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レントから借りた魔力を失い、魔力回復薬に頼るしかなくなった断空の剣。かつての輝かしい評判は、ある特急馬車の旅をきっかけに急落していく。一方、二重逸脱を結成したレントとリンカは、大迷宮でついに初めての共闘に挑むことになる。新スキルのオートチャージ、没落していく断空の剣、そして阿修羅道で別人のように戦うリンカまで、第6話を振り返っていく。




オートチャージと断空の剣の現在
魔力貸与がレベル2に
『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』第6話「呪縛」は、レントのスキルの成長から始まる。「魔力貸与がレベル2に成長しました」。新たに覚えたのはオートチャージ。「債務者の魔力量が設定以下になったとき」、「自動的に魔力が貸与されるスキルですよ」とエムピーが説明する。戦闘中に仲間の魔力を気にせずに済む、頼もしい能力だった。これでレントは、戦いの流れを見ることにより集中できるようになる。
オートチャージの登場で、レントのスキルはさらに使い勝手がよくなった。魔力を貸すだけでなく、必要なときに自動で補充してくれる。仲間の力を最大限に引き出すという意味では、これ以上ないほど頼もしい能力だ。追放される前は誰にも評価されなかったレントの力が、どれほど大きなものだったのかが改めて分かる。
その一方で気になるのは、かつての仲間たちのこと。「あのクズども自分たちの借りた魔力確認できているでしょうか」というエムピーの毒舌から、場面は断空の剣へと切り替わる。
エムピーの言葉は相変わらず容赦がない。可愛らしい見た目とは裏腹に、債務者への態度は冷徹そのものだ。レントの優しさとエムピーの辛辣さの組み合わせが、この作品の独特の空気を作っている。
命の前借り
断空の剣の面々は、魔力回復薬を大量に買い込んでいた。店主は「この薬の効果はいわば命の前借りだ」と忠告するが、聞く耳を持たない。魔力回復薬には中毒性があり、大量に飲めば吐き気やめまいの副作用もあるという。レントから借りた魔力を失った彼らは、薬に頼らなければまともに戦えなくなっていた。
かつては史上最速でBランクに駆け上がったと評判だった断空の剣。けれど、その快進撃を支えていたのは、レントが貸していた魔力だった。借りた力を自分の実力だと思い込んでいたツケが、ここにきて一気に回ってきている。薬で無理やり魔力を補う姿は、見ていて痛々しく感じるほどだった。
特急馬車に乗り込んだガイたちは、最後尾の座席に座る別のBランクパーティーに「ちょっと席変わってくんねえか」と絡む。そこで話題に上ったのが、かつての仲間レントのこと。「あんなお荷物捨ててきたよ」、「なんもできねえ能無しだったからね」。相手のパーティーのリーダーは、あっさりと席を譲った。
相手のパーティーにレントの話を振られても、ガイたちは悪びれもせずに見下した言葉を並べる。レントがいなくなった理由を、自分たちの側に求めようとはしない。その姿勢こそが、彼らが転落していく一番の理由なのだと思う。
評判の失墜
最後尾に座る者の役目
席を譲ったことに不満げな仲間に、リーダーは理由を語る。この特急馬車は危険な近道を通る。「最高尾に座る者は旅人の守護者を担う暗黙のルールがあるのです」。断空の剣はその役目を自ら選んだのだと、心意気を買ったつもりだった。けれど実際のところ、ガイたちはいい席に座りたかっただけ。仲間の「あいつら絶対いい席に座りたいだけでしょ」という指摘のほうが正しかったのが皮肉だ。
相手のリーダーは、断空の剣を高く評価したうえで席を譲った。冒険者としての礼儀と信頼を前提にした振る舞いだ。だからこそ、その期待があっけなく裏切られていく展開が、断空の剣の落ちぶれぶりをいっそう際立たせていた。
最後尾に座る者が旅人を守るという暗黙のルールを、ガイたちは知らなかったのか、知っていて無視したのか。どちらにしても、冒険者として信頼されるための基本を軽んじていることに変わりはない。Bランクという肩書きだけが一人歩きしている危うさが、この場面に凝縮されていた。
そして森の中でハイオークが現れる。指揮を任されたガイは「Bランクパーティーの俺たちなら」、「楽勝だ」と豪語する。ところが見事な連携で先にハイオークを仕留めたのは、席を譲ったパーティーの方だった。双子剣士のデストラとシニストラ、特級斥候のローリー、上級回復士のセリカ、特級魔術士のシャノン。名前と職業の字幕とともに紹介される彼らの実力は本物だった。
レント君がいないとまともに戦えない
一方の断空の剣は、寝起きで準備もできていない。強化魔法を頼まれても「薬飲んでないから使えないです」、「一本飲むだけで吐き気が」と、まともに動けない。スキルが使えないガイは「こんな作法 スキルさえあれば 魔力さえあれば」と嘆くばかりだった。
魔力回復薬に頼りきりの戦い方では、急な戦闘に対応できない。寝起きで薬を飲む余裕もなく、仲間同士で責任を押しつけ合う。かつてはレントが黙って支えていた部分が、いかに大きかったのかを思い知らされる場面だった。
