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アカデミーに入学したはずが、化石の論文で一足飛びに博士号を取ってしまったピア。忙しいルーファスに代わってそばにいてくれるのは、同じモブ悪役令嬢の立場にあるエリンだった。温室のお茶会で初めて語られるエリンの本音と、ついに近づいてくるヒロインの不穏な足音。史上最年少の博士号、エリンとの友情、そしてルーファスの覚悟まで、第3話を振り返る。




第3話「乙女ゲーの舞台に入学!?」はピアとエリンの友情が深まる回
『弱気MAX令嬢なのに、辣腕婚約者様の賭けに乗ってしまった』第3話「乙女ゲーの舞台に入学!?」は、アカデミーに入学したはずのピアが、化石の論文で一足飛びに博士号を取得してしまうところから始まる回だった。忙しいルーファスに代わってそばにいてくれるのは、同じモブ悪役令嬢の立場にあるエリン。温室でのお茶会で語られるエリンの本音、ヘンリーの乱入、そしてついに近づいてくるヒロインの足音。穏やかな日常の裏で不穏な影が少しずつ広がっていく、緩急の効いた一話だった。
史上最年少の博士号
冒頭、ピアに与えられたのはなんと専用の研究室。昨年ルーファスの勧めで書いた化石の論文で博士号を取り、入学をすっ飛ばして卒業したことになったという。史上最年少の博士号に教授たちは天才だと褒めそやすけれど、ピアにとっては前世で普通に教科書に載っていた知識で、自分のアイデアではないのが地味に後ろめたい。この真面目さと弱気さが、いかにもピアらしかった。その謙虚さが、周りに恵まれる理由なのだろう。
けれどルーファスには、きちんとした狙いがあった。予言の断罪から身を守るためにも、箔付けは有効だ。博士として国に貢献していると認知された人間と、ただの女子学生の発言、どちらが優先されるかは明白だという。ピアはいつも通りにしていればいい、煩わしいことは私の得意分野だから任せて。必修の講義に出なくて済むよう、以前から浸透させてきた病弱設定を使っておく、という周到すぎる手回しには思わず笑ってしまった。
エリンとの昼食
国史の授業では、隣の席にエリンがいる。ルーファスが受講しないからピアを独り占めできる、と嬉しそうなエリンに、ピアはむしろ目立ってしまうと気が気でない。ひっそり一番後ろの席で授業を受けたかったのに、いつも隣にはルーファスかエリン。後ろであろうがなかろうが最高に目立ってしまう、という心の声がおかしい。算術の教師まで乙女ゲームの攻略対象だと気づいてしまうあたり、ここが乙女ゲームの舞台であることを改めて思い知らされる。
昼食はエリンが用意してくれたサンドイッチ。お返しをしたいけれど料理が壊滅的で、とこぼすピアに、実は私も全然できないの、仲間ね、と笑うエリン。ヒロインが作るおいしいお菓子を際立たせるための補正ってやつ、というピアの分析も鋭い。ルーファスからピアにきちんと食べさせるようにお願いされている、という話からは、多忙な中でもピアを気にかけ続けるルーファスの姿が見えてくる。婚約と同時に花嫁修行として剣も覚えさせられた、というエリンの話も、彼女の凛とした雰囲気によく合っていた。
そこへ突然現れたのが、エリンの婚約者ヘンリー。恋バナかと驚かせてピアがお茶をこぼし、ルーファス様に消されたいわけ、とエリンに叱られる。剣を使わずにあなたを消す方法くらい千通りは考えつく、いやルーファス様なら万通りはいく、というやりとりには声を出して笑ってしまった。エリンが毎日ヘンリーのお弁当も用意していると聞いたピアは、たとえ政略結婚であってもできるだけ良好な仲でいたい、というエリンの言葉に深くうなずく。
温室のお茶会とエリンの本音
松ぼっくりの化石とジャンボみかん
休日、エリンの家に招かれたピアは、お土産選びに大いに悩む。実験中に偶然できた除草剤はどうだ、という父の提案を却下し、自信たっぷりに選んだのは松ぼっくりの化石。凡人の私には良さがさっぱり分からないわ、と戸惑いながらも受け取ってくれるエリンが優しい。現在とほぼ変わらない姿を保っている松ぼっくりなんです、と目を輝かせるピアの化石愛は、相変わらずぶれない。思いつくものを全部詰め込んでみようと、山のようなお土産を抱えて訪ねていく姿も、ピアらしい不器用な誠実さにあふれていてかわいらしかった。
温室で振る舞われたのは、隣国から苦労して移植したジャンボみかん。甘いものがもてはやされる時代で人気が出ないというエリンに、ピアはビタミンたっぷりで美肌効果もある、皮を砂糖漬けにすればいい、数量限定にして希少価値を上げ、口コミで宣伝効果を狙えばいい、と次々にアドバイスする。ストップ、今の書き留めさせて、と慌てるエリンの姿からは、ピアの知識が本物であることがよく伝わってくる。ミルクティーの飲み方を教わって喜ぶピアの素直さも微笑ましかった。
一人ぼっちはもう嫌なの
思ったことをそのまま口にするピアに、エリンは貴族社会でこの素直さは危険だけど、それでもピアの口から出る言葉を浴びて生きる方が最高に幸せになれる、だからルーファスは矯正するより守るほうを選んだのね、と納得する。不愛想で無関心だったルーファスが婚約者には甘いと聞いて耳を疑ったけれど、これは落ちる。幼い頃の茶会でルーファスとピアノとバイオリンで比較され続けて苦痛だった、という思い出話も、エリンの人柄をよく表していた。
