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『FX戦士くるみちゃん』第4話は、ついにくるみがずっと隠してきた秘密が父に知られてしまう回だった。含み損のない平和な日々を取り戻し、あとは家のお金300万円をこっそり戻すだけのはずだったくるみは、父の前で札束を落としてしまう。父の涙、FX引退の決意と心の中のささやき、そして奨学金でFXを始める芽吹まで、第4話を場面ごとに振り返っていく。




第4話 隠し通せなかった300万円
『FX戦士くるみちゃん』第4話は、ついにくるみの秘密が父に知られてしまう回だった。豪ドル円の窮地を切り抜け、含み損のない平和な日々を取り戻したくるみ。あとは家のお金300万円をこっそり戻すだけのはずだったが、事態は思わぬ方向へ転がっていく。父の涙、FX引退の決意、そして新たに現れた芽吹という危なっかしい後輩。場面ごとに振り返っていく。
芽吹の投資家デビュー
冒頭は、萌智子の部屋を訪ねた芽吹の口座開設から始まる。円建てで、せっかくの海外口座だからとレバレッジは500倍。「これでめぶきちゃんも」投資家デビューだねと言われ、芽吹は「お金持ち目指して頑張ります」と無邪気に喜ぶ。猫が勝手についてきたから餌をあげているだけという萌智子の部屋の空気も含めて、どこかのんびりした導入だ。
今日は何もやっていない、適当に投資家ブログを見ていただけという萌智子が眺めていたのは、あふぃちゃんの投資家日記。FXで負けてアフィリエイトでも成果なしという書き手を、下手すぎて面白いと笑いつつ、こういう人間は逆に勉強になるとも言う。必勝法を知りたがる芽吹に、萌智子は学校の知り合いが詳しいと答え、その人物を一言で表す。「戦士 かな」。くるみのことを、萌智子がどう見ているのかがよくわかる一言だった。
含み損ゼロの平和な日々
一方のくるみは、アルバイトを終えて上機嫌だった。「含み損がないって最高」。けれど頭の中は、家のお金300万円を返さなければという思いでいっぱいだ。これからは即死リスクの小さい国内のFX口座で戦う。自己資金210万円あれば国内のレバレッジでも十分戦えるし、税金のことを考えると海外口座は不利。くるみなりに、前回の反省を踏まえて冷静に作戦を立て直そうとしている。
ところが、確定申告という壁が立ちはだかる。申告すれば扶養家族から外れ、父にアルバイト以外の収入があるとばれてしまう。いっそFXのことを打ち明けた方がいいのか、利益を出している自分ならわかってもらえるのではないか。そう考えては、都合よく考えすぎかと打ち消す。そして漏れたのが「はぁー脱税したいなぁ」という本音だった。画面に出た脱税は絶対にダメですという注意書きまで含めて、思わず笑ってしまう場面だ。
家のお金が盗まれた
そこへ父が深刻な顔でやってくる。「緊急事態だ」。家のお金が盗まれた、すぐ警察に通報すると言い出す父に、くるみは大げさだ、間違いだったら恥ずかしいよと必死に引き止める。お金はどこに置いていたのかとさりげなく聞き出し、ちょっと探してくると言って強行突破を図るくるみ。しかし父の前で札束を落としてしまい、「終わった」。
この一連の流れは、くるみの焦りがそのまま行動に出ていて、見ていてハラハラさせられる。月末の確認日までに戻せば大丈夫と考えていたくるみにとって、父が先に気づくのは最悪の展開だった。隠し事は、いつか必ず露見する。その当たり前の結末が、コミカルな演出の中にもしっかりと重みをもって描かれていた。
何があってもくるみの味方だ
札束を前にした父が最初に口にしたのは、「くるみが犯人でよかった」という言葉だった。でもそれで済む話じゃない、理由を言いなさい。言いにくいのはわかる、正当な理由じゃないならなおさらだ。そして父は続ける。親をもっと頼ってくれ、何か事件に巻き込まれているなら助ける、何があってもくるみの味方だ。お金よりも何よりも、娘の身を案じる父の姿に胸が痛くなる。
けれどくるみの口から出たのは、「FXで勝つために必要だった」という告白だった。お母さんが溶かした2000万円を取り返すためにFXをしている。勝手に借りたのは悪かったけれど、おかげで勝てた。今のところ合計180万円の利益が出ていて扶養から外れると思うから、手続きをしてくれるとうれしい。今後は絶対借りないようにうまくやるし、失敗しても自分で責任を取れる。だから放っておいていい、もう大人なのだから。
頼むからFXなんてやめてくれ
頭を冷やす時間を挟んで、父はくるみに向き合う。母さんの失敗を取り返す必要があるという、そんな考えは大人とは言えない。誇らしげに勝っていると言うけれど、「お金借りないと勝てない時点でダメだろ」。そして、もうやめろ、「頼むからFXなんてやめてくれ頼む」と涙ながらに懇願する。妻がFXで大金を失うのを見てきた父にとって、娘が同じ道を歩むことがどれほど恐ろしいか。その思いが痛いほど伝わってくる場面だった。
