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魔法の絵の具による検査で、レイに風の魔法の才能があることがわかった。役に立ちたいという思いが、レイを前へ前へと急がせていく。順調に戦果を重ねるロメ隊だったが、クマの魔物を追って入った南の森で待ち受けていたのは、言葉を操り武器を扱う魔王軍の兵士たちだった。レイの焦り、アルとの友情、そして魔王軍との遭遇まで、緊迫の第4話を振り返っていく。




第4話 魔法の才能と焦り
第4話は、猿鬼との戦いを終えて着実に戦果を重ねていくロメ隊が、魔法の才能の検査をきっかけに揺れ始め、ついに魔王軍の兵士と遭遇してしまう回だった。風の魔法の才能を知ったレイの焦り、レイを支えようとするアル、そして思わぬ強敵を前にしたロメリアの決断。順調だった討伐の日々が一変する第4話を振り返っていく。
魔法の絵の具
猿鬼との戦いでは、想定よりも知能を高めた個体が数多くいた。今後の討伐でも同じような事態が考えられるとして、ロメリアは隊員たちにある検査を受けさせる。使ったのは魔法の絵の具。第1話で商会から手に入れたこの魔道具を火にくべると、握った人間に魔法の適性があるかどうかがわかるのだ。
ロメリア自身には魔法の適性がない。説明の途中で待ちきれずに試したアルの炎は赤く染まり、炎の魔法の才能があることがわかる。まんまじゃないかとからかわれるアルらしい一幕に、隊の空気が和む。ほかの隊員たちがなかなかうまくいかない中、レイの炎の色が変わった。風の魔法の才能だった。
周りから祝福されたレイは、「今度こそ役に立てるかな」とつぶやく。「お前次第だろ」というアルの返しはそっけないようでいて、レイの可能性を信じているからこその言葉だったのだろう。ただ、この小さな希望が、レイの心に焦りを生むきっかけにもなっていく。
第3話で一匹も魔物を倒せなかったことを悔やんでいたレイにとって、魔法の才能は自分が隊の役に立てるかもしれないという初めての手応えだった。その期待の大きさを思うと、この後の展開がいっそう胸に迫る。
三つ足の討伐とレイの独断
次の討伐目標は、罠にかかっても自ら足を引きちぎって逃げ出し、近辺で三つ足と呼ばれ恐れられているイノシシの魔物だった。足を失ってもなお群れの頂点に立つ魔物。ロメ隊は逆茂木を用意し、爆裂魔石を配置して、正面から迎え撃つ準備を整える。
ところが突進してくる三つ足を前に、レイが持ち場を離れて前へ飛び出してしまう。止まりなさいというロメリアの声も届かない。戦いのあと、ロメリアはレイに「私の言葉が聞こえませんでしたか」と問いただし、あなたの役割は何かと確かめる。レイの答えは、お嬢様の護衛。ロメリアは軽率な行動は仲間の死につながることを忘れないように、と厳しく戒めた。
叱られたレイの姿は痛々しいが、ロメリアの言葉は正しい。一人の勝手な行動が隊全体を危険にさらす。それでも前に出たくなってしまうレイの気持ちも、見ている側には痛いほどわかる。どちらの思いも理解できるからこそ、この場面は苦しかった。
認められていくロメ隊
一人ひとりへの言葉
三つ足を仕留めたあと、ロメリアは隊員たちをねぎらう。今回で4度目の実戦となり、連携は順調に取れてきている。足を封じたグランとラグンの動きは見事だった。あの場でよく決めてくれたオットー、巣を見つけてくれたカイル。そして今回も危険な囮役を買って出てくれたアルに、みんなを代表して礼を言う。
名前を挙げて、それぞれの働きを具体的に評価する。指揮官として当たり前のようでいて、なかなかできることではない。ロメリアのこうした姿勢が、寄せ集めの新兵だったロメ隊を一つの隊へと育てているのだと感じさせる場面だった。
そのあと、ロメリアはアルにレイのことを相談する。最近あまりにも前に出ることが多い。「護衛という役割では納得ができなかったのでしょうか」と尋ねるロメリアに、アルは役に立てるかもしれないと思ったからだと答える。魔法の才能がわかったからこそ、レイなりに悔しいのだと。アルはレイの気持ちを誰よりもよくわかっていた。
村の復興とレイへの感謝
代官からの定時連絡の使いが村を訪れると、ロメ隊の兵士たちは壊れた橋の修理をしていた。ロメリアの指示で、魔物の被害を最小限に抑えられるよう、復旧工事や炊き出しを有志で手伝っているのだという。報告を託す場面で、すべてはみんなが真摯に向き合ってくれたおかげだと語るロメリアの言葉に、隊への信頼がにじんでいた。
その夜、眠れずにいるレイにアルが声をかける。お前はお嬢様の護衛だろう、前に出るのが仕事じゃない、なのになぜそんなに焦っているのか。レイは、アルはいいよねと本音をこぼす。アルは何でもできる、護衛しかやらせてもらえない自分とは違う、せっかく魔法も使えるかもしれないとわかったのに、と。
アルの答えは「頭で考えたって仕方ねえだろ」だった。次だ次。「お前ならやれる」、俺にはわかる。第3話の湖畔で泣くレイを励ましたときと同じように、アルはまっすぐにレイの背中を押す。二人の友情が、この短いやり取りからもしっかりと伝わってきた。
翌朝、村の少女がレイを呼び止める。窓を直してくれたのはお兄さんですよね、ずっと寒かったけれど、おかげですごくよく眠れた、と。前に出て戦果を上げることばかり考えていたレイが、実は誰かの暮らしを確かに支えていた。その事実を伝えてくれるこの場面は、とても優しかった。
