返っていく。




特別ダンジョン「ギョブリン城」
監督役は雪音先輩とななみ
『マジカルエクスプローラー』第6話「風雲!!ギョブリン城」は、初回講習の組み分けから始まる。すでに他の生徒を圧倒する実力を持つ幸助とリュディに告げられたのは、「あなたたちには特別ダンジョンへ挑んでもらう」。二人でも十分という評価だが、リュディの不安も分かるということで、監督役として雪音が、さらに「母様からの推薦でななみも」加わることになった。
道中、リュディの魔法を見た幸助は「やっぱリュディの魔法は うらやましいよな」とこぼす。「俺は放出系の魔法がうまく使えない体質なんだ」、「だから距離を取られるとつらい」。前世のゲーム知識で何でもこなしているように見える幸助にも、はっきりとした弱点があることが分かる場面だった。
遠距離から魔法を放てない幸助が、それでもここまで強くなれたのは、限られた手札を工夫と鍛錬で磨き上げてきたからだ。ないものねだりをしつつも、すぐに気持ちを切り替えて自分の戦い方に集中する。その切り替えの早さこそが、幸助の一番の武器なのかもしれない。リュディとななみ、雪音という頼もしい仲間がそろったことで、互いの長所で短所を補い合う形が自然とできあがっているのも面白い。
そしてたどり着いた特別ダンジョンで、幸助は嫌な予感に襲われる。ゲームの知識で、ここが何の場所かを知っていたのだ。「覚えていますか?以前エッチなポーズをしたあの」と切り出され、「またあれをしなければならないのか」と青ざめる雪音。「最近ようやく忘れてきたというのに」と嘆くリュディの姿に、すでに嫌な予感しかしなかった。
エッチな気分になるローション
待ち受けていたのは、浴びるとエッチな気分になってしまうローションのトラップの数々。変態紳士淑女たちが求めたダンジョンからは、逃げられるわけがない。用意された体操着に着替えた一行だが、なぜか幸助だけがふんどし姿だった。「ていうかなんで俺だけふんどしなの?」と抗議する幸助に、ななみは「ふんどしとご主人様のどちらが本体か分からないくらいに」と真顔で返す。
雪音は「まあまあ 男らしくて私は好きだぞ」とフォローするが、リュディは「私は気分が沈んで冗談すら言えないわ」とげんなり。よくこんなことを思いつくものだという幸助の開発者へのぼやきは、見ている側の気持ちそのものだった。往年のバラエティ番組のような仕掛けの数々に、最初から最後までずっと笑わされっぱなしだった。
ローショントラップの数々
ご主人様と私のコンビネーション
最初のステージは、人の上に人が乗り、残りのメンバーが勢いよく押して、池に落ちるぎりぎりで止まればクリアというもの。「ここはご主人様と私のコンビネーションで参りましょう」と張り切るななみの下で、幸助は「やっぱり俺が下だよな」と覚悟を決める。乗られ心地を尋ねるななみと、困惑する幸助の掛け合いが早くもおかしい。
ところが前方には、かけ流しのローションが待ち構えていた。浴びなければ通れず、浴びればエッチな気分になってしまう。勢いが止まらない中、幸助はふんどしを伸ばしてしのごうとする。全員が体を張る展開に、この作品の振り切ったノリが存分に詰まっていた。
ローションまみれになりながらも必死にステージをクリアしようとする一行の姿は、まるで深夜のバラエティ番組を見ているようだった。真面目な顔で全力を出すほど、状況のばかばかしさが際立つ。演じる声優陣の熱演も含めて、笑いのために全員が本気で取り組んでいるのが伝わってくる。
あと任せたわよ
次のステージは、時間制限つきの登り坂。しかもさっきのローションのせいで、ふんどしの技は使えなくなっていた。幸助は何かあっても下から支えられるようにとリュディを先に行かせるが、心の中では「俺はどこを見たらいいんだ」とうろたえる。紳士であろうとする幸助の葛藤が笑いを誘う。
けれどリュディも力尽き、「あと…任せたわよ」と言い残してローションの中へ。さながら戦場で仲間を失うような演出が、ばかばかしさをいっそう引き立てていた。
リュディが脱落してもなお、残ったメンバーで先へ進むしかない。くだらない試練のはずなのに、仲間が一人ずつ倒れていく展開は妙に熱く、気づけば本気で応援してしまっていた。この真剣さとばかばかしさの落差こそが、マジエクの持ち味だと改めて感じる。
情けない格好の俺を見ないでください
最後のステージは、ハンターから逃げ切って扉に金の玉をはめればクリア。幸助は「ここは俺が足止めします!」と名乗り出て、雪音に金の玉を託す。そして「最後に一生のお願いです!」、「少しの間 情けない格好の俺を見ないでください!」。ハンターを道連れに、ローションの中へと落ちていった。
雪音の「お前の思い 無駄にはしない」、「お前は情けなくなんかない」、「立派な男だ」という言葉は、状況さえ違えば感動の名場面だった。「あっぱれ あっぱれ」とたたえられ、攻略は見事成功。ところがご褒美として渡されたのは、「ローションですね」。最後まで期待を裏切らないオチに、思わず声を出して吹き出してしまった。
