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第7話のサブタイトルは「侵入者と秘密の通路」で、前話の引きだった地下室の声の正体から始まる。罠にかかっていたのは下水道から迷い込んだ少女ミルカで、そこから見つかった隠し通路の出口が、よりによって国王の寝室の隣だった。見どころは、先々代国王と男爵夫人の関係が屋敷そのものの由来だったという種明かしと、廃止されたはずの奴隷売買に抜け道が残っていたという後半の裏返しである。締めは「ここは弟子の私に任せて」という、作品名をそのまま引き受ける一言だった。




公式サブタイトルは「侵入者と秘密の通路」。地下室の声の正体
幽霊ではなく、罠にかかっていた少女だった
前話の引きは、屋敷の地下室から聞こえる恨めしそうな人の声だった。それを確かめに降りたところから今回が始まる。明かりを頼りにのぞき込んだロックの第一声が「幽霊じゃなさそうだ」「待ってろ今下ろしてやる」で、次が「怪我はないか」なのがこの人らしい。
名乗りも簡潔で、「俺はここの家主でロック」「こっちは家族のルッチラとゲルベルガ様だ」。少女のほうは「俺ミルカ」と返す。この一人称がそのままキャラクターの説明になっていて、ゲルベルガ様を見るなり「可愛い鶏だな」と言うあたりも肩の力が抜けていた。
事情はすぐに分かる。両親は早くに亡くなり、育ててくれた祖父も先ごろ亡くなった。住んでいた家は「じいちゃん騙されて借金があったみたいで取り上げられちゃった」。屋根のある場所を探して、空き家だと思って入り込んだところで罠にかかったわけである。
廃止されたはずの制度が、この時点では安心材料になっている
ここでロックが確かめるのが「ひょっとして借金の返済で奴隷にされそうになって逃げてきたとかか?」だった。答えは「それは大丈夫だった」で、「国王様が奴隷売買の制度を廃止しましたから」という説明が添えられる。時期は「10年、いや8年前だったかな」とあいまいなのだが、ロックが不在だった期間とちょうど重なっている。
それを聞いたロックの感想が「そうか、エリックはいい国王のようだな」である。前話までさんざん剣を振るってきた相手が、ここでは制度をひとつ変えたことで褒められている。
この短いやりとりが後半でまるごと裏返るのだが、それを承知で読み返すと、制度が廃止されたという事実だけで安心してしまっているのがこの場面である。順番の置き方がうまいと思った。
「スカウトの技能がなまっていたようだな」という自己申告
新しい屋敷を点検していなかったことを自分で認める
ミルカが入ってきた経路は下水道だった。それを聞いたロックの独白が「うかつだった」「新しい屋敷に入ったらまず隠し扉や罠などの確認を行うべきなのに」と続き、最後が「10年戦い続けてスカウトの技能がなまっていたようだな」で締まる。
強さの話ではなく、10年のブランクが出るのは戦闘力ではなく地味な技能のほうだったという置き方がいい。そのうえで「たかが男爵位の屋敷に隠し通路?」「どういうことだ」と疑問が立つ。「逃げるための通路と考えるのが普通だが、王族が住んでたわけでもないのに」まで言語化されるので、視聴していて置いていかれない。
下水道側の穴のほうは「意図的に作られた穴じゃなさそうだ」「偶然崩れたらしいな」で片付く。つまり通路と穴は別々の由来を持っていることになり、ここが後半の二つの筋にきれいに分かれていく。
「俺が子供を盾にするような外道に見えるのか?」
通路を進む前に隊列を決める場面がこの回いちばん好きだった。先頭に立とうとしたミルカをロックが止め、「罠があったらどうする?」と理由を言う。それでも「だから俺が先頭に」と食い下がるので、順番は「俺、ミルカ、ルッチラ」と決められる。
ミルカの言い分が痛い。「俺に先頭を歩かせれば罠に引っかかるのは俺だよ」「俺が引っかかってる間にみんな逃げたりするもんだと」。ロックの返しが「ミルカは俺が子供を盾にするような外道に見えるのか?」で、ミルカは「ち、違うけど金持ちって普通そういうもんだろ?」と返す。
