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晴れて恋人同士になった颯太とこはる。けれど初デートは紫陽花氷を食べただけで終わり、手をつなぐことさえできない。付き合うとはどういうことかを学ぶため、颯太が頼ったのは凛香と、彼女が大切にしている少女漫画だった。その凛香の心も、大きく揺れていく。初々しすぎる初デート、凛香の部屋での恋愛相談、そしてもう絶対に諦めないという凛香の決意まで、第5話を振り返る。




第5話 恋人になって初めてのデート
第5話は、ついに両想いになった颯太とこはるの、恋人として初めてのデートから始まった。けれど付き合い始めたからといって、すぐに何かが変わるわけではない。手をつなぐことすらできない颯太が助けを求めたのは、凛香と少女漫画。そしてその凛香の心にも、大きな変化が訪れる。甘くて少し切ない第5話を振り返っていく。
30分前の待ち合わせ
この暑さで待たせるわけにはいかないと、待ち合わせの30分前に着いた颯太。ところがそこには、すでにこはるの姿があった。今日はすごく暑いから、待たせたらいけないと思って。「同じこと考えてたのか」という颯太の心の声に、思わず頬がゆるむ。
少し早いけれど行こうかと歩き出す二人の、「今日はよろしくお願いします」、「こちらこそです」というぎこちないあいさつ。両想いになっても、この初々しさは変わらない。
色が変わる紫陽花氷
二人が向かったのは、ミンスタで話題の紫陽花氷のお店。バタフライピーという特殊なハーブで色づけされたかき氷に、レモンソースをかけると色が変わるという。「夢かわいいってやつじゃない」とはしゃぐこはるに、店員さんが「彼女さん」と声をかけた瞬間、二人の時間が止まる。
彼女さん。その一言で、颯太は告白の言葉を思い出し、「彼女なんだよな」と改めて実感する。けれど意識すればするほど、動きはぎこちなくなっていく。写真を撮る前に食べようとするこはるを止めようとして手が触れ合い、二人そろって大騒ぎ。レモンをかけるこはるを見て「なんか唐揚げみたいだね」と笑い合う姿が、なんとも微笑ましい。
あーんの構えと酸っぱいかき氷
そして訪れた最大の山場。こはるがスプーンを差し出したのは、もしかして「アーンの構え」なのか。スプーンを引くべきか、それとも自分が食べるのか。「迷うな その時間はない」と自分を奮い立たせて飛び込んだ颯太だったが、口に入ったのはシロップをかける前の、レモンだけのかき氷だった。
「酸っぱかったんだ」。せっかくの甘い場面が、物理的に酸っぱい味で終わってしまうのがこの作品らしい。紫陽花氷の色の変化のように、二人の関係もゆっくり色を変えていくのだろう。
蓮たちの呆れ顔と颯太の本音
かき氷を食べただけ
デートの報告を聞いた蓮は、信じられないという顔をする。それからどうなったのか。電車に乗って駅で解散した。「本当に本当にそれで終わりなのか」と何度も聞き返す蓮に、颯太は「本当にかき氷食べに行っただけだって」と繰り返すしかない。
そばでパンケーキを食べていた雫と麻世も、話に加わろうとする。「私も恋愛アドバイスしたい」と言い出す雫に、麻世が前回のやらかしを持ち出し、雫が平謝りする流れもおかしかった。
目も見れない
蓮のアドバイスは、「初デートでチューとまでは言わねえけど 手繋ぐくらいしてこいよ」。けれど颯太の答えは「佐藤さんが可愛すぎて目も見れないんだから」。開き直ってのろけ始めたと蓮は呆れるが、颯太にとってはこれが本音で、今の状態でもいっぱいいっぱいなのだ。
女の子と付き合ったことがないから、付き合うということがよく分からない。「それでも 佐藤さんにはカッコ悪いところを見せたくないんだ」。不器用だけれど真っすぐなこの言葉に、颯太という主人公の良さが詰まっている。そこへ出てきたのが、凛香に教えてもらえばいいという提案だった。
凛香が気づいてしまった気持ち
恋愛相談に乗る凛香
その凛香は、友達の恋愛相談に乗っていた。何をしたいのか分からないなら、いったん全部忘れて好きなことをしてみる。また思い出したときに自分がしたいと思ったことが、たぶん正解。「りんちゃんは大人だな」と感謝される凛香だが、心の中では「それっぽいこと言ってるだけで何の解決にもなってないけど」と冷静だった。
偉そうなことを言いながら、本当の恋愛経験はまだない。凛香の恋の知識は、すべて少女漫画から得たものなのだ。この自覚が、のちの場面で効いてくる。
フィクションだけで十分
少女漫画の続きを読みながら、助けてくれた相手を忘れられなかったというヒロインの台詞に、凛香はいつしか自分を重ねていく。「こんな恋愛してみたいな」とつぶやいた先で、頭に浮かんでしまったのは颯太の顔だった。
「私やっと気づけた」という漫画の台詞が、そのまま自分の気持ちになってしまう。慌てて打ち消し、「ファンタジーでロマンチックなのはフィクションだけで十分よ」と言い聞かせる凛香。ところがそこへ届いたのが、颯太からの「恋愛相談に乗ってください」というメッセージだった。なんとも残酷なタイミングだ。
凛香の部屋と少女漫画
学びに参りました 漫画で
夜遅くにごめんと連絡してきた颯太は、凛香の部屋を訪ねる。女の子の部屋に入るのはさすがに気にするのではと迷う颯太に、凛香は「私はそういうの 平気ですし」と招き入れる。そこで颯太が読ませてもらったのが、凛香の少女漫画だった。