そしてヘンリーの好きなところを尋ねられたエリンは、バカなところだと答える。バカだから裏でこそこそ悪口を言ったり、言動が不一致になったりすることがない。私と付き合っているうちは、私のことだけを見てくれていると信じられる。その言葉の裏には、両親が仮面夫婦で、母の心は他の男のもとにあるというエリンの家庭の事情があった。「一人ぼっちはもう嫌なの」。明るく快活なエリンが初めて見せた寂しさに、胸がぎゅっとなる。エリンと呼んでほしい、という願いを受け入れたピアとの間に、本当の友情が生まれた瞬間だった。
ヘンリーとルーファスの乱入
恋バナが盛り上がったところで、物陰から現れたのはヘンリー、そしてルーファスだった。婚約者同士のお茶会に突撃しようとヘンリーに誘われ、野暮だと断ったのに一人でも行くと聞かないから付いてきたという。しばらく会えていなかったので嬉しいです、とまっすぐに伝えるピアに、私も会いたかったよ、と返すルーファスの笑顔に、ヘンリーまで驚いているのがおかしい。
こんなでかい家で一人でつまらなそうにしているから、全力で驚かすしかない、というヘンリーの言葉に、ピアは彼がエリンの状況を正確に把握して見守っていることに気づく。エリンが選んだ友達に文句をつけるわけがない、俺もピアちゃん好きだよ、と屈託なく言うヘンリーに、ルーファスは次の騎士団の公開稽古に自分も参加すると宣言。正当な場で一回やる、という静かな怒りに、なぜ地獄が目の前だと分からないの、とエリンが頭を抱えるのも無理はなかった。
近づく不穏な影
キャロラインの足音とルーファスの覚悟
帰りの馬車で二人きりになったピアは、ルーファスが少し痩せたことに気づく。体調を崩した父の代理として宰相の職務に当たっているから、アカデミーを休んでいたのだという。自分の断罪が心配で、アカデミーでひっそりと一人でもがいていこうと思っていたピア。けれどエリンとヘンリーに出会い、二人を好きになった。だからこそ、あの二人にもゲームの厄災が降りかかるのが怖い。
そこへルーファスが告げたのが、予言にあったラムゼー男爵家が数日前に養子を迎えたという知らせだった。キャロラインの足音がついに近づいてくる。不安に唇を噛むピアに、心配しないで、完膚なきまでに跳ね返してみせるさ、私の心のすべては10歳の頃からピアに捧げているのだから、と答えるルーファス。「私の愛は重いよ 覚悟しておいてね」という一言に、思わず画面の前でうなずいてしまった。
宰相の毒と研究室の異変
その後、ピアはルーファスの父のお見舞いへ。研究室のドアの建て付けが悪く隙間風がひどい、エリンというお友達ができた、と話すピアに、宰相は、スタン家がもっとも好ましく思っているのはルーファスをただ愛してくれているところだ、それだけでいい、と告げる。眠れるように流行りの歌を、と頼まれたピアが歌ったのは、昔から知っている歌だった。
ところが、宰相の不調の原因は夏風邪などではなく毒だった。新手の毒を誰が盛ったのか。さらにピアの研究室の隙間風は、賊が侵入している証拠だとルーファスは見抜く。ピアの研究成果狙いだろうと、夜間の警護に影を借りるルーファス。ピアを離してやるつもりなどない、という父子の会話は、溺愛の裏にある本気の覚悟を感じさせた。そして最後には、ピアと同じ歌を口ずさむ謎の人物の姿も描かれ、物語は新たな局面へと進んでいく。
第3話のまとめ考察
守られるだけではない友情
第3話は、ピアがアカデミーで初めての友達を得る回だった。エリンは乙女ゲームの中ではピアと同じモブ悪役令嬢でありながら、現実では自分の足で立とうとする強さと、一人ぼっちを恐れる寂しさを併せ持つ人物として描かれた。そんなエリンを大好きになったからこそ、ピアの不安は自分だけのものではなくなっていく。
一方で、ルーファスは宰相の代理という重責を担いながら、キャロラインの動向を監視し、ピアの研究室を守るために影まで動かしている。溺愛ぶりは相変わらずだけれど、その裏で静かに戦っているルーファスの姿が、この作品の安心感と緊張感を両立させている。穏やかな日常と、その裏に潜む不安。ヒロインの登場が近づく中、ピアとエリン、そしてルーファスたちがどう立ち向かっていくのか、続きが楽しみだ。
また、宰相の前で自分は心が狭いと打ち明けたピアに、ルーファスをただ愛してくれているところがいい、それだけでいい、と返した場面も心に残る。博士号も知識も評価されているけれど、スタン家がピアに求めているのはそこではない。自分には何もないと弱気になりがちなピアにとって、この言葉はきっと何よりの支えになるはずだ。ピアが歌った昔から知っている歌が、物語の最後で思わぬ形で響いてきたのも気になるところで、この歌がピアの前世や乙女ゲームの秘密とどうつながっていくのかにも注目したい。


































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