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茶道部の野点に招かれた生徒会。そこで起きたのは、三人そろってトイレに閉じ込められるという大事故だった!一方、平塚先生の家に呼ばれた梅は、こまろの意外な過去と、彼女が梅に懐いている理由の一端を知ることになるのだった。会長のまじめすぎる検証、生物部が持ち込んだ蜂の巣騒動、そして最後に描かれた色づくこまろの世界まで、第6話を振り返っていく。




やっちゃった
英国式の野点と「お便所」
『生徒会にも穴はある!』第6話は、「やっちゃった」「梅と先生」「こまろの世界」の3本立て。最初の話は、手伝いのお礼に招かれた茶道部(英国式)の野点から始まる。紅茶をいただく秋の野点に、「紅茶が冷めやすいのが良いですわね」と独特の楽しみ方を語る茶道部員。お手洗いの場所を尋ねると「お便所ですね!」と元気よく返され、上品なのかそうでないのか分からない空気に、最初から笑わされた。
ところが、お手洗いに入った会長の寿子は、鍵が壊れて扉が開かなくなってしまう。隣の個室には有栖も、こまろもいた。三人そろって閉じ込められるという、この作品らしい事故の始まりだった。
英国式の茶道部という設定からして、すでにこの作品らしいずれ方をしている。上品な言葉づかいと、やけに率直な単語の組み合わせが生む妙な空気。その中で起きるのが、生徒会の女子三人そろってのトイレ事故なのだから、序盤から笑いの密度が高い。
三人そろって閉じ込められて
有栖は紙がなく、こまろはウォシュレットが壊れ、それぞれが個室から出られない。「どうするこの状況」。外の男子に連絡するのは恥ずかしいということで、会長が窓から脱出することになる。
それぞれが別の理由で動けないという状況の作り方が絶妙だった。一人なら助けを呼べば済む話が、三人そろうことでかえって身動きが取れなくなる。普段は頼れる生徒会の面々が、そろって追い詰められていく様子に、気の毒だと思いつつも笑ってしまった。
「いつもアリスは頑張ってるし」、「たまには私もいいとこ」と張り切った会長だったが、窓に体が引っかかって動けなくなってしまう。そこへ通りかかったのが梅だった。とっさに外の空気が吸いたくてとごまかす会長の苦しい言い訳に、思わず吹き出した。
結局、梅が人を呼んできて、5分後には全員無事に救出された。ところが会長の災難はここで終わらない。窓からぶら下がっていたあの姿を、梅にどこまで見られていたのか。それが気になって、勉強がまったく手につかなくなってしまう。
助けられてほっとしたのもつかの間、今度は見られたかもしれないという不安が会長を襲う。人前ではしっかり者のカリスマ会長が、一人になると途端に考えすぎてしまう。そのギャップこそが、この作品の会長の一番の魅力だと思う。
いっそ検証しよう
悩んだ末に会長が選んだのは、「いっそ検証しよう」という斜め上の解決策だった。梅の身長と距離から角度を割り出し、同じ条件を再現して撮影する。そのまじめさは、画面に添えられた「クソ真面目」の文字どおりだ。
けれど、撮れた写真を見た会長は「思ってたのと違う!」と大慌て。撮り直しを重ねるうちに、窓から身動きできずにいた自分の姿がどう見えていたのかを思い知る。最後に漏れたのが、副題にもなっている「やっちゃった」。真面目すぎるがゆえに自爆していく会長のむっつりぶりが、この回でも全開だった。
誰にも見られていないはずの自室で、一人で検証を重ねて一人で撃沈していく。そのすべてが会長の自滅であるところが、この話のいちばんおかしいところだ。真面目な人ほど、思い込むと止まらなくなる。会長という人物の不器用な可愛らしさが、これでもかと詰め込まれた一本だった。
会長が一人で恥ずかしさに悶えているのを、家族は「どうせまた梅だろ」と冷めた目で見ている。この家族のツッコミも含めて、会長のキャラクターの愛おしさがよく出ていた。
生物部と蜂の巣
命あるものは守らねばならんです
続いて生徒会に相談を持ち込んだのは、生物部の部長・蛇目わに。裏門の蜂の巣が話題になり、業者を呼んで駆除するかどうかという話が出ているのだという。「だから助けてあげてほしいんだ」と頼まれ、蜂の被害から生徒を守る話かと思いきや、助けてほしいのは蜂の方だった。
「命あるものは守らねばならんです」と言いながら、どうすればいいかと聞かれると「対話すれば大丈夫じゃない」と無責任そのもの。「なんだこいつ」という梅の反応がまっとうすぎて笑ってしまった。巣がここまで大きくなったのも、生物部の活動のせいらしい。
守りたいと言いながら、守るための知識も手段も持ち合わせていない部長に、梅が振り回される構図がおかしい。命を大切にするという考え方そのものは正しいのに、やり方がことごとくずれている。この学園には、なぜこうも極端な人ばかり集まるのだろうか。
ここは僕の出番かな
現場では、虫は好きだが飛ぶのは苦手だという有栖、いつの間にか刺されているこまろと、生徒会は早くも追い詰められる。そこで名乗り出たのがたんだった。「しょうがないなここは僕の出番かな」。ありあわせの防護服で突撃し、見事に巣をキャッチしてみせる。「お前、ほんとすごいな」という梅の言葉も納得の大活躍だった。