結局、ハイオークを倒したのは相手のパーティー。「レント君がいないと」、「まともに戦えないのですね」という言葉が、断空の剣の現状を言い当てていた。とある呪いでスキルが使えなくなったという噂は広まり、評判は急落していく。それでもガイたちは「そうよ全部あのバカのせいなんだから」、「覚えてろよレント」と、すべてをレントのせいにする。その往生際の悪さに、すっきりするやらあきれるやらだった。
すべてを他人のせいにしているうちは、断空の剣が立ち直ることはないだろう。借りたものを返すという当たり前のことから目をそらし続ける限り、リボ払いの利息はふくらむ一方だ。その先に待つ結末を思うと、ざまぁ見ろという気持ちと同時に、少しだけ空恐ろしさも覚えた。
二重逸脱、初めての共闘
自分のギフトを好きになれる日
一方、レントはリンカを連れて鍛冶屋を訪れる。そこで働く見習いは、レントと同じアルト村の出身だという。前の話で壊れてしまったリンカの刀の代わりに、持ち帰ったクアッドスケルトンの武器を錬成してもらっていたのだ。
同郷の知り合いと気軽に言葉を交わすレントの姿からは、追放される前の素朴な少年の顔がのぞく。断空の剣と同じ村の出身でありながら、こんなにも違う関係を築ける相手がいる。それだけで、レントの人柄の良さがしみじみと伝わってきた。
武器を用意してもらったリンカは、何度も感謝の言葉を口にする。自分なんかのためにと遠慮する姿からは、これまでどれほど居場所のない思いをしてきたのかがうかがえた。
見習いの青年は、リンカに語りかける。「リンカちゃん、自分のギフトに苦しんでるんだってな」。自分も最初は鍛冶屋というギフトが嫌だったが、今は楽しくてやりがいのあるギフトだと思っている。「リンカちゃんもいつか自分のギフトを好きになれる日が来るよ」。ギフトに振り回されてきたリンカにとって、この言葉は大きな支えになったに違いない。
ギフトは選べない。与えられた力とどう向き合うかは、その人次第だ。鍛冶屋の青年の言葉は、ギフトに恵まれながらもそれを持て余してきたリンカだけでなく、追放されてようやく自分のギフトの価値に気づいたレントにも重なって聞こえた。
壱之太刀は終之太刀
リンカのスキルは、魔力で自分を強化する一の太刀。一度発動すると、魔力を使い切るか目の前の魔物を倒しきるまで解除されない。最大魔力量が少ないため、本来なら40秒ほどしか続かない。「でも逆に魔力が空にならなければ」、強化は途切れない。それを可能にするのが、レントの魔力貸与とオートチャージだった。
燃費の悪さゆえにどのパーティーでも力を発揮できなかったリンカと、魔力を貸すことしかできないと見下されてきたレント。互いの弱点を補い合う二人の組み合わせは、まさに捨てられた者同士だからこそたどり着いた最適解だった。
これまでのパーティーでは、リンカは常に足手まといとして扱われてきた。けれどレントと組めば、彼女の欠点はそのまま強みに変わる。適材適所とはまさにこのことで、二重逸脱というパーティー名にふさわしい、型破りな組み合わせだった。
ゴブリンの群れを前に、レントは「いや、自分を信じて」とリンカの背中を押す。「壱之太刀は終之太刀」、「斬り結ぶ太刀のもとこそ地獄なれ」。口上とともに発動した阿修羅道の力で、リンカはゴブリンを次々となぎ倒していく。
自分を信じてと言い直したレントの言葉が印象的だった。僕を信じてではなく、自分を信じて。リンカがギフトに怯えずに戦えるよう、主導権をリンカ自身に返そうとする気遣いがにじんでいる。
第6話のまとめ考察
まるで別人
「唯一の弱点は燃費の悪さでしょうか」、「並のパーティーが彼女の力を引き出せなかったのは納得でしたね」。エムピーの分析どおり、リンカの力はレントと組むことで初めて真価を発揮した。けれど、その戦いぶりは「まるで別人」。高笑いしながら敵を斬り伏せていく姿には、頼もしさと同時に、どこか危うさも強く感じずにはいられなかった。
強化を維持し続けられるということは、裏を返せば、リンカが自分を止められなくなる時間も長くなるということだ。オートチャージで魔力が途切れない分、ギフトに飲み込まれる危険も増していく。頼もしい力の裏にある不安が、この先の展開の鍵を握っていそうだ。
第6話は、レントを失った断空の剣の没落と、レントとリンカの二重逸脱の初陣が対比的に描かれた回だった。魔力を貸す側と借りる側、支え合う関係と依存する関係。その違いがはっきりと表れていた。リンカのギフトが本当に彼女のものになる日は来るのか。そして、すべてをレントのせいにする断空の剣は、これからどこへ向かうのか。リボ払いの返済は、まだ始まったばかりだ。二重逸脱の次の冒険にも期待したい。
ギフトとどう向き合うかという問いは、この回のもう一つのテーマでもあった。鍛冶屋の青年はギフトを好きになり、断空の剣はギフトを失って呪いだと嘆く。そしてリンカは、ギフトに飲み込まれそうになりながらも、レントという支えを得た。同じギフトでも、向き合い方ひとつで人生が大きく変わる。その対比が印象に残った。




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