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ゴウエモンから果たし状を突きつけられたるるか。今回の標的は、クラスメイトの美緒が彼氏からもらった贈り物に宿るマコトジュエルだという。けれど美緒は、まだ何ももらっていないようだ。あんなたちと美緒を見守るなか、るるかはゴウエモンとの勝負を通して、自分の過去とも向き合うことになる。恋の名探偵として慕われるるるか、美緒のコンパクトミラー、そして光と陰の二つの力まで、第40話を振り返る。




ゴウエモンの果たし状
朝からアイスが食べたくなった
『名探偵プリキュア!』第40話「るるかの答え」は、いつもの登校の朝から始まる。「スターキラリングブローチの宝石」はまだくれあの分しか光っておらず、「あと3つ全部光ったら リングはぬけるはずでシュ!」という言葉に、みくるも「でも どうやったら光るんだろう?」と首をかしげる。前の回から続く謎を確認する、穏やかな出だしだった。
冬服に衣替えした学園の並木道は、すっかり秋の色。四人そろって登校する何気ない風景が、この先の騒動との対比になっていた。
ところが、るるかがふと立ち止まる。「アイスが食べたくなった」。あんなとみくるは「朝からアイス〜!?」と声をそろえ、くれあも「ほんとアイスがすきなのね ホームルーム おくれちゃダメよ」と笑って送り出す。アイス好きのるるからしいとぼけた口実だが、実は誰かの視線に気づいての行動だった。
仲間を巻き込まないように、一人で相手と向き合おうとする。この小さな嘘の選び方に、るるかがこの回を通して背負うものの重さがもうにじんでいる。仲間を信頼しているからこそ、自分の過去にまつわる問題は自分で片をつけたいのだろう。
正々堂々勝負だ
物陰で待っていたのはゴウエモンだった。「気づいていたか」という彼に、るるかは「だいぶ前からね」と返す。いつもの屈強な姿とは違う、学園に紛れ込むための格好も見どころの一つ。「今回のマコトジュエルは 学園にあるのね」と察したるるかに、ゴウエモンは標的の名を明かす。
ターゲットは「岩崎美緒って女子生徒だ」。るるかたちのクラスメイトである。「そいつが彼氏からもらった おくり物に」、「マコトジュエルが宿っていると」。やけに素直に情報を明かすゴウエモンには、彼なりの理由があった。
「怪盗時代のお前は予告状を送り」、「その上で探偵と真っ向勝負してみせた」。だから自分も同じやり方で挑む。「俺がマコトジュエルを奪うか」、「それともお前が守るか」、「正々堂々勝負だ」。かつての仲間が、るるかの流儀にならって果たし状を突きつける。「全力でお前をぶっ潰すってな」という言葉とは裏腹に、そのやり方にはどこか敬意すら感じられた。
怪盗団ファントムの一員でありながら、正面から勝負を挑むゴウエモン。ずるい手を使わずに筋を通そうとする姿は、まさに粋でいなせな男そのものだ。るるかも「守ってみせる」とまっすぐに受けて立つ。この時点で、今回が単なるマコトジュエル争奪戦ではなく、二人の因縁の決着になることが予感された。
恋の名探偵るるか
美緒を見守る放課後
るるかから話を聞いたあんなたちは、美緒を見守ることにする。美緒を不安にさせないよう、ゴウエモンに狙われていることは本人には伝えない。「きっと放課後一人になったところを狙ってくるはずよ」という読みのもと、四人の護衛作戦が始まった。
部活で自己ベストを更新した美緒は、後輩から「美緒先輩が見てくれたからうまく飛べました」と慕われている。「後輩に道を示すのが先輩の役目」という言葉や、その様子を見て「俺もああしてあいつに怪盗の極意を教えてやったもんだ」とつぶやく声には、先輩と後輩というこの回のテーマがさりげなく込められていた。
とはいえ、肝心のマコトジュエルが何に宿っているのかはまだ分からない。美緒は隆史から何ももらっていないという。ところが「美緒ちゃん来週誕生日だって」という情報が入り、「隆史さんからの誕生日プレゼント」こそが本命だと盛り上がる。買い物があると友人の誘いを断った隆史の後を、あんな、みくる、くれあが追うことになった。
美緒を守る役と、隆史を追う役。二手に分かれる判断が自然に出てくるあたりに、四人の探偵としての息の合い方がよく表れている。一方で、るるかが一人で美緒の側に残ったのは、ゴウエモンとの勝負を自分の手で受け止めるためでもあったのだろう。
恋の名探偵なんですよね
そこへ思わぬ事態が起きる。「聞きましたよ 先輩!」、「恋の名探偵なんですよね!」と、後輩の女子生徒たちがるるかのもとへ押し寄せてきたのだ。るるかの噂は学園中に広まっていたらしい。「わたしたちの恋も解決して〜!」と頼まれ、るるかはマシュタンと一緒に占いを始める。
