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第6話のサブタイトルは「大古墳化」。大河原との直接対決から始まり、その力に反応してエジプトの三柱が目を覚ます。見どころはアヌビスの審判をどう突破するかで、そしてカラスが何者なのかにも触れられる回だった。




直接対決は、スリから始まった
「あんたが俺を一番褒めてくれたのが、このスリの才能だった」
第6話は前回の続き、大河原本人との対面から動き出す。口火を切ったのは遼河のほうで、「そりゃないんじゃないですか、大河原泰政さん」「人に支配力を使うなんて」と食ってかかる。大河原は「思ったよりはできるようだ」「遺物の扱いにも慣れているようだし、動きもなかなかではあるが」と余裕を崩さない。
ところが次の瞬間、その余裕が崩れる。「遺物の力が途中で消えるなど、どういうことだ」「気づかなかったのか。探し物はこれだろ」「貴様、いつの間に」。殴り合いの最中に、大河原の遺物を一つ抜き取っていたのである。種明かしがまた効いていて、「あんたが俺を一番褒めてくれたのが、このスリの才能だった」。
前世で散々こき使われた相手に対して、褒められた芸をそのまま返すという入り方が実に良かった。しかも抜いた遺物は神クラスで、「残念だが今の俺には支配力が足りない」と使いこなせない。取ったのに使えないという半端さまで含めて、この主人公らしい。
難攻不落の要塞
状況の説明も手際がいい。大河原の切り札は相手の精神を操って屈服させる「征服の遺物」。遼河の内心は「本気でこれを使う気なのか」と苦い。厄介なのはその置き場所で、「アイリーンの遺物と同じ寄生型だから、あの体のどこにあるかがわからない」。さらに鎧の遺物まで身につけていて、「まるで難攻不落の要塞だ」と評される。
大河原の側も引かない。「随分と大胆だな。遺物の存在を知られても構わないのか」に対して、「後始末は大変だろうが、貴様らを放っておく方がもっと厄介になりそうだ」「今ここで蹴りをつけさせてもらおう」。前回の電話ごしの牽制から一気に実力行使まで来た形で、この時点では完全に大河原が上に見えていた。
「大古墳化」が始まる
「ここは卑劣なジャッカルと犬が眠る場所」
流れを変えたのはカラスだった。前回あれだけ言い争ったばかりなのに、「愚かな人間め」「まぬけで救いようがないな」「今すぐその力を収めろ」と割り込んでくる。理由も具体的だった。「ここは卑劣なジャッカルと犬が眠る場所」「力を収めねば奴らが目覚める」。
ところが大河原は逆に喜ぶ。「目の前に現れるのか。探す手間が省けて助かる」。遼河のほうは「ジャッカルと犬。ここに遺物があるのか」と問い返すのだが、カラスはもう答えない。止めに入った側が説明を打ち切り、止められた側が嬉々として引き金を引く。この数行で今回の惨事が確定してしまった。
予言が指していたのは、こちらだった
直後に地震が来る。そこで遼河が思い出すのが、以前手に入れた1月の予言だった。「地下の欲望の園で木が熟す。そこから世界を混沌に陥れる大きな災いが始まる」。前半は秘密の競売を指していたのだが、災いのほうは別だった。「やはり間違いない。これは明らかに大古墳化だ」。
規模がおかしい。「今、世界のあちこちで数え切れないほどの古墳化が起きている」「同時多発的に起こっているんだろう」「これはさすがに予想外だ」。未来を知っているはずの主人公が予想外と口にするのが、この作品では一番怖い合図になる。手下の「閉じ込められた、どうすりゃいいんだよ」という悲鳴も、今回は誇張に聞こえなかった。
目覚めた三柱と、カラスの正体
セト、アヌビス、オシリス
目を覚ましたのは一体ではなかった。遼河がまず見抜いたのは「やはりセト神の遺物だ」「エジプト九柱の神の一つ」「セト神は砂漠と闇、破壊と悪の神だ」。そこへさらに二柱が加わり、「一度に3体も」「これは全世界が墓に飲み込まれるわけだ」。
目覚めた側の会話がまた感じが悪くていい。「取るに足りない人間どもが、我々を一度に目覚めさせる力を持っている」に対して「くだらん話をするな。ただの偶然に決まっている」。「品位を保て」とたしなめられれば「品位? 人間どもと同じ空間にいて品位など保てるか」、そして「こいつらを皆殺しにしてやれば、このヘドが出るような気分も晴れるだろう」。格上の存在を、強さではなく態度の悪さで描くのがうまい。
「あの人間からはカラスの匂いがしやがる」
そこに遼河が仕掛ける。「そんなもので何をしようというのだ」「見たところ我々よりはるかに低いレベルのようだが」と侮られたところへ、「目には目を、歯には歯を。自らの力の威力をそのまま受け取れ」。前回手に入れたばかりのハンムラビ法典である。神の力がそのまま神に返り、「レベルだけ見て判断するから、こういうことになるんだ」と返す。
問題はその次だった。「あの人間からはカラスの匂いがしやがる」「今の攻撃で確かに感じた」。そして決定的な一言が続く。「人間の味方をした裏切り者のあいつか」「だが封印したはずだ」。口が悪いだけの案内役だと思っていたカラスが、神々の側にいて人間に寝返り、封印された存在だったことになる。第1話からずっと引っ張ってきた謎に、ここで一気に手がかりが入ったのは嬉しかった。