普段は少し生意気なたんが、いざという時には体を張って仲間を助けてくれる。蜂は自分を刺さないだろうという謎の自信も含めて、たんらしさが存分に発揮された場面だった。生物部の部長に勧誘されるほどの手際の良さに、意外な才能を見た気がする。
ところが最後の最後で、たんは思わぬ場所を蜂に刺されてしまう。きれいに終わらないところが、いかにもこの作品らしい。せっかくの活躍が台無しになるオチまで含めて、最後まで笑わせてくれた。蛇目わにという強烈な新キャラの登場も含めて、学園の変人の多さを改めて感じさせる一本だった。
梅と先生
生徒会どう
2本目の話「梅と先生」では、梅が平塚先生に呼び出される。保護者からもらった野菜や魚を処理するのを手伝えということらしい。料理が苦手な先生の代わりに手際よく調理を進める梅だが、先生は早々に酒を飲み始めている。生徒の前でも遠慮のない先生の姿には、苦笑いするしかなかった。
先生と梅の会話は、生徒と教師というより、昔からの知り合い同士のような気安さがある。からかわれては言い返し、言い返してはまたからかわれる。そのやり取りの中に、長い付き合いだからこその信頼がにじんでいた。
そんな先生が、ふと梅に尋ねる。「生徒会どう?」。「ありがたいとは思ってますし好きですよ」と答える梅は、こまろも会長も照井先輩もたんも好きだと続け、「ついでにあんたも」と先生まで付け加える。「だってあんなへそまがりだった俺にこんなによくしてくれるんですから」。
先生の「大人になったもんだな」、「教室の隅で100年の孤独読んでたお前が」という言葉からは、先生が昔の梅を知っていることがうかがえる。一人で本を読んでいた少年が、今は生徒会の仲間を好きだと素直に言えるようになった。その成長を見守ってきた先生の温かいまなざしに、じんわりとした。
普段はだらしなく、生徒の前でも酒を飲んでしまう先生だが、梅の成長をきちんと見ていて、それを素直に喜べる大人でもある。梅が「へそまがり」だった自分を振り返り、今の仲間に感謝を口にできたのも、そんな先生がそばにいたからなのかもしれない。
陸奥の保護者
食卓に並んだ皿の数が多いことに気づいた梅の前に現れたのは、こまろだった。先生はこまろの保護者のような立場で、住んでいる部屋は隣で別だが、ご飯を食べさせたり世話をしたりしているのだという。こまろの両親は、ずっと昔に亡くなっていた。
こまろが先生の隣の部屋に住んでいるという事実は、これまでの明るいこまろの姿からは想像しにくいものだった。ふざけた日常の裏に、それぞれが抱えている事情がある。生徒会のメンバーが時折見せる影の部分が、少しずつ明かされていく構成が丁寧だ。
先生は「しかしもう半年以上になるか」と振り返り、昔のこまろはもっと暗かったと話す。今のこまろが明るくなったのは生徒会、いや梅のおかげかもしれない。「こんなに懐いてるの お前だけだぞ」。周りに変な気の使い方をして、生徒会になじむのにも時間がかかったというこまろ。梅の膝に座るほど懐いているのが、どれほど特別なことなのかが伝わってきた。
第6話のまとめ考察
それはな秘密
帰り際、梅はこまろに尋ねる。「何で俺に懐いてくれたんだ」。返ってきたのは「それはな秘密」。本で見たから言ってみたかったというこまろに、梅は「まあでもそっか十分だよありがとな」と笑う。答えを無理に聞き出さない梅の優しさも、こまろが心を開いた理由の一つなのだろう。
秘密という言葉を本で覚えて、使ってみたかったというこまろの無邪気さがかわいらしい。けれどその裏には、まだ言葉にできない大切な思いが隠れているのだろう。梅もそれを感じ取ったからこそ、十分だと言えたのだと思う。
そして最後の「こまろの世界」では、こまろの目に映る世界が描かれる。両親を亡くしてからのこまろの景色は色を失い、100点の答案も、周りのにぎやかな声も、どこか遠いものだった。けれど梅に名前を呼ばれた瞬間、その世界に色が戻ってくる。言葉ではなく映像で、こまろにとって梅がどんな存在なのかを見せてくれる演出に、心の奥がぎゅっと締めつけられた。
明るく振る舞うこまろの裏側に、こんなにも静かで寂しい世界があったのかと思うと、これまでの何気ない場面の見え方まで変わってくる。梅の膝に座ったり、ちょっかいを出したりする姿も、ただの甘えではなく、色のある世界をくれた相手への精いっぱいの気持ちの表れだったのかもしれない。
第6話は、前半の下ネタ全開のトイレ事故や蜂騒動から一転して、最後にこまろの過去と梅への思いが静かに描かれる回だった。くだらない笑いを全力でやっているからこそ、ふとした瞬間の温かさがいっそう際立つ。教室の隅で本を読んでいた梅と、色のない世界にいたこまろ。どこか似た孤独を知る二人が、生徒会という居場所で出会えたことの意味を、改めてかみしめたくなる一話だった。次にこまろが梅と過ごす時間を見るときは、きっと少し違った気持ちで見守ることになりそうだ。




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