答えは「俺はそういうのが好きじゃない」の一行だけである。説教もしないし、身の上に同情もしない。ミルカの「人いい金持ちなんだな」で場が閉じるのだが、この子がどういう扱いを受けて生きてきたのかが、本人の身の上話よりもこのやりとりのほうがよく伝わってくる。
王級の宝物庫クラスの封印と、その向こうにあった部屋
壁の魔力に気づいたのはルッチラだった
通路の奥で足を止めるきっかけは「壁から魔力を感じます」という指摘だった。ロックの見立ては「ここは強力な魔法で塞がれてるようだ」で、程度を聞かれて「例えるなら王級の宝物庫クラスだ」と答える。
ミルカの反応が「え?じゃあこの奥にはすげえお宝が眠ってるんじゃないかい?」で、ロックも「せっかくだし解除して覗いてみるか」と乗ってしまう。アナライズで解析してから解除にかかるのだが、見ている側の「それ勝手に開けていいのか」という気持ちはこのあと最悪の形で回収される。
男爵家の屋敷に王級の封印がある時点でおかしい、という違和感が登場人物より先にこちらへ渡されている作りになっている。謎解きの手順としてはかなり丁寧だった。
開けた先に出てきたのが国王本人という落ち
壁の向こうは「随分と立派な部屋ですね」という一室だった。ミルカは相変わらず「ロックさん、ここって空き家か?」「なら寝床にしたいんだけど」で、「空き家のわけないだろ」「空き家でも勝手に入ったら違法だ」とたしなめられる。
そこへ人が来る。「何奴だ」と誰何した相手がエリックだった。夜中に自分の国の王宮へ壁から出てきてしまったわけで、ロックの言い分が「こういう時って普通衛兵が来たりするんじゃないのか」「お前自ら確認に来るって」という逆ギレ気味のものになる。
エリックの答えが「この部屋の隣は俺の寝室だ」で、これが今回いちばんの落ちだった。しかもエリックは、ロックだと分かった時点で咎めるのをやめ、ミルカに対しては「俺はエリック、ロックの友人だ」と名乗る。国王だと言わないところにこの人の性格が出ている。
屋敷そのものの由来と、罠を仕掛けた相手
先々代国王と男爵夫人、そして断絶の理由
通路の由来はエリックが知っていた。前置きが「恥ずかしい話だがな」で、「俺の祖父、つまり先々代の国王には愛人がいてな」「夫を早くに亡くした男爵夫人だ」と続く。
つまりあの屋敷はその男爵夫人のために用意されたもので、先々代の王は隠し通路を通って屋敷と王宮を行き来していた、という話になる。ロックが「男爵家は何で断絶したんだ?」と聞くと、答えは「跡継ぎがいなかった」。一人息子はすでに別の公爵家へ養子に入って跡を継いでいたという。
ロックの確認が「エリックのおじさんってことか」で、エリックが「そうなるな」と認める。前話でもらった褒賞の屋敷が、実は自分の家の内輪の話とつながっていた。通路の扱いも「ロックの家と繋がっているのは問題ないが」「その方がむしろ心強い」で決着するのがこの二人らしい。
「例えば、先々代国王の王妃」
翌朝の食卓で、シアがずっと引っかかっていたことを口にする。「どうして男爵夫人は、罠なんて用意したんでありますかね」「王様と自分が通る道に、そんなもの作る必要があるとは思えないであります」。確かに、自分たちしか使わない道に罠を張る理由がない。
ロックの答えが「それは、自分たち以外の者が通るのを警戒したんじゃないか?」で、具体例として出てくるのが「例えば、先々代国王の王妃」だった。「ま、通路を通って乗り込まれてきても困るだろうしな」と続く。
想定していた侵入者が刺客でも敵国でもなく、正妻だったという読みである。サブタイトルの「侵入者」が誰を指しているのかを一段ひねってくる場面で、歴史の側の生々しさが一気に出た。ここだけ抜き出しても面白い、今回いちばんの推理だと思う。
家政婦になったミルカと、石材屋の前での一瞬
「家族が増えましたね」と、見張りの塔の答え合わせ
帰り際にルッチラがロックを呼び止める。「ミルカ、屋敷に泊めてやってもらえませんか?」理由が「この子が持ち込んでた果物、あれは青いうちは渋味が強くて食べられたもんじゃないんです」で、何を食べようとしていたかを見ていた、という頼み方になっている。ロックの返事は「俺は最初から止めるつもりだったよ」だった。