アヌビスの審判
42の質問と、子供の証言
怒った一柱が「あの傲慢な奴は、我の試練で懲らしめてやります」と名乗り出て、秤と羽が現れる。アヌビスの審判である。遼河には勝算があった。「以前アヌビスの遺物の所有者に聞いたことがある」「審判は質疑応答で進み、アヌビスの簡単な質問に全て『はい』と答えていくと言っていた」。実際、条件は42個の質問に全て『はい』と答えるだけで、「嘘を言えば大変な代償を払うことになる」という但し書きが付く。
ところが一問目で崩れる。「貴様は盗みを働いたことはないか」。内心の答えは「あるよ、それも何度も」。続く「貴様は嘘をついたことはないか」にも「クソ、なんでこんな質問ばかりなんだ」、「貴様は人を殴ったことはないか」にも「ちくしょう」。盗掘を生業にしている男に対して、これ以上ないほど相性の悪い試験だった。
そして真相に行き着く。情報をくれた前の所有者は「質問は覚えてないけど、すごく簡単でした」と言っていた。つまり「罪を犯すほど生きていない子供だからこそクリアできる試練だったんだ」。簡単だという証言そのものは嘘ではなかった、という落とし方が見事で、ここで思わず声が出た。アヌビスの宣告は「ジャッジメント」「残りの質問をする必要はありません」「人間は皆罪深い」、そして「次は地獄の見物といきましょう」だった。
ゾンビの群れと、エジプト葬儀師のナイフ
落とされた先はゾンビの群れの中だった。「最後まで苦しんで死ねってか」「こんな奴らに食われて死ねるか」と暴れる遼河に、外野は「相当苦戦してるようだな」と見物を決め込む。そこへカラスが直接手を出す。審判の空間にひびが入り、神々が「こんなことは見たことがない」「この恥知らずの裏切り者め」と色めき立った。
ここでもカラスと遼河の距離は縮まらない。「人間よ、これ以上は私も手伝えない」「そうだろうな。こっちも望んでない」。前回の決裂を引きずったまま、必要な分だけ手を貸して去っていく。空間が壊れたことで状況が変わり、「さっきとは状況が違う。ここでは存分に力を使うことができるからな」。「ゾンビ軍団は無限に湧いてくるからな」と言われても「キリがないな。本体を探して蹴りをつけるか」と切り替えた。
その探し方が今回いちばん賢い。取り出したのがエジプトの葬儀師が受け継いだナイフで、「同じエジプト系だが、何か感じるか」と尋ねると、ナイフのほうが「アヌビス様が近くにいらっしゃるのか」「力がみなぎるな」と喜ぶ。すかさず「なら、そのアヌビス様がどこにいるのかをお前は探し出せるよな」「一緒に挨拶に行こう」。敵の身内にあたる遺物を、そのまま探知機として使ってしまった。
「大古墳化」まとめと考察
「敬意を払ってもう一度だ」
本体を押さえた遼河の要求が振るっている。「さあ、黙って俺の話を聞け」「さっきの審判は無効だ。もう一度やり直せ」。アヌビスは「やり直したところで貴様はクリアできないだろ」と鼻で笑うのだが、返ってきたのは「断言するが俺は必ずクリアする」だった。
種は単純で、しかも強引きわまりない。「お前は今から俺の言う通りに問題を出すんだ」「一問目。お前は盗みを働いたか」。つまり質問の向きをひっくり返させたのである。渋るアヌビスに同じ台詞を何度も言わせ、ようやく口にした「お前は盗みを働いたか」にも「働いたかとは何だ。口の聞き方を慎め。敬意を払ってもう一度だ」と注文をつける。こうして出てきたのが「貴公は盗みを働いたことがございますか」で、遼河の答えは「ああ、ございますとも」。残る41問についても「全て同じよ」で片付けてしまった。
神の試練を、力でも知恵でもなく言葉遣いの矯正で突破するというのがこの作品らしい。審判のルールは「はいと答えること」でしかなく、何を聞かれるかは一言も決まっていない。ルールの穴を突くのではなく、ルールの空白を相手に埋めさせるところまで持っていったのが痛快だった。
手のひらを返す大河原と、次回「遺物の復元」
騒ぎが収まったあと、大河原がまた現れる。ただし今度は態度がまるで違う。「君の実力を見誤っていたようだ。すまない、先ほどは失礼をした」「改めて提案する。どうだ、私と手を組んでみないか」。続けて「気づいているだろうが、これからは全く新しい世の中になる」「TKBMの会長として、君が必要とするサポートを約束しよう」「私のもとに来い」。
遼河の評価は辛い。「大河原のやつ、本当にしぶといな。斬られても復活できるなんて」「チートにも程があるだろう」。前回は弁護士を通した勧誘、今回は本人による直接の勧誘。断られるたびに条件を上げてくるのが、この会長の一番厄介なところだと思う。
引きは意外にも小さな話だった。「戦い続きだったせいで、せっかく集めた遺物がボロボロだ」「一度手入れをしないといけないな」「あいつなら遺物の復元ができるんじゃないか」。しかも「だが素直に協力してくれるやつだったかな」「協力するまで丁寧に頼むしかないよな」と言いながら、最後の一言が「念のため縄持ってくかな」。神を相手に大立ち回りをやった直後に、縄を持って交渉に行こうとしているのが最高に締まりが悪くて、次回「遺物の復元」が今から楽しみになった。




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