クマではなく魔王軍
南の村の依頼
代官のもとには、ロメ隊が三つ足に襲われた村の修復まで手がけ、住民が大変な喜びようだったという報告が届く。次の討伐目標は、南の村に現れたクマの魔物。そいつは三つ足より強いのかと妙に食いつく代官の様子からは、ロメ隊の成功をどう受け止めているのかがうかがえる。
南の森では、分け入った人間がみな消息を絶っているという。現地へ向かう途中、アルはロメリアに、魔法の訓練はどうすればできるのかと尋ねる。レイのためかと見抜いたロメリアは、指導者のもとでの長い特訓と多額の費用が必要で、今は難しいと答える。訓練したからといって使い物になるかはわからない。隊の現実をよく見ているロメリアらしい判断だった。
それでも、レイのために自分から動こうとするアルの姿は印象に残る。仲間たちからは隊長様は役得だとからかわれ、一歩間違えれば死ぬようなことばかりするのはアルもレイも同じだと心配される。そんなにぎやかなやり取りが、この後の緊張をより際立たせていた。
魔族の待ち伏せ
森の中には、人が襲われた痕跡がまったくなかった。クマはもう別の場所へ移ったのか。そう思った矢先、ロメリアは敵の存在に気づく。「どうやら我々の相手はクマではなく」、魔王軍の兵士だったのだ。現れた魔族は21体。これまでの魔物とは比べものにならない相手だった。
隊員たちの攻撃に、魔族の兵士は「なかなかいい動きです」と余裕を見せる。「鍛錬不足ですな」と言い放つその言葉通り、相手は武器を扱い、言葉を操る、戦い慣れた兵士だった。猿鬼や三つ足を倒してきたロメ隊の連携も、魔王軍の前では通用しない。
そこで再び前へ飛び出したのがレイだった。お前なんかに、と叫びながら斬りかかるレイに、魔族は「実に拙い」と冷たく告げる。反撃を受けそうになったレイを守ったのはアルだった。重傷を負って倒れたアルを前に、レイは「僕のせいだ」と自分を責める。昨夜の励ましがあったからこそ、この場面はあまりにもつらい。
ロメリアの指揮
ロメリアは「大丈夫です」と動揺する隊員たちを落ち着かせる。相手は一体、訓練通りに対処すれば必ず、と。ところが森の奥からは、さらに多くの魔族が姿を現す。この程度の相手をなぜまだ潰せていないのかと部下を叱る小隊長らしき魔族まで現れ、状況は一気に絶望的になっていく。
それでもロメリアは指揮を止めなかった。レイにアルを託し、陣形を組み直し、高台へ登れと指示を飛ばす。爆裂魔石をあるだけ投げろ。追い詰められた中でも、生き残るための最善を探し続けるロメリアの姿には、指揮官としての覚悟がはっきりと表れていた。魔族の側から返ってきたのは、悪くないという一言だった。
戦う力を持たないロメリアが、言葉と判断だけで隊を支えている。第3話で語られた恩寵の力があるとしても、この戦力差を覆すのは簡単ではない。ロメ隊の命運は、ロメリアの次の一手にかかっている。
代官の本音
慎重にという名の見殺し
定時連絡にロメリアは現れず、村ではロメ隊の姿を見た者もいなかった。確認できたのは、興奮した状態で村へ逃げ込んできたロメリアの馬だけ。三つ足を倒したロメ隊が苦戦しているなら、相手は相当手ごわい。兵士たちは捜索隊の派遣を願い出る。
ところが代官はそれを止める。下手に部隊を送ればロメ隊の二の舞になりかねない、少し検討の時間が欲しい、慎重に慎重に。「我々は兵士一人一人の命を」預かる身なのだから、と。もっともらしい言葉を並べながら、兵士たちが下がったあとに見せた表情には、ロメリアの苦境を喜ぶ本心がにじみ出ていた。
これまでも代官は、ロメ隊の成功を素直に喜べずにいた。ロメリアに追加の支援を求められても表向きはすぐに手配すると答えながら、裏では小娘がなぜこうも簡単に魔物を討伐できるのかと苛立っていた。人の命を預かる立場にありながら、自分の面子を優先する。その醜さが、この回の最後にはっきりと描かれていた。
第4話のまとめ考察
焦りが招いた窮地
振り返ってみると、第4話はレイの焦りと魔王軍の力が、順調だったロメ隊を一気に窮地へ追い込んだ回だった。魔法の才能という希望が、かえってレイを前へと急がせた。役に立ちたいという気持ちそのものは尊いのに、その気持ちが仲間を危険にさらしてしまう。この皮肉が、物語に重い影を落としている。
一方で、この回はロメ隊が一つの隊としてまとまっていく過程も丁寧に描いていた。ロメリアは一人ひとりの働きを言葉にして評価し、兵士たちは村の復興にまで手を貸す。窓を直してもらった少女の感謝は、戦果だけでは測れない隊の価値を教えてくれた。
そして、魔王軍という本物の敵の登場。言葉を操り、武器を扱い、数でも勝る魔族たちを前に、これまでの連携は通用しなかった。辺境で魔物を狩るだけでは済まない現実を、ロメリアたちは突きつけられたことになる。
救援を出さない代官の思惑もあり、ロメ隊は完全に孤立した。重傷のアル、自分を責めるレイ、そして指揮を続けるロメリア。この絶体絶命の状況から、ロメリアがどんな策で隊を生き延びさせるのか。レイが自分の力とどう向き合うのかも含めて、目が離せない展開だ。




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