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『朱色の仮面【第1クール】』第3話「煙の仮面」は、国を越えて旅を続けるペルとソナの前に、ゴウオンの仇を討とうとする側近と、煙の仮面を持つ不思議な店員モクが現れる回だった。仮面に隠された代償、エンリュウの仮面とのペルとソナの共闘、そしてモクの意外な頼みと、亡き師匠が書き残したノートにある危険度5の仮面まで、場面ごとに振り返っていく。




第3話 新しい国と洗脳の仮面
『朱色の仮面【第1クール】』第3話「煙の仮面」は、国を越えて旅を続けるペルとソナが、新しい街で思いがけない出会いと襲撃に見舞われる回だった。仮面に隠された代償、ゴウオンの仇を討とうとする側近との戦い、そして煙の仮面を持つ店員モクの登場。物語が大きく動き出した第3話を、場面ごとに振り返っていく。
大きな駅と二人旅
大きな駅のある街に着いた二人。はしゃぐソナに、ペルは「遊びに来たんじゃねえんだぞ」とぴしゃり。「私のこともっと頼ってくれてもいいじゃん」と食い下がるソナと、「ガキのくせに一丁前のこと言いやがって」と突き放すペル。前回の別れを経ても、二人のやり取りは相変わらずだ。
それでもペルは、街の人たちとのおしゃべりからしっかり情報を集めていた。ここからさらに南の街で人が次々消えていて、その中には仮面屋が何人かいるらしい。楽しくおしゃべりしていただけかと思った、と言うソナに、んなわけねえだろと返すペル。口は悪くても、やるべきことはきちんとやるペルの仕事ぶりが垣間見える。
国を越えただけで、街の空気はがらりと変わる。どことなくみんな陽気で、前の国の重苦しさがうそのようだ。前回、恐怖政治の中で多くを失ったソナにとって、この明るい街並みは少しだけ心を軽くしてくれたのではないだろうか。
飯がうまい国はいい国だ
食堂で出てきた料理に、思わず顔がほころぶ。飯もうめえし、「飯がうまい国はいい国だ」。店の主人から「これ オマケだよ」と一品添えられ、「いい国だ!アリガト!」と上機嫌に返す場面は、旅の一行の素顔が見えるようでほほえましかった。
湯気の立つ料理の作画も丁寧で、見ているだけでお腹が空いてくる。重い戦いが続いた前回までと比べると、こうした何気ない食事の場面がとても貴重に感じられる。旅の楽しさと、旅の目的の重さ。その両方を一つの食卓で描いてみせる構成がうまい。
洗脳の仮面とゴウオン
食事の席で、ソナはゴウオンの遺体から剥がれていたという壊れた仮面をペルに見せる。それはやはり、師匠ガストンの仮面だった。もう使えないが間違いない、洗脳の仮面だ。「洗脳の仮面は言葉で他人を操れる」。声がおかしかったから確信していた、とペルは言う。
ゴウオンはこの仮面で側近たちを意のままに操っていた。操られている側は何の疑問も持たず、命令を自分の意思だと思い込んでいたはずだ。世界中から尊敬された英雄で、聖人としても有名だったゴウオンが、2年前に突然人が変わったようになった理由も、この仮面にあったのかもしれない。
「強すぎる仮面は人を狂わせる」。ペルのこの言葉には、武神の仮面に人生を狂わされた彼自身の経験が重なって聞こえる。仮面は便利な道具であると同時に、人の心をむしばむ危険なもの。この作品の根っこにあるテーマが、改めて示された場面だった。
店員モクの頼み
料理を運んできた店員は、ペルの右腕を見て、若いのに大変だなと声をかけてくる。そして、旅人さんあんた仮面屋だろ、と切り出した。「俺も一緒に連れてってくれ」。仮面屋に用事があるのだという。もちろんペルは即座に断る。
しかもこの店員、客の前で平然とタバコを吹かしている。どこのレストランに客前でタバコ吹かす店員がいるんだ、と突っ込まれても、「俺2時間に1本は吸わないと」と悪びれない。つかみどころのない、それでいて妙に人懐っこい青年。これが煙の仮面のモクとの出会いだった。ペルは仮面の力で姿を消して店を出るが、モクのほうも、それが仮面の力だと見抜いて腕利きだと目をつけていた。
仮面の代償とエンリュウの仮面
仮面には使える時間がある
人目のない場所で仮面を外したペルに、ソナは、ずっとつけていたら最強じゃん、と首をかしげる。そこでペルは、仮面の効果について話して聞かせる。「仮面によって違うが使える時間が決まってんだ」。カメレオンの仮面なら5分ほどで、限界までつけたら2時間は使えない。
そして「それ以上は剥がれなくなる可能性がある」。カメレオンの仮面で剥がれなくなれば、ずっと透明人間のまま。「誰にも気づかれない幽霊みたいな一生になる」。仮面をただの便利アイテムだと思っていたソナにとって、これは衝撃の事実だった。道理で一般人に広がらないわけだ。
仮面が定着すると副作用がつきもので、ゴウオンもその一人だったのだろう、とペルは語る。武神の仮面のように、力を出し切ると剥がれる例外もある。そのうえでペルは、ソナに「お前はまだ戻れるんだぞ」と告げる。この先、誰に狙われるか分からない。危険も山ほど待っている。突き放すような言葉の裏にある、ソナを危険から遠ざけたいという思いが切なかった。
ゴウオン様の仇