翌朝、正式に紹介される。「みんな、ミルカだ」「今日から一緒に住むことになった」に、セルリスが「よろしくね、セルリスよ」、シアが「シアであります」と応じる。役割は家の掃除や家事で、「分からないことはルッチラに聞いてくれ」「家のことを任せてある」と引き継ぎまで済む。「家族が増えましたね」「だな」というやりとりが、前話の締めをそのまま延長していた。
食卓では、通路の件が「なら、物々しい見張りの塔の理由も納得いったな」という形で片付く。前話で「まるで見張り用の塔じゃねえか」と言われていた建物の答え合わせで、こういう小さな回収を一話またぎで置いてくるのがこの作品の良さだと思う。ミルカがセルリスを「セルリス姉さん」と呼び始めるのもこの朝である。
「ここで待っててくれるか」と言った、その一瞬で
この日の予定は、壁を塞ぐ石材の買い出しと掃除道具の調達だった。ルッチラが「まだ揃えてないんです」「引っ越してきたばかりで」と言い、セルリスが「石材を売ってる店に案内するわ」と先に立つ。完全に日常の場面として積まれているのがこわい。
石材屋の前でロックが言うのが「ミルカとガルヴはここで待っててくれるか?」「終わったら掃除道具を見に行こう」で、ミルカの返事が「うん!」だった。買い物の最中に「ブラシとモップ、あと、灰と磨き砂もいるな」と算段している間に、外ではミルカが連れ去られている。
知らせるのはガルヴである。戻ってきたロックの「ガルヴ、ミルカは?」に反応が返り、男たちに連れて行かれたと伝わる。地下で「物騒な大人も入って来なさそうだし」と言っていたことが、ここでようやく本人の事情として意味を持つ。あの一言を聞き流していた側の失点として組み立てられているのが、地味にきつい。
「侵入者と秘密の通路」まとめと考察
「商品を別の場所へ移す」と、抜け道だけが残った制度
取り立ての男たちの言い分は「金を返すためだ」で、ミルカの反論が「じいちゃんの家を取り上げたのに、まだ金を取るのか!」、さらに「偉い人だって、俺はじいちゃんの借金を払わなくていいって言ってたぞ!」だった。制度を知っていて、そのうえで通じていない。
割って入ったロックの名乗りが「その子の保護者だ」で、肩代わりを持ちかけられても「その子の話を聞いてたか?」「祖父の借金を支払う必要はない」と正面から返す。締め上げたあとに出てくるのが「三番街の金貸し、カビノさんの部下だ!」という素性だった。
問題はその先である。孫娘を探していた理由が「売り払うんだ!秘密のルートなら高めに捌ける!」「カビノさんは奴隷商人だったから、抜け道があるんだよ!」だった。冒頭で安心材料として置かれた「奴隷売買の制度を廃止しましたから」が、制度は消えたが経路は残っているという形でそっくり裏返る。カビノ側の場面で人が「商品」と呼ばれるので、なおさら効いていた。
「その子の保護者だ」から「うちの子」へ
敵の厄介さも具体的に示される。カビノは下町地区を支配する大物で、私設兵団のような者たちを抱え、一部の貴族とも関係が深い。以前は悪事の証拠を掴んでも取り締まる前に握り潰されたという。カビノ側も「官憲は抱き込めるが、冒険者ギルドはまずい」「あのモートン卿がトップだからな」と冷静で、雇っている用心棒は「ギルドを抜けた時のランク」と言いながら「俺たちを追放したギルド」と口を滑らせる。
終盤、乗り込んだロックが口にするのが「うちの子の件で文句を言おうと来てみたんだが」である。昼間は「その子の保護者だ」だった言い方が、一日のうちに「うちの子」へ変わっている。名乗りのほうは相変わらず「ベテランFランク冒険者だ」で、地下でミルカに言ったのと同じ台詞を敵にも使うのが気持ちいい。
そして締めが「ここは弟子の私に任せて」というセルリスの一言で、シアが「ロックさんが出るまでもないであります」と続く。作品名になっている言葉を、今度は守られる側だった二人が言う。第5話の「城のことは私たちに任せて!」から一歩進んで、ロックを先へ行かせるためではなく、ロックを出さないために言っているのが今回の形である。通路の謎解きと家族の増員をひとまとめにしたうえで、最後にタイトルを弟子側へ渡してくる構成がきれいだった。






















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