自分が犠牲になってでも仲間をゴールさせるという幸助の選択は、普段の戦いでも見せてきた彼の生き方そのものだ。ローションの海に消えていく姿は情けなくても、その心意気は本物だった。だからこそ雪音の言葉が、笑いと一緒にちょっとした感動も運んでくる。
学園での幸助の立場
これくらいの逆境なんてへでもないさ
翌日、学食で幸助と伊織が顔を合わせる。伊織は初心者ダンジョンを攻略したことや、魔人族が出現したものの、ほとんどモニカ会長のおかげで討伐できたことを話す。そんな二人に、離れた席から冷たい視線が向けられていた。リュディを慕うLLLの面々だ。リュディと親しくしている幸助を、あわよくば学園から追い出したいと考えているらしい。
前半の大騒ぎから一転して、後半は学園での幸助の立場という少しシリアスな話題に移る。ゲームの友人キャラに転生した幸助が、本来の主人公である伊織とどう関わっていくのかも、この作品の大事な見どころだ。二人が気軽に言葉を交わす様子からは、ゲームの筋書きとは違う関係が少しずつ築かれていることがうかがえる。
それでも幸助は「修行だよ修行」と午後の授業をサボる気満々で、「俺はこの学園で最強になる男だぜ」、「これくらいの逆境なんてへでもないさ」と笑い飛ばす。周囲の目を気にせず、自分のやるべきことにだけ集中する幸助のぶれなさが本当に頼もしい。
周りに何を言われても、幸助の目標は最初から変わらない。この学園で最強になること。そのために必要なのは周囲の評判ではなく、毎日の積み重ねだと分かっているからこそ、嫉妬の視線にも動じないのだろう。そのまっすぐさが、かえってヒロインたちの心を引きつけているのかもしれない。
一方、リュディたちは幸助の評判を心配していた。「要するに 嫉妬よ 嫉妬」。風紀会の知り合いいわく、幸助は「常軌を逸した努力家と絶賛していました」というが、「僕にはドン引きしているようにも聞こえるんだけど」という伊織の突っ込みが的確すぎて笑ってしまった。
私が味方であることは揺るがない
心配するリュディに、雪音は「よっぽどのことを起こすまでは 放置しておいたほうがいい」と助言する。そして「私は瀧音と一緒にいればいるほど気に入っている」、「私が味方であることは揺るがない」、「君はどうだろうか」。リュディの答えは「私もコウスケの味方であり続けたいと思います」だった。
「昨日みたいなダンジョンに行くのは」、「もうこりごりですけどね」と付け加えるリュディに、「気が合うな」、「私もだ」と返す雪音。ばかばかしい試練をくぐり抜けた二人の間に、確かな信頼が芽生えているのが感じられた。
前半のギョブリン城での試練は、ただのお色気とギャグの場面ではなかった。一緒にばかげた試練を乗り越えたからこそ、雪音とリュディは幸助の本当の姿を知り、互いを理解し合えた。笑える展開の積み重ねが、そのまま登場人物たちの絆につながっていく構成が見事だった。
第6話のまとめ考察
頑張っているコウちゃんをねぎらって
花邑家では、毬乃とはつみ、ななみが幸助のことを話し合っていた。学園も幸助のサボり癖や周囲の風当たりは把握しているが、本人は気にしていない。むしろ目を見張るのは成長の早さだ。毎日欠かさない素振りとランニング。「私には行き急いでいるようにも見えるのよね」という心配の声も上がる。そこで出た結論が、「だったら私たちは頑張っているコウちゃんをねぎらってあげましょう」。
その方法として選ばれたのが、なんと添い寝だった。添い寝しに来たはつみを前に、幸助の心の中では悪魔と天使が激しく言い争う。ところが頼みの天使まで悪魔に同調してしまい、天使なんていなかったと嘆く始末。覚悟を決めて振り向くと、はつみはすでに寝息を立てていた。期待と緊張で眠れない幸助の夜に、思わず同情してしまう。
毬乃もはつみもななみも、それぞれのやり方で幸助を大切に思っている。学園では嫉妬の的になっている幸助だが、家に帰れば彼の努力を誰よりも理解してくれる家族がいる。その温かさが、学園での冷たい視線との対比として効いていた。添い寝作戦はあっけなく空振りに終わったが、幸助をねぎらいたいという気持ちだけはしっかり伝わる、ほほえましい締めくくりだった。
第6話は、前半のギョブリン城でのばかばかしい試練と、後半の学園での幸助の立場が対照的に描かれた回だった。ふざけた展開の中でも、仲間のために体を張る幸助の姿や、彼を信じて味方であり続けようとするリュディと雪音の思いが、しっかりと伝わってくる。エロゲの世界らしいお約束を全力で楽しみつつ、幸助がなぜヒロインたちにこれほど慕われるのかが、改めて納得できる一話だった。




関連作品:

































コメント