少女漫画をほとんど読んだことがなかった颯太は、「すごく面白いね」と夢中になる。こはると付き合うことになったと打ち明けると、凛香は「ドン臭いでしょ こはるって」と言いつつも、心の中では自分のことをダサいと思っていた。何も進展がない、手もつないでいないと聞いて呆れる凛香に、颯太は「付き合うとはどういうことか 学びに参りました 漫画で」と頭を下げる。
壁ドンはドン引き
颯太の質問は、漫画に出てくる壁ドンを現実でやる人はいるのか。凛香の答えは「リアルでやったら そんなのドン引きですよ キモいです」。こはるにやったら「こはるの心臓止まりますから」と念を押すあたり、さすがいとこだ。
幼なじみの二人は付き合うのかという質問にも、「思い出で付き合えるわけじゃないです」、「女の子はもっと現実を見ています」ときっぱり。けれどその裏で、凛香は「この時間がこのままずっと続けばいいのに」と願っている。現実を語る言葉と、夢を見る心。そのずれが、見ていて切なかった。
こはるのどこがいいんですか
お礼を言う颯太に、凛香は「押尾さんはかっこいいです」と伝える。けれど颯太は、気を使ってくれてありがとうと受け取るだけ。「私のこと親戚の中学生ぐらいにしか思ってないんだ」という凛香の心の声が痛い。
そして凛香は、真正面から問いかける。「押尾さんこはるのどこがいいんですか」。守ってあげなきゃという感じが刺さるのか、単純に距離が近かったからか。颯太の答えは、「たぶんそれを知りたいから」、「今こんなに必死になってるんだと思うな」というものだった。答えになっていないようで、いちばん誠実な答えだったと思う。
私が責任を取りますから
最後に凛香がくれたアドバイスは、「今日見たものは全部忘れてください」。颯太なら「余計なことをしない方がうまくいくからです」。少女漫画を貸した本人が、それを全部忘れろと言うのが面白い。こはるを思う気持ちさえあれば、どれだけ遠回りしても正解を選び取れる。そう信じているからこその言葉だ。
そして「もし失敗したらその時は」、「私が責任を取りますから」。きょとんとする颯太に「もしかして今変なこと考えました」と返し、振られたら残念会をしようという意味だと笑ってみせる。からかうようでいて、半分は本気の言葉にも聞こえた。
敵に塩を送るのは今日で最後
帰ろうとした颯太が足をしびれさせてよろけ、凛香を壁際に追い込むような形になってしまう。リアルでやったらドン引きだと言ったばかりの壁ドンが、まさかの形で実現してしまったのだ。颯太が帰ったあと、凛香は崩れ落ちる。「人がせっかく 綺麗なタイミングで 恋を諦めようとしていたのに」。
「敵に塩を送るのは 今日で最後」、「もう絶対に諦めない」。颯太の名前を叫び、「いつか必ず振り向かせてみせるから」と宣言する凛香。フィクションで十分だと言い聞かせた恋に、自分から飛び込む覚悟を決めた瞬間だった。勝ち目が薄いことは本人がいちばん分かっているはずで、だからこそ応援したくなる。
夏休みと両家の親たち
2回目のデートは海
夏休みが始まると、蓮は2回目のデートの予定を颯太に問い詰める。思い出になるデートプランの「10や20」は用意しておけという蓮の言葉に戸惑う颯太。そこへ颯太の父から、親戚のおばあちゃんに会いに海へ行ってきたらどうかという話が持ち上がる。
一方のこはるは、母に恋愛相談を持ちかける。最初は面倒くさそうに断った母も、結局は話を聞いてくれる。けれどそのアドバイスがあまりにも大胆で、こはるは大慌て。「付き合うって結局お互いに相手をどれくらい受け入れられるかなのよ」という言葉のほうは、意外と的を射ていた。
人それぞれにペースがある
そこで口を開いたのが、こはるの父だった。「人それぞれにペースがある」、「こはるにもこはるのやり方があるだろう」。いちばんまともなアドバイスだったのに、そのあとの一言のせいで、娘からは「ちょっと気持ち悪い」と言われてしまう。「そうか」と静かに受け止める父の姿が、前回の威厳とはあまりに違っていて笑ってしまった。
そこへ颯太から電話がかかってくる。「一緒に海に行かない」という誘いに、こはるは「海行きたい」と大喜び。ところが「部屋を借りてあるから」という一言で、こはるの頭の中は大混乱。実は親戚のおばあちゃんの家で、蓮や凛香、雫たちも一緒だと分かって、ようやくほっとする。この勘違いのくだりは、今回いちばん笑った場面かもしれない。
それぞれの夏へ
電話をかけた颯太のほうも、相当緊張していたらしい。本命の彼女を誘うのが一番最後というのはどうなのか、二人だけで行けばよかったのにと突っ込まれ、「おっしゃる通りです」と認めるしかない。こはるの家では、水着の話でまた娘から気持ち悪いと言われた父が、動揺のあまり飲み物をこぼしてしまう。この父の不憫さも、すっかりこの作品の名物になってきた。
そして凛香もまた、「心変わりなんて よくある話なんだから」、「絶対 あたしを意識させてやる」と静かに燃えている。恋人になったばかりの二人と、諦めないと決めた凛香。それぞれの想いを抱えたまま、夏が始まろうとしていた。




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