占いの結果は「図書室で本をかりる」、「髪形をかえる」、そして「食パンをくわえて登校する…」。思わず「食パン?」と聞き返したくなる、少女漫画の王道すぎる答えに笑ってしまった。1999年が舞台の作品で、この定番ネタを堂々とやってのけるのがうれしい。
どれも素直に試してしまう後輩たちの姿もかわいらしい。恋の悩みに真剣に向き合ってくれる先輩として、るるかがいかに頼られているかがよく分かる場面だった。占いを手伝うマシュタンがへとへとになるほどの大盛況でも、最後まで付き合ってあげるのがるるからしい。
この光景を物陰から見ていたゴウエモンは「あのアルカナが 後輩にしたわれてるだと?」と驚き、「ちった成長したみてえじゃねえか」と感心する。もっとも、物陰に潜む大男は女子生徒たちから「誰? あの人 やばくない?」と怪しまれてしまうのだが。敵でありながら、るるかの成長を見守る保護者のような視線が、この回のゴウエモンの立ち位置を物語っていた。
美緒の答えとコンパクトミラー
彼と一緒にいられるだけで
放課後、るるかは帰宅する美緒に声をかけ、一緒に帰ることにする。遠回りではないかと聞かれても「平気 こっちに美味しいアイス屋さんがあるから」と返し、「へえ じゃあ今度一緒に行こうよ」と約束を交わす。ここでもアイスを口実にするのが、なんともるるからしい。
自己ベストを祝われた美緒は、調子がいいのは隆史のおかげかもしれないと照れくさそうに語る。ところが、プレゼントの話になると様子が違った。美緒は隆史に「プレゼントはいらないよって」伝えていたのだという。理由を尋ねると、「私彼と一緒にいられるだけで嬉しいから」。物をもらうことよりも、一緒にいる時間そのものを大切にしたいという美緒の答えは、なんとも素直でまっすぐだった。
一方、隆史を追っていたあんなたちは、彼が買おうとしているものを見つけて大はしゃぎ。「歌に乗せて思いを届けるなんて」、「ロマンチック」と盛り上がる。三人のはしゃぎぶりと、美緒の落ち着いた答えの対比がほほえましかった。
恋の話でありながら、描かれているのは相手を思う気持ちの形だ。プレゼントの有無ではなく、そばにいることで自分が変われたという実感。この美緒の言葉が、のちにマコトジュエルの謎を解く鍵になっていく。
今回は私に任せて
美緒の言葉を聞いたるるかは、マコトジュエルがどこに宿っているのかに気づく。ところが、その一瞬の反応をゴウエモンは見逃さなかった。美緒のコンパクトミラーを奪い去り、河川敷でハンニンダーを放つ。
追いついたるるかはキュアアルカナに変身する。駆けつけたあんなたちが「でも、相手はパワーアップしたハンニンダーだよ!」と心配するなか、アルカナは「今回は私に任せて」と一人で前に出る。仲間を信じていないわけではない。これは自分の過去と向き合うための戦いなのだと、言葉少なに伝える姿が凛々しかった。
一人で戦うと決めたアルカナを、あんなたちは止めずに見守る。そこに迷いがないのは、これまで積み重ねてきた信頼があるからだろう。仲間に任せることもまた、一つの強さなのだと感じさせる場面だった。
光と陰の答え
お前であって本当のお前じゃない
戦いの中で、ゴウエモンは本心を語り出す。「人間であるお前が忘れられた種族である俺を」、「認めてくれて嬉しかったんだ」。それなのに、そのるるかを潰さなければならない。敵として立ちはだかりながら、ゴウエモンの声にはやりきれなさがにじんでいた。
アルカナもまた、その痛みを知っている。「存在が認識されない」、「その辛さはわかる」、「私もそうだった」。けれど「でもどんなことがあっても誰かを傷つけていい理由にはならない」。「私は変わった」、「新しい一歩を踏み出せた」と、今の自分の答えをはっきりと口にする。
それでもゴウエモンは容赦しない。「一撃は重くなったみたいだが それじゃ足りねぇな」、「スピードも 落ちてんじゃねぇのか?」。ハンニンダーの鏡に映ったアルカナを示し、「けどな こいつはうわべの姿」、「お前であって 本当のお前じゃない」、「過去のお前は ここには映っちゃいねえからな」と突きつける。過去を切り捨てて前に進むことは、本当の意味での成長ではない。ゴウエモンの言葉は、まるで弟子を導く師匠のようだった。
アルカナは、以前ゴウエモンから受け取ったペンダントを取り出す。「私は過去を忘れていない」、「確かにここに抱いている」、「これも私」。そしてアルカナ・シャドウへと姿を変える。ゴウエモンの「やっぱり お前は その姿がお似合いだぜ!」という一言には、どこか満足げな響きがあった。
過去があったから今がある