そこへ現れたのが、ゴウオンの側近の生き残りであるヒエンだった。見つけたぞ、ゴウオン様の仇。「神に祈る時間を与えよう」と言い放ち、手にしたのはエンリュウの仮面。第1話で城にあった、あの仮面の名前が再び登場する。
巨大な炎の竜となったヒエンが街で暴れ回る。ペルは、「洗脳のせいで我を忘れてやがる」と見抜く。このままでは仮面が定着し、一生あの姿のままになってしまう。手持ちの仮面で本当に倒せるのかという不安を抱えながらも、ペルは「師匠の仮面は俺が壊すんだ」と前を向く。
洗脳の仮面の持ち主はすでにいないのに、植え付けられた忠誠と憎しみだけが残っている。その姿は、ゴウオンという一人の英雄が狂ったことで、どれだけ多くの人の人生が狂わされたのかを物語っていた。ヒエンもまた、仮面に人生を奪われた被害者の一人なのだと感じた。
二人で戦う
また誰かを巻き込んでしまったら。俺がやらなきゃ、俺一人でなんとか。そう思い詰めるペルに、ソナは言う。「気持ちはペルと一緒だよ」、「もう 仮面のせいで泣く人を 見たくないの」。前回、泣いている人を見過ごせないと語ったソナの思いが、ここで行動として示される。
ペルはソナにカメレオンの仮面を託す。あいつを倒すには、ソナがその仮面をつけている必要がある。一人で抱え込もうとしていたペルが、初めてソナを戦力として頼った瞬間だった。守る対象から、肩を並べて戦う相棒へ。二人の関係が一歩進んだように見えて、胸が熱くなった。
トンビの仮面とカメレオンの仮面
「かかってこいよ」、「お祈り野郎」。挑発したペルがかぶったのは、トンビの仮面。「俺の自信作だ」。翼を広げて空へ舞い上がり、「空での速さなら俺の方が上だ」と炎の竜を翻弄する。まさかの空中戦は、映像としても迫力満点だった。
追い詰められたペルに、ヒエンが「これでおしまいだ」と迫ったその瞬間、ソナが「引っかかったわね」と声を上げる。カメレオンの仮面は、自分だけでなく触れた相手も透明にできる。そして大きなものも、触れれば見えなくすることができる。ソナが隠していた仕掛けが、見事に決まった。
「よくやった ソナ」。仮面の性質を知り尽くしたペルの策と、それを実行したソナの勇気。どちらが欠けても勝てなかった戦いだ。第1話で荷物を盗んだ少女が、ここまで頼もしい相棒になるとは思わなかった。ペルの知恵とソナの度胸がかみ合った勝利に、思わず拍手したくなった。
第3話のまとめ考察
煙の仮面のモク
仮面を剥がされ、もう洗脳の仮面はない、「命令を聞く必要はないんだ」と諭されても、ヒエンの憎しみは消えない。どんな理由であれ、ゴウオン様を奪われた憎しみは消すことなどできない。「ゴウオン様は俺たちにとって」、「父親同然だった」。たとえ操られていたとしても、慕った気持ちまでは偽りではなかったのだろう。
再び襲いかかろうとするヒエンの前に現れたのが、バイトを終えて後を追ってきたモクだった。「あとは俺に任せとけ」、「その代わり頼みの一つでも聞いてくれや」。煙で作った時計を示し、「煙が上に行き切るまで1分」、それまでに決着をつけると宣言する。
「本物はどれでしょう」と煙の分身でヒエンを翻弄し、しまいには「本体はあの時計の中にいるよ」とヒントまで出してしまう。そのうえで周囲の酸素を減らし、ヒエンを気絶させる。命までは奪わない戦い方で、「殺したくないんでしょ」という一言も飛び出す。飄々とした態度の裏に、優しさを隠した青年なのだと感じた。
禁煙という目的と危険度5の仮面
「仲間にしてくれる気になった」と笑うモクの頼み事は、「俺の禁煙を成功させて欲しい」。思わず聞き返してしまう二人。けれど、その事情は笑えないものだった。2年前、旅先で昼寝をしていたら誰かに仮面をかぶせられ、気づいたときには剥がれなくなっていたのだという。「起きてる間は2時間おきにタバコを吸わないと」、「呼吸ができなくなるんだ」。
モクがかぶっているのは、「煙を自在に操る煙の仮面」。2年前という時期は、ゴウオンの評判が急変した時期と同じだ。ただの偶然か、それとも。モクに仮面をかぶせた誰かと、ゴウオンに洗脳の仮面を渡した誰かがつながっているのではないか、という疑いが一気に膨らむ。
そしてペルは、「師匠が自ら書き残した創作ノートさ」という手書きのノートを見せる。そこには、封印していた仮面の細かな情報が記されていた。武神の仮面の危険度は、5段階でレベル4。あれよりまだ上がある。最大の5は「1枚だけだが確かにある」。「どういうわけかこいつだけ名前も説明もない」。だからペルは、それをこう呼んでいる。「朱色の仮面」。
禁煙という一見コミカルな目的の裏に、仮面に人生を縛られた苦しみを抱えるモク。ゴウオン亡き後も憎しみに縛られ続けるヒエン。そして、その頂点にある名前も説明もない仮面。第3話は、タイトルの「朱色の仮面」が何を指すのかがついに明かされた、物語の大きな転換点だった。ペルとソナに、つかみどころのないモクが加わった三人旅が、どんな化学反応を見せてくれるのか。危険度5の仮面の謎とあわせて、これからの展開から目が離せない。




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