父の言葉に、くるみはようやく我に返る。「私どうかしてた」。全てを失いかけたのにまたやろうとするなんて狂っている、ここでFXをやめるべきなんだ。普通に社会に出て、普通に働いて、地道に堅実にゆっくり稼いでいけばいい。ところがその瞬間、心の中で悪魔のようなささやきが聞こえてくる。地道に稼ぐのはだるいよね、「一瞬でお金を稼いじゃうの」、気持ちよかったでしょ。黒い翼をまとった誘惑の演出が、くるみの心の揺らぎを実に鮮やかに表していた。
それでもくるみは、やめなきゃ、FXやめなきゃと自分に言い聞かせる。正論と誘惑の間で引き裂かれるくるみの姿は、FXの怖さだけでなく、一度知ってしまった快感から抜け出すことの難しさを物語っていた。わかってくれたかと安堵する父の顔を思うと、その決意が本物であってほしいと願わずにはいられない。
引退と新しい生徒
引退は寂しいけど
FXをやめることを伝えると、萌智子は引退しちゃうのと驚く。才能がないからと言うくるみに、むしろあると思う、もったいない、くるみは億万長者になれる器なのにと萌智子は食い下がる。FXなんてノーリスクの戦場、失敗したらお金がなくなるだけ、本当に困るのは守るものがある人だけ。「学生が貯金なんてバカのやることでしょ」とまで言い切る萌智子の言葉は、相変わらず危うい魅力に満ちている。
普通は怖いところでも攻められる、勝負勘が強いという萌智子の評価に、くるみは「私は別にお金が欲しいわけじゃないから」と返す。じゃあなぜ2000万円を稼ごうと思ったのかと問われても、萌智子には関係ないと突っぱねる。母の失った2000万円を取り返すという動機は、くるみにとって誰にも踏み込ませたくない領域なのだろう。引退は寂しいけど仕方ないかと引き下がった萌智子は、代わりに一つ頼みごとをする。
働きたくない芽吹
紹介されたのは、萌智子の友人の芽吹だった。くるみ先輩ですよね、3か月で30万円を210万円にしたFXの天才だとか。萌智子の頼みは、くるみに芽吹のFXの先生になってほしいというもの。引退したから暇でしょ、何も知らないまま相場の海に出るなんてかわいそうじゃない、人助けだと思ってと押し切られ、知っていることを教えるだけならとくるみは引き受けてしまう。
どうしてFXをしようと思ったのかと聞かれた芽吹の答えは、「一言で言えば働きたくないからですね」。社会の歯車になりたくない、1億円あれば働かなくても年間300万円ぐらい稼げる、だからFXで一発当てるのが近道だと萌智子に教わった。そして軍資金20万円の出どころを聞いて、くるみは絶句する。「何言ってんですか奨学金ですよ」。くるみ以上に危うい芽吹の登場で、作品の空気がまた一段と狂気を帯びていく。
投資は自己責任だからね
本当に助けたいならFXを教えるのではなく、と心の中でつぶやくくるみ。けれど芽吹は、本気で引退するなら口座を解約しますよね、ゲーム界隈じゃ引退すると言って本当に引退した人を見たことがないと、痛いところを突いてくる。勝ち方だけ教えてほしいという芽吹に、くるみは一つだけ前置きをする。「投資は自己責任だからね」。
ポンド円を見ながら下がるかなとつぶやいたくるみの言葉を聞いて、芽吹はすぐさま売りを入れてしまう。まだ短期足しか見ていないのに、とくるみが止める間もなく「ショート発射」。すると相場は本当に下がり、芽吹の口座のお金は増えていく。さすが先輩と喜ぶ芽吹の横で、くるみの胸には、自分も売っていれば儲かったのにという思いがよぎる。「このままFX辞めちゃって本当にいいの」という問いかけが、引退を決めたはずのくるみの心を再び揺さぶっていた。
第4話のまとめ考察
父の涙が教えてくれたこと
第4話は、くるみのFXが初めて家族の問題として正面から描かれた回だった。300万円を勝手に持ち出したことを、くるみは勝てたのだからいいと正当化しようとする。けれど父の言葉はシンプルで、だからこそ重い。お金を借りないと勝てない時点でだめだ。母がFXで大金を失った家族にとって、娘の無事こそが何よりも大事なのだと、父の涙がはっきりと伝えていた。
一方で、くるみの中にはすでに一瞬で稼ぐ快感が深く刻み込まれている。正論に納得しながらも、心の中の誘惑は消えない。やめるべきだとわかっていても、やめられない。その人間らしい弱さを、この作品は笑いと狂気を交えながら描き続けている。父の前で誓った引退が、どこまで守られるのかが気になるところだ。
芽吹という鏡
新たに登場した芽吹は、まるでFXを始めたばかりのくるみを極端にしたような存在だった。働きたくない、奨学金でFXを始める、勝ち方だけ教えてほしい。その危うさを目の当たりにして、くるみは本当に助けたいなら教えるべきではないと感じている。芽吹を通して、くるみは自分の姿を客観的に見ることになるのかもしれない。
けれど、芽吹の初トレードが利益を出したことで、くるみの中の戦士が再び目を覚まそうとしている。引退を決めたばかりなのに、口座は解約していない。他人が目の前で利益を出す姿を見て、本当にこのままでいいのかと心が揺れる。父の涙と、相場の誘惑。その二つの間で揺れるくるみが、これからどんな選択をしていくのかを最後まで見届けたい。




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