「わたしは この姿で たくさんのあやまちをおかして」、くれあをはじめ、多くの人を傷つけてきた。それでも、アルカナ・シャドウだったことを間違いだったとは言わない。「過去があったから 今がある!」、「だから私は受け入れる」、「過去の過ちも後悔も」、「アルカナシャドウの力も」。過去を否定せずに抱きしめるという、この回のるるかの答えがここで示された。
過去を消すのではなく、過去ごと自分として受け入れる。言葉にすると簡単だが、るるかにとっては長い時間をかけてようやくたどり着いた境地だ。ファントムの幹部として過ごした日々を知るゴウエモンだからこそ、この答えを引き出せたのだと思う。
再びアルカナに戻った彼女は、アルカナ・シャドウとアルカナ、二つのロッドを手にする。「この2つがわたしを 迷宮から真実へと誘う!」。あんなたちの「光と陰?」という声とともに、スターキラリングブローチの宝石がまた一つ輝き出した。
そして新たな力が放たれる。「アルカナスターダストレイ!」。光と陰、二つの力を重ね合わせた一撃が、パワーアップしたハンニンダーを圧倒する。星屑のようにきらめく演出は、これまでのアルカナの戦いの集大成と呼ぶにふさわしい華やかさだった。浄化の決め台詞「これが私のアンサー」も、副題の「るるかの答え」ときれいに重なっている。
ゴウエモンは「今回は俺の負けだ」と潔く負けを認める。それでもファントムを離れないのは、ウソノワールに「返せねえほどの恩義がある」から。「出会う順番が悪かったかもな」という言葉に、二人が敵味方に分かれてしまった運命の皮肉が込められていた。
第40話のまとめ考察
鏡に映る新しい自分
戦いのあと、ゴウエモンはるるかが美緒のコンパクトミラーを見抜いたことに感心する。「やるじゃない名推理ね」というるるかに、「推理?なもん怪盗の柄じゃねえ」、「お前の顔に書いてあったんだよ」。そして「なんて言ったってお前は俺の後輩」、「いや、永遠のライバルだからな」と言い直すと、るるかは「100年早いわよ」とつれなく返す。この軽口の応酬に、二人の関係の温かさが詰まっていた。
鏡がプレゼントではないのに、なぜマコトジュエルが宿っていたのか。るるかの答えは「新しい自分が映っていたから」。「彼と付き合うようになってから」、「きっと美緒は鏡に映る自分が輝いて見えていた」。それこそが「彼氏からの贈り物」だったのだ。物ではなく、変わった自分そのものが贈り物だったという解釈が美しい。
そしてるるかは「私も同じだから」と続ける。仲間と出会い、新しい自分になれた。だからこそ美緒の気持ちが分かったのだ。「お前も輝けたってわけか」というゴウエモンの言葉は、ライバルからの何よりの祝福だったように思う。
美緒の恋の話と、るるかの過去との決着。一見まったく別の二つの物語が、鏡に映る自分という一点でぴたりと重なる構成が見事だった。恋の名探偵として後輩に慕われる姿も、過去の自分を受け入れる姿も、どちらも今のるるかの本当の姿なのだろう。
秘密がある女の子って素敵じゃない
夕方のガーデンで物思いにふけるるるかのもとに、みくるがやってくる。そして意外な打ち明け話を始める。キュアット探偵事務所に来たのは「プリキュアがいるって 聞いたからなの」。先輩プリキュアと探偵をすることに憧れていたのだという。
けれど、マシュタンはなぜそれを黙っていたのかと疑問を持つ。言葉に詰まるみくるの意図を汲み取ったのは、るるかだった。「プリキュアは 世間には秘密にされている」、「なのに なぜ その存在を知っていたのか」、「詮索されたくなかった」。そして無理に聞き出すことはせず、「誰だって言えないことの一つや二つくらいある」、「それに秘密がある女の子って素敵じゃない」と微笑んでみせる。
過去に多くの秘密を抱えてきたるるかだからこそ言える言葉だ。秘密を責めるのではなく、そのまま受け入れる。この回で過去の自分を受け入れたるるかが、今度は後輩の秘密を受け入れる。きれいに円を描くような結びだった。もっとも、みくるがなぜプリキュアの存在を知っていたのかという謎は、まだ明かされていない。
「私も可愛い後輩ができて嬉しい」というるるかに、みくるは「せんぱ〜い!」と抱きつく。「近い…」と困り顔のるるかも、まんざらではなさそうだ。先輩と後輩という関係が、ゴウエモンとるるか、美緒と後輩、そしてるるかとみくるへと重なっていく、テーマの通った一話だった。
第40話は、るるかがアルカナ・シャドウだった過去を受け入れ、光と陰の二つの力で新たな一歩を踏み出す回だった。ゴウエモンとの決着は、敵対というよりも、師弟の卒業試験のような温かさに満ちていた。スターキラリングブローチの宝石は、これで二つが輝いた。残る宝石が誰の答えで光るのか、これからの展開がますます楽しみになった。




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